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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z03
管理番号 1376870 
審判番号 取消2020-300611 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-09-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-09-03 
確定日 2021-07-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4258681号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4258681号商標(以下「本件商標」という。)は、「チアーアップ」の文字と「Cheer up」の文字を上下2段に横書きしてなり、平成10年2月2日に登録出願、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同11年4月2日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年9月29日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成29年9月29日ないし令和2年9月28日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をした事実が存しないものであるから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の通常使用権者による使用
(1)本件商標権者は、2017年5月23日、株式会社トレミール(以下「トレミール社」という場合がある。)と本件商標に関する通常使用権許諾契約書を締結した(乙1)。当該契約書から明らかなとおり、本件商標について、本件商標権者は、トレミール社に対して、商品「顔及びボディ用ペインティングシール」(Cheer up Seal/チアアップシール/チアーアップシール)」、「地域 日本全国」、「期間 本契約有効期間中」の範囲で通常使用権を許諾している。
(2)許諾商品に係る「顔及びボディ用ペインティングシール」は、「身体及び顔の装飾用シール」であり、この「身体及び顔の装飾用シール」は、第3類「化粧品」(類似群04C01)及び「つけづめ,つけまつ毛」(類似群21F01)に属する商品である(乙2)。
(3)トレミール社は、2017年6月1日より現在に至るまで商品「顔及びボディ用ペインティングシール(身体及び顔の装飾用シール)」に本件商標を使用している。
2 本件商標の使用について
(1)本件商標について
本件商標は、「元気を出して」等の意味を有する英語「Cheer up」と、その片仮名表記である「チアーアップ」を2段書きしたものであって、片仮名部分とローマ字部分は同一の称呼及び観念を共通にし、社会通念上同一と認められる商標の使用である。また、トレミール社の使用する商標「Cheer Up」と、本件商標の構成中の「Cheer up」の文字部分については、その構成中の「up」の「u」の文字が大文字と小文字という差異があるが、このような使用も社会通念上同一と認められる商標の使用である。
(2)本件商標の使用事実
ア トレミール社のwebサイトにおける2018年12月13日付ニュースリリースの見出しには「当社オリジナル新商品『Cheer Up Seal』が新日本プロレスに採用」との記載があり、記事中にも「株式会社トレミール(本社:東京都港区赤坂,代表取締役 茶谷幸司)は、当社が企画制作したCheer Up Sealが新日本プロレスリング株式会社(本社:東京都品川区 代表取締役社長 ハロルド・ジョージ・メイ)の公式商品として採用されましたので、お知らせします。・・・この度、ご採用頂きましたCheer up sealは、医療用テープをベースにした安心・安全の素材を使用し・・・」など、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている(乙3)。
イ トレミール社のwebサイトにおける2018年2月27日付のニュースリリースには、本件商標と社会通念上同一の商標である「Cheer up seal」が使用されている(乙3)。
ウ トレミール社のwebサイトには、顔にCheer Up Sealを貼った人物の写真が掲載されており、商品ラインナップ中「CRYSTAL CHEER UP SEAL(クリスタルチアアップシール)」の紹介欄には、「・・・ホログラム素材を使用したフェイスシールです。」との記載、「PAINT CHEER UP SEAL(ペイントチアアップシール)」の紹介欄には、「顔に貼ると、フェイスペインティングしているように見える、肌馴染みのよいフェイスシールです。」との記載がある(乙4)。
このように、トレミール社の商品「Cheer Up Seal」の構成中の「Seal」は、顔に貼って装飾するためのフェイスシールである。
エ トレミール社のwebサイトにおける2017年8月1日付ニュースリリースにおいて、同社の商品「Cheer Up Seal」が、Jリーグクラブであるアルビレックス新潟の公式グッズに採用された点が明記され、パッケージ入り商品の写真も掲載されている(乙5)。
オ アルビレックス新潟のwebサイトにおける2017年8月15日付ニュースリリースにおいて、同年8月19日から販売される新商品「1.チアアップシール(エンブレム/スワン/ハート/ボール)」が、「スワロフスキーの輝くフェイスシール。・・・」と紹介されている。また、パッケージに入った商品の写真も掲載されている。商品パッケージには「Cheer up/seal」と表示されており、当該商品は、販売日以降、現在においても購入可能である(乙5)。
カ トレミール社の製造販売する「フェイスシール」(2018年10月15日発売)がインターネット通販サイト「新日本プロレス闘魂SHOP」において、現在も継続販売され、購入可能である。当該商品には「CHEER/UP/SEAL」のパッケージ入り商品写真、「製造元株式会社トレミール」の記載がある(乙6)。
