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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X18
管理番号 1378913 
審判番号 取消2020-300722 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-10-13 
確定日 2021-09-29 
事件の表示 上記当事者間の登録第5231702号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5231702号商標の指定商品中、第18類「かばん類,袋物,背負いかばん用背当てパッド」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5231702号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成20年10月6日に登録出願、第18類「かばん類,袋物,背負いかばん用背当てパッド」を含む、第3類、第5類、第7類、第11類、第16類、第18類、第20類、第21類、第24類、第25類及び第27類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同21年5月15日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年10月29日である。
なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年(2017年)10月29日ないし令和2年(2020年)10月28日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、第18類「かばん類,袋物,背負いかばん用背当てパッド」(以下「本件審判請求に係る指定商品」という場合がある。)について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証の1を提出し、自身が運営するショッピングサイト「快適百貨」において「TKくまさん便利袋50枚入」と称する商品(以下「商品1」という。)について本件商標が使用され(乙1)、当該商品のパッケージにも本件商標が使用されていることを示した上で(乙2の1)、被請求人が本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という場合がある。)に本件商標を使用していることは明らかであると主張し、また、被請求人は、乙第6号証及び乙第7号証の1を提出し、上記ショッピグサイト「快適百貨」において「TKスマート手さげ袋モダン市松」と称する商品(以下「商品2」という。)について本件商標が使用され(乙6)、当該商品のパッケージにも本件商標が使用されていることを示した上で(乙7の1)、被請求人が本件指定商品に本件商標を使用していることは明らかであると主張している。
しかし、これらの商品1及び商品2は、本件指定商品には該当しないものであることから、本件指定商品について本件商標が使用されていることは証明されておらず、本件指定商品に係る本件商標登録は取り消されるべきである。この主張内容について、以下に具体的に述べる。
(2)商品1(TKくまさん便利袋50枚入)
乙第1号証は、被請求人が運営するショッピングサイト「快適百貨」における商品1の販売ページの写しである。乙第1号証の1ページには、販売価格や商品コードが表示され、続いて「ピンクをベースに可愛いイラストが入ったファンシーな袋です。お土産を入れる・ラッピングに使用・フリーマーケットで使用・小物を入れるなど、様々な用途で使用できます。」と記載されている。
また、乙第1号証の2ページには、商品の特長として「様々な用途に\衣類を入れたり、お土産を渡すのに使用したり、フリーマーケットでレジ袋として使用したりと、様々な用途で使える袋です。取っ手があるので縛りやすく、持ち運びにも便利です。」、「衛生用品として\絵柄が入っているので中身が見えにくい袋です。トイレポットにもご利用いただけます。」と記載されている。
さらに、乙第2号証の1には、商品1のパッケージが示されており、当該パッケージの中央部には「用途」として「■小物等の包装や持ち運びに。」「■衛生用品の処理に。」と記載されている。
これらの記載から、商品1の主な用途は、お土産等を包装する袋、商品を包装するいわゆるレジ袋、衛生用品を処分するごみ袋としての使用であることが明らかである。
