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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W2535 |
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管理番号 | 1380026 |
審判番号 | 取消2020-300407 |
総通号数 | 264 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-12-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2020-06-10 |
確定日 | 2021-11-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5948668号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5948668号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり「AMU」の欧文字にデザインを施した態様からなり、平成28年6月17日に登録出願され、第25類「被服,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」並びに第18類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品及び指定役務として、同29年5月26日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年6月26日であり、その請求の登録前3年以内の平成29年6月26日から令和2年6月25日までの期間を以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品及び指定役務中、第25類「被服,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。)」及び第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「請求に係る指定商品及び指定役務)」という。)についての商標登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番を含む。)を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る指定商品及び指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)乙第2号証及び乙第3号証の領収書には、発行日、宛先、件名、摘要として品番と思われる記載、発行者として「中天株式会社」及び担当者の表記がされている。しかし、領収書に記載の「AMU メンズジャケット(黒)201801002 L」等の品番の商品がどのようなものであり、どのような態様で販売されていたのかは、乙第2号証及び乙第3号証からは不明である。 また、乙第2号証及び乙第3号証が真に記載された日付に作成されたことが分かる証拠は提出されていないし、中天株式会社の印影は、非常に鮮明に細部まで印刷されているのに対し、収入印紙部分は、印刷がぼやけており不鮮明であり、これらの領収書には、各号証記載の日付に作成された真正なものであることを疑わせる積極的な事情がある。 (2)乙第5号証ないし乙第9号証のジャケットの写真を見ても、どこで、いつ誰が撮影した写真であるか不明であるし、ジャケットのタグに「AMU」と表示されているが、いずれのタグにも被請求人の表示は見当たらず、これらのジャケットが被請求人の業務に係るものであると確認することができない。各写真のタグはいずれも縫製が一見して不良で「取って付けた」感が否めず、このようなタグの取り付け状態のままに、日本で販売がなされるとは考え難い。乙第5号証ないし乙第9号証の写真から被請求人が要証期間中に日本で本件商標を被服に使用した事実を認めるのは困難であり、むしろ、タグの取り付け状況からは、審判用に一時的に縫い付けられた可能性も疑われる。 (3)乙第10号証及び乙第11号証の品質表示タグの写真を見ても、どこで、いつ誰が撮影した写真であるか不明であるし、いずれのタグにも被請求人の表示は見当たらず、中国語表記のみであって日本で販売できる状態になっていない。また、「AMU TOKYO」は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用にあたらない。乙第10号証及び乙第11号証の写真から被請求人が要証期間中に日本で本件商標を被服に使用した事実を認めるのは困難である。 (4)乙第12号証を見ても、日本語ページは見当たらず、日本の需要者が「AMU TOKYO」を出所表示として認識できる態様の販売態様となっておらず、「AMU TOKYO」は本件商標と社会通念上同一の商標の使用にあたらない。乙第12号証から被請求人が要証期間中に日本で本件商標を被服に使用した事実を認めることはできない。 (5)乙第13号証のインターネットサイトは、要証期間中のものであることが不明で、被服の販売実態も確認できないものであり、また、服飾ブランドが通常運営しているものとしては不自然なものであって、これによって、被請求人が要証期間中に日本で本件商標を被服に使用した事実を認めることはできない。 3 令和3年8月12日付け上申書における主張 (1)被請求人より追加証拠として提出された確認書(乙14の1、乙15の1)は、株式会社B.J.S及びD.I.C.株式会社が事後的に作成した主観的な証拠にすぎず、単なる陳述と異ならない。当時の客観的な証拠は何ら追加されておらず、確認書に記載されている内容が事実であることを裏付ける資料はなく、証明力は不十分であり、陳述の信用性は低い。 (2)追加証拠に添付された写真のいずれにも、その商品の出所が被請求人らである旨の表示がなく、依然として、その商品の出所が被請求人らであることを確認できない。 (3)上記2(1)について、被請求人の説明によれば、領収書(乙2、乙3)は、事後的に改変(印鑑の付与)された疑いが濃厚である。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証(枝番を含む。)を提出している。 1 審判事件答弁書における主張 (1)乙第2号証及び乙第3号証の領収書から明らかなように、被請求人は、被服であるジャケットやシャツを日本国内の会社に販売した。 (2)乙第5号証ないし乙第9号証は、被服であるジャケットのタグに本件商標が付されていることを示す写真である。また、乙第10号証ないし乙第11号証は、被服であるジャケットの品質表示タグに「AMU TOKYO」なる文字が付されていることを示す写真であり、この文字は、本件商標と社会通念上同一の商標である。 (3)被請求人は、中国における服飾等を扱うECサイト「taobao」において「AMU TOKYO」を付した被服等を提供し(乙12)、また、本件商標を使用して被服等を販売するインターネットサイトを開設している(乙13)。 2 令和3年5月7日付け回答書における主張 (1)乙第14号証の1ないし乙第14号証の9及び乙第15号証の1ないし乙第15号証の3により、領収書(乙2、乙3)に対応する商品の譲渡があったことを立証する。 乙第14号証の1は、乙第2号証の領収書の購入者である「株式会社B.J.S」自身が、本件商標が付されたジャケット及び短シャツを購入した事実を確認する書面であり、乙第15号証の1は、乙第3号証の領収書の購入者である「D.I.C株式会社」自身が、本件商標が付された短シャツを購入した事実を確認する書面である。 (2)当該商品の購入者である「株式会社B.J.S」及び「D.I.C株式会社」は、商品購入後再販を行っていることから、被請求人の販売行為は、被服の卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供に該当する。 (3)以上より、商標権者が販売する本件商標が付された被服を購入者自身が購入した事実を認めており、また、商標権者は領収書を電子的に管理し、入金当初作成した領収書にその後電子保管する際に社印を電子印鑑にて付与することにより領収書の印影が相違するものとなったのであり、領収書の記載や印影等から成立の真正に疑義があるとの請求人の指摘は、誤りである。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠及び職権調査によれば、以下の事実が認められる。 (1)商標登録原簿によれば、本件商標の設定登録時の商標権者は、「中天株式会社」及びXであり、要証期間内における商標権者もそれと同一の者である(職権調査)。なお、「中天株式会社」については、要証期間外である令和2年9月14日に登録名義人を「万星コンサルティング株式会社」とする旨の表示の変更登録が申請され(乙1)、同年10月にこの表示の変更登録がなされたものである。 (2)商標権者の一であった中天株式会社は、平成24年7月20日に国際物流輸出入業務等を目的として設立された株式会社であり、同29年9月30日にその本店を東京都世田谷区北沢から東京都江東区亀戸に移転した(乙4)。 (3)中天株式会社は、株式会社B.J.Sに対し、メンズジャケット、メンズ短シャツ等を販売し、2018年(平成30年)7月16日にこれらの商品の代金を領収し、この代金領収を示す領収書(乙2、乙14の2)を発行した(乙14の1)。 この領収書(以下「乙2領収書」という。)には、日付、発行者である中天株式会社の名称、上記移転後の本店の所在地、電話番号、担当者名、宛先である株式会社B.J.Sの名称が表示されている他、件名の欄に「AMUジャケットの件」と表示されている。 さらに、領収金額の内訳となる各金額に対応する適用欄に、「AMU メンズジャケット(黒)2018011002 L」、「AMU メンズジャケット(黒)2018011004 XL」、「AMUメンズ短シャツ(黒金柄)2019010532 L」等と表示されている。 (4)株式会社B.J.Sは、令和3年4月23日付けの確認書(乙14の1)において、同社が中天株式会社より「AMU」なる語が付されたメンズジャケット、メンズ短シャツ等(乙14の3?