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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W313542
管理番号 1372937 
異議申立番号 異議2020-900263 
総通号数 257 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-10-09 
確定日 2021-04-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6285568号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6285568号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6285568号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,令和元年7月18日に登録出願,「野菜,糖料作物,果実,麦芽,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草」を含む第31類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品,「農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務,「農業・畜産及び水産に関する試験・検査及び研究」を含む第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務並びに第29類,第30類及び第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同2年7月16日に登録査定,同年8月28日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,その指定商品及び指定役務中,第31類「野菜,糖料作物,果実,麦芽,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草」,第35類「農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第42類「農業・畜産及び水産に関する試験・検査及び研究」(以下,これらをまとめて「申立商品・役務」という。)について,商標法第3条第1項第6号(決定注:本件異議申立書の4.(1)及び(2)には,「商標法第3条第1項第3号」に該当する旨が記載されているが,4.(3)以降の主張並びに4.(5)の結論の記載からすれば,「商標法第3条第1項第6号」の誤記であると判断した。)に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきものであると申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第3号証(表記にあたっては,「甲○」(「○」部分は数字)のように省略して記載する。)を提出した。
1 本件商標について
(1)本件商標の構成について
本件商標は,「では、農業の未来へ」と「たねまき」いう漢字及び平仮名を普通に用いられる方法で横書きした文字と,読点を拡大したと思しき図形からなるものである。
(2)本件商標構成中「では、農業の未来へ」の文字について
本件商標構成中,「では、農業の未来へ」という文字を看取した者は,これが「さあ農業が中心の、農業にとって前途明るい未来に向かって進んで行こう」ほどの意味,つまり農業に係る団体や運動の主義・主張であると理解するものと考えられる。したがって,「では、農業の未来へ」の文字部分はいわゆるスローガンであり,商標法第3条第1項第6号に当たるものであるから,当該文字部分自体には識別力がない。
(3)本件商標構成中「たねまき」の文字について
ア 第31類「野菜,糖料作物,果実,麦芽,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草」について
本件商標の指定商品及び指定役務中,第31類「種子類」の使用方法には,「種を蒔く」という以外の方法,例えば食用といった方法もあるが,最も通常行われている使用方法は「たねまき」であること疑いない。
また,本件商標の指定商品及び指定役務中,第31類「野菜,糖料作物,果実,麦芽,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,木,草,芝, ドライフラワー, 苗, 苗木, 花, 牧草」の生産方法には,「種を蒔く」以外の方法,例えば苗から育成するといった方法もあるが,それらにおいて「種を蒔く」というのは一つの生産方法であること疑いない。
したがって,本件商標の構成中,「たねまき」の文字部分は,申立商品・役務中,第31類「野菜,糖料作物,果実,麦芽,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草」との関係においては,商標法第3条第1項第3号にいう「その商品の使用の方法又は生産の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当する。
イ 第35類「農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について
種蒔機は種を蒔くために使用されること当然の理であるから,商品「農耕用品」ついて,「たねまき」は,商標法第3条第1項第3号にいう「その商品の使用の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当する。
また,商品「花及び木」について,「たねまき」は,商標法第3条第1項第3号にいう「その商品の生産の方法を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当する。
そして,小売り又は卸売りの対象となる商品について識別力のない言葉は,その商品の小売り又は卸売りにおいても識別力がないと考えられるべきである。
したがって,本件商標の構成中,「たねまき」の文字部分は,申立商品・役務中,第35類「農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」との関係においては,商標法第3条第1項第3号に該当する。
ウ 第42類「農業・畜産及び水産に関する試験・検査及び研究」について
農業試験においては,もちろん「種を蒔く」以外の試験方法も種々あるが,「種を蒔く」というのは農業試験方法の一態様であること疑いない。
したがって,本件商標の構成中,「たねまき」の文字部分は,申立商品・役務中,第42類「農業に関する試験・検査及び研究」について,商標法第3条第1項第3号にいう「その役務の提供の態様を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当する。
(4)本件商標構成中の読点を拡大したと思しき図形について
本件商標構成中の図形は,読点を拡大したものによく似ている。またこれが施された位置は文字「たねまき」の右下であり,この位置からみても読点であると考えられる。
