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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
審判 全部申立て  登録を維持 W16
管理番号 1378059 
異議申立番号 異議2021-900061 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-18 
確定日 2021-09-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第6323998号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6323998号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6323998号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示したとおりの構成からなり、令和2年9月1日に登録出願、第16類「ティッシュペーパー,トイレットペーパー」を指定商品として、同年11月12日に登録査定、同年12月2日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録商標は、次の商標であり、現に有効に存続しているものである。
登録第2333616号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
指定商品:第16類「紙類,文房具類(昆虫採集用具を除く。),昆虫採集用具」
登録出願日:昭和63年7月25日
設定登録日:平成3年9月30日
書換登録日:平成13年8月29日
更新登録日:平成23年4月19日
2 申立人が、本件登録異議の申立ての理由において、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は、次の2件の商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4818501号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
指定商品:第9類、第12類、第14類、第18類、第20類、第21類、第24類、第25類及び第27類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
登録出願日:平成13年3月15日
設定登録日:平成16年11月19日
更新登録日:平成26年7月22日
(2)登録第5572175号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲4のとおり
指定商品:第9類、第16類、第35及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
登録出願日:平成24年10月31日
設定登録日:平成25年4月5日
以下、上記の引用商標2及び引用商標3をまとめて、「申立人商標」という。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し、同法第43条の2第1号により、その登録が取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第35号証を提出した。
1 前提となる事実
申立人商標「non-no」又は「ノンノ」は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている。以下、その使用状況について詳述する。
(1)ファッション雑誌「non-no」の販売の経緯
申立人は、1971年5月に、18歳から23歳の女性をターゲット層とした総合ファッション情報雑誌として「non-no」を発行した(甲5)。総合ファッション情報雑誌「non-no」は、今だからこそ楽しみたいトレンド情報と、「20歳からの名品」「人生得するスキンケア」「就活ノンノ」など、近い将来に必要なモノ及びコト、この両方を発信し、ネットだけでは拾えない情報が詰まっているというのが強みであり、ヘアメイクやコスメ等のビューティーページ、最新トレンドから人気アイドルや俳優に関するエンタメまで、女性の強い共感を呼び、瞬く間に女性ファッション雑誌の代表的存在となるほどの人気を獲得するに至っている。このように、雑誌として「non-no」は、1971年の創刊以来、競争の激しい同カテゴリーの雑誌業界において愛され続けており、2021年には創刊50周年を迎え、圧倒的知名度を誇っているものである(甲7)。
(2)有名ブランドとのコラボレーション付録
雑誌「non-no」に掲載された衣料品や装飾小物、化粧品等の商品は、爆発的な人気を示し、直ちに完売に至るなど読者への影響力は群を抜いており、その影響力を活かし、ファッションや化粧品を始めとする様々な有名ブランドとのコラボレーション商品を展開し、付録として提供している(甲8?甲17)。
(3)各企業・大学とのコラボ冊子
雑誌「non-no」は、ファッションや美容だけでなく、ターゲット層である18歳から23歳の女性のリアルなライフスタイルに関する内容を掲載している。また、親近感を感じさせる専属モデル及び読者モデルを多数採用することにより強い影響力を与えるに至っており、読者のライフスタイルにフォーカスした各企業や大学等とのコラボ小冊子も好評を博している(甲18?甲23)。
(4)参加型イベントの実施
2017年に創刊45周年を迎えた雑誌「non-no」は、「ノンノ45thイベントファイナル」として、当選した読者を招待し、若者から絶大な人気を誇る5大モデルが登壇するトークショーを開催した(甲24)。当該イベントでは、サプライズとして、「新ノンノモデル発表」も行われ、新ノンノモデルから5大モデルヘ質問コーナーが設けられるなど、読者と同世代のモデルの等身大の姿が身近に感じられるイベントであり好評を博した(甲25)。
(5)販売実績等
