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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
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審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1379013 
異議申立番号 異議2021-900108 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-19 
確定日 2021-10-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第6333157号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6333157号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6333157号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、令和2年7月3日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,運動用特殊衣服,運動用特殊衣服(「水上スポーツ用特殊衣服」を除く。),靴類」を指定商品として、同年12月4日に登録査定され、同月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する登録第4884227号商標(以下「引用商標」という。)は、「KUKRI」の文字を標準文字で表してなり、平成16年11月2日に登録出願、第18類「かばん類,袋物」、第21類「水筒,魔法瓶」、第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「サッカー用・ラグビー用・ホッケー用・サイクリング用プロテクター,運動用パッド,その他の運動用具」を指定商品として、同17年7月29日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第10号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と、同一又は類似の商品である。
イ 本件商標は、欧文字「K」、「u」、「R」、「I」の文字からなり、「K」と「u」の間には、角の一つが欠けた四角形とその上方に丸い点が配置され、「u」と「R」の間には、王冠図形と、その左右それぞれに頂点を下にした四角形(「◆」)が描かれ、「R」と「I」の間には、ハートと丸い点が描かれた態様からなる。本件商標は、王冠図形が各文字と同程度の大きさをもって表されており、その全体構成から、本件商標は、5文字のうち中央に位置する3文字目が王冠図形で構成されたかのような印象を与える。
一方、引用商標は、欧文字「KUKRI」を標準文字により書した構成からなる。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において、前半と後半の2文字が共通し、中央に位置する王冠図形と「K」の文字において相違するから、両商標の全体の外観については、相当程度共通点が存在し、両者は外観において相紛らわしく類似する。
ウ 本件商標は、全体としてみると「Ku」と「RI」の文字が、王冠部分によって、距離を隔てて配置されたように認識される。そうすると、称呼する際にも、「Ku」(ク)と「RI」(リ)との間に一呼吸置くかのように「ク リ」と称呼されるというのが自然である。また、「ク リ」の称呼においては、「ク」の音が強く発音され、間を置いて称呼される「リ」は弱く発音される。
一方、引用商標は、その構成から「ククリ」と称呼されるものであるが、2音目の「ク」は、1音目の「ク」が強く発音されることも相まって弱く発音され、続く「リ」は、1音目の「ク」よりも弱く、2音目の「ク」よりも強く発音される。
そして、本件商標と引用商標の称呼を比較すると、両称呼は、2音目(本件商標では無声となる間)における「ク」の音の有無において異なる。ただ、当該差異は、引用商標において、極めて弱く発音される部分の音の有無であるから、程度の小さいものであって、称呼上その印象は薄く、称呼全体に与える影響は小さい。
そうすると、本件商標の称呼は、全体として、引用商標の称呼と相紛らわしく、互いに聞き誤るおそれがあり、両商標は、称呼において類似する。
エ 本件商標を構成する文字やその称呼からは、「栗」、「繰り」、「九里」などの言菓を想起する可能性はあるが、特定の意味合いを直ちに想起させるとはいえない。
また、引用商標は、刃物の名称として用いられることがあるが(甲3)、一般の辞書等に載録されている語ではなく、我が国において馴染みのない語であるから、特定の意味合いを直ちに想起させるものではない。
そうすると、本件商標と引用商標とは観念において比較しえない。
オ 上述のとおり、本件商標と引用商標とは、観念において比較しえないとしても、外観及び称呼において類似するものであって、本件商標と引用商標とは、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがある類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号の該当性について
ア 申立人は、1999年2月2日にイギリスにおいて設立された法人であり(甲4の1)、2011年に、JD Sports Fashion PLCに買収され(甲4の2)、今日でも傘下企業である。
申立人は、引用商標を使用して、主にオーダーメイドのスポーツチームのチームウェアの製造販売をしており(甲4の3)、申立人の製造に係るチームウェアを採用するスポーツクラブや団体は、400以上である(甲4の4)。
引用商標を使用した商品は、JD Sports Fashion PLCのショッピングサイトにおいて、我が国の消費者も購入でき(甲4の5、甲4の6)、インターネットショッピングサイト「Amazon.co.jp」において、引用商標を使用したチームユニフォームが流通している(甲4の7)。
したがって、引用商標は、申立人の商品「被服,運動用特殊衣服」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものといえる。
イ 引用商標が使用された申立人の商品は、「被服,運動用特殊衣服」であるから、本件商標の指定商品は、引用商標が使用された申立人の商品と、同一又は類似の商品である。