また、乙第1号証の1ページには「販売価格440円(税込)」、「単体重量約2g」と記載され、乙第2号証の1には「特長」として「中身が見えにくい絵柄入りの袋です。」と記載され、「品質表示」として「原材料:ポリエチレン」及び「厚さ0.015(ミリメートル)」と記載されている。
これらの記載から、商品1は、重量が約2gであり、厚さ0.0l5mmで中身が透けて見えるほどの薄いポリエチレンからなる袋であり、1枚当たりの単価は税別8円である。
そうすると、商品1は、第16類に属する「プラスチック製包装用袋」又は「プラスチック製ごみ収集袋」に該当する商品であって、第18類の「袋物」には当たらないことが明らかである。
(3)商品2(TKスマート手さげ袋モダン市松)
乙第6号証は、被請求人が運営するショッピングサイト「快適百貨」における商品2の販売ページの写しである。乙第6号証の1ページには、販売価格や商品コードが表示され、続いて「レジ袋の代わりやサニタリーボックス・台所のゴミ入れなど、様々なシーンで使えます。中身が透けにくい格子状の市松模様です。手さげ部分は白いので、ボックスに引っ掛けて折り返しても目立ちません。」と記載されている。
また、乙第7号証の1には、商品2のパッケージが示されており、当該パッケージには「用途」として「サニタリーボックス・車・キッチン等のゴミ処理袋に。衛生用品の持ち運びや処理に。外出時のゴミ処理や予備の袋に。小物等の包装や持ち運びに。」と記載されている。
これらの記載から、商品2の主な用途も、各種ごみを処分するごみ袋、商品を包装するいわゆるレジ袋や、小物の包装用袋としての使用であることが明らかである。
また、乙第6号証の1ページには、「販売価格464円(税込)」、「50枚入」及び「単体重量約2g」と記載され、乙第7号証の1には「特長」として「中身が見えにくい絵柄入りの袋です。」と記載れ、「品質表示」として「原料樹脂:ポリエチレン」及び「厚さ0.0l5mm」と記載されている。
これらの記載から、商品2は、重量が約2gであり、厚さ0.0l5mmで中身が透けて見えるほどの薄いポリエチレンからなる袋であり、1枚当たりの単価は税別8.4円である。
そうすると、商品2は、第16類に属する「プラスチック製包装用袋」又は「プラスチック製ごみ収集袋」に該当する商品であって、第18類の「袋物」には当たらないことが明らかである。
(4)被請求人の主張について
被請求人は、答弁書において、商品1が「『様々な用途に衣類を入れたり、お土産を渡すのに使用したり、フリーマーケットでレジ袋として使用したりと、様々な用途で使える袋です。取っ手があるので縛りやすく、持ち運びにも便利です。』という紹介文から・・・第18類の『袋物』に対応する商品であることが明らかである。」と主張している。
しかし、お土産を渡すのに使用する袋や、フリーマーケットで使用するレジ袋であるならば、包装用の袋であって、商標法上は第16類の「プラスチック製包装用袋」に該当するというべきであり、「取っ手」があることや、「持ち運びにも便利」であることにより包装用袋ではなくなる理由もない。
同様にして、被請求人は、答弁書において、商品2が「『小物等の包装や持ち運びに。』という紹介文から・・・第18類の『袋物』に対応する商品であることが明らかである。」と主張している。
しかし、小物を包装する袋であるならば、包装用の袋であって、商標法上は第16類の「プラスチック製包装用袋」に該当するというべきであるというべきである。
したがって、商品1及び商品2が、第18類の「袋物」に対応する商品であるとする被請求人の主張は、根拠のない主張であるといわなければならない。
商品1及び商品2は、その形状、素材、価格などを勘案すれば、いわゆるレジ袋のうち比較的小型のものであると理解すべき商品であり、商標法上は第16類の「プラスチック製包装用袋」又は「プラスチック製ごみ収集袋」に該当する商品であることが明らかである。
なお、商標法施行規則の別表を参照すれば、第18類の「袋物」に属する具体的な商品として「お守り入れ,カード入れ,買物袋(車付きのものを含む。),がま口,キーケース,巾着,財布,パス入れ,名刺入れ」が記載されていることからも分かるように、ゴミ袋としても使用可能な使い捨ての商品が、第18類の「袋物」に該当しないことは明らかである。
(5)まとめ
以上のとおり、商品1及び商品2は、本件指定商品には該当しないものであることから、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第9号証は、本件指定商品について本件商標が使用されていることを証明するものではなく、本件指定商品に係る本件商標は取り消されるべきである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び第2答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1 答弁書における主張
