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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25
管理番号 1370163 
審判番号 取消2018-300719 
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2018-09-13 
確定日 2020-11-30 
事件の表示 上記当事者間の登録第4534744号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4534744号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、平成12年8月4日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同14年1月11日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成30年10月3日である。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標について登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由として、本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである旨主張し、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
なお、請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら意見を述べていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書等において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第26号証(枝番号を含む。なお、枝番号を有する証拠において、枝番号のすべてを引用する場合は、枝番号の記載を省略する。)を提出した。
1 商標の使用について
(1)乙第1号証は被請求人のブランドに係る製品の2019年のカタログ、乙第2号証及び乙第3号証は取引書類の写し、乙第4号証及び乙第5号証は取引(乙2、3)についての被請求人とビジネスパートナー等とのやり取りの電子メール、乙第6号証は電子メール(乙4)に添付された注文表である。
取引書類(乙2、3)は、2017年7月11日の日付となっており、カタログ(乙1)に示すスタイル番号「0009J」、「0010J」、「3571J」及び「3572J」などが確認できる。
電子メール(乙4、5)にあるビル(Bill)とは、被請求人のニックネームであり被請求人を示しており、「コマーシャルインボイス」及び「インボイス」とは上記取引書類(乙2、3)である。
被請求人は、日本の企業「フュービック」(Fubic Corporation)(以下「フュービック社」という。)からの注文及び被請求人側からの商品の発送を、ナガイマサル氏(以下「ナガイ氏」という。)を介して行っていた(乙4、5)。
また、被請求人の当時のビジネスパートナーであったAlexander Eric Tiger氏(以下「アレクサンダー氏」という。)からの連絡により、被請求人側の口座情報は、被請求人が代表者であったタイ国の会社としているものである(乙3)。
取引内容(乙2、3)は、注文内容(乙6)のとおりであり、電子メール(乙4、5)のやり取りが反映されたものであることがわかる。
以上のとおり、乙第2号証ないし乙第6号証に示すとおり取引があったものである。
(2)通販サイト「アマゾン」での出品ページを乙第7号証ないし乙第10号証として示す。
当該通販サイトヘの出品者については不明であるものの、それぞれ、スタイル番号の「0009J」(乙7)、「0010J」(乙8)、「3571J」(乙9)、「3572J」(乙10)が明示されており、カタログ(乙1)に係るスタイル番号と対応するものである。
また、上記各ページは、「Amazon.co.jpでの取り扱い開始日」が、2014年1月27日(乙7)、「2017/7/23」(乙8)、「2018/2/2」(乙9、10)とある。
被請求人の当該ブランドのウェアのデザインについては、過去数年間、変更されていないものであるが、少なくとも、スタイル番号「0009J」は2014年1月27日頃、スタイル番号「0010J」は2017年7月23日頃、また、スタイル番号「3571J」及び「3572J」は2018年2月2日頃には、カタログ(乙1)に示す商品のデザインと共通するデザインの商品として存在していたことがわかり、本件商標と社会通念上同一といえる商標が付されていることがわかる。各スタイル番号に係る拡大画像も、乙第20号証ないし乙第22号証(乙1に対応)及び乙第23号証ないし乙第26号証(乙7?10に対応)として示す。
