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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29
審判 全部取消 商標の同一性 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y29
管理番号 1375975 
審判番号 取消2020-300034 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-01-14 
確定日 2021-06-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第4648187号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4648187号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4648187号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成14年1月18日に登録出願、第29類「米国産の植物を主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,米国産のビタミンを主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,米国産のミネラルを主原料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,米国産のアミノ酸を主原料とする粉末状・顆粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,米国産の食品酵素を原材料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,米国産の亜麻の種子・油を原材料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,米国産のルリヂサの種子・油を原材料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,米国産のグレープフルーツの種を原材料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,米国産のカボチャの種子・油を原材料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,米国産のぶどうの種子を原材料とする粉末状・顆粒状・粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品,米国産のブロッコリーの抽出物を原材料とする粉末状・顆粒状・錠剤状・液状・又はカプセルの加工食品,米国産のパイナップルの抽出物を原材料とする粉末状・顆粒状・錠剤状・液状・又はカプセル入りの加工食品」を指定商品として、同15年2月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年1月29日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である平成29年1月29日ないし令和2年1月28日までを、以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ添付資料を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用をしていないものであるから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証について
ア 被請求人は、インターネットの通販サイトのウェブサイトのコピーを提出しているが、本件商標を、誰が、どの商品に、どのように表示されているのか、また、何時使用されていたのかを一切言明していない。
イ インターネットの通販サイトは、複数の異なる生産者のサプリメント等を一堂に集め個々の商品情報を掲載し、需要者が複数の生産者の提供するサプリメント等の商品から、希望する商品を選択・購入する機会を与える業務、即ち、「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び「加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務を提供するサイトである。したがって、本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用していると認定することはできない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証の使用目的が不明であり、本件商標がその指定商品について使用されている事実を証明する情報が一切存在しない。また、本件商標権者の商号とおぼしき表示があるが、その表示は本件商標と異なる。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、ラベルの単なる写しにすぎず、かかるラベルが本件商標の指定商品若しくはその包装に標章を付したことを示すものではない。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、輸入に係る商品が本件商標の指定商品であり、かつ、これらの商品に本件商標を使用している事実を示す情報は一切ない。
(5)乙第5号証について
乙第5号証は、被請求人が主張する印刷ラベルの費用に関する請求書であることは、同請求書の記載内容から一切証明されていない。また、各請求書の品名には「Oregon’s Wild Harvest Label」、「Oregon’s Wild Harvest Catalog」の表示があるものの、当該ラベル及びカタログに具体的に表示されている商標が、本件商標である旨の情報は一切ない。
(6)乙第6号証について
乙第6号証は、本件商標の使用事実若しくは本件商標を使用することができない正当な理由を示す情報ではない。
(7)本件商標と使用商標との同一性について
本件商標は、「Oregon’s Wild Harvest」の文字と、ハーブ植物の葉模様をイメージとする独自性の高い図形から構成されるものであるところ、本件商標の自他商品の識別力を発揮する部分は、「Oregon’s Wild Harvest」の文字とハーブ植物の葉模様をイメージとする独自性の高い図形の全体構成である。
しかしながら、被請求人が、本件商標権者が使用していると主張する商標(別掲2、背景色が異なるものを含む、以下「使用商標」という。)は、本件商標とは「Oregon’s Wild Harvest」の書体及び図形において同一ではないため、使用商標の使用は本件商標の使用であると認定することはできない(乙1?乙3)。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように答弁し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出した(なお、乙第5号証(1)、乙第5号証(2)等の表示は、以下乙第5号証の1、乙第5号証の2、以下同じ、と読み替えるものとする。)。
1 本件商標権者(被請求人)は、本件商標を要証期間内に、本件審判の請求に係る指定商品中の「米国産の植物を主原料とする錠剤状の加工食品」に使用している。
2 本件商標権者について
本件商標権者は、長年の間、有機食品原料の輸入及び食品、化粧品製造卸の販売を業としてきた。具体的には、本件商標に係る「サプリメント」類を、2013年より自社サイト及び大手通販サイトを通じて、現在に至るまで販売している(乙1、乙7)。
また、本件商標を付した商品は、米国オレゴン州の大手原料サプライヤーから15年以上にわたりその原料を輸入しており、要証期間にも、その取引があったことが明らかである(乙4)。
3 本件商標の使用について
(1)大手通販サイトにおいて、本件商標権者を製造元とする、多数のサプリメントが販売のために掲載されている。当該サプリメントのボトルには「Hemp Seed Oil 麻の種油」、「クランベリー」「Evening Primrose」等の文字の上部に「Oregon’s Wild Harvest」のロゴが付されていることが確認できる(乙1)。
(2)当該サプリメントのボトルに付されたラベルは、本件商標権者が、株式会社イースト朝日に作成を依頼しており、本件商標を付した商品のラベルとして、「Feverfew(フィーバーフュー)」300枚、「Nettle(ネトル)」400枚、「Cranberry(クランベリー)」300枚を作成、納品した際の請求書が、2018年3月2日に発行されていることが確認できる(乙5の1)。同様に、「Evening Primrose(イブニングプリムローズ油)」500枚についても作成、納品した際の請求書が2018年7月31日に発行されたことが確認できる(乙5の2)。さらに、本件商標を付した商品の広告として、「Oregon’s Wild Harvest」のカタログ(乙2)も、株式会社イースト朝日によって300部作成、納品され、その請求書が2019年1月31日に発行されている(乙5の3)。
(3)以上のことから、商標「Oregon’s Wild Harvest」は、要証期間に使用されていたものといえる。
4 本件商標と使用商標との社会通念上の同一性について
(1)本件商標は、葉とおぼしき図形の内部に「Oregon’s」「Wild」「Harvest」の欧文字を中央揃えで3段に書した構成からなるものである。かかる態様から「オレゴンズ ワイルド ハーベスト」の称呼が生じ、「米国オレゴン州の野生種植物(又はハーブ)」程の意味合いが理解される。
(2)本件商標における葉とおぼしき図形(以下「本件図形」という。)は、文字商標の装飾的な縁取り、あるいは背景とみられるものであり、なんら特定の観念及び称呼を生ずるものではない。よって、本件商標の要部が「Oregon’s Wild Harvest」の文字部分であることは明らかである。
(3)一方、使用商標は、葉とおぼしき図形の内部に、本件商標と同一のスペルである「OREGON’S」「WILD」「HARVEST」の欧文字を中央揃えで3段に書した構成からなるものである。
(4)よって、本件商標と使用商標とは、使用商標に色彩が付されている点が異なり、縁取りないしは背景である葉の形状のデザインにおいて多少異なるところがあり、また、書体及び大文字・小文字の差異があるが、本件商標の要部である「Oregon’s」「Wild」「Harvest」の文字部分と使用商標の「OREGON’S」「WILD」「HARVEST」の文字は同一のつづりであり、「オレゴンズ ワイルド ハーベスト」と「米国オレゴン州の野生種植物(又はハーブ)」程の観念を生ずるものであるから、当該差異が同一性のみならず社会通念上の同一性にも影響を与えるものではない。
(5)また、使用商標が付された商品「サプリメント」は、本件商標の指定商品中の「米国産の植物を主原料とする錠剤状の加工食品」に属する商品である。
(6)そして、サプリメントの容器に本件商標が付されて販売されているのであるから(乙1)、商標法第2条第3項第2号に該当することは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者のウェブサイトにおいて、容器上に使用商標が表示されている(乙1、乙7)。
(2)インターネット通販サイトにおいて、使用商標が表示されている(乙1)。そして、当該サイトには、「輸入元:ヒロエンタープライズ」、「発売元:株式会社ヒロエンタープライズ」、「発売元、製造元、輸入元又は販売元:ヒロエンタープライズ」の表示がある。
(3)本件商標権者のカタログにおいて、使用商標が表示されている(乙2)。
(4)本件商標権者が使用している商品ラベルにおいて、使用商標が表示されている(乙3)。
2 判断
被請求人は、本件商標権者が、本件商標と社会通念上同一の商標(使用商標)をサプリメントの容器に付して販売している旨主張するので、これについて検討する。
上記1によれば、以下のとおりである。
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、葉柄を上部とする葉とおぼしき図形の内部に、「Oregon’s」「Wild」「Harvest」の欧文字を斜体で3段に書した構成からなるものである。
(2)使用商標について
使用商標は、別掲2のとおり、葉柄を左とする黄色で表した葉とおぼしき図形の内部に、「OREGON’S」「WILD」「HARVEST」の欧文字を青緑色で3段に書した構成からなるものである。
(3)本件商標と使用商標との社会通念上同一性について
本件商標と使用商標とを比較すると、両者は、図形の内部の欧文字のつづりを共通にするものの、葉とおぼしき図形の態様に顕著な差異を有するものである。
そうすると、本件商標と使用商標とは、その構成を異にすることが明らかであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上の同一と認められない。
したがって、使用商標が、本件商標権者の使用に係るものであるとしても、本件商標権者は、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用していたということにはならない。
3 被請求人の主張について
被請求人は、過去の審決例(乙8?乙11)を挙げるとともに、本件商標と使用商標で葉の図形の向きの相違について、商品の容器上に文字商標を他の文字とバランスよく配置するための配慮であり、葉の形状がほぼ同一であること、また、葉の図形は文字商標の背景にすぎない旨、そして、使用商標における葉脈と見えるような模様の有無については、葉に葉脈を描くことはありきたりであり、葉脈が描かれたことによって特定の観念が生ずるものではないため、本件商標と使用商標の同一性に何ら影響するものではない旨主張する。
しかしながら、本件商標と使用商標とは、構成中に共通の部分があるとしても、両者は、上記2のとおり構成全体が異なるものであって、同視できるものではないから、個別の事情に応じて登録商標の一部を変更して使用される取引の実情があるとしても、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認めることはできない。
4 まとめ
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠から認定できる使用商標は、いずれも本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということはできず、他に本件商標権者が要証期間に本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標を使用していることを証明するものはない。
また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしていることを証明したものということはできず、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

別掲1(本件商標)


別掲2(使用商標:色彩については原本参照)


審理終結日 2021-04-19 
結審通知日 2021-04-23 
審決日 2021-05-11 
出願番号 商願2002-7387(T2002-7387) 
審決分類 T 1 31・ 11- Z (Y29)
T 1 31・ 1- Z (Y29)
最終処分 成立  
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 大森 友子
水落 洋
登録日 2003-02-28 
登録番号 商標登録第4648187号(T4648187) 
商標の称呼 オレゴンズワイルドハーベスト、ワイルドハーベスト 
代理人 前田 大輔 
代理人 中村 知公 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 朝倉 美知 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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