(1)本件商標は、以下に述べる理由により、その登録を取り消されるべきものではない。その証拠として、答弁書とは別途提出する証拠説明書において乙第1号証ないし乙第9号証を提出する。
(2)乙第1号証は、商標権者である被請求人「アズマ工業株式会社」が運営する公式ショッピングサイト「快適百貨」において、「TKくまさん便利袋50枚入」なる商品を紹介・販売するページを印刷したものである。この「TKくまさん便利袋50枚入」という商品は、ページ中の商品画像や、「これは便利!商品の特長」の見出しの下の「様々な用途に衣類を入れたり、お土産を渡すのに使用したり、フリーマーケットでレジ袋に使用したりと、様々な用途で使える袋です。取っ手があるので縛りやすく、持ち運びにも便利です。」という紹介文から、本件商標に係る指定商品中、第18類の「袋物」に対応する商品であることが明らかである。
また、乙第1号証の「azuma」とややデザイン化された欧文字からなる商標が表記されており、該商標「azuma」は、本件商標と同一の書体、同一の文字からなり、単に着色のみに変更を加えたものである。よって、上記商標「azuma」は、商標法第70条第1項の規定に基づき、本件商標に含まれることは明らかである。
このように、乙第1号証から、商標権者である被請求人が、その請求に係る指定商品について本件商標を使用していることは明らかである。
また、上記ページには、上記「TKくまさん便利袋50枚入」のJANコード「4970190461966」が表示されている。
(3)乙第2号証の1及び乙第2号証の2は、上記「TKくまさん便利袋50枚入」の商品現物を示すものであって、乙第2号証の1は、商品が封入された包装用袋をコピーしたものであり、乙第2号証の2は、包装用袋から商品を取り出して包装用袋と商品とを並べてコピーしたものである。包装用袋をみると、左下隅にバーコードがあり、バーコード上の「TKくまさん便利袋50枚入」の表示と、バーコード下のJANコード「4970190461966」の表示とから、この商品が、乙第1号証に示す「TKくまさん便利袋50枚入」と同じものであり、第18類の「袋物」に対応するものであることが明らかである。
また、包装用袋の左上隅と右下隅には、「azuma」とややデザイン化された欧文字からなる商標が付されていて、該商標「azuma」は、本件商標と同一の文字、同一の書体からなり、単に着色のみに変更を加えたものである。
よって、上記商標「azuma」は、商標法第70条第1項の規定に基づき、本件商標に含まれることは明らかである。
このように、乙第2号証の1及び乙第2号証の2から、商標権者である被請求人が、その請求に係る指定商品について本件商標を使用していることは明らかである。
(4)乙第3号証ないし乙第5号証は、商標権者である被請求人が、本件審判請求の登録の日前3年以内に日本国内において、上記「TKくまさん便利袋50枚入」について商取引を行った事実を立証するものである。
乙第3号証ないし乙第5号証には、日付と、被請求人名と、日本国内の取引者名と、「TKくまさん便利袋50枚入」を表す商品名と、本件商標が使用された「TKくまさん便利袋50枚入」と紐付けられるJANコード「4970190461966」が表示されている。
乙第3号証は、被請求人と、取引者「東都生活協同組合」とが商取引した「くまさん便利袋」について、2019年1月14日に取引者(東都生活協同組合八潮物流センター)に納品された事実を示す発注データである。
乙第4号証は、被請求人と、取引者「日本生協連キャロット事業部キャロット小牧センター(「日キャ小牧センター」なる略称が表示」)とが商取引した上記「TKくまさん便利袋50枚入」について、2019年12月23日に取引者に納品された事実を示す受注リストである。
乙第5号証は、被請求人と、取引者「日本生協連キャロット事業部キャロット小牧センター(「日キャ小牧センター」なる略称が表示」)とが商取引した上記「TKくまさん便利袋50枚入」について、2020年5月11日に取引者に納品された事実を示す受注リストである。
乙第3号証ないし乙第5号証に示すように、被請求人は、少なくとも2019年1月ないし2020年5月までの間において、本件商標が使用された商品「TKくまさん便利袋50枚入」の商取引を行っている。
したがって、乙第1号証ないし乙第5号証から、被請求人が、要証期間に日本国内において、その請求に係る指定商品「袋物」について本件商標を使用していることは明らかである。