雑誌類全体の発行部数及び売上げが低下傾向にあり、人気雑誌でも廃刊となる例が少なくない中で、雑誌「non-no」は、読者の確固たる支持を受け続け、2020年12月の時点で通巻1022号が発行された(甲26)。2019年10月から12月の発行部数は156,667部、2020年1月から3月の発行部数は139,667部、2020年4月から6月の発行部数は117,500部、2020年7月から9月の発行部数は135,000部、年間平均部数139,000部の発行部数であり(甲27)、デジタル版の閲覧数は、136,000人である(甲28)。
(6)宣伝広告活動
申立人は、読者の約半数が有職者や大学生であることから(甲29)、広告効果が高い交通機関の車内中吊り広告を作成し、毎号発売に際して東京をはじめ首都園の主要交通機関の駅又はホーム、地下通路や車内に掲載し、雑誌「non-no」のブランド力を高めるよう努力を傾注している。実際に、申立人は、雑誌「non-no」には、莫大な宣伝広告費用を投じており、「non-no」読者世代から絶大な人気を誇っているモデルやアイドルグループ等などといった話題性の高い著名人を起用し、常に注目度の高い宣伝広告活動を実施してきた(甲31)。
また、幅広い世代に訴求するために、各種SNSにおいて、「non-no」公式アカウントを開設しており、圧倒的なフォロワー数(LINE/約1,494,732人、Instagram/約344,000人、Twitter/約235,000人、Facebook/約8,302人)からその人気がうかがえる(甲30、甲32?甲34)。
SNSの活用により、雑誌を毎月読まずともノンノブランドヘの信頼度を高めており、消費力の強いユーザーを数多く取り込んでおり、公式インスタグラムとツイッターのフォロワー数は集英社女性誌No.1、LINEの友だち数は競合誌トップクラスとなっている(甲6)。さらに、YouTubeの公式チャンネル登録者数も急増中であり、2021年1月時点では、チャンネル登録者数約57,000人に達している(甲35)。
申立人の積極的かつ長期に及ぶ出版事業と宣伝広告活動、さらには各種メディアにおける報道等があいまって、申立人の雑誌「non-no」は、10から20歳代の女性のみならず、日本全国の誰もが知っているほどに周知・著名な程度に至っていることは明らかである。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上段に欧文字「Nonno」を大きく目立つ態様で配し、下段に「ノンノ」の読み仮名をやや小さく表示し、全体としてややデザイン化された書体にて左横書きしてなるものである。
これに対し、引用商標1は、ややデザイン化した欧文字「MEN’S NON-NO」を左横書きしてなるものであるが、その構成中「MEN’S」の文字部分は、「男性用」との商品の用途を示すにすぎない文字であるため、自他商品識別力を有しないか、又は自他商品識別力が極めて弱い文字であることは明らかである。そうすると、本件商標は、その構成から、「メンズノンノ」又は「ノンノ」の称呼が生じる。
また、引用商標1は、上述の態様であり、本件商標と引用商標1とは、「NONNO」の文字構成及び語順が完全に一致しており、やや特徴のある字体で左横書きで表されている点も共通している。
さらに、上述のとおり、「non-no」又は「ノンノ」の文字が、申立人のファッション雑誌の名称として、周知・著名であるため、本件商標と引用商標1からは、申立人の周知・著名なファッション雑誌ブランドとの観念が生じるというべきである。
よって、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念上類似する商標であって、本件商標の指定商品は、引用商標1の第16類の指定商品「紙類」と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第15号について
申立人による継続的かつ積極的な営業活動及び宣伝広告活動により、申立人商標「non-no」又は「ノンノ」は、本件商標の登録出願日である令和2年9月1日及び登録査定日である同年11月12日の両時点において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、広く認識されているものであり、それ以降もその周知性を高め、維持していることは明らかである。
また、本件商標と申立人商標とは、称呼及び観念が共通し、また、外観も類似するものであって、極めて高い類似性を有していることは明らかであり、申立人商標は、申立人の創作に係る造語商標であって、高い独創性を有するものである。
さらに、本件商標の指定商品は、第16類「ティッシュペーパー,トイレットペーパー」であるところ、申立人商標が周知著名性を獲得している「ファッション雑誌」は、同じ第16類に属する商品であって需要者の範囲が一部一致し、商品の原材料が共通するため、密接な関連性を有するものである。
特に、雑誌出版業界においては、ファッション雑誌のタイトルと他社の商標(主に、ファッション小物関係)に係る商品・役務とのコラボレーション企画が多く採用されている実情が存在する。実際に、申立人は、度々雑誌「non-no」の付録として、ファッション小物や日用品雑貨を読者に提供しており、2011年10月号及び2015年3月号では、付録として、MILKFED.及びJILLSTUART(ジル・スチュアート)とコラボレーションしたティッシュケース(甲8、甲9)を提供している。
商標法第4条第1項第15号の「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきであるところ、上記諸事実を考慮すれば、本件商標をその指定商品に使用した場合には、あたかも申立人の雑誌「non-no」とコラボ企画による商品、又は、申立人から使用許諾を受けた商品のごとく認識され、需要者・取引者は、申立人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
4 結論