具体的には、スタイル番号「0009J」のポロシャツは背襟のタグ及び左袖に、スタイル番号「0010J」のポロシャツは左袖に、スタイル番号「3571J」のTシャツは胸部及び背襟下に、スタイル番号「3572J」のTシャツは背襟下及び左袖に、それぞれ本件商標が付されていることがわかる。
(3)本件商標の使用者について
平成24年(2012年)8月に、被請求人を代表取締役の一人とする「BOAST JAPAN株式会社」(以下「ボーストジャパン社」という。)が設立され(乙14)、翌年3月頃に、アレクサンダー氏がボーストジャパン社の株主兼取締役として経営に参画することになり(乙15)、それ以来、被請求人とアレクサンダー氏は、ボーストジャパン社における活動のみならず、現在もビジネスパートナーとして関係を継続している。
アレクサンダー氏は、被請求人と共に本件商標に係るブランドの日本における営業活動に従事していた(乙4、5)。
その後、ボーストジャパン社は活動を停止するものの、被請求人から本件商標の通常使用許諾を受けて、本件商標を付した商品(以下「BOAST商品」という。)を日本その他の国で販売している、被請求人が株主兼代表者を務めるタイの会社(Boast(Thailand)Co.,Ltd.)(以下「タイ・ボースト社」という。)が、本件商標の通常使用権者であって(以下、被請求人の主張において、当該会社を単に「本通常使用権者」という。)、日本におけるBOAST商品の販売活動を行っていた。
アレクサンダー氏は、本通常使用権者のために、日本においてBOAST商品の販売活動を行っており、その結果、フュービック社から、BOAST商品の発注を取り付けた(乙16)。
こうした中、2017年6月頃にアレクサンダー氏から被請求人が紹介を受けた人物がナガイ氏であり、本通常使用権者のために日本でBOAST商品の営業活動を行うアレクサンダー氏の指示・連絡の下で、ナガイ氏が、本通常使用権者のフュービック社に対するBOAST商品の販売につき、本通常使用権者からフュービック社に納品するBOAST商品を受領した上で、これをフュービック社に納品をする役目を担っていたことがわかる(乙4、5、16?19)。
また、上記の乙号証によれば、被請求人も、商標権者及び本通常使用権者の株主兼代表者として、アレクサンダー氏とナガイ氏が、本通常使用権者のために、日本における上記営業活動を行うことを受け入れていたことがわかる。
以上のとおり、フュービック社との取引(乙2?6)における「当事者」は本通常使用権者とフュービック社であり、アレクサンダー氏とナガイ氏は、本通常使用権者のために、日本における営業活動を行っていることは明らかであり、アレクサンダー氏及びナガイ氏が、本通常使用権者の日本における上記営業活動として、日本において本件商標を使用することについて許諾、同意していたことは明らかである。
(4)小括
以上のとおり、本件商標は、Tシャツやポロシャツといった本件商標の指定商品について使用されていたものである。
2 請求人と被請求人との間の取り決めについて
なお、本不使用取消審判の請求人と、被請求人との間で交わされた契約について述べる。
被請求人及び同人が設立した「Boast,Inc.」(現名称「Green Grass Brand Inc.」)(以下、これらの者をまとめていうときは「被請求人ら」という。)は、1973年に米国にて「BOAST」ブランドビジネスを立ち上げ、高級スポーツ衣類を販売してきたが、2010年に、被請求人らは、Branded Boast,LLC.(以下「ブランドボースト社」という。)に対し、米国登録商標等を売却し(乙11)、米国内での「BOAST」ブランドビジネスを売却した。他方で、被請求人らは、日本、タイ等の国における「BOAST」登録商標を保有し、「BOAST」ブランドビジネスを行う権利を留保していた。
その後、被請求人らとブランドボースト社間で法的紛争が生じた後、両者は、2015年11月4日に、フロリダ州南部地区連邦地方裁判所において、ブランドボースト社に対し、被請求人らの商号及び商標に係る権利について干渉してはならないという義務を課した和解契約(以下「本件和解契約」という。)を締結した(乙12)。
請求人は、2017年10月3日にブランドボースト社より「BOAST」ブランド事業を買収し、米国「BOAST」登録商標の移転を受けた(乙11)のであるから、本件和解契約に基づく義務を履行する責任を負う。
