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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W0311
審判 全部申立て  登録を維持 W0311
審判 全部申立て  登録を維持 W0311
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審判 全部申立て  登録を維持 W0311
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審判 全部申立て  登録を維持 W0311
審判 全部申立て  登録を維持 W0311
管理番号 1379006 
異議申立番号 異議2021-900146 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-04-14 
確定日 2021-10-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第6345590号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6345590号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6345590号商標(以下「本件商標」という。)は,「KAOLEAF」の文字を標準文字で表してなり,平成31年4月19日に登録出願,第3類「香料,動物用防臭剤」及び第11類「家庭用電熱用品類」を指定商品として,令和3年1月6日に登録査定され,同月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件商標に係る登録異議申立ての理由において,引用する商標(以下,まとめていうときは「引用商標」という。)は,以下のとおりであり,現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5300448号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:KAO(標準文字)
登録出願日:平成21年6月10日
設定登録日:平成22年2月12日
指定商品:第1類,第5類,第10類,第11類,第16類,第21類,第29類ないし第32類及び「香料類」のほか第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第3027307号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:平成4年9月28日
設定登録日:平成7年2月28日
指定商品:第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」
(3)登録第3059279号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲のとおり
登録出願日:平成4年9月28日
設定登録日:平成7年7月31日
指定商品:第11類「電球類及び照明用器具,あんどん,ちょうちん,ガスランプ,石油ランプ,ほや,工業用炉,原子炉,火鉢類,ボイラー,ガス湯沸かし器,加熱器,調理台,流し台,冷凍機械器具,アイスボックス,氷冷蔵庫,飼料乾燥装置,牛乳殺菌機,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器,暖冷房装置,家庭用電熱用品類,浴槽類,家庭用浄水器,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,水道用栓,タンク用水位制御弁,パイプライン用栓,汚水浄化槽,し尿処理槽,家庭用汚水浄化槽,家庭用し尿処理槽,業務用ごみ焼却炉,家庭用ごみ焼却炉,洗浄機能付き便座,洗面所用消毒剤ディスペンサー,便器,和式便器用椅子,あんか,かいろ,かいろ灰,湯たんぽ,化学物質を充てんした保温保冷具」

3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第8号,同項第10号,同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第14号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人について
申立人は,1940年5月に設立され,資本金854億円,従業員数8112人(連結対象会社合計 3万3409人)(甲5の1),本社を含めた国内事業場を4か所,工場10か所,研究所4か所,研修所1か所を有する(甲5の2)。
申立人のグループ会社は,国内に9社存在し,海外においては,アジア・オセアニア地域に30社,北米・中南米地域に8社,ヨーロッパ・アフリカ地域に26社を有しており,日本を代表する大企業の1つであるとともに,海外においても広く事業を行っているグローバル企業である(甲5の3?5)。
申立人の英文社名は,「Kao Corporation」であって,海外におけるグループ会社の社名には,申立人の商標「Kao」が付されている。
ア 申立人の事業内容について
申立人の事業のうち,コンシューマープロダクツ事業は,洗濯用・住居用洗剤や生理用品,おむつ等を展開する「ハイジーン&リビングケア事業」,スキンケア製品及びメイクアップ製品を展開する「化粧品事業」,ハンドソープ,洗顔料,ヘアケア製品,入浴剤及び歯磨き等を展開する「ヘルス&ビューティケア事業」,飲料や業務用洗剤等を展開する「ライフケア事業」の4つの事業分野を主に展開する(甲5の6)。
なお,2020年12月期における申立人の売上高は,1兆3820億円であった(甲5の6)。
イ 申立人は,洗剤の「アタック」,洗顔料の「ビオレ」,化粧品の「ソフィーナ」,布製品や空間用の消臭剤の「リセッシュ」,入浴剤の「バブ」,おむつの「メリーズ」,飲料の「ヘルシア」等,多様な商品分野において周知著名なブランドを多数保有しており,本件商標の指定商品と同一又は密接に関連する商品についても取扱いがある。
香料は,申立人が行うケミカル事業において,香料(合成香料,調合香料)を取り扱っており(甲6の1),ケミカル事業の売上げは,年間2300億円を超える。
そして,申立人が展開するコンシューマープロダクツ事業の商品(仕上げ剤,入浴剤,ヘアケア商品,洗剤,柔軟剤,化粧品等)には,香りを売りにした商品が多数存在し,これら商品の製造過程において申立人は香料を実際に調合するものであって,第3類「香料」は,申立人の取り扱うコンシューマープロダクツ事業の製品との関係でも密接な関連性がある。