以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから、同方第43条の2第1号により取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 申立人商標の周知性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)申立人は、1971年5月に、18歳から23歳の女性をターゲット層とした総合ファッション情報雑誌として「non-no」を創刊し(甲5)、当該雑誌は、2021年に創刊50周年を迎えた(甲7)。
(2)申立人は、2011年10月号ないし2020年5月発行の雑誌「non-no」に、MILKFED(ミルクフェド)、JILLSTUART(ジル・スチュアート)、サンリオのキャラクター「ハローキティ」などの様々な有名ブランドとのコラボレーション商品(ポーチ、ペンポーチ、ティッシュケース、メイクケース、メイクポーチなど)を展開、付録として提供し(甲8?甲17)、また、2015年ないし2019年に、各企業や大学等とのコラボ小冊子を提供したことがうかがえる(甲18?甲23)。
(3)雑誌「non-no」は、2017年に創刊45周年を迎え、「ノンノ45thイベントファイナル」として、当選した読者を招待し、トークショー等のイベントを行った(甲24、甲25)。
(4)雑誌「non-no」は、2020年12月の時点で通巻1022号が発行された(甲26)。
また、当該雑誌の2019年10月から12月の発行部数は156,667部、2020年1月から3月の発行部数は139,667部、2020年4月から6月の発行部数は117,500部、2020年7月から9月の発行部数は135,000部、年間平均部数139,000部であり(甲27)、デジタル版では、136,000人の閲覧数とされている(甲28)。
(5)申立人は、読者の約半数が有職者や大学生であることから(甲29)、交通機関の車内中吊り広告を作成し、毎号発売に際して東京をはじめ首都園の主要交通機関の駅又はホーム、地下通路や車内に掲載していることがうかがわれ、人気モデルやアイドルグループなどといった話題性の高い著名人を起用し、宣伝広告活動を実施してきたことがうかがわれる(甲31)。
また、申立人は、各種SNSにおいて、「non-no」公式アカウントを開設しており、そのフォロワー数は、LINE/約1,495,000人、Instagram/約344,000人、Twitter/約235,000人、Facebook/約8,302人である(甲30、甲32?甲34)。
(6)上記(1)ないし(5)によれば、「non-no」の文字は、申立人の業務に係る商品「女性用ファッション雑誌」について約50年使用されていること、毎号発売に際して継続して著名人を起用した広告を行っていることがうかがわれること、その発行部数及びデジタル版閲覧数などからすれば、本件商標の登録出願時には既に取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認められ、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものといえる。
そうすると、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品「女性用ファッション雑誌」を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められる。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標は、別掲1のとおり、多少デザイン化された「Nonno」の欧文字をやや右上がりに大きく表し、その下に「ノンノ」の片仮名を小さく配した構成からなるところ、下段の片仮名は上段の欧文字の読みを特定したものと容易に理解できることから、本件商標は、「ノンノ」の称呼を生じるものである。
そして、「Nonno」の文字が「祖父、おじいさん」の意味を有するイタリア語(「伊和中辞典<第2版>」小学館)であるとしても、当該語は、我が国において広く親しまれているとはいえないものであるから、一種の造語として理解、認識されるものというのが相当である。
してみると、本件商標からは、「ノンノ」の称呼が生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標1は、別掲2のとおり、「MEN’S NON-NO」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成は、語頭の「M」の文字が大きく表されているものの、その他の文字は同一の書体及び大きさで、横一列にまとまりよく表されており、全体として一連一体の語を表してなる印象を与えるものであって、これより生ずる「メンズノンノ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そして、構成中の「MEN’S」の文字が、「男の」等の意味を有するとしても、その指定商品との関係において、商品の品質、用途などを表示したものとして認識されるというよりは、むしろ、「MEN’S NON-NO」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
してみれば、引用商標1は、その構成文字に相応して「メンズノンノ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標1の外観を比較すると、両者は、上記(1)及び(2)のとおりの構成からなるものであるから、それぞれ全体の構成に照らし、外観上、判然と区別し得るものである。
また、本件商標から生じる「ノンノ」の称呼と、引用商標1から生じる「メンズノンノ」の称呼とを比較すると、構成音数が異なるばかりでなく、語頭の「メンズ」の有無という顕著な差異により、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語調、語感が著しく相違し、明確に聴別し得るものである。
さらに、本件商標と引用商標1は、いずれも特定の観念を有しないものであるから、両商標は、観念において比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標1とは、観念において比較することができないとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれがなく、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