キ インターネット通販サイト「J.LEAGUE ONLINE STORE」における販売画面において、「・・・『キングベル』デザインのフェイスシールが登場!・・・」と記載されており、2018年12月6日から販売されていることが明記され、トレミール社の名称も明記されている(乙8)。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者及び株式会社トレミールについて
被請求人である本件商標権者は、トレミール社に対し、2017年5月23日付けで、本件商標を「顔及びボディ用ペインティングシール」(以下「使用商品」という場合がある。)に使用する旨の通常使用権許諾契約書を締結し(乙1)、トレミール社は、現在まで、使用商品を販売している(乙5、乙6)。
(2)トレミール社のニュースリリース及びウェブサイトについて
ア トレミール社は、同社の「Cheer Up seal」(以下「使用商標」という場合がある。)が、2018年12月13日付けで新日本プロレスリング株式会社の公式商品として採用された旨告知するためのニュースリリースを内容とするウェブサイトを公表した(乙3の1)。
また、上記のウェブサイトには、商品とおぼしき画像とともに「この度、ご採用頂きましたCheer up sealは、医療用テープをベースにした安心・安全の素材を使用し、クリスタルストーンをデコライズした当社オリジナル商品です。」の記載がある。
イ トレミール社は、自社のウェブサイトにおいて、「CHEER UP SEAL」のタイトルの下、「国際医療基準ISO10993に基づく高い安全性 医療用皮膚貼付テープを使用」の記載に加えて、女性の頬に装飾用のシールが貼られている画像が複数掲載されている(乙4の1)。
さらに、上記ウェブサイトの「導入実績 INSTALLATION RESULT」の項において、複数の商品画像が掲載されているところ、その一つは上記アのニュースリリースに掲載された商品の画像と同じ画像であり、当該画像の下に、「新日本プロレス」の記載がある(乙4の2、乙4の3)。
2 判断
(1)本件商標の使用者について
本件商標権者とトレミール社は、要証期間前の2017年6月1日から、本件商標を顔及びボディ用ペインティングシールに使用する旨の商標使用許諾契約を締結しており、現在においても継続されているものである。
そうすると、トレミール社は、要証期間において本件商標に係る使用商品についての通常使用権者と認められる。
(2)本件商標と使用商標の同一性について
ア 本件商標は、「チアーアップ」の片仮名及び「Cheer up」の欧文字を上下2段に横書きしてなるものであって、上段の「チアーアップ」の片仮名は下段の「Cheer up」の欧文字の読みと認められる。
イ 使用商標は、「Cheer Up Seal」の欧文字であるところ、使用商品は「顔及びボディ用ペインティングシール」である。
ところで、使用商標の構成中の「Seal」の文字は、「絵や文字などが印刷された、裏に糊の付いた紙片。」等の意味を有する英語(広辞苑第7版)であることから、使用商品の品質を表示しているものである。
そうすると、使用商標の構成中「Seal」の文字部分は自他識別力を欠くものといえるから、「Cheer Up」の文字部分のみが出所識別標識としての機能を有する要部として認識、理解されるというのが相当である。
ウ 以上よりすると、使用商標の要部は、大文字及び小文字の差異があるとしても、本件商標の下段の文字のつづりと同一であり、その読みも本件商標と同一である。
したがって、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標と認められる。
(3)使用商品について
トレミール社のwebサイトに掲載されている、「CHEER UP SEAL」(大文字と小文字の差異はあるが使用商標と同じつづりからなる。)に係る商品は、医療用皮膚貼付テープを使用し、顔(肌)に貼る装飾用のシール状の商品であると認められる。
そして、当該「CHEER UP SEAL」の文字から、当該商品が、本件商標権者とトレミール社が許諾契約を締結している商品(使用商品)であると認められるから、使用商品は、顔(肌)に貼る装飾用のシール状の商品であって、本件の審判の請求に係る商品中「化粧品」の範ちゅうに含まれる商品である。
(4)使用時期及び使用行為について
トレミール社は、2018年2月27日付けで、自社のウェブサイトにおいて、使用商標に係る商品についてのニュースリリースを掲載しているところ、当該ニュースリリースには、使用商品の画像が掲載されている。
そうすると、トレミール社は、2018年2月に、使用商標を表示した使用商品に関する広告を電磁的な方法により提供したといえる。
(5)小括
以上によれば、本件商標の通常使用権者であるトレミール社は、要証期間内に、本件審判の請求に係る指定商品中の第3類「化粧品」の範ちゅうに含まれる商品「顔及びボディ用ペインティングシール」に関する広告に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して電磁的な方法により提供したといえる。
そして、本件商標の通常使用権者による上記行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2021-05-11 
結審通知日 2021-05-13 
審決日 2021-06-08 
出願番号 商願平10-6894 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z03)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 大森 友子
水落 洋
登録日 1999-04-02 
登録番号 商標登録第4258681号(T4258681) 
商標の称呼 チアーアップ 
代理人 羽切 正治 
代理人 仲村 圭代 

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