また,第3類「動物用防臭剤」と関連のある商品として,申立人は布製品や空間用の消臭剤の「リセッシュ」を販売しており,例えば「リセッシュ除菌EX 消臭ストロング」の商品説明等として,「・・・空間に漂うニオイ(・・・ペットなど)の消臭に。」,「・・・ペットのニオイや,空間に漂う気になるニオイに高い消臭効果を発揮します。」等の記載(甲6の2,3)があり,「動物用防臭剤」としての用途がある。また,「動物用防臭剤」は,ペット用品として取り扱われる場合もあり,この点,申立人は約20年にわたって猫用トイレを取り扱っており(甲6の4),ペット用品を取り扱う業界内においても周知性を得ている。
さらに,申立人は,第11類「家庭用電熱用品類」に属する商品として,「美容機器」(甲6の5,6)や「新肌解析機」(甲6の7)を取り扱っている。
以上のとおり,申立人の取り扱う商品の分野は多岐にわたり,本件商標の指定商品と同一の商品や密接に関連する商品についても,実際に製造・販売を行っている。
(2)「KAO」の周知・著名性について
申立人の長年にわたる積極的な広告宣伝や様々な商品開発・販売によって,商標「KAO」が我が国において老若男女問わず広く知られていることは明らかである。引用商標2には防護標章登録が存在し(甲7),また,構成中に「KAO」の文字を含む商標ついて,その登録が無効とされた過去の審決例があり,その際に「KAO」は申立人の商標として周知・著名性が認められている(甲8)。さらに,特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」の著名商標検索によれば,引用商標1が周知・著名商標として検索される(甲9)。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標は,申立人の社標である「KAO」の文字を語頭に含み,それに続く「LEAF」は,「葉」を意味する一般的な英語である(甲10)。
引用商標1は,欧文字大文字で「KAO」と横書きしてなり,また,引用商標2及び引用商標3は,欧文字「Kao」を横書きしてなり,いずれも「カオー」の称呼を生じる。
本件商標は,申立人の引用する周知・著名商標である「KAO」をその語頭部分(前半部)に配し,後半部に「葉」を意味する一般的な英語である「LEAF」の文字を配してなるものであるところ,前半部の「KAO」は周知・著名商標であるから,前半部と後半部とのウェイトが異なり,前半部の「KAO」の文字部分が分離抽出される。
そうすると,本件商標は,前半部の「KAO」の文字部分から「カオー」単独の称呼が生じ,これは引用商標から生じる「カオー」の称呼と同一の称呼であるから,両者は類似する商標である。
また,本件商標の後半部の「LEAF」の文字は,「葉」の意味があるが,香りを有する商品を取り扱う業界においては,「葉」の意味から派生して,「葉の香り」,「植物の香り」等,香りや香りの原材料を示す言葉として「リーフ」,「LEAF」が一般的に使用されている実情がある(甲11)。さらに,特許庁の審査審判においても,「リーフ」及び「LEAF」の文字は香りや香りの原材料を示す品質表示であると判断されている(甲12)。
(4)本件商標の使用態様について
本件商標が使用された商品の販売を確認した(甲13)ところ,当該商品は,いずれも「植物性」の原材料を用いた「植物性」の香りを売りにする商品であるから,本件商標の後半部の「LEAF」の文字は,原材料や香りを表示する言葉,すなわち品質表示として認識されるものであって,本件商標権者も「LEAF」を原材料や香りの名称を示す意味合いで使用している。
したがって,本件商標は,前半部と後半部とのウェイトが異なり,前半部が分離抽出される。
(5)商品の同一・類似について
本件商標の指定商品中,第3類「香料」については,引用商標1及び引用商標2の指定商品と抵触し,第3類「動物用防臭剤」については,引用商標1の指定商品と抵触し,第11類「家庭用電熱用品類」については,引用商標1及び引用商標3の指定商品と抵触する。
(6)商標法第4条第1項第11号該当性について
上記(3)のとおり,本件商標と引用商標は,共に「カオー」の称呼を生じるものであるから,両者は,取引者,需要者をして彼此誤認混同を生ずるおそれのある類似する商標である。
そして,本件商標は,引用商標の指定商品と同一又は類似する商品を指定するものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(7)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は,引用商標と類似する商標であって,引用商標の周知・著名性は,本件商標の出願時及び登録査定時において極めて高く,引用商標は造語であって,ハウスマークである。
そして,申立人は,上記(1)のとおり,多種多様な商品の製造販売及びこれに付随するサービスを行っており,多角経営の可能性があることは明らかである。
したがって,本件商標は,他人(申立人)の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標であるから,商標法第4条第1項第15号に該当する。
(8)商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標が申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして,本件商標の出願時及び登録査定時に需要者の間に周知・著名商標であることは明らかであって,引用商標は,本件商標の指定商品との関係においても商標法第4条第1項第10号において要求される周知性の要件を十分に満たしている。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(9)商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は,他人(申立人)の著名な略称である「KAO」を含む商標であって,申立人の承諾を得ているものではないため,商標法第4条第1項第8号に該当する。

4 当審の判断
(1)申立人について
