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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W41 |
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管理番号 | 1385406 |
総通号数 | 6 |
発行国 | JP |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2022-06-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-06-18 |
確定日 | 2022-06-02 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6369990号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6369990号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6369990号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、令和2年7月9日に登録出願され、第9類「業務用テレビゲーム機用プログラム,電気通信機械器具,携帯情報端末,スマートフォン,携帯情報端末の部品及び附属品,電子応用機械器具及びその部品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,電子出版物,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント」及び第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,美術品の展示,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),音楽のプロデュース(企画・制作),受託による作詞及び作曲,放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,映画機械器具の貸与,ネガフィルムの貸与,ポジフィルムの貸与,写真の撮影」を指定商品及び指定役務として、令和3年3月16日に登録査定、同月29日に設定登録されたものである。 第2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において引用する商標は、次の2件の登録商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの登録商標をまとめて「引用商標」という。)。 1 登録第5331533号商標(以下「引用商標1」という。) 商標の態様:「ONE&ONLY」の欧文字を横書きしてなるもの 登録出願日 平成20年11月21日 設定登録日 平成22年6月18日 指定役務 第41類「娯楽の提供,娯楽情報の提供,スポーツの教授,セミナーの企画・運営又は開催,スポーツの興行の企画・運営又は開催,運動施設の提供,運動用具の貸与」並びに、第36類及び第39類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 2 登録第6318013号商標(以下「引用商標2」という。) 商標の態様 別掲2のとおり 登録出願日 令和元年8月13日 設定登録日 令和2年11月18日 指定役務 第41類「娯楽の提供,娯楽情報の提供,水族館・海洋生息環境及びそれに関連する展示の性質を持つ娯楽の提供,ウォータースポーツ・高速ボートの乗船及びショー・アミューズメントパークのアトラクション及び乗り物に関するテーマパークの性質を持つ娯楽の提供,ナイトクラブの性質を持つ娯楽の提供,カジノ・カジノ施設の提供,ホテルによる娯楽の提供,子供向けレクレーションキャンプの企画・運営又は開催,子供向けホリデイキャンプの企画・運営又は開催,スポーツの教授,セミナーの企画・運営又は開催,スポーツの興行の企画・運営又は開催,運動施設の提供,運動用具の貸与,運動に関する指導・設備を提供するヘルスクラブの提供」並びに、第36類、第39類、第43類及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証(枝番号を含む。)を提出した。 1 本件商標について 本件商標は、ゴシック体様のフォントで記載された「ONEN’ONLY」の欧文字が、10度程度右側に傾けた構成よりなるものであり、各文字の底部ないし側部には影が付されている。 称呼については、「ONE」からは「ワン」、「ONLY」からは「オンリー」の称呼が生じる。また、英語圏では、「and」の略語として「N」とアポストロフィの組合せが使用されることがある(甲4〜甲6)。アポストロフィ(’)の位置は、通常「N」の左側、または両側に付され、本件商標では、アポストロフィは「N」の右側に付されており、一般的な表記とは異なるが、平均的な日本人は、「and」を意味する「N」とアポストロフィの組合せについて、アポストロフィの位置が「N」の左側か右側かを正確に理解しているとはいえないことから、本件商標の、「N」とアポストロフィの組合せを見た需要者は、アポストロフィが「N」の右側に付されている場合であっても、「and」を意味する文字であると理解する可能性が高い。 また、「and」の略語として「N」を使用するのは俗語的な表現方法であるから、英語圏の者でもアポストロフィを「N」の右側に付したり、アポストロフィを付さずに「N」のみで表現するなどのパターンで使用することがある(甲7)。 上述のとおり、本件商標の「N」とアポストロフィの組合せに接した需要者は、「アンド」を意味する語と理解すると考えられるから、本件商標の「N’」部分からは、「アンド」、「エンド」の称呼が生じる。