• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025
管理番号 1381709 
総通号数
発行国 JP 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2022-02-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-09-21 
確定日 2021-12-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第3217469号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3217469号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3217469号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、1993年6月23日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年9月8日に登録出願、第25類「帽子,その他の被服,履物,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成8年10月31日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成30年10月9日にされたものであり、この登録前3年以内の期間を、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、平成31年(2019年)1月10日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年2月6日付け弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、審判請求書で甲第1号証を、弁駁書で甲第2号証及び甲第3号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品(以下「本件審判請求に係る指定商品」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁書の要旨
(1)被請求人は、「要証期間」と「日本国内」という使用についての証拠を提出していない。
被請求人は、答弁書に添付の乙第1号証ないし乙第10号証をもって、要証期間に日本国内で本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品について使用している旨主張しているが、乙第1号証ないし乙第10号証の写真の写しに印刷されたものは、帽子や被服などの商品について所定の標章が描かれたタグを付与した状態のものにすぎず、日本国内でという要件については証拠を提出しておらず、また、乙第1号証ないし乙第10号証中には日付の記載もないので、何をもって乙第1号証ないし乙第10号証が「要証期間」に「日本国内」での、商標の使用という不使用取消を免れる証拠となるのか不明である。
(2)乙第1号証ないし乙第10号証の各商品は、フィジーの店舗内で撮影されたものと推測されるため、日本国内での使用の証拠とはならない。
タバルアはフィジー共和国の西海岸側に浮かぶ小さなハート形状の島の名称であり、世界中のサーファーの憧れのリゾートアイランドである。
本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)は、米国で連邦主登録の対応商標も有しており、「米国特許商標庁(USPTO)の連邦主登録第74405933号のTSDRに掲載されている2006年2月28日提出された使用見本の2頁目」(甲2)の写真を使用の証拠として提出していることが分かる。
この写真では、中央に黄色のレインコートのような被服が撮影されているが、背景の壁の構成が木目であり、水平方向に延長されるステンレス等の金属部材が高さ方向に10ないし20センチ程度の一定間隔で並ぶ構成であることが一目瞭然とされ、その側部の地図には英字のディレクトリや点在する島などが描かれており、これは使用証拠としての写真の撮影場所が日本国内ではないと断言できるものである。
さらに、「動画サイトYoutubeの『FUJI TRAVEL VLOG−TAVARUA ISLAND』と題された動画のスクリーンショット」(甲3)では女性がタバルア島のリゾートホテル内のショップを案内するシーンがある。
このタバルア島のリゾートホテル内のショップの壁に着目すると、米国特許商標庁(USPTO)の連邦主登録第74405933号の使用見本の2頁目(甲2)と同じで、木目であって水平方向に延長されるステンレス等の金属部材が高さ方向に10ないし20センチ程度の一定間隔で並ぶ構成であることが分かる。
そして、答弁書に添付された乙第1号証ないし乙第10号証を見ると、被服や帽子の背後の壁はやはり同じ木目であって水平方向に延長されるステンレス等の金属部材が10ないし20センチ程度の一定間隔で並ぶ構成を有している。
「米国特許商標庁(USPTO)の連邦主登録第74405933号のTSDRに掲載されている2006年2月28日提出された使用見本の2頁目」(甲2)及び「動画サイトYoutubeの『FUJI TRAVEL VLOG−TAVARUA ISLAND』と題された動画のスクリーンショット」(甲3)と、被請求人の提出した乙第1号証ないし乙第10号証を比べると、撮影された商品の背景の壁の構造は同じであり、これらから乙第1号証ないし乙第10号証の各商品はフィジー共和国のタバルア島のリゾートホテル内の店舗内で撮影されたものにすぎないと推測されるため、これらは日本国内ではなく、商標権者の商標の使用が日本国内であるとする主張には根拠がない。