(5)また、被請求人には、上記「TKくまさん便利袋50枚入」以外の「袋物」についても本件商標を使用している事実がある。それを、乙第6号証ないし乙第9号証により立証する。
(6)乙第6号証は、上記ショッピングサイト「快適百貨」の「TKスマート手さげ袋モダン市松」という商品を紹介・販売するページを印刷したものである。この「TKスマート手さげ袋モダン市松」という商品は、このページ中の商品画像や、項目「使い方」の見出しの下の「小物等の包装や持ち運びに。」という紹介文から、本件商標に係る指定商品中、第18類の「袋物」に対応する商品であることが明らかである。
また、乙第6号証の「azuma」とややデザイン化された欧文字からなる商標が表記されており、該商標「azuma」は、本件商標と同一の書体、同一の文字からなり、単に着色のみに変更を加えたものである。よって、乙第6号証に示された商標「azuma」は、商標法第70条第1項の規定に基づき、本件商標標に含まれることは明らかである。
このように、乙第6号証から商標権者である被請求人が、その請求に係る指定商品について本件商標を使用していることは明らかである。
また、上記ページには、「TKスマート手さげ袋モダン市松」のJANコード「4970190462109」、及び、JANコードと同様に商取引に供されるように符番された商品コード「752392000」が表示されている。
(7)乙第7号証の1及び乙第7号証の2は、上記「TKスマート手さげ袋モダン市松」の商品現物を示すものであって、乙第7号証の1は、商品が封入された包装用袋をコピーしたものであり、乙第7号証の2は、包装用袋から商品を取り出して包装用袋と商品とを並べてコピーしたものである。包装用袋をみると、左下隅にバーコードがあって、バーコード上の「TKスマート手さげ袋モダン市松」の表示と、バーコード下のJANコード「4970190462109」の表示とから、この商品が、乙第6号証に示す商品と同じ「TKスマート手さげ袋モダン市松」であることが明らかであって、第18類の「袋物」に対応するものであることが明らかである。
また、包装用袋には、「azuma」とややデザイン化された欧文字からなる商標が付されていて、包装袋に表示された商標「azuma」は、本件商標と同一の文字、同一の書体からなり、単に着色のみに変更を加えたものである。よって、この商標「azuma」は、商標法第70条第1項の規定に基づき、本件商標に含まれることは明らかである。
このように、乙第7号証の1及び乙第7号証の2から、商標権者である被請求人が、その請求に係る指定商品について本件商標を使用していることは明らかである。
(8)乙第8号証及び乙第9号証は、商標権者である被請求人が、本件審判請求の登録の日前3年以内に日本国内において、上記「TKスマート手さげ袋モダン市松」について商取引を行った事実を示すものである。
乙第8号証及び乙第9号証には、日付と被請求人名と取引者名と「TKスマート手さげ袋モダン市松」の商品名と、本件商標が使用された「TKスマート手さげ袋モダン市松」と紐付けられたJANコード「4970190462109」、及び、上記商品コード「752392000」とが表示されている。
乙第8号証は、被請求人と、取引者「パルシステム生活協同組合八王子セットセンター(「ハチオウジSC(A)」なる略称が表示)」と商取引した「TKスマート手さげ袋モダン市松」について、2020年3月13日に取引者に商品が納品された事実を示す受注リストである。
乙第9号証は、被請求人と、取引者「パルシステム生活協同組合杉戸セットセンター(スギトSC(F)なる略称が表示)」とが商取引した「TKスマート手さげ袋モダン市松」について、2020年4月21日に取引者に商品が納品された事実を示す受注リストである。
乙第8号証及び乙第9号証に示すように、被請求人は、少なくとも2020年3月ないし同年4月の間において、本件商標が使用された商品「TKスマート手さげ袋モダン市松」の商取引を行っている。
したがって、乙第8号証及び乙第9号証からも、被請求人が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品「袋物」について本件商標を使用していることは明らかである。
2 第2答弁書における主張
(1)商品1及び商品2は「プラスチック製包装袋」又は「プラスチック製ごみ収集袋」に属する商品ではない
ア 商品1について