申立人は,1940年5月に設立されたコンシューマープロダクツ事業及びケミカル事業を行う会社であり,資本金854億円,従業員数8112人(連結対象会社合計 3万3409人)(甲5の1),アジア・オセアニア地域,北米・中南米地域,ヨーロッパ・アフリカ地域にグループ会社を有している。そして,申立人の事業のうちコンシューマープロダクツ事業においては,「ハイジーン&リビングケア事業」,「化粧品事業」,「ヘルス&ビューティケア事業」,「ライフケア事業」の4つの事業分野を主に展開し,2020年12月期における申立人の売上高は,1兆3820億円である。また,申立人の英文社名は「Kao Corporation」であって,海外におけるグループ会社の社名には,「Kao(China)Holding Co.,Ltd.」,「Kao Corporation Shanghai」等のように語頭に「Kao」の文字が付されているものもある(甲5)。
(2)引用商標の周知・著名性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(ア)本件商標の登録査定後(2021年4月22日及び同月28日出力)の申立人のウェブサイトの写し(甲6の1?4)には,その上部中央に引用商標2及び引用商標3と同様の書体でデザイン化した「Kao」の文字及び擬人化した月の図形の表示の下,「対象産業分野」のページには「洗剤・香粧品・化粧品」の記載があり,製品カタログや製品紹介のページには「リセッシュ除菌EX 消臭ストロング」及び「猫用システムトイレ ニャンとも清潔トイレ」という商品が掲載されている。
(イ)申立人のホームページにおける2019年11月1日付けのニュースリリースでは,化粧品ブランド「エスト」から美容機器(高性能小型機器)を2019年12月4日に新発売することが(甲6の5),また,2019年3月6日付けのニュースリリースでは,同年4月よりソフィーナ及びグループ会社のカネボウ化粧品の店頭にて,カウンセリング時に使用する新肌解析機を順次導入することが発表されている(甲6の7)。なお,上記(ア)と同様に,これらのニュースリリースのページには,上部中央に引用商標2及び引用商標3と同様の書体でデザイン化した「Kao」の文字及び擬人化した月の図形の表示がある。
(ウ)申立人は,引用商標2を原登録商標とする,第1類ないし第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務について防護標章登録を受けている(甲7)。
イ 上記アによれば,申立人のホームページの上部中央に引用商標2及び引用商標3と同様の書体でデザイン化した「Kao」の文字及び擬人化した月の図形を表示して申立人の業務に係る商品に関する記事を掲載し,引用商標2を原登録商標とする防護標章登録が存在するから,これらと同様にデザイン化した「Kao」の文字が擬人化した月の図形とともに使用され,申立人の商標としてある程度知られていることがうかがえるものの,通常の書体で表した「KAO」の文字(引用商標1)が単独で商品について使用されている事例は見いだせないうえ,引用商標を使用した申立人の業務に係る商品についての販売数量,売上高,市場シェアなど販売実績や広告宣伝方法等,その周知性を客観的に判断するための具体的な資料の提出はないから,本件商標の登録出願時及び登録査定時における引用商標の周知性の程度を推し量ることはできない。
そのほか,申立人の提出に係る甲各号証を総合してみても,引用商標が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者,需要者の間で,申立人の業務に係る商品を表示するもの,又は申立人の名称の略称として広く認識されていたと認めるに足りる事実は見いだせない。
したがって,提出された証拠によっては,引用商標が,我が国において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者の間に広く認識され,本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたとは認めことはできないものであり,かつ,「KAO」の文字が申立人の著名な略称ということもできない。
(3)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標について
本件商標は,上記1のとおり,「KAOLEAF」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字は,同じ書体,同じ大きさ,等間隔で外観上まとまりよく一体的に表されているものであって,また,当該文字は,辞書等に掲載のないものであって,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものである。
そして,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから,本件商標からは「カオリーフ」の称呼を生じるものとみるのが相当であって,その称呼は,格別冗長なものではなく,無理なく一連に称呼し得るものである。
さらに,上記(2)のとおり,「KAO」の文字は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものであり,他に本件商標の構成中「KAO」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足りるべき事情も見いだせない。
してみれば,本件商標の上記構成及び称呼からすれば,これに接する取引者,需要者は,殊更に「KAO」の文字部分のみに着目することなく,本件商標の構成全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し,把握するというのが自然である。
そうすると,本件商標は,その構成文字全体に相応して「カオリーフ」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。
なお,申立人は,本件商標の構成中「LEAF」の欧文字は,「葉」の意味を有し,当該文字が香りや香りの原材料を示す言葉として一般的に使用され,特許庁の審査審判においても品質表示として判断されている旨主張している。
しかしながら,申立人が「香りや香りの原材料を示す言葉として『リーフ』,『LEAF』が一般的に使用されている例」として挙げているもの(甲11)は,「リーフの香り」,「LAVENDER LEAFの香り」,「oakleaf」等であって,「LEAF」の文字が単独で商品の品質表示として使用された例とは認められないものである。また,申立人が挙げる過去における審査審判の判断例(甲12)は,「Mulberry leaf」,「ミントリーフ/MINT LEAF」,「ベイリーフ/BAY LEAF」,「レモンリーフ」等であって,これらの例はそれぞれの商標が構成全体として商品の品質表示に該当すると判断されたものである一方,本件商標は,上記のとおり,その構成全体をもって,特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識し,把握されるものである。したがって,これらの例をもって本件商標の構成中「LEAF」の文字が指定商品の香りや香りの原材料を表示し,商品の品質を表示するものということはできない。
