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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41
管理番号 1378903 
審判番号 取消2020-300608 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-09-01 
確定日 2021-09-27 
事件の表示 上記当事者間の登録第5841751号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5841751号商標の指定商品及び指定役務中、第41類「全指定役務」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5841751号商標(以下「本件商標」という。)は、「侍茶」の漢字、及び「サムライチャ」の片仮名を、上下二段に横書きした別掲のとおりの構成よりなり、平成27年10月16日に登録出願、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び第41類「茶道・香道の教授,茶道・香道の普及に関する講習会の企画・運営又は開催,美術品の展示,茶会・香道の会の企画・運営又は開催」を指定商品及び指定役務として、同28年4月15日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和2年9月14日であり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年9月14日から令和2年9月13日までの期間(以下「要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び弁駁書において、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲(乙)第○号証」を「甲(乙)○」のように省略して記載する。
1 請求の理由の要旨
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第41類「茶道・香道の教授,茶道・香道の普及に関する講習会の企画・運営又は開催,美術品の展示,茶会・香道の会の企画・運営又は開催」(以下「請求に係る役務」という。)について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人の各使用行為について
ア 被請求人は、平成30年9月1日から10月24日の間の、合計23日にて、侍茶・サムライチャの作法と茶事を兼ねた勉強会を主催し、その内の4日間で本件商標を使用したと主張している。
しかしながら、その主催及び本件商標の使用を客観的に示す証拠の提出はない。
イ 被請求人は、令和3年7月18日及び19日に侍茶・サムライチャの合宿セミナーを、参加予定者350名で計画進行していると主張している。
しかしながら、これは要証期間の商標の使用には該当せず、当該計画に関する客観的な証拠の提出もない。
ウ 被請求人は、平成29年から編集中の出版物「道安と侍茶・サムライチャ」の初版発行予定が令和3年5月下旬であると主張している。
しかしながら、当該発行予定を客観的に示す証拠の提出はなく、また、登録商標とは、需要者・取引者に対する識別標識の機能を担うべきところ、出版物の準備をしているだけでは、取引者等に対する識別標識としての機能を発揮しているに至らない。
さらに、出版物のタイトルと本件商標とは、名称の後半の一部が類似するものの、「道安と」という部分が重要な要部の1つである以上、全体的に非類似であり、当該タイトルの使用をもって、本件商標の使用とはいえない。
加えて、出版物のタイトルの使用は、商標法第2条第3項各号のいずれの使用行為にも該当しない。
(2)乙各号証について
ア 乙1の使用について
乙1の契約書には、出版物のタイトルは「千道安の侍茶・サムライ茶」を原案とするとの記載がある。
しかしながら、本件商標と、出版物のタイトルとを比較すると、「千道安の」が重要な要部の1つである以上、両商標は非類似であって、当該タイトルの使用をもって、本件商標の使用とはいえない。
また、出版物のタイトルの使用は、商標法第2条第3項各号のいずれの使用行為にも該当しない。
また、当該使用を客観的に示す証拠の提出はない。
さらに、契約締結日の平成29年(2017年)4月は、要証期間外である。
イ 乙2の使用について
乙2は、あくまで「東京道院」という名称の施設の使用許諾を目的とした覚書にすぎず、本件商標を使用したという事実は認められない。
ウ 乙3の使用について
(ア)商標権者(等)の使用の要件について
乙3は、額縁の最下部に密着する形で、「平成30年10月23日 侍茶 サムライチャ 研修会 ←・・・・・・会場は矢印の方向へ」と記載された用紙が掲示されている様子を写した写真であるが、誰による使用か不明であり、商標権者等による使用であることを示す証拠には該当しない。
(イ)本件商標の使用の要件について
乙3には、「侍茶 サムライチャ 研修会」の記載があるものの、研修会の対象が、請求に係る役務に該当するのか、商標法第2条第3項各号のいずれかの使用行為であるのか判断できるだけの、十分な証拠がない。
(ウ)証拠としての信ぴょう性
仮に、被請求人が、「侍茶 サムライチャ 研修会」を実態として開催したのであれば、主催者、開催時刻、内容の記載のいずれもない掲示物を証拠として提出するのは極めて不自然である。
(3)まとめ
上記(1)及び(2)のとおり、本件商標は、請求に係る役務において、その登録を取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1ないし乙3を提出した。
1 理由
(1)被請求人は、昭和40年頃からサムライチャ・武家茶道を実践し、平成27年から毎年400名以上の受講者を集めて、茶会と茶道セミナーを東京護国寺、奈良の春日大社、三井倶楽部、ジョエル・ロプション等において7回実行した。
(2)そして、平成30年9月1日から10月24日の間に合計23日にわたり、侍茶・サムライチャの作法と茶事を兼ねた勉強会を主催し、上記期間中の4日間に「侍茶 サムライチャ」の商標(乙3)を使用した。
当該勉強会において、外国人に易しいサムライチャ点前などを指導し、会場は、大口樵翁流東京道院を使用した(乙1)(審決注:乙2の誤記と認める。)。
(3)上記のように、被請求人(商標権者)は、サムライチャに関する活動を毎年活発に実行してきたことから、本件審判請求は成り立たない。
2 なお、現時点における、活動中の侍茶・サムライチャ案件は以下のとおりである。
(1)令和3年7月18日及び同月19日に避暑地において、侍茶・サムライチャの合宿セミナーを、参加予定者350名で計画が進行している。
(2)平成29年から編集中の出版物「道安と侍茶・サムライチャ」の初版発刊予定は、令和3年5月下旬である。

