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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1378966 
異議申立番号 異議2021-900075 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-01 
確定日 2021-09-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第6329347号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6329347号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6329347号商標(以下「本件商標」という。)は、「秋田ドローンスクール」の文字を標準文字で表してなり、令和2年1月9日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書の貸与,書籍の制作,インターネットを利用して行う映像の提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),放送番組の制作における演出,映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,スポーツの興行の企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,おもちゃの貸与,遊戯用器具の貸与,写真の撮影,カメラの貸与,光学機械器具の貸与」を指定役務として、同2年11月10日に登録査定、同年12月15日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号、同法第4条第1項第15号及び同項第16号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 具体的理由
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号又は同法第3条第1項第6号について
ア 「秋田」と「ドローン」と「スクール」が一般的な用語であること
本件商標は、「秋田ドローンスクール」の文字からなるところ、構成中の「秋田」の文字は、単に「秋田県」若しくは「秋田市」の地名を現す語である。
また、「ドローン」の文字は、別名「無人航空機」のことを指し「無人で遠隔操作や自動制御によって飛行できる航空機の総称。」との意味合いとしてすでに一般用語として定着している。インターネット上で「ドローン」という用語で検索すれば、回転式のプロペラが複数付いた無人飛行可能な機械の商品がヒットし、一般消費者の間で「ドローン」といえば、そうした無人航空機全般を指すものとして認識されている(甲10)。
また、一般的な用語としてのみならず、航空法(航空法第2条第1項第22号)でも、「ドローン」の別名である「無人航空機」が定義されている。
その他にも、テレビや新聞での報道等で「ドローン」の用語が日常的に使用されていることは、経験則的にも明らかなところであり、「ドローン」という用語自体が法律上も日常生活上も一般的な用語として定着していることは明らかである。
次に、「スクール」という用語は、「学校」を意味する英語を片仮名表記したものであることは明らかである。後述のとおり、「ドローンスクール」という用語自体「ドローン(無人航空機)に関する技能等を学ぶことのできる学校(若しくはその役務を提供する施設)」という意味で定着して使用されている。
したがって、本件商標は、地名と一般的な普通名称を組み合わせたものでしかなく、およそ識別力がない。
イ 「ドローンスクール」が一般的な用語として定着していること
一般的に「スイミングスクール」といえば「スイミング(水泳)に関する技能等の教授が受けられる学校(若しくはその役務を提供する施設)」を意味し、「ピアノスクール」といえば「ピアノに関する技能等の教授が受けられる学校(若しくはその役務を提供する施設)」を意味するように、「○○スクール」といえば「○○に関する技能等を学ぶことのできる学校(若しくはその役務を提供する施設)」を意味するものとして日常用語として定着している。
そうすると、「ドローンスクール」といえば「ドローンに関する技能等を学ぶことのできる学校(若しくはその役務を提供する施設)」という意味以外にないことは明らかである。
インターネット上で「ドローンスクール」と検索(Google)すると約1450万件の検索結果が表示され、検索上位にはドローンに関する技能等を教示する学校や施設の所在地を示す地図、また、これらを検索するための検索ページがヒットする(甲11)。
「ドローンスクールを紹介」と題するサイトも存在し、その中では、全国にあるドローンに関する技能講習等を受けることのできる会社や学校等が網羅的に紹介され、費用や特徴等が対比されている(甲12)。ここでの「ドローンスクール」は、「ドローン(無人航空機)の技能等を学ぶことができる学校(若しくはその役務を提供する施設)」という意味であることは明らかである。
また、「JUIDA」という民間団体が、独自にドローンの技能等を養成する認定制度を設けており、認定を受けた学校等を「JUIDA認定ドローンスクール」と称している(甲13)。本件商標の商標権者も、同認定制度で認定を受けているようであるが、ここでも「ドローンスクール」という用語が、「ドローン(無人航空機)の技能等を学ぶことができる学校(若しくはその役務を提供する施設)」という意味で用いられていることは明らかである。
したがって、「ドローンスクール」という用語自体も、すでに一般化しているものといえ、本件商標は、地名と一般的な普通名称を組み合わせたものでしかなく、およそ識別力がない。
ウ 登録取り消しとなるべきこと
商標法第3条第1項第3号の審査においては「役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を表示する2以上の標章よりなる商標は、本号の規定に該当する」とされているところ、前述のとおり、「秋田」は地名を現し、役務の提供場所を示すにすぎず、「ドローンスクール」は「ドローン(無人航空機)の技能等を学ぶことができる学校(若しくはその役務を提供する施設)」という役務の質を現しているにすぎないことが明らかであって、商標法第3条第1項第3号に該当することは明らかである。
「オンラインカルチャースクール」、「オンラインライセンススクール」及び「オンラインランゲージスクール」という片仮名を横書きしてなる商標につき、単に役務の質、提供の場所を普通に用いられる方法で表示するものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、当該役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当するという理由で拒絶査定を是認した審決があり(甲7?甲9)、直近の出願でも「東京モンテッソーリスクール」、「しながわ・目黒こどもスクール」及び「東京ネイルスクール」という標準文字からなる商標の出願に対して、同様の理由で拒絶されている(甲14?甲16)。
当該審決等の理由は当然に本件商標にも当てはまる。すなわち、「秋田ドローンスクール」は、「秋田県内でドローン(無人航空機)の技能等を学ぶことができる学校(若しくはその役務を提供する施設)」という意味であり、提供する役務の質と、提供の場所を表示するものにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当し、当該役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第16号に該当する。
また、本件商標と同様「ドローン」と「スクール」を含む出願についても、拒絶査定がなされている。すなわち、本件商標と類似する「ドローンスクール8」という標準文字からなる商標出願について、「『ドローン(無人航空機の総称)の学校』と時期等を組み合わせたものとしか理解されないものですから、需要者が何人かの業務に係る役務であるかを認識することができない」という理由で、商標法第3条第1項第6号に該当することにより拒絶査定が下されている(甲6)。本件商標も「ドローンスクール」の部分が共通しており、これに「秋田」という地名を加えているにすぎないのであるから、同様の拒絶理由が当てはまる。