イ 引用商標について
上記2のとおり,引用商標1は,「KAO」の文字を標準文字で表してなり,引用商標2及び引用商標3は,別掲のとおり,デザイン化した「Kao」の欧文字を横書きしてなるところ,これらの文字は一般的な辞書等に掲載がないものであって,特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として理解されるものであるである。
そして,特定の語義を有しない欧文字からなる商標については,我が国において広く親しまれているローマ字読み又は英語風の発音をもって称呼されるのが一般的といえるから,引用商標はその構成文字に相応して「カオ」の称呼を生じるものである。
したがって,引用商標は「カオ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると,両商標は,外観において,「KAO」(「Kao」)のつづりが共通するとしても,「LEAF」の文字の有無及び文字のデザイン化の有無という明らかな差異があることから,外観上,いずれも判然と区別し得るものである。
そして,称呼においては,本件商標から生じる「カオリーフ」の称呼と,引用商標から生じる「カオ」の称呼とは,後半部における「リーフ」の音の有無という明らかな差異を有し,5音と2音という比較的短い音構成において,該差異音が称呼全体に与える影響は大きいから,両者をそれぞれ一連に称呼するときは,いずれも明瞭に聴別し得るものである。
また,観念においては,本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念は生じないものであるから比較することはできない。
したがって,本件商標と引用商標とは,観念において比較できないとしても,外観においては判然と区別し得るものであり,称呼においても明瞭に聴別し得るものであるから,これらが需要者に与える印象,記憶,連想等を総合してみれば,これらの商標は,いずれも相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第10号該当性について
引用商標は,上記(2)のとおり,申立人の業務に係る商品を表すものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものであって,また,上記(3)のとおり,本件商標と引用商標とは,いずれも非類似の商標である。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知・著名性について
引用商標は,上記(2)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
イ 本件商標と引用商標との類似性の程度
本件商標と引用商標とは,上記(3)のとおり,相紛れるおそれのない非類似の商標であって,いずれも別異の商標というべきである。
ウ 出所の混同のおそれについて
本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品とが関連性を有する場合があるとしても,上記アのとおり,引用商標は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時に需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないものであり,また,上記イのとおり,本件商標と引用商標とは,いずれも非類似のものであって,別異の商標というべきものである。
そうすると,本件商標は,本件商標権者がこれをその指定商品について使用しても,取引者,需要者が引用商標を連想又は想起することはなく,その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他,本件商標が出所の混同を生ずるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(6)商標法第4条第1項第8号該当性について
「KAO」の文字は,上記(2)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の名称の略称として著名となっていたと認めることはできない。
そうすると,本件商標は,その構成中に「KAO」の文字を含むとしても,本件商標を申立人の略称を含むものと認識し,把握されることはなく,他人の著名な略称を含む商標であるとは認められない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第8号に該当しない。
(7)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第8号,同項第10号,同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。


別掲

別掲(引用商標2,引用商標3)


異議決定日 2021-10-12 
出願番号 商願2019-66678(T2019-66678) 
審決分類 T 1 651・ 23- Y (W0311)
T 1 651・ 253- Y (W0311)
T 1 651・ 261- Y (W0311)
T 1 651・ 263- Y (W0311)
T 1 651・ 251- Y (W0311)
T 1 651・ 271- Y (W0311)
T 1 651・ 252- Y (W0311)
T 1 651・ 262- Y (W0311)
最終処分 維持  
前審関与審査官 浦崎 直之 
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 鈴木 雅也
須田 亮一
登録日 2021-01-27 
登録番号 商標登録第6345590号(T6345590) 
権利者 株式会社東洋アライアンス
商標の称呼 カオリーフ 
代理人 仲村 圭代 
代理人 大木下 香織 
代理人 小野 博喜 
代理人 羽切 正治 

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