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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W3543 |
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管理番号 | 1380119 |
異議申立番号 | 異議2021-900181 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-05-13 |
確定日 | 2021-10-29 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6363233号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6363233号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6363233号商標(以下「本件商標」という。)は、「麻辣江湖」の文字を標準文字で表してなり、令和2年10月20日に登録出願、第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第43類「飲食物の提供,四川料理の提供」を指定役務として、同3年3月8日に登録査定され、同月12日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証から甲第16号証を提出した。 (1)具体的理由 ア 本件商標「麻辣江湖」は、申立人が共同経営者であるK氏と2019年1月1日に大阪市中央区東心斎橋に立ち上げた四川料理店(1号店)の店舗名称として使用しているもので(甲2?甲6)、フランチャイズ店舗として大阪市浪速区元町にも同名の四川料理店がある(甲7)。 イ 申立人及び共同経営者(以下「申立人ら」という。)は、東心斎橋の1号店が手狭になったことから店舗を移転することを決め、1号店については貞観株式会社(以下「貞観社」という。)に譲渡することとし、2020年9月30日付けで譲渡契約を締結した(甲8)。この際、契約書への手書きの記載にあるとおり、本件商標はあくまでも申立人らのものであり、貞観社には使用の許諾をしているにすぎず、これについて貞観社も合意している。 ウ 申立人らが新店舗を大阪市中央区島之内に移転するに際し(甲9?甲11)、申立人の名義にて商標登録出願を行った(甲12)ところ、本件商標権者による本件商標に係る商標登録出願に気付いた。 本件商標権者は全くの第三者ではなく、貞観社との契約の場には本件商標権者の担当者2名が同席していた(甲2、甲13?甲15)。その2名は貞観社の「麻辣江湖」に出資しており、実質的に貞観社の代表取締役との3名で経営している(甲16)。 エ 本件商標権者は、遅くとも契約締結の時点において、本件商標は申立人らのものであり、あくまでも貞観社に使用許諾しているということを確認、了承しておきながら、申立人らに何ら連絡、相談することなく、契約書締結のわずか20日後に本件商標に係る商標出願をしている。 本件商標権者は、本件商標について商標登録出願がされていないことに気付いた段階で申立人らに状況の確認の連絡ができたにも関わらず、無断で本件商標に係る商標登録出願をしたのは、本件商標が出願、登録されていないことを奇貨として、先取り的に権利を取得しようとみなされる行為であり、その出願の経緯に社会的相当性を欠くものである。 (2)結語 よって、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。 3 当審の判断 (1)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について ア 申立人提出の証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。 (ア)大阪市中央区東心斎橋を営業所とする飲食店「麻辣江湖」(以下「本件店舗」という。)は、K氏を名義人、申立人を食品衛生責任者として、平成30年(2018年)12月25日付けで営業許可を取得し、2019年1月から営業を開始した(甲2、甲3)。 (イ)2020年9月30日付けで、K氏と貞観社の間で、本件店舗の譲渡に関する契約が締結されたが、その契約内容の詳細は不明(契約書の大部分がマスキングされ、訳文の提出もない。)である(甲8)。 なお、同契約書には手書きで本件店舗の商標に関する合意、すなわち、「麻辣江湖の商標について、甲(K氏)は乙(貞観社)の2021年9月30日までの使用について合意する。その後引き続き使用する場合は、乙(貞観社)は再度甲(K氏)に申し入れる。」旨の記載があるとされる(申立人の主張)。 (ウ)上記契約の対価となる譲渡金は、貞観社と本件商標権者が半分づつ支払った(甲2、甲13)。 (エ)本件商標「麻辣江湖」は、上記1のとおり、本件商標権者によって、令和2年(2020年)10月20日に登録出願され、同3年3月12日に設定登録されている。 (オ)申立人は、「麻辣江湖」の文字を標準文字で表してなる商標について、第35類及び第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、令和3年(2021年)1月5日付けで登録出願している(甲12)。 (カ)なお、本件店舗のほかに、本件店舗のフランチャイズ店とされる「麻辣江湖 元町店」、申立人が営業に関与する2020年11月頃開店の「麻辣江湖 新店」(大阪市中央区島之内)がある(甲5、甲7)が、これら店舗の営業が本件商標の存在を理由として事実上阻害されていることなどを示す証拠の提出はない。 イ 本件異議申立書によれば、本件店舗は経営譲渡されたことがうかがわれるところ、上記アのとおり、本件商標「麻辣江湖」の登録出願は、貞観社が本件店舗(麻辣江湖)の経営を譲渡された日(2020年9月30日)の翌月(同年10月20日)に、本件商標権者(当該譲渡契約の譲渡金を半分支払っている。)によりされたものであり、同店舗と何らの関係もない第三者による登録出願でもなく、その出願自体も同店舗の経営譲渡を契機とするものと理解するのが自然だから、その出願経緯自体に社会的相当性を欠くというべき理由は見出し難い。 ウ 申立人は、本件商標権者は、「麻辣江湖」の商標が申立人らのもので、あくまでも貞観社に使用許諾されていることを確認、了承しておきながら、申立人らに何ら連絡、相談することなく、本件商標の登録出願をしているところ、本件商標権者は、「麻辣江湖」の商標が登録出願されていないことに気付いた段階で申立人らに状況の確認の連絡ができたにも関わらず、無断で登録出願をしたのであり、本件商標が出願、登録されていないことを奇貨として、先取り的に権利を取得しようとみなされる行為であり、その出願の経緯に社会的相当性を欠く旨を主張する。 しかしながら、本件店舗の経営譲渡の際の契約内容の子細は不明で、K氏(又は申立人)と貞観社(又は本件商標権者)との間で、本件商標権者(又は貞観社)が本件商標の登録出願をしないという契約上又は信義則上の不作為義務を負うといえるほどの合意があったかどうか明らかではない。 また、その契約における手書きの合意内容にしても、仮にそのような合意が実際にあったとしても、「麻辣江湖」の商標の使用許諾はK氏側に主導権があった状況が漠然と把握できるにすぎないものであり、上記のような明確な契約上又は信義則上の作為義務の存在までを推し量ることはできない。 さらに、仮に本件商標権者が申立人らによって「麻辣江湖」の商標登録がされていなかったことを認識しながら本件商標を登録出願したとしても、本件商標の存在を理由として本件店舗以外の「麻辣江湖」(元町店、新店)の営業が阻害されたり、何らかの交渉を優位に進めるために本件商標が利用されたなどの事実関係を示す証拠もないから、本件商標権者に不正な目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を与える目的など)があったとは直ちに結論づけることはできない。 エ そうすると、当審に提出された証拠によっては、本件商標は、その出願の目的及び経緯に鑑みて適切な商道徳に反し、著しく社会的妥当性を欠く行為であるものとはいえないから、その登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないものとまではいえない。 したがって、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえず、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (2)以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号に違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2021-10-18 |
出願番号 | 商願2020-129460(T2020-129460) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(W3543)
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最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 先川 雄司、守屋 友宏 |
特許庁審判長 |
中束 としえ |
特許庁審判官 |
杉本 克治 阿曾 裕樹 |
登録日 | 2021-03-12 |
登録番号 | 商標登録第6363233号(T6363233) |
権利者 | 合家株式会社 |
商標の称呼 | マーラーコーコ |
代理人 | 清水 三沙 |
代理人 | 服部 京子 |
代理人 | 徳永 弥生 |
代理人 | 齊藤 整 |
代理人 | 白井 宏紀 |
代理人 | 吉田 玲子 |