2017年12月頃、請求人は、被請求人に対し、被請求人が保有する日本及びその他の国の「BOAST」登録商標の買取りを打診し、2018年2月15日付けで秘密保持・不使用契約を締結し(乙13)協議を続けたが、合意に至ることができず、2018年3月以降、協議は中断していた。
しかし、2018年9月に、請求人は、本件商標を含む日本「BOAST」登録商標4件につき取消審判の請求を行った。かかる取消審判請求は、日本「BOAST」登録商標に係る被請求人の権利に対する干渉と考えられ、本件和解契約違反であり、また、商標の買取り交渉が思い通り進まないとみるや行ったものであり、請求人の対応は不誠実である。請求人による本件取消審判請求には、その目的の正当性も、保護されるべき法的利益も存在しない。
したがって、請求人の本件取消審判請求については、信義則違反又は権利濫用を理由として請求不成立とすることが妥当である。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の登録前3年の間において、Tシャツなどその指定商品について使用されていたものである。
また、信義則違反又は権利濫用を理由として請求不成立となるべきものである。

第4 当審の判断
事案にかんがみ、まず被請求人の主張する本件商標の使用の事実から述べる。
1 被請求人の提出に係る乙各号証及び同人主張の全趣旨を総合すれば、以下の事実が認められる。
(1)ア 被請求人は、平成24年(2012年)8月27日に設立された、衣服・雑貨・靴・鞄の製造販売、衣服・雑貨・靴・鞄の輸出入等を目的とするボーストジャパン社の代表取締役である(乙14)。また、被請求人は、タイ・ボースト社の代表者及び株主であり、現名称を「Green Grass」とする米国の会社の設立者でもある(乙12)。
イ アレクサンダー氏は、平成25年(2013年)3月31日の株主決議により、ボーストジャパン社の取締役及び株主となった(乙15)。
ウ ナガイ氏は、アレクサンダー氏の友人であり、タイ・ボースト社から発送された商品をフュービック社に納品する役目を担っていた(乙4、5、17、19)。
(2)ア 平成29年(2017年)2月及び同年6月から8月にかけて、被請求人ないしタイ・ボースト社及び「Green Grass Brand Inc.」(以下「グリーングラス社」という。)とアレクサンダー氏との間で、電子メールのやりとりがなされていた(乙4、5、16?19)。
イ 上記メールには、<1>平成29年(2017年)2月8日付けで、アレクサンダー氏がフュービック社と会い、同社から商品の注文の意思が伝えられたこと(乙16)、<2>同年6月13日付けで、アレクサンダー氏が東京で受けた注文内容をメールに添付し、中国の倉庫からの商品の搬出について提起し、また、アレクサンダー氏の友人「マサル」が該注文の受け取り及び配布を手伝うこと(乙4)、<3>同年6月27日及び7月7日付けで、フュービック社からの注文に関して、同「マサル」も介するなどして話し合いがなされていること(乙17)、<4>同年7月12日及び同月13日付けで、フュービックからの注文に係るインボイス及びコマーシャルインボイスの内容として、発送先を「マサル」の住所とするべきであるとの指摘がグリーングラス社からなされ、これを受けてナガイ氏の住所を記していること、料金支払いは電信送金となること、及び8月1日までの商品発送を予定していること(乙5)、<5>同年8月3日付けで、フュービック社がコマーシャルインボイスとその条件を確認したこと、及び中国の商品の引き取りと東京にいる仲間による配送について尋ねていること(乙18)、<6>同年8月4日付けで、注文は翌週に3つに分けてEMSで発送されること(乙19)などが記載されている。
ウ(ア)コマーシャルインボイス又はインボイスと称する書面には、乙第2号証において、「Remit Payment To」の欄に「Boast(Thailand)Co.,Ltd.」との表示、「BILL TO」及び「SHIP TO」の欄に「FUBIC CORPORATION」との表示及び日本の新宿区の住所の表示、「DATE」の欄に「7/11/2017」との表示があり、また、「STYLE」の欄に「0009J」、「3572J」、「3571J」などの表示、上記各スタイルに対応して順に、「Color」の欄に「W/RED/NAVY」ないし「W/C BLUE/NAVY」、「WHITE」、「NAVY」など、「DESC」の欄に「SHIRT」の表示があり、その他、数量等が表示されている。