そうすると、仮に本件商標が商標法第3条1項第3号に該当するといえなくとも、商標法第3条1項6号に該当することは明らかであり、いずれにせよ本件商標は登録されるべきものとは解されない。
さらに、直近の出願では「北九州ドローンパイロットスクール」という標準文字からなる商標出願に対して、「九州北部にある、ドローンの操縦士を育成する学校」程度を認識させるにすぎず、ドローンの操縦を教授する学校がすでに多数存在するところであり、本願商標をその指定役務に使用しても、需要者は、北九州にあるドローンの操縦を教授する学校の行う役務であることを認識するにとどまるということを理由に、商標法第3条第1項6号に該当すると判断しており、同様の理由は本件商標にもあてはまる(甲17)。
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号又は同法第3条第1項第6号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
前述のとおり、「ドローンスクール」とインターネット上で検索すると、約1450万件の検索結果が表示され、検索上位にはドローンに関する技能等を教示する学校や施設の所在地を示す地図等がヒットし(甲11)、「ドローンスクールを紹介」と題するサイトも存在する。そして、どこかの「地名」に「ドローンスクール」を付した名称でドローン(無人航空機)の技能等に関する役務を提供している会社等は、すでに日本全国に多数存在し、中には、「秋葉原ドローンスクール」等、商標登録がなされているものもある(甲2?甲5)。いずれにせよ、それらの営業主体は全て同一でなく、個々の「ドローンスクール」は独立した企業体等である。
しかるに、すでに全国各地に多数の「ドローンスクール」が存在し、そのいずれの「ドローンスクール」も、営業主体は別々となっている現状がある(甲2?甲5、甲11)のであるから、「秋田ドローンスクール」という商標は、秋田以外の他の「ドローンスクール」と「秋田ドローンスクール」が経営あるいは運営を一体的になすものと、ドローンの技能等を学ぼうと考える需要者に誤解を与えるものであり、需要者が出所を混同することになることは確実である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
2 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号又は同法第3条第1項第6号若しくは同法第4条第1項第15号に該当し、商標登録を受けることができないものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、「秋田ドローンスクール」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「秋田」、「ドローン」及び「スクール」の各語の意味は、それぞれ「秋田県、秋田市」、「無人航空機」及び「学校」程の意味合いが理解、認識されるものの、本件商標は全体を一連一体で書されたものであって、それが直ちに具体的な役務の質を表示するものとして認識されるものとはいえないものである。
そして、当審において職権をもって調査するも、本願の指定役務を取り扱う業界において、「秋田ドローンスクール」の文字が、役務の具体的な質等を直接的に表示するものとして一般に使用されている事実は発見できず、さらに、本願商標に接する取引者、需要者が、当該文字を役務の質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。
そうすると、本願商標は、その指定役務との関係において、役務の質等を表示するものということはできない。
してみると、本件商標は、上記のとおり、役務の質を表示するものとして認識し得ないものであるから、その指定役務との関係において、役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標とはいえないものである。
また、本件商標は、その指定役務との関係において、上記のとおり、役務の質を表示するものとして認識し得ないものであって、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであるから、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標とはいえないものである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)商標法第4条第1項第15号について
ア 商標法第4条第1項第15号は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、取引者、需要者の利益を保護することを目的とするものであるから、保護されるべき商標が周知著名であることを要すると解すべきである(知財高裁平成18年12月19日判決、平成18年(行ケ)第10106号)。
イ 申立人は、全国各地に多数の「ドローンスクール」が存在し、そのいずれの「ドローンスクール」も、営業主体は別々となっている現状があるから、本件商標は、秋田以外の他の「ドローンスクール」と「秋田ドローンスクール」が経営あるいは運営を一体的になすものと、ドローンの技能等を学ぼうと考える需要者に誤解を与えるものであり、需要者が出所を混同することになることは確実である旨主張している。
しかしながら、申立人は、全国各地に多数の「ドローンスクール」が存在することを理由にするのみであって、例えば、取引者、需要者が出所の混同を生じるおそれのある商標として、他人(若しくは申立人)が「ドローンスクール」の文字を使用し、周知になっているなどといった主張はなく、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、取引者、需要者の利益を保護することを目的とするための、保護されるべき商標を明らかにしていない。
そうすると、上記に記載した「ドローンスクール」の文字が周知になった事実及び「保護されるべき商標」が特定されていないから、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するかどうかを推し量ることができない。
ウ 以上のとおり、本件商標は、商標権者がこれをその指定役務について使用しても、当該役務が他人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれのある商標ということはできない。
(2)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号、同項第6号及び同法第4条第1項第15号若しくは同項第16号に違反してされたものではなく、その登録は同条第1項の規定に違反してなされたものとはいえないものであり、他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。


別掲
異議決定日 2021-09-17 
出願番号 商願2020-7756(T2020-7756) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W41)
T 1 651・ 272- Y (W41)
T 1 651・ 16- Y (W41)
T 1 651・ 13- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 杉本 克治 
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 榎本 政実
小俣 克巳
登録日 2020-12-15 
登録番号 商標登録第6329347号(T6329347) 
権利者 株式会社平鹿自動車学校
商標の称呼 アキタドローンスクール、アキタドローン、ドローンスクール、ドローン 
代理人 園 真規 

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