• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W20
審判 全部申立て  登録を維持 W20
管理番号 1370266 
異議申立番号 異議2020-900139 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-02-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-05-18 
確定日 2021-01-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第6242969号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6242969号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6242969号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成31年4月5日に立体商標として登録出願、第20類「椅子」を指定商品として、令和2年2月25日に登録査定、同年4月6日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出した(枝番号を含む。枝番の全てを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
(1)取消原因
本件商標の指定商品は「椅子」であるところ、椅子であるレーシングチェア(又はゲーミングチェア)が一般的に取引されている実情があり、該レーシングチェアはありふれたものであるから、本件商標の形状はありふれた形状である(甲3ないし甲17)。
また、本件商標の上部には「RACING」の文字が表示されているが、「○○RACING」等の文字がレーシングチェアの同様の位置に(甲3ないし甲6)表示され、「○○RACER」の文字が頭部の位置に(甲7及び甲17)表示されているレーシングチェアもあるように、「RACING」の文字が、他のレーシングチェアにおいて標章の一部として使用されている実情にあって、椅子において「RACING」という表示から、需要者又は取引者は、レーシングチェアを一般に認識するのであるから、「RACING」の文字は、レーシングチェアにおいて識別力を有さない。
また、「RACING」の文字が配置されている位置もありふれた位置である。
したがって、本件商標は、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、商標法第3条第1項第3号に該当しない場合であっても、レーシングチェアにおいて、「RACING」は識別力を有さず、取引者、需要者は何人かの業務に係る商品であることを認識することができないため、商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)ECサイトでの販売中止
本件商標が、形状部分に識別力がなくても「RACING」部分に識別力があるとして登録が維持されると、本件商標の商標権者が、ECサイトに商標権侵害による販売中止の申し立てをしたときに、ECサイト担当者が商標権に関する専門的知識を有していない場合、商標権侵害に該当しないにも関わらず、「RACING」の文字が付されていない本件商標と同様の形状のレーシングチェアの販売が中止されるおそれがある。
(3)審決及び判例
本件商標においても、審決及び判例(甲22ないし甲24)と同様に、その形状の特徴は、商品の機能又は美観に資することを目的として採用されるものであり、商品の機能又は美観上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであるため、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当する。
また、本件商標に係るレーシングチェアの立体的形状が、需要者、取引者が指定商品を購入するか否かを決定する上での標識とするに足りる程に特徴的であると認めるべき事情もない。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同項第6号該当性について
本件商標は、別掲のとおり、そこに表された立体形状(以下「本件形状」という。)は、指定商品である「椅子」が採用し得る一形状にすぎないものではあるものの、本件形状の本体部分に「RACING」の文字を配してなるものである。
そして、「RACING」の文字(語)は、「[複合語で]・・・(の)レース」等の意味を有する英語(ジーニアス英和辞典第5版 大修館書店)であるところ、申立人の提出に係る証拠をみるに、「ゲーミングチェア(座椅子)」と称される商品に「〇〇RACING」の文字が付された商品(甲3ないし甲6)、又は「〇〇RACER」の文字が付された商品が販売されていること(甲7及び甲17)が認められるものの、該証拠からはその使用が商品の品質を表示したものとは認められないものであり、また、申立人が、本件商標の指定商品について「レーシングチェア」の文字が一般的に使用されているとする証拠は、単に「レーシングチェア」の文字を、本件商標の登録査定後にインターネットの検索エンジンで検索した結果であって、これからは「レーシング」及び「チェア」の文字を含む検索結果が表示されるにすぎないものであるから(甲19及び甲20)、このことをもって「レーシングチェア」の文字が、本件商標の登録査定時に、本件商標の指定商品について商品の品質等を表示するためのものとして一般に使用されていると判断することはできない。その他、本件形状の商品を表示するものとして、「ゲーミングチェア(座椅子)」の文字の使用はあるものの、「レーシングチェア」の文字の使用は見いだせない(甲3ないし甲17)。
そうすると、「RACING」の文字(語)は、これをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、該文字を「レーシングチェアであること」など商品の品質を表示するものと認識させることのないものというべきである。
また、「RACING」の文字(語)が、本件商標の指定商品の品質を表示するものなど、自他商品識別標識としての機能を有しないものというべき事情は発見できなかった
してみれば、本件商標は、これをその指定商品に使用しても、商品の品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないものであり、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。
したがって、本件商標は商標法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも該当するものといえない。
(2)申立人の主張について
申立人は、本件商標の登録の維持によって、ECサイトにおける本件形状の椅子の販売が中止となるおそれがある旨を主張するが、本件商標が登録要件を満たすか否かについては、商標法の登録要件に従って判断すべきものであって、前記(1)のとおり、本件商標は、本件形状が商品の一形状にすぎないものの、「RACING」の文字(語)部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得、同法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも該当するといえないから、申立人の主張は、上記判断を左右するものではない。
また、申立人は、過去の裁判例及び審決例(甲18、甲22ないし甲24)を挙げて本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当する旨も主張するが、本件商標とは、構成態様、構成文字が異なり、事案を異にするものであり、かつ、登録出願に係る具体的事案の判断においては、過去の審決例等に拘束されることなく、該出願についての判断時期(査定時又は審決時)において、その判断の対象となる商標が使用される商品に係る取引の実情等を考慮して、個別具体的に判断されるべきものであるから、申立人の主張は、前記(1)の判断を左右するものではない。
したがって、申立人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同項第6号のいずれにも該当するものとはいえず、その登録は同法第3条の規定に違反してされたものとはいえない。
他に、本件商標の登録が商標法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲

別掲(本件商標)
(1)

(2)

(3)



異議決定日 2020-12-21 
出願番号 商願2019-48575(T2019-48575) 
審決分類 T 1 651・ 13- Y (W20)
T 1 651・ 16- Y (W20)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉岡 めぐみ森 あゆみ 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 木村 一弘
黒磯 裕子
登録日 2020-04-06 
登録番号 商標登録第6242969号(T6242969) 
権利者 ヤンジョウ オーケイ シート カンパニー リミテッド
商標の称呼 レーシング 
代理人 本田 史樹 
代理人 特許業務法人井澤国際特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