(4)したがって、本件商標と引用商標1とは非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するものであるとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人商標の周知性について
前記1のとおり、申立人商標は、申立人の業務に係る商品「女性用ファッション雑誌」を表示するものとして需要者の間に広く認識されていると認められる。
(2)申立人商標の独創性について
「nonno」の文字が「祖父、おじいさん」の意味を有するイタリア語であることからすれば、申立人商標を構成する「non-no」の文字及びその片仮名表記である「ノンノ」の文字の独創性は、高いとまではいい難い。
(3)本件商標と申立人商標の類似性の程度について
本件商標は、上記2(1)のとおり、ややデザイン化した「Nonno」の欧文字と「ノンノ」の片仮名からなるのに対し、引用商標2は、「non-no」の欧文字をややデザイン化した別掲3のとおりの構成からなり、引用商標3は、引用商標2と同じ構成態様の「non-no」の欧文字の右上部に小さく書した「ノンノ」の片仮名を配した別掲4のとおりの構成からなるものである。
そうすると、本件商標と申立人商標とは、欧文字のつづりを同じくするものであるから、外観において近似した印象を与えるものであり、また、両商標は、「ノンノ」の称呼を共通にすることから、両者の類似の程度は高いといえる。
(4)商品の関連性について
本件商標の指定商品は、前記第1のとおり、「ティッシュペーパー,トイレットペーパー」であり、その需要者は一般消費者といえるのに対し、申立人の業務に係る「女性用ファッション雑誌」は、10代ないし20代の女性を主として対象とするものであるところ、これらの商品の生産者、販売者、取扱い系統等は明らかに相違するものであり、一般に同一事業者によって行われるものではなく、また、これらの用途や販売場所も異なるものであるから、商品の間に密接な関連性があるものとはいい難い。
(5)取引者・需要者の共通性について
上記(4)のとおり、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品の関連性の程度は低いものの、その需要者は一部共通するものである。
(6)多角経営について
申立人は、女性雑誌、男性誌・芸能誌、文芸誌・分冊百科等の印刷物の発行・販売の事業を行っているが(甲5)、これら以外の事業を展開している状況がうかがえないことからすると、申立人の多角経営の実体又は可能性は、申立人の提出した証拠からは見いだすことはできない。
(7)小括
上記(1)ないし(6)のとおり、本件商標と申立人商標の類似性の程度は高く、申立人商標の周知性は高いといえるものの、本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品に密接な関連性があるとはいい難く、需要者は一部共通するにすぎないものである。
また、申立人商標の独創性は高いとまではいい難く、申立人の多角経営の可能性は低い。
以上のことを総合勘案すれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者が申立人商標ないしは申立人を連想、想起するようなことはないというべきであり、当該商品が申立人又は申立人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(8)申立人の主張について
申立人は、本件商標の指定商品「ティッシュペーパー,トイレットペーパー」と申立人の使用に係る商品「ファッション雑誌」は、同じ第16類に属する商品であって需要者の範囲が一部一致し、商品の原材料が共通するものであり、特に、雑誌出版業界においては、ファッション雑誌のタイトルと他社の商標(主に、ファッション小物関係)に係る商品・役務とのコラボレーション企画が多く採用されている実情が存在し、申立人は、度々雑誌の付録としており、MILKFED.及びJILLSTUART(ジル・スチュアート)とコラボレーションしたティッシュケース(甲8、甲9)を提供しているから、密接な関連性を有する旨主張している。
しかしながら、同じ商品区分に属する商品であることをもって、商品の範囲が一致するものとはいえず、両商品の間に密接な関連性があるものとはいい難いこと及び需要者は一部共通するにすぎないものであることは、上記(4)及び(5)のとおりであり、また、雑誌の付録は、主に、ファッション小物関係とされており、そのうち、ティッシュケースが付録されたのは僅か2回にすぎず、さらに、ティッシュペーパーやトイレットペーパーとのコラボレーション企画や当該商品を付録とした事実は確認できないから、上記申立人の主張は、採用することができない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)



別掲2(引用商標1)



別掲3(引用商標2)



別掲4(引用商標3)




異議決定日 2021-08-30 
出願番号 商願2020-108528(T2020-108528) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W16)
T 1 651・ 271- Y (W16)
T 1 651・ 261- Y (W16)
T 1 651・ 262- Y (W16)
最終処分 維持  
前審関与審査官 福田 洋子 
特許庁審判長 冨澤 美加
特許庁審判官 中束 としえ
馬場 秀敏
登録日 2020-12-02 
登録番号 商標登録第6323998号(T6323998) 
権利者 東京紙工株式会社
商標の称呼 ノンノ 
代理人 齊藤 良平 
代理人 厚木 薫 
代理人 塩谷 信 
代理人 岩瀬 ひとみ 

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