また同様に、乙第3号証において、「Ship From」の欄に「William Porter St.John Jr.」並びに他社の社名と共に「Shanghai,China」及び「ship by EMS」との表示、「Bill To」及び「Ship To」の欄に「Masaru Nagai」との表示及び日本の東京都の住所の表示、「Date」の欄に「11-Jul-2017」との表示があり、また、「Style」の欄に「0009J」、「3572J」、「3571J」などの表示、上記各スタイルに対応して順に、「Description」の欄に「Men’s Knit Shirts」、「Men’s Knit Tee Shirts」の表示があり、その他、数量等が表示されている。
(イ)乙第4号証の電子メールに添付したとされる表(乙6)には、「PACKING LIST」の表示があり、「STYLE」の欄に「0009J」、「3572J」、「3571J」などの表示、上記各スタイルに対応して順に、「COLOR」の欄に「WHITE/RED/NAVY」ないし「WHITE/CAROLINA BLUE/NAVY」、「WHITE」、「NAVY」などの表示があり、その他、数量等が表示されている。
(ウ)上記の乙第2号証、乙第3号証及び乙第6号証に表示されたスタイル番号、カラー、数量等は、互いに齟齬がないものである。
(3)ア(ア)「BOAST JAPAN」、「E-mail:sales@boastjapan.jp」及び「www.boastjapan.jp」の表示がある「2019 1st EDITION」と題するカタログ(乙1)において、「0009J」の表題の下、「手摘みペルー製高級綿・・・のポロシャツ・・・」といった説明、「White Red Navy」及び「White CarolinaBlue Navy」の表示、並びにポロシャツを着用した人物の写真の掲載がある。
そして、当該ポロシャツ(以下、「0009J」のポロシャツを「使用商品1」という。)には、左胸に楓様の図形(以下「楓図形商標」という。)が表されており、また、左袖に、当該カタログの表紙等に表示された「B」の文字、「楓様の図形を内包する円形」及び「AST」を組み合わせた標章の前半部(「A」の文字まで)と思われるものを見てとることができる(乙1(5葉目)、20)。
(イ)また同様に、「3571J」の表題の下、「BOAST創業40周年記念Men’sTシャツ・・・」といった説明、「Navy」の表示及びTシャツの写真が掲載され、当該Tシャツ(以下、「3571J」のTシャツを「使用商品2」という。)には、胸元に、「B」及び「AST」の文字並びに各文字部分の間に配された「楓様の図形を内包する円形」からなる標章(以下「使用商標」という。)、左袖に楓図形商標が表されている(乙1(16、17葉目)、22)。
(ウ)さらに同様に、「3572J」の表題の下、「BOAST Tek 100%Polyester・・・T?Shirts」といった説明、「White」の表示及びTシャツの写真が掲載され、当該Tシャツ(以下、「3572J」のTシャツを「使用商品3」という。)には、左胸に楓図形商標が表されている(乙1(17葉目)、22)。
イ(ア)「Amazon」の通信販売サイトにおいて、「BOAST(ボースト)UNISEX POLOSHIRT 0009J」の表題の下、「04 WHITE/RED/NAVY」の表示及び使用商品1の写真が掲載され、当該使用商品1には、左胸に楓図形商標が表されており、また、背面の首元裏側に使用商標が表されていることを見てとることができ、「取り扱い開始日」として「2014/1/27」の記載がある(乙7、23)。
(イ)また、同様に、「【BOAST】メンズ・Tシャツ Mサイズ ネイビー 3571J」の表題の下、「Navy」の表示及び使用商品2の写真が掲載され、当該使用商品2には、胸元に使用商標が表されており、また、背面の首元裏側に使用商標、左袖に楓図形商標が表されていることを見てとることができ、「取り扱い開始日」として「2018/2/2」の記載がある(乙9、25)。
(ウ)さらに同様に、「【BOAST】メンズ・Tシャツ Mサイズ ホワイト 3572J」の表題の下、「White」の表示及び使用商品3の写真が掲載され、当該使用商品3には、左胸に楓図形商標が表されており、また、背面の首元裏側に、使用商標が表されていることを見てとることができ、「取り扱い開始日」として「2018/2/2」の記載がある(乙10、26)。
ウ 使用商品1ないし3(以下、これらをまとめて単に「使用商品」という場合がある。)に係るスタイル番号、カラー等は、前記(2)ウにいう各リストの記載内容と齟齬がないものである。
2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、前記第1(別掲)のとおり、「B」及び「AST」の文字と各文字部分の間に配された「楓様の図形を内包する円形」とからなるものであるのに対し、使用商品に付された使用商標も、「B」及び「AST」の文字と各文字部分の間に配された「楓様の図形を内包する円形」とからなるものである。