そのほか、英語の口語の傾向として「ド」の部分を明瞭に発音しないこともあることから、「アン」や「エン」などの称呼も生じる。 したがって、本件商標全体からは、「ワンアンドオンリー」、「ワンエンドオンリー」、「ワンアンオンリー」「ワンエンオンリー」などの称呼が生じる。本件商標は男性アイドルのグループ名として使用されているものであるが、現に同グループの所属事務所の公式ウェブサイト上でも、「ONE N’ONLY」の文字の上に片仮名で「ワンエンオンリー」の称呼が付されている(甲8)。 観念については、「one and only」には、形容詞として「ただ一つの、唯一無二の、二つとない」という意味があるほか、名詞として「かけがえのない人」という意味もある。 したがって、本件商標からはこのような観念が生じる(甲9)。 2 引用商標について (1)申立人 申立人は、One&Only、Atlantis、Mazanga、SIROなどのブランド名を使用し、ドバイ、モルディブ、モロッコ、南アフリカ、メキシコ、モーリシャス他様々な国において最高級リゾートホテルやホテルに付随するゴルフ場、カジノ施設などの開発・運営を手掛ける国際的な企業であり、特に、One&Onlyは申立人が運営する施設の中で最も施設数の多い代表的なブランドであって、現在世界各地で12の高級ホテルを運営しているほか、現在も同ブランド名のホテルをギリシャで2か所、ドバイで1か所建設中である。 (2)引用商標の構成 ア 外観 引用商標1は、「ONE AND ONLY」(決定注:「ONE&ONLY」の誤りと思われる。)の欧文字をCentury様のフォントの文字で表してなるものである。 引用商標2は、「ONE&ONLY」(決定注:「One&Only」の誤りと思われる。)の欧文字をTimes New Roman様のフォントの文字で若干右に傾けた書体で表してなるものである。 イ 称呼 引用商標1及び引用商標2のいずれからも、「ワンアンドオンリー」、「ワンエンドオンリー」、「ワンアンオンリー」、「ワンエンオンリー」などの称呼が生じる。 ウ 観念 上述のように、「one and only」には、形容詞として「ただ一つの、唯一無二の、二つとない」という意味があるほか、名詞として「かけがえのない人」という意味もある。 したがって、引用商標1及び引用商標2のいずれからも、このような観念が生じる。 3 本件商標と引用商標の類否 本件商標と引用商標は、いずれも「ONE(One)」及び「ONLY(Only)」という同一の文字を含み、両商標は、「N’」と「&」という8文字中わずか1文字において相違するに過ぎず、相違する文字部分も目に付きやすい商標の語頭などではなく、単語「ONE(One)」と「ONLY(Only)」の間における相違である。 さらに、本件商標は斜体で記載されている点や一部に影が付されている点など若干の装飾があるものの、装飾の程度は軽度であり、一般的なゴシック体の文字と比して外観上特に強い印象を与えるものではない。一方、引用商標1はCentury様のフォントで、引用商標2はTimes New Roman様のフォントでそれぞれ記載されており、いずれも一般的に用いられるフォントであるから、いずれかの商標が外観上強い印象を与えるなどの事情はない。 したがって、本件商標と引用商標は、外観上類似する。 本件商標と引用商標からは、「ワンアンドオンリー」、「ワンエンドオンリー」、「ワンアンオンリー」、「ワンエンオンリー」など同一の称呼が生じ得る。 本件商標と引用商標からは、形容詞の「ただ一つの、唯一無二の、二つとない」、ないし名詞の「かけがえのない人」という同一の観念が生じ得る。 以上のとおり、本件商標と引用商標は、類似する外観を有し、同一の称呼、観念が生じ得るものであるから、両商標が同一又は類似の役務に使用された場合に、役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ず、両商標は類似するものである。 4 本件商標と引用商標の指定役務の比較 本件商標に係る第41類の指定役務は、引用商標1及び引用商標2に係る第41類のいずれかの指定役務とその役務の目的、取引者・需要者の範囲等を共通にする同一又は類似する役務である。 5 むすび 以上のとおり、本件商標は、引用商標と同一の称呼及び観念が生じ、外観上も類似性の高い商標であって、引用商標の指定役務と同一又は類似する指定役務に用いられるものである。 よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。 第4 当審の判断 1 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおり、「ONEN’ONLY」の文字を、斜体のゴシック体様のフォントに、影を付して立体感を持たせた特徴的な態様で表してなるところ、その構成は、同じ大きさ、同じ書体をもって、外観上、まとまりよく一体的に表されているものである。 そして、本件商標の構成文字全体から生じる「ワンエヌオンリー」及び「ワンエンオンリー」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。 そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して「ワンエヌオンリー」及び「ワンエンオンリー」の称呼を生じ、全体として特定の意味合いを想起させない一種の造語として認識、理解されるものとみるのが相当であるから、特定の観念を生じないものである。 2 引用商標について 引用商標1は、上記第2の1のとおり「ONE」の欧文字と「ONLY」の欧文字とを「&」の記号で連結した構成からなり、「ONE」の欧文字、「&」の記号及び「ONLY」の欧文字との間に半文字程度の空白を有するものの同じ大きさ、同じ書体をもって、外観上、まとまりよく一体的に表されているものである。 