請求人は、乙第1号証に「ピンクをベースに可愛いイラストが入ったファンシーな袋です。お土産を入れる・ラッピングに使用・フリーマーケットで使用・小物を入れるなど、様々な用途で使用できます。」、「様々な用途に\衣類を入れたり、お土産を渡すのに使用したり、フリーマーケットでレジ袋として使用したりと、様々な用途で使える袋です。取ってがあるので縛りやすく、持ち運びも便利です。」、「衛生用品として\絵柄が入っているので中身が見えにくい袋です。トイレポットにもご利用いただけます。」の記載、及び、乙第2号証の1の「小物等の包装や持ち運びに。」、「衛生用品の処理に。」の記載を根拠に、商品1の主な用途は、お土産を包装する袋、商品を包装するいわゆるレジ袋、衛生用品を処分するごみ袋としての使用であることが明らかであると主張する。
しかしながら、乙第1号証及び乙第2号証の1の上記記載には、商品1は、単に中身を見えにくくするためにイラストが施されたものではなく、小物等を入れて持ち運ぶのに適した装飾性を有するイラストが施されたものである。
イ 商品2について
請求人は、乙第6号証に「レジ袋の代わりやサニタリーボックス・台所のゴミ入れなど、様々なシーンで使えます。中身が透けにくい格子状の市松模様です。手さげ部分は白いので、ボックスに引っ掛けて折り返しても目立ちません。」の記載、及び、乙第7号証の1に「用途」として「サニタリーボックス・車・キッチン等のゴミ処理袋に。衛生用品の持ち運びや処理に。外出時のゴミ処理や予備の袋に。小物等の包装や持ち運びに。」の記載を根拠に、商品2の主な用途は、各種ごみを処分するごみ袋、商品を包装するいわゆるレジ袋、小物の包装用袋としての使用であることが明らかであると主張する。
しかしながら、乙第6号証及び乙第7号証の1の上記記載には、商品2は、単に中身を見えにくくするために市松模様をベースとした格子状の絵柄が施されたものではなく、小物等を入れて持ち運ぶのに適した装飾性を有する絵柄が施されたものである。
ウ 今回新たに提出する乙第10号証の商標登録第5219506号公報によれば、この登録商標に係る指定商品中の「小物入れ袋」が「袋物」と同じ類似群コードが付与されていて第18類に属するとされている。
そうすると、商品1及び商品2の主たる用途は小物入れ袋等の袋物としての使用であって、商品1及び商品2が第18類の「袋物」に該当するものであると解するのが自然かつ合理的である。
よって、商品1及び商品2の主な用途が、お土産を包装する袋、商品を包装するいわゆるレジ袋、衛生用品及び各種ごみを処分するごみ袋、小物の包装用袋としての使用であるとする請求人の主張は、明らかに失当である。
エ 請求人は、乙第1号証に「販売価格 440円(税込)」、「単体重量約2g」と記載され、乙第2号証の1に「特長」として「中身が見えにくい絵柄入りの袋です。」、「品質表示」として「原材料(原料樹脂):ポリエチレン」及び「厚さ0.015(ミリメートル)」と記載されていることから、商品1が、第16類に属する「プラスチック製包装用袋」又は「プラスチック製ごみ収集袋」に該当する根拠としている。
また、請求人は、乙第6号証に「販売価格 464円(税込)」、「50枚入」、「単体重量約2g」と記載され、乙第7号証の1に「特長」として「中身が見えにくい絵柄入りの袋です。」、「品質表示」として「原料樹脂:ポリエチレン」及び「厚さ0.015(ミリメートル)」と記載されていることから、商品2は、重量が約2g、厚さ15μmで中身が透けて見えるほどの薄いポリエチレンからなる袋であり、1枚当たりの単価は税別8.4円であるとし、それを、該商品2が、第16類に属する「プラスチック製包装用袋」又は「プラスチック製ごみ収集袋」に該当する根拠としている。
しかしながら、たとえ商品1及び商品2の重量、厚さ、材質及び単価が上記のとおりであるとしても、請求人は、「包装用袋」や「ごみ収集袋」が、重量、厚さ、材質及び単価の観点から定義されていることを示す客観的な根拠を何ら提示していない。
よって、このような請求人の主張は、請求人の単なる個人的見解にすぎず、理由がないことはあきらかである。
オ 小括
以上のように、商品1及び商品2は、主として「小物を入れて持ち運ぶ袋(小物入れ袋)」として使用されているものであり、第18類の「袋物」に該当するものであることは明らかである。
したがって、商品1及び商品2が、第16類に属する「プラスチック製包装袋」又は「プラスチック製ごみ収集袋」に該当する商品であるとする請求人の主張は失当である。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、答弁書の「『様々な用途に 衣類を入れたり、お土産を渡すのに使用したり、フリーマーケットでレジ袋として使用したりと、様々な用途で使える袋です。取ってがあるので縛りやすく、持ち運びも便利です。』、『小物等の包装や持ち運びに。』という紹介文から・・・第18類の『袋物』に対応する商品であることが明らかである。」の記載から、商品1及び商品2が包装用の袋であって、商標法上は第16類の「プラスチック製包装用袋」に該当するというべきであると主張する。