第4 被請求人に対する審尋及び被請求人による審尋への回答
1 審尋の要旨
審判長は、被請求人に対し、令和3年3月25日付けで、被請求人による主張及び提出された証拠によっては、被請求人が商標法第50条第2項に規定する証明をしたものと認めることはできない旨の合議体よる暫定的見解を示した審尋を送付し、相当の期間を指定して、当該審尋への回答をする機会を与えた。
2 被請求人の回答
上記1の審尋に対して、被請求人は、何らの応答もしていない。

第5 当審の判断
1 被請求人提出の証拠の内容
(1)乙1は、甲を「道案研究会 主催 小林達也」とし、乙をY氏とする、「契約書」であり、これには、「甲と乙とは、出版、茶会の企画開催に関して、以下の条項を約束した。」の記載があり、その契約内容は、タイトルの原案を「千道案の侍茶・サムライ茶」とする出版物に関するものであって、平成29年4月18日の日付並びに甲及び乙の記名及び押印がある。
また、上記甲の名称は、被請求人である本件商標権者と一致するものの、その住所は「東京都渋谷区東3丁目・・・」であり、被請求人の住所とは一致しない。
(2)乙2は、甲を「茶人道案研究会 代表小林達也」とし、乙をO氏とする「東京道院使用覚書」の表題の書面であり、これには、「甲は乙所有の東京道院とその付属茶室の下記期間の使用許可を願い出て乙はこれを承知した。」の記載及び「期間 平成30年(9月)1日?・・・(10月)24日」、「(合計)23日間」、「(使用時間)8:00?18:00」の記載があり、平成30年7月7日の日付並びに甲及び乙の記名及び押印がある。また、甲の住所は、上記(1)の「契約書」における甲の住所と一致するものである。
(3)乙3は、「平成30年10月23日」、「侍茶 サムライチャ 研修会」(以下「侍茶 サムライチャ」の文字を「使用商標」という。)、「←・・・・・・会場は矢印の方向へ」と書かれた紙が壁に提示されている写真であり、その右下部には、写真の撮影日と思われる「2018/10/23」の表示がある。
しかしながら、主催者、開催場所、研修内容、参加者等に関する証拠は提出されていない。
2 判断
(1)被請求人は、本件商標を茶会及び茶道セミナーに使用した旨主張している。
上記1によれば、被請求人と名称を同じくする者が、平成30年9月1日から同年10月24日の間に23日分、東京道院及び付属の茶室の使用許可を得たこと(乙2)及び平成30年10月23日を開催日とする「侍茶 サムライチャ 研修会」の会場案内の紙が壁に貼られたこと(乙3)がうかがえ、上記日付は要証期間である。
また、乙3には、「侍茶 サムライチャ」の文字からなる使用商標が表示されているところ、当該商標は、「侍茶」及び「サムライチャ」の文字からなる本件商標とその構成文字を同じくするものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
しかしながら、乙2の使用許可に基づき、当該施設を何に使用したのかは明らかではなく、また、乙3の写真に写されている「侍茶 サムライチャ 研修会」の研修内容、主催者、開催場所、開催時間、参加者等の詳細及び当該写真の撮影者、撮影場所も明らかではない。
さらに、乙2における甲と被請求人の住所が一致していないから、乙2の使用許可を得た者が被請求人であることも確認できない。
したがって、被請求人が、要証期間に茶会及び茶道セミナー並びに請求に係る役務を提供したことを認めることができない。
(2)被請求人のその他の主張について
ア 被請求人は、「千道案の侍茶・サムライ茶」をタイトルとする出版物を令和3年5月下旬に発行予定である旨主張しているところ、発行予定とされている日は、要証期間ではなく、そもそも、書籍の発行は、請求に係る役務には該当しないものである。
イ 被請求人は、令和3年7月に、侍茶・サムライ茶の合宿セミナーの計画が進行中である旨主張しているところ、当該合宿の開催予定とされている日は、要証期間ではなく、また、上記合宿セミナーを計画している事実を裏づける証拠の提出もない。
(3)小括
上記(1)及び(2)のとおり、被請求人の主張及び提出された証拠によっては、被請求人が、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を要証期間に請求に係る役務に使用したことを証明したものと認めることはできない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る役務のいずれかについて、本件商標の使用をしていることを証明したとものということはできず、また、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしたものともいえない。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品及び指定役務中、「結論掲記の指定役務」について、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標



審理終結日 2021-07-26 
結審通知日 2021-07-29 
審決日 2021-08-20 
出願番号 商願2015-100241(T2015-100241) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 板谷 玲子 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 馬場 秀敏
黒磯 裕子
登録日 2016-04-15 
登録番号 商標登録第5841751号(T5841751) 
商標の称呼 サムライチャ、サムライ 
代理人 田村 恭佑 

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