乙14の9)を購入したこと、乙2領収書(乙14の2)が、これらのメンズジャケット、メンズ短シャツ等の購入代金であること、仕入れたメンズ短シャツを日本で販売したこと、を確認した(以下、メンズジャケット(乙5?乙8、乙14の3?乙14の6)の背部及び左前部のタグに付された「AMU」の語を「使用商標1」といい、メンズ短シャツ(乙9、乙14の9)の背部のタグに付された「AMU」の語を「使用商標2」という。)。 2 上記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。 (1)使用商標について 使用商標1及び使用商標2は、いずれも書体は明らかでないものの、「AMU」の文字からなるものであるから、少なくとも、本件商標と書体が異なるだけの社会通念上同一の商標といえる。 (2)使用者について 使用商標1及び使用商標2は、中天株式会社から株式会社B.J.Sに対して販売されたメンズジャケット及びメンズ短シャツのタグに付されたものであるから、使用商標1及び使用商標2の使用者は、中天株式会社である。 そして、上記1(1)によれば、中天株式会社は、これらの被服の販売を示す領収書に示された2018年(平成30年)7月16日を含め要証期間において、本件商標の商標権者の一であったものと認められる。 よって、使用商標の使用者は、商標権者である。 (3)使用商品について 商標権者は、使用商標1及び使用商標2をメンズジャケット及びメンズ短シャツに付して株式会社B.J.Sに対して販売したものである。 このことは、ジャケット及び短シャツに使用商標1及び使用商標2を表示したタグが付された様子を示した写真(乙5?乙9)が提出されていることのみならず、上記1(3)の領収書において、商標権者が、販売した被服の種類を示す「メンズジャケット」及び「メンズ短シャツ」の語とともに使用商標1及び使用商標2を示す「AMU」の語を用いていること、及び、上記1(4)の確認書において、株式会社B.J.Sも、自らに対して販売されたメンズジャケット及び短シャツを特定するにあたって「AMU」の語が付されたものである旨によって特定していること、からも明らかである。 してみると、使用商標1及び使用商標2に係る使用商品は、ジャケット及び短シャツであって、請求に係る指定商品中、第25類「被服」に含まれるものである。 (4)使用時期、使用行為について 上記1(3)のとおり、乙2領収書は、2018年(平成30年)7月16日に発行されているから、乙2領収書により示される被服の販売日は、この日の近傍の日であって、要証期間内であるものと推認される。 以上によれば、商標権者は、使用商品であるメンズジャケット及びメンズ短シャツに使用商標1及び使用商標2を付したものを要証期間内に株式会社B.J.Sに対して販売してこれらを譲渡する行為を行ったものといえ、この行為は、商標法第2条第3項第2号の使用行為に該当する。 3 請求人の主張について 請求人は、乙2領収書について、領収書記載の日付に作成された真正なものであることを疑わせる積極的な事情がある、確認書(乙14の1)について、事後的に作成された主観的な証拠であり、確認書に記載されている内容が事実であることを裏付ける資料はない、等と主張している。 しかしながら、取引の相手方の確認書(乙14の1)によれば、上記1(3)及び1(4)の事実が認められ、この領収書は、商標権者から相手方に実際に販売された被服の購入代金にかかるものとして、領収書記載の日付に発行されたものと認められ、何ら不自然な点はないというべきである。取引の相手方の確認書(乙14の1)について、その真正を疑うべき事情も見当たらない。 よって、請求人の主張は採用できない。 4 まとめ 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者が請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用していたことを証明したということができる。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) |
審理終結日 | 2021-08-26 |
結審通知日 | 2021-08-31 |
審決日 | 2021-09-24 |
出願番号 | 商願2016-70485(T2016-70485) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(W2535)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 佐藤 松江 |
特許庁審判長 |
齋藤 貴博 |
特許庁審判官 |
相崎 裕恒 岩崎 安子 |
登録日 | 2017-05-26 |
登録番号 | 商標登録第5948668号(T5948668) |
商標の称呼 | アム、エイエムユウ |
代理人 | 丸山 智貴 |
代理人 | 丸山 重輝 |
代理人 | 丸山 重輝 |
代理人 | 丸山 智貴 |
代理人 | 丸山 英一 |
代理人 | 石田 知里 |
代理人 | 速見 禎祥 |
代理人 | 岩坪 哲 |
代理人 | 丸山 英一 |