一方,本件商標に「たねまき」の文字があることから,商標権者はこれを「種子」をモチーフにして描いているとも推測される。しかしながら,主要な種子の中にはこれと同様の形状のものはない(甲3)。
以上より,読点を拡大したにすぎない図形部分は,商標法第3条第1項第5号にいう,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標」に当たるものであるから,図形部分自体には識別力がない。
2 まとめ
以上より,本件商標を構成する「では、農業の未来へ」,「たねまき」及び図形部分は各々自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を有しておらず,またこれらの結合において特に奇抜な不自然性が存在することでもないことから,全体としても自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を有していない。
したがって,本件商標は,その指定商品及び指定役務中,申立商品・役務について,商標法第3条1項第6号の規定に違反して登録されたものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は,別掲のとおり,「では、農業の未来へ」の文字を横書きし,その下段に大きく「たねまき」の文字を横書きし(以下,これらをまとめて「両文字部分」という。),「たねまき」の文字の右下に楕円形の上部をとがらせた図形(以下「図形部分」という。)を配してなるものであり,いずれも焦げ茶色で表されているものである。
そして,「では、農業の未来へ」の文字部分中,「では」の文字は「それならば。それでは。」等の意味を有する接続詞,「農業」の文字は「地力を利用して有用な植物を栽培耕作し,また,有用な動物を飼養する有機的生産業。」等の意味を有する語,「の」の文字は「連帯格」等を示す助詞,「未来」の文字は「過去・現在とともに時の流れを三区分した一つで,まだきていない部分」等の意味を有する語,「ヘ」の文字は「移動性の動作・作用の向かって進む目標地点・方向性を示す」等を示す助詞であるものの,当該文字全体としては特定の意味合いを有しない一種の造語として理解されるものであって,申立商品・役務との関係において,自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものとはいい難いものである。そして,当審において職権をもって調査するも,「では、農業の未来へ」の文字が,申立商品・役務を取り扱う業界において,商品の宣伝広告用のキャッチフレーズとして一般に使用されている事実並びに自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないとする事情は見いだせず,さらに,取引者,需要者が当該文字を自他商品及び自他役務の識別標識とは認識しないというべき事情も発見できなかった。
なお,申立人は,「では、農業の未来へ」の文字部分がスローガンである旨主張しているが,それを証する証拠の提出はない。
また,「たねまき」の文字は,「種をまくこと。」等の意味を有する語(「広辞苑 第七版」株式会社岩波書店発行)であり,植物の栽培の一工程を表す言葉であるから,申立商品・役務中,第31類「野菜,糖料作物,果実,麦芽,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草」との関係において,商品の使用・生産の方法を直接表したものとはいい難い。
そして,申立商品・役務中,第35類「農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第42類「農業・畜産及び水産に関する試験・検査及び研究」との関係においても,役務の質,提供の態様等を直接表したものといい難いものである。
さらに,第35類の上記役務において小売り又は卸売りの対象とする商品「農耕用品,花及び木」との関係においても,これらの使用・生産の方法を直接表したものともいい難いものである。
そうすると,「たねまき」の文字は,上記のとおり「種をまくこと」の意味を有するものであって,仮に,農家等が一般に使用している言葉であるとしても,申立商品・役務との関係において,自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものとはいい難いものである。また,当審において職権をもって調査するも,申立商品・役務を取り扱う業界において,「たねまき」の文字が自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないとする事情は見いだせず,さらに,取引者,需要者が当該文字を自他商品及び自他役務の識別標識とは認識しないというべき事情も発見できなかった。
一方,図形部分は,楕円形の上部をとがらせた図形であるところ,我が国において特定の事物を表したもの,又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないものであるから,申立商品・役務との関係において,自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものとはいい難いものである。また,当審において職権をもって調査するも,申立商品・役務を取り扱う業界において,当該図形部分が自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないとする事情は見いだせず,さらに,取引者,需要者が当該図形部分を自他商品及び自他役務の識別標識とは認識しないというべき事情も発見できなかった。
してみれば,本件商標の構成中の両文字部分及び図形部分は,その指定商品及び指定役務中,申立商品・役務との関係において,それぞれ自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであるから,本件商標全体としても自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであるというのが相当である。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当しない。
2 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲

別掲 本件商標(色彩は原本参照。)


異議決定日 2021-03-26 
出願番号 商願2019-98351(T2019-98351) 
審決分類 T 1 652・ 16- Y (W313542)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉野 晃弘加藤 優紀 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 須田 亮一
大森 友子
登録日 2020-08-28 
登録番号 商標登録第6285568号(T6285568) 
権利者 SBプレイヤーズ株式会社
商標の称呼 デワノーギョーノミライエタネマキ、デワノーギョーノミライエ、ノーギョーノミライエ、タネマキ 
代理人 鈴木 亜美 
代理人 和田 光子 
代理人 保崎 明弘 
代理人 水野 勝文 
代理人 島田 俊昭 
代理人 竹山 尚治 

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