また、引用商標2は、別掲2のとおり、「One」の欧文字と「Only」の欧文字とを装飾的な書体で表した「&」の記号で連結した構成からなるところ、「&」が装飾的な書体であるとしても、同じ大きさ、同じ間隔をもって外観上、まとまりよく一体的に表されているものである。 そして、「&」は、英語の「and」を表す記号であって、「&」の前後の語を対等に結合させるための記号として一般に採択されており、引用商標に通じる「one and only」の文字は、全体として「ただ一つの、あの有名な」(株式会社大修館書店 ベーシックジーニアス英和辞典 第2版)の意味を有する英語である。 そうすると、引用商標は、その構成全体をもって一体不可分のものとして認識し、把握されるとみるのが相当である。 してみると、引用商標は、その構成文字全体に相応して、「ワンアンドオンリー」の称呼が生じ、「ただ一つの、あの有名な」の観念を生ずるものである。 3 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標との類否について検討すると、外観については、両商標の全体の構成はそれぞれ別掲1と上記第2の1及び別掲2のとおりであり、本件商標が特徴的な態様で表されている上、両商標の構成文字も、前半部の「ONE(One)」及び後半部の「ONLY(Only)」の綴りを共通にするが、中間において、「N’」と「&」とで相違し、該差異は、8文字又は9文字構成という比較的少ない文字構成よりなる両商標の外観全体に与える視覚的印象は大きく、見誤るおそれはないものであるから、両商標は、外観上、明確に区別することができるものといえる。 次に、称呼については、本件商標から生じる「ワンエヌオンリー」及び「ワンエンオンリー」の称呼と、引用商標から生じる「ワンアンドオンリー」の称呼とは、中間において、「エヌ」及び「エン」と「アンド」の音の差異を有し、両商標をそれぞれ一連に称呼した場合は、その語調、語感が異なり、十分に聴別しうるものと判断するのが相当である。 そして、観念については、本件商標からは、特定の観念が生じないのに対し、引用商標からは、「ただ一つの、あの有名な」の観念が生じるから、両商標は、観念上、相紛れるおそれのないものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において明確に区別することができ、称呼においても十分に聴別でき、観念においても相紛れるおそれはないことから、その外観、称呼及び観念によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。 その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。 4 小括 したがって、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、両商標の指定役務が同一又は類似するとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 5 申立人の主張について 申立人は、「N」と「’(アポストロフィ)」の組合せに接した需要者は、それを「and」を意味する語と理解すると考えられるから、本件商標の「N’」部分からは、「アンド」、「エンド」の称呼が生じるとともに、本件商標からは「one and only」に通じる観念が生じる旨主張している。 しかしながら、例えば、「rock and roll」を「rock’n’roll」のように「’n’」が、「and」を表すものとして英和辞典に載録されているように(株式会社大修館書店 ベーシックジーニアス英和辞典 第2版)、英語表記において、「’(アポストロフィ)」は、それが付された箇所に文字の省略があること等を示す符号であって、我が国においても一定程度知られているといえるとしても、「N’」が「and」の省略を示すものとして用いられる用法であると認めるに足りる証拠は見いだせない。 また、申立人は、「and」の略語として「N」を使用するのは俗語的な表現方法であるから、英語圏の者でもアポストロフィを「N」の右側に付したり、アポストロフィを付さずに「N」のみで表現するなどのパターンで使用することがあるとして、甲第7号証を提出しているが、該証拠は、わずか1件の外国のウェブサイトによる情報であり、これをもって、我が国の一般の需要者が、「N’」が「and」を表すものであると理解し、認識するものと認めるには足りないばかりでなく、我が国において、「N’」が「and」を表すものとして一般に使用されている事実は認められない。 したがって、申立人の上記主張は、採用することができない。 6 むすび 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
【別掲1】本件商標 【別掲2】引用商標2 (この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。 |
異議決定日 | 2022-05-23 |
出願番号 | 2020085156 |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(W41)
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最終処分 | 07 維持 |
特許庁審判長 |
佐藤 松江 |
特許庁審判官 |
鯉沼 里果 大森 友子 |
登録日 | 2021-03-29 |
登録番号 | 6369990 |
権利者 | 株式会社STARDUST HD. |
商標の称呼 | ワンエンオンリー、ワンエヌオンリー |
代理人 | 北村 行夫 |
代理人 | 樋口 盛之助 |
代理人 | 石田 昌彦 |
代理人 | 栗下 清治 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |