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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W35
管理番号 1375100 
審判番号 取消2020-300317 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-05-08 
確定日 2021-05-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第5914069号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5914069号商標の指定役務中、第35類「たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5914069号商標(以下「本件商標」という。)は、「FREESE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年4月27日に登録出願され、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車の部品及び付属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自転車の部品及び付属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,文具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同29年1月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和2年5月29日になされたものであり、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年(2017年)5月29日から令和2年(2020年)5月28日までの期間(以下「本件要証期間」という。)である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし第5号証(以下、証拠の表記に当たっては、「甲(乙)第○号証」を「甲(乙)○」のように、「第」及び「号証」を省略して記載する。)を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、「たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」(以下「取消請求役務」といい、「小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を「小売等役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は、審判事件答弁書において、本件商標は、本件要証期間内に、取消請求役務について日本国内において使用された事実があると主張し、乙1ないし4を提出している。
しかしながら、以下に述べるとおり、これらの証拠からは、本件商標の使用に関する被請求人の主張事実は何ら証明されていない。
(1)乙1について
被請求人は、本件商標を取消請求役務について使用していることを証明する証拠として、乙1を提出しているが、以下の点に関し、被請求人は十分な立証を行っていない。
ア 「商品商標」の使用の証明
被請求人が乙1等で使用の証明を行っている(行おうとしている)のは、「加熱式タバコ及び加熱式タバコ用アクセサリーのケース」という「商品」であって、「小売等役務」ではない。
甲2は、乙1で示されているウェブサイトの全体を写したものであり、これを仔細に見ると、「FREESE(フリーゼ)」という商標は、「商品のブランド」として使用されており、「小売等役務の商標」としては使用されていない。なぜなら、このウェブサイトは、「FREESE」というブランドの商品を紹介したものにすぎず、商標法上のいわゆる「顧客に対する便益の提供」に用いられているものではないからである。
甲2(乙1)で示されている「小売等役務の商標」は、「Amazon.co.jp」にほかならず、「FREESE」ではない。
事実、商品紹介ページの上段部には「ブランド:FREESE」との記載があり、販売者自ら「FREESE」という商標を「商品のブランド」であると自認している。
また、審判事件答弁書においても、被請求人は、「本件商標」である「FREESE」という文字を、商品名及びブランド名として表記している旨述べており、ここでも本件商標を「商品商標」として使用していることを自認している。
したがって、甲2(乙1)に接した取引者、需要者は、商標「FREESE」を、「加熱式タバコ及び加熱式タバコ用アクセサリーのケース」の出所表示として認識するのが自然であり、「小売等役務」の出所表示として認識することはない。
よって、被請求人は、本件商標を取消請求役務について使用していることを立証していない。
イ 日付の不特定
被請求人は、本件要証期間内の使用を示す証拠として乙1を提出しているが、この証拠からは本件商標が実際に使用された日付を特定することができない。むしろ、本件要証期間内に使用されていなかったという強い疑義を生じさせる証拠である。
すなわち、乙1には写っていないウェブページ下部を見ると「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日」が「2020/6/16」となっており(甲2)、この商品の取り扱いがAmazon.co.jpで始まったのは、本件審判が請求された後ということになる。
インターネット上のアーカイブを確認できる「WaybackMachine」というウェブサイトによっても、乙1に係るウェブサイトが本件要証期間内に掲載されていた事実を確認できなかった(甲4)。
乙1は、そもそも、その証拠が作成された日付、印刷された日付なども全く特定されておらず、本件審判の証拠とはなり得ない。
(2)乙2について
被請求人は、本件商標を使用して取消請求役務に係る商品を本件要証期間内に販売したことを示す証拠として乙2を提出する。
しかしながら、以下の点に関し、乙2は十分な証明を行っていない。
ア 第一に、上述したとおり、乙2も、「FREESE」という商標が「コンパクト収納ケース」という「商品」に使用されていたことを示すのみであり、取消請求役務について本件商標が使用されていることを示す証拠ではない。
イ 第二に、乙2は、何かのウェブサイトのスクリーンをプリントアウトしたものと目されるが、誰が、いつ作成し、いつ印刷したものか、そもそも何のウェブサイトの写しなのかなど、客観的な証拠としての裏付けとなる情報が一切示されていない。
また、乙2からは、そもそもこの商品の小売を行っている者が誰なのかも、一切不明である。
ウ 第三に、乙2に掲載されている商品には、それぞれASINコードというものが割り当てられているが、このコードによって当該商品の検索及び抽出を行うことができない。
すなわち、Amazon.co.jpで販売されている商品には全てASINコードが割り当てられ、このコードによって容易に商品を検索することができる仕組みになっている。
しかしながら、乙2で示されているASINコードを使って商品検索を行っても、商品の該当ページすら見つけることができなかった(甲5)。
このことからも、被請求人が提出した乙2によっては、一般消費者に商品が公開され、販売されていた事実を十分に立証できていないことは明らかである。
エ さらに、乙2に掲載された取引例には、商品が全く同じであり、注文日も近接しているにもかかわらず、商品の小計が異なっているものがあるところ、一般的な取引慣行にかんがみれば、このような金額の相違は奇異であり、証拠としての信頼性に疑義を持たざるを得ない。
(3)乙3について
被請求人は、本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)が、本件商標を用いて商標権者かつ通常使用権者として商品を販売していることを示すためと称して、乙3を提出している。
しかしながら、乙3は、Ecloset合同会社が「なんらかの商品」の販売業者であること、そして中江和徳氏(以下「中江氏」という。)がそれに関する運営責任者であることを示しているにすぎず、本件商標の使用に関しては、何も立証していない。
さらにいえば、乙3が、本件商標に関して、どのような関わりのある証拠なのかも不明であるし、乙3がいつ、どこで、誰に対して掲出された情報なのかも不明である。
したがって、乙3は、本件審判との関係においては、何らの証拠ともなり得ない。
(4)乙4について
被請求人は、商標権者と使用者の間に商標使用許諾関係があることを証明する証拠として、乙4を提出する。
ア しかしながら、乙4は、2018年1月5日に締結された契約書として提出されているが、そもそも捺印も署名もなく、契約書の体をなしていない。
したがって、乙4は、本件審判において、何の証拠ともなりえず、被請求人は、商標権者又は通常使用権者が本件商標を使用していたことを何ら立証していない。
イ 乙4は、中江氏とEcloset合同会社の商標使用許諾契約である。しかしながら、Ecloset合同会社は、個人事業主であった中江氏が法人化してできた会社で、ほぼ同氏が個人的に経営している会社と目される。このような実質的に同一視できるような小規模の二者が、乙4のような商標の使用許諾契約書を、事前に締結すること自体、極めて不自然である。
捺印及び署名がないことも考えると、この契約書が実際に「2018年1月5日」に作成されたものであるのか、疑義を持たざるを得ない。
ウ いずれにしろ、乙4は本件商標の使用に関しては何も証明していないため、本件審判において何の証拠にもならない。
(5)結語
以上述べたように、被請求人によって提出された証拠によっては、本件商標の使用の事実は何ら証明されていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙1ないし4を提出している。
1 答弁の理由
被請求人は、本件要証期間内に本件商標を取消請求役務について使用している。
(1)商標権者による取扱商品について
商標権者は、取消請求役務に関する商品を本件要証期間内に販売していた。具体的な商品は「加熱式タバコ及び加熱式タバコ用アクセサリーのケース」である。加熱式タバコは、たばこ葉を加熱させ発生する蒸気を味わう商品であるが、これはたばこ葉を使用した嗜好品であり、一般的な「たばこ」の商品に含まれるといえる。
よって、「加熱式タバコ及び加熱式タバコ用アクセサリーのケース」は、取消請求役務に含まれるといえる。
(2)商標権者が販売していた商品の販売の形態について
日本国内のウェブサイトであるAmazon.co.jpにおいて、本件商標を使用して電磁的方法により商品を提供している(乙1)。ウェブサイトの商品販売ページは、「https://www.amazon.co.jp/dp/(中略)title_dp」にて確認できる。
乙1及び上記ウェブサイトに示されているとおり、本件商標である「FREESE」の文字を、商品名及びブランド名として表記しており、本件商標を使用した状態で販売を行っている。
そして、上記の販売方法は、商標法第2条第3項第8号の定義に沿っているといえるため、本件商標を使用していたということができる。
(3)本件要証期間内の使用について
本件商標を使用して、Amazon.co.jpで販売していた商品が、本件要証期間内に顧客によって注文を受けたという販売実績を示す注文履歴がある(乙2)。乙2には、本件商標を使用している商品であることを示す商品名、及びこの商品が注文を受けた日付が明記されている。つまり、本件商標を使用して本件要証期間内に販売を行っていたことが示されている。
乙2に示されているとおり、顧客から本件商標を使用して販売された商品の注文があったのは2017年12月14日から2018年1月18日の期間までに複数回あり、本件要証期間内に、本件商標を使用して役務提供を行っていたことが示されている。なお、乙1及び乙2それぞれに本件商標を使用して明記された商品名が記されており、それぞれの証拠に掲載されている商品は同一商品であることが示されている。
(4)商標権者及び通常使用権者の表記について
商標権者が、本件商標を用いて商標権者かつ通常使用権者として商品を販売していることを示すために、特定商取引法に基づく表記に商標権者の氏名及び住所が記載されているAmazon.co.jpのウェブサイト(https://www.amazon.co.jp/sp?(中略)=&vasStoreID=)を示す。
上記URLのウェブサイト表示内に、商標権者(被請求人)の氏名及び住所が記載されている。それらが記載されている情報部分であるウェブサイト上の「特定商取引法に基づく表記」の部分についてウェブサイト上のページを画像キャプチャデータ化したものを乙3として提出する。
(5)商標権者と使用者の権利使用許諾についての説明
前記(4)のURL内の「特定商取引法に基づく表記」に、販売業者が「Ecloset合同会社」である旨の記載があるが、この法人は、商標権者が代表を務めている。本件商標は、平成28年(2016年)4月27日に登録出願され、同29年(2017年)1月20日に商標登録されたところ、商標登録された時点では、商標権者は個人事業者として事業を行っていたことから、本件商標に係る登録出願及び商標登録は、個人名でなされた。その後、平成30年(2018年)1月5日に、商標権者が、個人事業者から法人化し、Ecloset合同会社の代表者となった。本件商標の使用に関しては、法人であるEcloset合同会社においても、商標権者が本件商標を使用することにしたため、商標権者とEcloset合同会社との間で本件商標の商標使用権許諾の契約を交わした(乙4)。
(6)結語
以上のとおり、被請求人は、本件要証期間内に、本件商標を取消請求役務について使用していた。
2 当審における審尋及びその回答
乙1ないし3は、その入手先や印刷日その他の客観的な証拠として裏付けとなる情報を確認できない旨、乙1ないし4をみても、乙1と乙2及び乙3との関係を確認できない旨、及び乙4には不自然な点がある旨の審尋に対して、被請求人は何ら応答していない。

第4 当審の判断
1 認定事実
被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。以下、改行は「\」で表すことにする。
(1)乙1は、Amazon.co.jpのウェブサイト上で本件商標を使用して商品を販売していたことを示すページの画面キャプチャデータとされるものであるところ、これは、通信販売に係るウェブサイトの一部を抜粋したと思われる画面のプリントアウトであって、「FREESE(フリーゼ)\FREESE(フリーゼ)IQOS アイコス ケース おしゃれ ポーチ 持ち運び コンパクト 収納ケース(ブラック/デニム)」の見出しに係るページ(以下「本件ページ」という。)には、商品(以下「本件商品1」という。)の画像が掲載されるとともに、「現在在庫切れです。」及び「この商品の再入荷予定は立っておりません。」と記載され、さらに、「お洒落で使いやすい専用ケースをご用意しました。」「・アイコス(IQOS)とアイコス用タバコが入る、コンパクトでお洒落な専用ケースです。電子煙草本体(ヒートスティック)を入れたままアイコス充電ケースと煙草ケース、アイコス掃除キットが入ります。」といった宣伝文句が記載されている。
しかしながら、乙1には、URLといった入手先に係る情報、作成者、掲載日、プリントアウトの作成日の表示はなく、また、本件商品1に関して、後記(2)の「ASIN」及び「SKU」の表示もない。
(2)乙2は、「Amazon.co.jp」において本件商標を使用して本件要証期間内に販売したことを示す注文履歴とされるものであるところ、これは、「Amazon.co.jp」における商品の販売履歴を示すページの一部を抜粋したものと思われる画面のプリントアウトであって、「FREESE(フリーゼ)IQOS アイコス ケース おしゃれ ポーチ 持ち運び コンパクト 収納ケース(ブラック/デニム)」に係る商品(以下「本件商品2」という。)が、商品の画像とともに、2017年12月14日から2018年1月18日までの期間に20個取引されていること、本件商品2の「ASIN」及び「SKU」が、それぞれ「B075DYT1K5」及び「iqos-blackdenim-170906」であることが記載されている。
しかしながら、乙2には、URLといった入手先に係る情報、当該商品の販売者及びプリントアウトの作成日は表示されていない。
(3)乙3は、Amazon.co.jpにおける特定商取引法に基づく表記の画面キャプチャデータとされるものであるところ、これは、「特定商取引法に基づく表記」の見出しの書面であり、「販売業者:Ecloset合同会社」、住所及び運営責任者には、商標権者と一致する住所及び氏名の表示並びに「店舗名:FREESE」の記載がある。
しかしながら、乙3には、URLといった入手先に係る情報、上記書面の作成日又はプリントアウトの作成日の表示はない。
(4)乙4は、本件商標の商標使用許諾の契約書(写し)とされるものであるところ、これは、「商標使用権許諾契約書」と題する書面であり、「中江和徳(以下『甲』という)と、Ecloset合同会社(以下『乙』という)は、甲が有する商標の商標権使用について、以下の通り本契約を締結する。」、「(商標使用権の許諾)\第1条 甲は、下記商標についての使用権を、下記の通り乙に許諾する。乙は、本件商標を付した下記指定商品の商標使用ならびに商標を使用した指定役務を行うことができるものとする。\記\1、本件商標 登録出願番号:第5914069号\商標:FREESE\商品の区分:第35類\指定役務:(中略)たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供\2、実施期間:2018年1月5日より登録出願番号第5914069号が効力を有する迄」、「本契約締結の証として本書2通を作成し、甲乙それぞれ署名捺印の上、各自1通を保有する。」、「甲 (中略)中江和徳」及び「乙 (中略)Ecloset合同会社\代表社員 中江和徳」の記載があり、捺印するための箇所がある。
しかしながら、乙4には、甲及び乙の署名並びに捺印はない。
2 判断
被請求人は、本件ページにおいて、本件商標を使用して電磁的方法により商品を提供しており、本件ページに、本件商標である「FREESE」の文字を商品及びブランド名として表記して、本件商標を使用した状態で販売を行っており、当該販売方法は、商標法第2条第3項第8号の定義に沿っているから、本件商標を使用していたということができる旨主張しているので、検討する。
(1)本件ページの商品について
ア 前記1(1)によれば、本件商品1は、「お洒落で使いやすい専用ケースをご用意しました。」「・アイコス(IQOS)とアイコス用タバコが入る、コンパクトでお洒落な専用ケースです。電子煙草本体(ヒートスティック)を入れたままアイコス充電ケースと煙草ケース、アイコス掃除キットが入ります。」の記載から、加熱式電子たばこの専用ケースといえるものであり、当該商品は、「喫煙用具」の範ちゅうの商品である。
また、本件商品1は、「FREESE(フリーゼ)」の文字とともに本件ページに掲載されており、これには、当該商品の画像及び上記のような商品の宣伝文句などが記載されている。
そうすると、乙1からは、本件ページにおいて、「喫煙用具」の範ちゅうの本件商品1に関する広告が「FREESE(フリーゼ)」の文字(以下「使用商標」という。)を付してなされたことがうかがえる。
イ 前記1(2)によれば、本件商品2は、その商品の画像及び乙2の記載内容から、前記アと同様の商品といい得るものであるから、当該商品は、加熱式電子たばこの専用ケースといえるものであり、「喫煙用具」の範ちゅうの商品である。
そして、前記1(2)の「2017年12月14日から2018年1月18日までの期間」は、本件要証期間内である。
そうすると、乙2からは、「喫煙用具」に該当する本件商品2が、本件要証期間内に取引されたことがうかがえる。
(2)しかしながら、乙1ないし4を総合してみても、次のとおり、本件要証期間内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件商標を取消請求役務について使用したとは認められない。
ア 使用商標の取消請求役務への使用について
(ア)小売等役務について
商標法において保護対象となっている「小売等役務」とは、商品の品揃え、陳列、接客サービス等といった最終的に商品の販売により収益をあげる小売業者等の提供する総合的なサービス活動全体を一括りにして一つの小売等役務として保護されるものであるが、これらのサービスは、小売等の業務において商品販売に付随したサービスであることに変わりはなく、個々のサービス活動を独立したものとして個別に商標法上の役務として取り扱うものではない。
小売等役務の構成要素と考えられる商品の小売において小売業者が顧客に対して行う個々のサービス活動の代表的なものとして、通信販売においては、次の(i)及び(ii)のようなものが挙げられる。
(i)通信販売(郵便や電話を利用する形態のもの)においては、顧客の商品選択の便宜のために、販売する商品のレイアウト等を工夫したカタログの提供、例えば、ファッション関連の商品の通信販売カタログ上の品揃えでは、TPOに応じた衣服、かばん、靴、装身具などをトータルコーディネイトしたときの状態を顧客が視認できるような、商品の掲載方法を工夫したカタログにより商品の選択の便宜を図ること
(ii)インターネットサイトを通じた通信販売においては、(i)のような商品の選択の工夫を顧客がインターネットに接続して、端末画面上で視認できるようなサイトを作成して商品の選択の便宜を図ること
(イ)小売等役務についての商標の商標法第2条第3項第8号所定の使用について
商標法第2条第3項第8号は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」と規定しているところ、小売等役務において広告等に表示された商標については、例えば、食料品スーパーの広告チラシに掲載される目玉商品の写真と価格の表示箇所付近に表示された商標は、需要者からみて、商品の出所を表す製造者の商標と認識される。一方、その広告チラシの隅に(枠外に)、小売業者等の商標を表示することは、需要者からみて広告チラシに掲載される商品を取り扱う小売等役務の出所を表すものとして認識されるから、それは小売等役務の商標の使用と認められるものである。
したがって、個別の商品の出所のみを示すような表示態様のものは、小売等役務の使用とは認めらない。
(ウ)本件ページにおける使用商標の使用について
本件ページにおける「加熱式電子たばこ用のケースの販売」が、商標法において保護対象となり得る「喫煙用具の小売等役務」に該当するか否かについて、前記(ア)及び(イ)の観点から検討する。
前記(1)アのとおり、本件ページには、使用商標が表示され、「加熱式電子たばこ用のケース」が掲載されていることは認められる。
しかしながら、本件ページの「FREESE(フリーゼ)\FREESE(フリーゼ)IQOS アイコス ケース おしゃれ ポーチ 持ち運び コンパクト 収納ケース(ブラック/デニム)」の表示中、「FREESE」の文字は、本件商品1の画像とともに表示され、かつ、商品の概要を表示する箇所付近に表示されているから、需要者からみて、商品の出所を表す製造者又は販売者の商標と認識されるものとみるのが相当である。
また、本件ページに掲載されている商品は、1種類の「電子たばこ用ケース」のみであり、顧客が広い商品「電子たばこ用ケース」の範囲から気に入った商品を選択できるように、様々な商品「電子たばこ用ケース」を揃えているということはできないから、本件ページにおける「加熱式電子たばこ用ケースの販売」は、顧客に対して商品の選択の便宜を図るものともいえない。
したがって、本件ページにおける「加熱式電子たばこ用ケースの販売」における使用商標の使用は、個別の商品の出所のみを示すような表示態様のものというべきであって、小売等役務の使用とは認められない。
イ 使用時期等について
本件ページは、その掲載日及びプリントアウトの作成日が不明であり、これをもって本件要証期間内の使用を認めることができないものである。
また、本件商品2の販売履歴とされる乙2と本件ページとの関係は確認できず、さらに、「署名捺印の上、各自1通を保有する。」と記載されているにもかかわらず、署名捺印のない乙4の「商標使用権許諾契約書」をもって、被請求人とEcloset合同会社とが本件商標に関して商標権の使用について契約を締結したとは認め難い。
ウ その他、被請求人の提出に係る証拠をみても、本件要証期間内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)を取消請求役務について商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用をしたことを認めるに足りない。
(3)したがって、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件要証期間内に、本件商標(社会通念上同一と認められるものを含む。)を取消請求役務について使用したと認めることはできない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求役務についての本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを被請求人が証明したとはいえない。
また、被請求人は、当該使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務中、「たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2021-03-22 
結審通知日 2021-03-24 
審決日 2021-04-13 
出願番号 商願2016-52448(T2016-52448) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (W35)
最終処分 成立  
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 冨澤 美加
山村 浩
登録日 2017-01-20 
登録番号 商標登録第5914069号(T5914069) 
商標の称呼 フリーズ、フレーゼ 
代理人 達野 大輔 
代理人 竹中 陽輔 
代理人 中山 真理子 

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