しかしながら、上記(1)で述べたように、商品1及び商品2は、主として「小物を入れて持ち運ぶ(小物入れ袋)として使用されるものであり、第18類の「袋物」に該当するものであることは明らかである。
よって、商品1及び商品2が、包装用の袋であって、商標法上は第16類の「プラスチック製包装袋」に該当するという請求人の主張は失当である。
イ 請求人は、商品1及び商品2は、その形状、素材、価格などを勘案すれば、いわゆるレジ袋のうち比較的小型のものであると理解すべき商品であり、商標法上は第16類の「プラスチック製包装袋」又は「プラスチック製ごみ収集袋」に該当する商品であることが明らかであるとも主張する。
しかしながら、上記(1)でも述べたように、請求人は、「包装用袋」や「ごみ収集袋」が、形状、素材、価格などの観点から定義されることを示す客観的な根拠を何ら提示していない。
よって、このような請求人の主張は、請求人の単なる個人的見解にすぎず、理由がないことは明らかである。
ウ 請求人は、なお書きにて「商標法施行規則の別表を参照すれば、第18類の『袋物』に属する具体的商品として『お守り入れ,カード入れ,買物袋(車付きのものを含む。),がま口,キーケース,巾着,財布,パス入れ,名刺入れ』が記載されていることからもわかるように、ゴミ袋としても使用可能な使い捨ての商品が、第18類の『袋物』に該当しないことは明らかである。」とも主張する。
しかしながら、「ゴミ袋としても使用可能な使い捨ての商品が、第18類の『袋物』に該当しない」との請求人の主張は、何ら根拠に基づくものではない。
よって、請求人のこのような主張は、単に請求人の個人的見解にすぎず、理由がないことは明らかである。
(3)小括
以上のように、被請求人の商品1及び商品2は、本件指定商品のうちの第18類「袋物」に該当するものであって、本件指定商品について本件商標が使用されていることが明らかである。
よって、被請求人は、本件取消審判の登録前3年以内における本件商標の使用を立証することができたため、本件審判請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第2号証
乙第2号証は、商標権者の製造に係る商品「くまさん便利袋」の包装袋とその内容物の写真であり、乙第2号証の1は、包装袋に内容物が封入された状態を写したもの、また、乙第2号証の2は、包装袋から内容物を取り出して、両者を並べて写したものである。
乙第2号証の包装袋には、左上隅に青色で「azuma」の文字が表示され、上部中央に「品名 くまさん便利装 50枚入」の記載、「用途」の欄に「小物等の包装や持ち運びに。」、「品質表示」の欄に「原料樹脂:ポリエチレン」、「社名:アズマ工業株式会社」の記載があり、左下隅のバーコードとともに「TK くまさん便利袋 50枚入」及び「4970190461966」の記載がある。
(2)乙第3号証
乙第3号証は、商標権者と東都生活協同組合との間の取引書類(「発注データ」)であり、2019年1月14日に商標権者から「八潮物流C」へ納品された商品の中には、「JANコード」が「4970190461966」の「くまさん便利袋(50枚入)」(数量11)がある。
(3)乙第7号証
乙第7号証は、商標権者の製造に係る商品「スマート手提げ袋 モダン市松」の包装袋とその内容物の写真であり、乙第7号証の1は、包装袋に内容物が封入された状態を写したもの、また、乙第7号証の2は、包装袋から内容物を取り出して、両者を並べて写したものである。
乙第7号証の包装袋には、左上隅に灰色で「azuma」の文字が表示され、上部中央に「品名 スマート手さげ袋 モダン市松 50枚入」の記載、「用途」の欄に「サニタリーボックス・車・キッチン等のごみ処理袋に。」、「外出時のごみ処理や予備の袋に。」及び「小物等の包装や持ち運びに。」の記載、「品質表示」の欄に「原料樹脂:ポリエチレン」、「社名:アズマ工業株式会社」の記載があり、左下隅のバーコードとともに「TK スマート手さげ袋 モダン市松」及び「4970190462109」の記載がある。
(4)乙第8号証
乙第8号証は、商標権者とパルシステムとの間の取引書類(「受注リスト」)であり、2020年3月13日に商標権者から「ハチオウジSG(A)」へ納品された商品の中には、「商品コード」が「4970190462109」の「TKスマート手さげ袋 モダン市松」(数量36)がある。
2 上記1によれば、以下のとおりである。