第3 被請求人の主張の要点
被請求人は、本審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、答弁書及び平成31年4月26日付け回答書(以下「回答書」という。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、答弁書で乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 答弁書による主張の要旨
商標権者は、要証期間に、日本国内で、本件商標と社会通念上同一の商標を、その指定商品である第25類「帽子」及び「その他の被服」に含まれる商品「Tシャツ」について使用している。
商標権者が日本国内で販売している帽子及びTシャツの写真(乙1〜乙10)のとおり、これらの帽子及びTシャツの下げ札には、「図形+TAVARUA\ISLAND\Surf Company(ロゴ)」が表れていることから、本件商標の指定商品「帽子」及び「Tシャツ」に、その出所表示として本件商標と社会通念上同一の商標が付された事実が明らかである。
2 回答書による主張の要旨
(1)当審における審尋
審判長は、被請求人に対し、平成31年3月28日付け審尋(以下「審尋1」という。)及び令和3年5月20日付け審尋(以下「審尋2」という。)において、合議体の暫定的見解を示し、これに対する意見を求めた。
(2)審尋1に対する回答書による主張の要旨
被請求人は、商標権者又は商標権者から本件商標の使用を許諾された使用権者が、本件商標をその指定商品に使用したことを証明するための新たな証拠方法について新たな証拠を提出する旨を主張した。
しかしながら、被請求人は、新たな証拠を提出していない。
なお、被請求人は、審尋2に対して、何らの応答もしていない。