ウ 上記(1)で述べたとおり、本件商標と引用商標とは、類似の商標である。
エ したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
上記のとおり、引用商標は、申立人の商品「被服,運動用特殊衣服」を表示するものとして、需要者の間に広く認識されている(甲4の1?甲4の7)。
そして、本件商標の指定商品は、申立人が現に引用商標を使用している商品「被服,運動用特殊衣服」に含まれる商品及びこれに密接に関連する商品であり、本件商標と引用商標とは、商品の出所につき誤認混同を生じるおそれがある類似の商標である。
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標に該当することは明らかであるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、別掲のとおり、同じ書体の「Ku」及び「RI」の欧文字(「u」の文字はやや左に傾斜し、「I」の文字はやや右に傾斜している。)を、王冠を模した図形(以下「王冠図形」という。)の左右両側に均等に配置し、「K」と「u」の間には小さな円と五角形を、「u」と王冠図形及び王冠図形と「R」の間にはそれぞれひし形を、「R」と「I」の間には小さな円とハート型の図形を配置したまとまりよく一体的な構成からなるものである。
本件商標は、構成中の「Ku」及び「RI」の欧文字部分に相応して「クリ」と称呼され、また、該文字は辞典類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているものともいえないことからすれば、特定の観念を生じない造語として看取、把握されるとみるのが相当であり、図形部分を合わせてみても、特定の観念を生ずるものとは認められない。
イ 引用商標
引用商標は、前記2のとおり、「KUKRI」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「ククリ」と称呼され、また、該文字は辞典類に載録されている既成の語ではなく、特定の意味合いを想起させる語として知られているものともいえないことからすれば、特定の観念を生じない造語として看取、把握されるとみるのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、本件商標の図形部分を含めた商標全体で見ても、該図形部分を除いた「Ku」及び「RI」の文字部分と「KUKRI」の文字とを見ても、構成文字の差異など構成態様が異なり、外観が相違することは明らかである。
また、本件商標は「クリ」の称呼を生じ、引用商標は「ククリ」の称呼を生じるが、中間音における「ク」の有無が2音と3音という短い音構成からなる両称呼全体に及ぼす影響は大きいから、称呼上の相違を十分認識することができる。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
以上によると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものの、外観及び称呼において相紛れるおそれはないから、両商標の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似であるとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、申立人は、引用商標を付した「UIster ラグビー 2019 ホームジャージ キッズ」を、2019年10月7日から「Amazon.co.jp」を通じて販売していることが認められる(甲4の7)。
しかしながら、引用商標に係る商品の売上高、販売数、市場シェア等の販売実績や、宣伝広告の規模などの、周知性を数量的に判断し得る客観的かつ具体的な証拠は見いだせない。なお、「JD Sports」のウェブサイトに掲載されている情報(甲4の5、甲4の6。2021年4月9日紙出力。引用商標に係る商品一覧及び発送先として日本を選択可能である情報。)は掲載日が不明であることに加え、これらはいずれも、本件商標の登録査定日(2020年12月4日)以降に紙出力されたものであって、採用することができない。
以上のとおり、申立人は、引用商標に係る商品を、遅くとも2019年から販売し、現在も販売していることは認められるものの、引用商標に係る商品についての販売実績等が確認できない。
そうすると、申立人の販売に係る商品に使用されている引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
イ 上記アのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認められないものである。
そして、上記(1)ウのとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(2)アのとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたと認められないものである。
そして、上記(1)ウのとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品は、被服の分野における需要者、取引者において共通性があるものの、本件商標は、これを本件商標権者がその指定商品に使用しても、需要者、取引者が引用商標を想起して、その商品が申立人又は同人と親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると、その商品の出所について混同を生じるおそれはないというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲 本件商標


異議決定日 2021-10-12 
出願番号 商願2020-82634(T2020-82634) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 25- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 261- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 内田 直樹 
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 大森 友子
石塚 利恵
登録日 2020-12-22 
登録番号 商標登録第6333157号(T6333157) 
権利者 株式会社栗原洋服店
商標の称呼 クリ 
代理人 中村 祥二 

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