商標権者は、「くまさん便利袋」若しくは「スマート手提げ袋 モダン市松」と称するポリエチレン製の袋(以下「使用商品」という。)を製造し、「くまさん便利袋」は、2019年(平成31年)1月14日に、「スマート手提げ袋 モダン市松」は、2020年(令和2年)3月13日に取引先へ納品したことが認められる。
また、「くまさん便利袋」及び「スマート手提げ袋 モダン市松」には、色彩は異なるものの本件商標と構成態様が一致する「azuma」の文字(以下「使用商標」という。)が付されている。
3 判断
(1)使用商標、使用者及び使用期間について
使用商標は、多少デザイン化した「azuma」の文字からなる本件商標と同一の構成態様からなるものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものであり、これらの商品の包装袋には、商標権者の名称及び住所が記載されていることから、商標権者の使用と認められるものである。
また、「くまさん便利袋」及び「スマート手提げ袋 モダン市松」の納品日は、それぞれ、2019年(平成31年)1月14日及び2020年(令和2年)3月13日であるから、いずれも要証期間の取引であると認められる。
したがって、商標権者が、要証期間に本件商標と社会通念上同一の商標を使用商品に使用したということができる。
(2)使用商品について
乙第2号証及び乙第7号証の「品質表示」及び「用途」の欄の記載からすると、使用商品の原料樹脂は「ポリエチレン」であり、「ポリエチレン」とは、職権調査によれば、「四大プラスチックの一つ」(コトバンク)、「エチレンを重合させて得られる合成樹脂」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)であることから、使用商品の原材料は「プラスチック」であるといえ、また、使用商品の用途は、小物の包装袋やごみ処理袋等として使用されるものである。
そうすると、使用商品は、その原材料及び用途から第16類の「プラスチック製包装用袋」又は「プラスチック製ごみ収集袋」の範ちゅうに属する商品と認められるものである。
なお、被請求人は、使用商品は第18類「袋物」に該当するものであると主張するが、第18類の商品は、「革及び人工皮革並びにこれらを材料とする商品であって他の類に属しないもの」(「商品及び役務の区分解説」[国際分類第9版対応])とされているところ、使用商品が「袋」であって、「袋物」と同様の形態であったとしても、使用商品は、上記のとおり、プラスチック製の商品と認められるものであり、第16類に属する商品と認め得るものであるから、第18類に属する商品とはいえない。
よって、使用商品は、本件審判請求に係る指定商品の範ちゅうに属さないものである。
その他、提出された証拠からは、本件審判請求に係る指定商品に、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)が使用されている事実を見いだすことはできない。
(3)小括
以上のことからすると、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に商標権者が、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用したことを認めるに足りる事実を見いだせない。
3 まとめ
以上のことから、被請求人は、本件取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもがその請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件取消審判の請求人係る指定商品について本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、結論掲記の商品についてその登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲(本件商標)




審理終結日 2021-08-02 
結審通知日 2021-08-04 
審決日 2021-08-20 
出願番号 商願2008-81264(T2008-81264) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X18)
最終処分 成立  
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 榎本 政実
小俣 克巳
登録日 2009-05-15 
登録番号 商標登録第5231702号(T5231702) 
商標の称呼 アズマ 
代理人 大槻 聡 
代理人 林 直生樹 

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