第4 当審の判断
1 被請求人の立証責任
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、エ 本件審判請求に係る指定商品のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。
2 被請求人が提出した乙各号証は、以下のとおりである。
乙第1号証は、左側に黒色の帽子、右側に灰色の長袖シャツを並べた写真であり、これらには、図形(以下「使用図形」という。)と使用図形の下に「TAVARUA」の欧文字、その下に「ISLAND」の欧文字、その下に「Surf Company」の欧文字が記載された商品の下げ札が取り付けられている。
乙第2号証は、左側に白色のTシャツ、右側に黒色のTシャツを並べた写真であり、これらには、使用図形と使用図形の下に「TAVARUA」の欧文字、その下に「ISLAND」の欧文字、その下に「Surf Company」の欧文字が記載された商品の下げ札が取り付けられている。
乙第3号証は、左側に灰色のTシャツ、右側に黒色のTシャツを並べた写真であり、使用図形と使用図形の下に「TAVARUA」の欧文字、その下に「ISLAND」の欧文字、その下に「Surf Company」の欧文字が記載された商品の下げ札が取り付けられている。
乙第4号証は、白色のTシャツの写真であり、これには、使用図形と使用図形の下に「TAVARUA」の欧文字、その下に「ISLAND」の欧文字、その下に「Surf Company」の欧文字が記載された商品の下げ札が取り付けられている。
乙第5号証は、灰色のTシャツの写真であり、これには、使用図形と使用図形の下に「TAVARUA」の欧文字、その下に「ISLAND」の欧文字、その下に「Surf Company」の欧文字が記載された商品の下げ札が取り付けられている。
乙第6号証は、左側に白色のTシャツ、右側に青色の長袖シャツを並べた写真であり、これらには使用図形と使用図形の下に「TAVARUA」の欧文字、その下に「ISLAND」の欧文字、その下に「Surf Company」の欧文字が記載された商品の下げ札が取り付けられている。
乙第7号証は、左側に白色のTシャツ、右側に黒色のタンクトップを並べた写真であり、これらには、使用図形と使用図形の下に「TAVARUA」の欧文字、その下に「ISLAND」の欧文字、その下に「Surf Company」の欧文字が記載された商品の下げ札が取り付けられている。
乙第8号証は、左側に黒色の帽子、右側に白色のTシャツを並べた写真であり、これらには、使用図形と使用図形の下に「TAVARUA」の欧文字、その下に「ISLAND」の欧文字、その下に「Surf Company」の欧文字が記載された商品の下げ札が取り付けられている。
乙第9号証は、左側に、クラウンを白、ツバを黒で着色した帽子、右側に青色のTシャツを並べた写真であり、これらには、使用図形と使用図形の下に「TAVARUA」の欧文字、その下に「ISLAND」の欧文字、その下に、やや不鮮明の「Surf Company」の欧文字が記載された商品の下げ札が取り付けられている。
乙第10号証は、左側に黒色の帽子、右側に白色のTシャツを並べた写真であり、これらには、使用図形と使用図形の下に「TAVARUA」の欧文字、その下に、やや不鮮明の「Surf Company」の欧文字が記載された商品の下げ札が取り付けられている。
3 上記2からすると、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)使用商標について
被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第10号証の写真に掲載された商品「帽子」(乙1、乙8〜乙10)、「Tシャツ」(乙2〜乙10)、「長袖シャツ」(乙1、乙6)及び「タンクトップ」(乙7)の各商品には、商品の下げ札が付けられており、その商品の下げ札には、使用図形とその下に「TAVARUA」の欧文字、その下に「ISLAND」の欧文字、その下に「Surf Comapany」の欧文字(以下「使用商標」という。)が記載されている。
そして、本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、本件商標の構成中の図形は、使用図形と同様の態様からなるものであり、本件商標の構成中の「TAVARUA」の欧文字、「ISLAND」及び「SURF COMPANY」の欧文字は、使用商標の「TAVARUA」の欧文字、「ISLAND」の欧文字及び「Surf Company」の欧文字と構成する文字を共通にすることから、本件商標と使用商標は、構成文字の大きさや、表記方法等に相違する点を有しているとしても、構成全体としてみた場合は、両商標は、社会通念上同一の商標と認められる。
(2)使用商品について
被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第10号証の写真に掲載された商品「帽子」(乙1、乙8〜乙10)、「Tシャツ」(乙2〜乙10)、「長袖シャツ」(乙1、乙6)及び「タンクトップ」(乙7)は、いずれも本件商標の指定商品中の「帽子,その他の被服」の範ちゅうの商品である。
(3)使用者について
被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第10号証の写真に掲載された商品及びその商品の下げ札には、商品の出所を表示する記載がない。
また、被請求人が提出した全証拠を確認しても、商標権者及び商標権者から本件商標の使用を許諾された専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標をその指定商品に使用したことが証明されていないため、使用商標の使用者は、特定することができない。
(4)使用時期及び使用場所について
被請求人の提出した乙第1号証ないし乙第10号証の写真は、撮影日や撮影場所等が不明であるため、使用商標が付された使用商品の使用時期を特定することができないことから、要証期間に、使用商標が付された使用商品が取引の対象として存在していたことを確認することができない。
また、これらの写真は、日本国内で撮影されていることを確認することができない。
(5)使用商標を付した使用商品の商取引について
被請求人は、使用商標を付した使用商品の商取引に関する証拠を何ら提出していないため、使用商標を付した使用商品が、譲渡等を行われたことを確認することができない。
(6)小括
上記(1)ないし(5)を総合勘案すれば、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を本件商標の指定商品に含まれる商品に使用したことを認めることはできない。
その他、被請求人は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが要証期間に日本国において、本件商標をその指定商品に使用したことを認めるに足りる証拠も提出していない。
4 結論
以上のとおりであるから、被請求人は、要証期間に日本国内おいて、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲(本件商標)




(行政事件訴訟法第46条に基づく教示) この審決に対する訴えは、この審決の謄本の送達があった日から30日(附加期間がある場合は、その日数を附加します。)以内に、この審決に係る相手方当事者を被告として、提起することができます。

(この書面において著作物の複製をしている場合のご注意) 特許庁は、著作権法第42条第2項第1号(裁判手続等における複製)の規定により著作物の複製をしています。取扱いにあたっては、著作権侵害とならないよう十分にご注意ください。

審判長 榎本 政実
出訴期間として在外者に対し90日を附加する。
審理終結日 2021-06-25 
結審通知日 2021-06-29 
審決日 2021-07-28 
出願番号 1993092349 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (025)
最終処分 01   成立
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 豊田 純一
小俣 克巳
登録日 1996-10-31 
登録番号 3217469 
商標の称呼 タバルアアイランドサーフカンパニー、タバルアアイランド、タバルア、サーフカンパニー 
代理人 佐藤 勝 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