そうすると、使用商標は、本件商標と同一と認められる商標というのが相当である。なお、使用商標には、これを使用する商品の地色によって、白色で表されているものがあるが、当該白色の商標についても、商標法第70条第1項の規定により、同法第50条における「登録商標」に含むものということができる。
(2)使用商品について
使用商品1は、「ポロシャツ」であり、また、使用商品2及び3は、「Tシャツ」であるといえるところ、上記各商品は、本件審判の請求に係る指定商品中、「被服」の範ちゅうに属する商品と認められる。
(3)使用時期について
前記1(2)の事実からすれば、タイ・ボースト社は、アレクサンダー氏ないしナガイ氏に対し、日本においてフュービック社に販売されることを認識しつつ、使用商標を付した使用商品をタイ(倉庫は中国)から発送したということができ、また、アレクサンダー氏は、上記のタイ・ボースト社の取扱いに係る使用商標を付した使用商品について、ナガイ氏の協力の下、フュービック社に譲渡することを目的として、遅くとも平成29(2017)年8月に日本国内に輸入したと認めることができ、当該輸入行為は、タイ・ボースト社がアレクサンダー氏とともに行ったものというのが相当である。そして、上記輸入行為が行われた時期は要証期間(平成27(2015)年10月3日?平成30(2018)年10月2日)内である。
なお、前記1(3)に示す事実については、例えば当該カタログの頒布時期あるいは当該通信販売サイトにおける商品の販売者が必ずしも明らかでないものの、いずれにおいても使用商標の表示が認められ、当該カタログについて「BOAST JAPAN」、「E-mail:sales@boastjapan.jp」及び「www.boastjapan.jp」の表示があり、「2019 1st EDITION」と題されていることや、当該通信販売サイトにおける使用商品の取り扱い開始時期が平成26(2014)年1月又は平成30(2018)年2月であることなどからすれば、上記輸入行為が行われた時期の前後において、本件商標が日本国内において使用商品に使用されていたことを裏付ける一事情として参酌し得るものということができる。
(4)使用者について
前記1(1)及び(2)の事実からすれば、タイ・ボースト社は、被請求人(商標権者)と緊密な関係にあって、本件商標を使用する黙示の許諾を与えられていたものとみるのが自然であり、また、アレクサンダー氏は、被請求人のビジネスパートナーであって、被請求人と、日本における営業活動として本件商標を使用することについて黙示の合意があったとみて差し支えない。なお、ナガイ氏についても、アレクサンダー氏の協力者として輸入行為を行うことについて、被請求人に認められていたものということができる。
(5)小括
以上によれば、タイ・ボースト社は、本件商標の通常使用権者であって、アレクサンダー氏とともに、本件要証期間内に、本件商標と同一と認められる商標である使用商標を付した使用商品を輸入したと認めることができる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品に標章を付したものを輸入する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品について、本件商標と同一と認められる商標を使用していたことを証明したということができる。
なお、被請求人は、前記第3、2のとおり「請求人の本件取消審判請求については、信義則違反又は権利濫用を理由として請求不成立とすることが妥当である」旨も主張しているが、本件審判の請求が信義則違反又は権利の濫用であるか否かにかかわらず、上述のとおり本件商標の使用が証明されたものである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲(本件商標)




審理終結日 2020-06-29 
結審通知日 2020-07-02 
審決日 2020-07-20 
出願番号 商願2000-86306(T2000-86306) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 板谷 玲子
中束 としえ
登録日 2002-01-11 
登録番号 商標登録第4534744号(T4534744) 
商標の称呼 ボースト 
代理人 工藤 莞司 
代理人 岩波 修 
代理人 魚路 将央 
代理人 秋元 正哉 
代理人 黒川 朋也 
代理人 吉澤 大輔 
代理人 川島 麻衣 
代理人 秋元 輝雄 
代理人 長谷川 芳樹 

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