• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1368380 
異議申立番号 異議2020-900098 
総通号数 252 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-12-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-04-06 
確定日 2020-11-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第6215855号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6215855号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6215855号商標(以下「本件商標」という。)は、「THERMONE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成31年2月6日に登録出願、第25類「被服,下着,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊靴,運動用特殊衣服」を指定商品として、令和元年12月26日に登録査定され、同2年1月14日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2339497号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲1のとおり
指定商品 第9類「防火被服」、第17類「絶縁手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」
登録出願日 平成1年5月31日
設定登録日 平成3年9月30日
(2)登録第2052127号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定商品 第22類「被服用詰め綿,まくら用詰め綿,衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」
登録出願日 昭和57年7月15日
設定登録日 昭和63年6月24日
(3)登録第2339496号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 別掲3のとおり
指定商品 第9類「防火被服」、第17類「絶縁手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」
登録出願日 昭和63年7月14日
設定登録日 平成3年9月30日
(4)登録第2715892号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 THERMOREFLEX
指定商品 第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」
登録出願日 昭和60年5月2日
設定登録日 平成8年8月30日
(5)国際登録第546096号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様 THERMOSOFT
指定商品 第20類「Mattresses; pillows; cushions」、第22類「Raw textile fibers; padding materials, not of rubber or plastics, animal hair, kapok, feathers, seaweed for stuffing.」、第24類「Quilts; fabrics; padded covers for cushions; bed blankets and travel blankets; tablecloths; table napkins of textile; fabrics; household linen; sheets [textile]; table napkins of textile; table line [textile]; tapestry [wall hangings] of textile.」及び第25類「Dresses made from skins; sports dresses; men's, ladies' and children's clothing; shirts; blouses; skirts; jackets; pants; shorts; undershirts; knitwear; pajamas; socks; jerseys; bodices; garter belts; bodysuits; slippers; shoes; hats; collar protectors; scarves; neckties; raincoats; overcoats; coats; bathing suits; sports suits; anoraks; ski pants; belts; padded clothing for cold climates.」
国際商標登録出願日 2016年(平成28年)4月29日(事後指定)
設定登録日 平成29年10月27日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第47号証を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「甲第○号証」を「甲○」のように省略して記載する。
(1)商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであること
ア 本件商標と引用商標1との対比
本件商標は、「THERMONE」の文字よりなるのに対し、引用商標1は「Thermore」の文字からなるものである。両者は、大文字、小文字の文字種は異なるものの、構成文字自体では「THERMO」と末尾の「E」が共通し、末尾から二文字目が「N」と「R」である点のみ相違する。そうすると、全体としてみたとき、両者は非常に相紛らわしいものといえる。
称呼について、本件商標は、「THERMONE」の文字よりなることから、「サーモン」の称呼を生じる。一方、引用商標1は「Thermore」の文字より、「サーモア」の称呼を生じる。「サーモン」と「サーモア」の称呼を対比すると、末尾の音が「ン」と「ア」で相違するものの、他の音は共通し、末尾の音は普通弱く発音されることから、一気に称呼するときは、彼これ相紛らわしいというのが相当である。
観念については、本件商標の「THERMO」、引用商標1の「Thermo」の文字部分は、「熱」という意味の英語の接頭語であることから(甲7、甲8)、両商標は、「熱に関連する」という観念を共通にするものである。
このように、本件商標と引用商標1は、外観、称呼、観念のいずれに関しても相紛らわしい、互いに類似する商標である。
イ 本件商標と引用商標2ないし5との対比
(ア)引用商標2は「Thermore」の文字を含む商標で、これより「サーモア」の称呼を生じる。
引用商標3は「Thermore T37」の文字を含む商標で、要部は「Thermore」の文字部分にあるといえるので、この文字部分に相応した「サーモア」の称呼を生じる。
引用商標4は「THERMOREFLEX」の文字からなる商標で、申立人は引用商標1ないし4の共通点「THERMORE」のつづりを有する商標をバリエーションとして所有しており、引用商標4においてバリエーションの共通点である「THERMORE」の文字部分が要部であり、これより「サーモア」の称呼を生じる。
引用商標5は「THERMOSOFT」の欧文字からなる商標で、バリエーションで共通する「THERMO」を要部として「サーモ」の称呼を生ずる。
本件商標の称呼「サーモン」と引用商標2ないし4の称呼「サーモア」を比較すると、両者は上記アと同様の理由により、彼これ相紛らわしいというのが相当である。
また、本件商標と引用商標5の称呼との比較においても「サーモン」と「サーモ」では弱音である末尾の「ン」の音の相違のみであって、十分に相紛らわしいというのが相当である。
このように、本件商標と引用商標2ないし5は、それらを称呼したときは、彼これ相紛らわしいといわざるを得ない。
(イ)外観に関して、本件商標は、「THERMONE」の文字からなり、大文字で書されているとしても、小文字で表記される場合もあり、大文字と小文字の変換は取引において普通に行われるものであり、それによって取引に資する場合もあり得るものである。
本件商標と引用商標2及び3は、「THERMO」と末尾の「E」が共通し、末尾から2文字目が「N」と「R」である点のみ相違する。そうすると、全体としてみたとき、両者は非常に相紛らわしいものといえる。
本件商標と引用商標4及び5は、「THERMO」の文字部分を有するもので、最初の6文字が一致する。
このように、本件商標と引用商標2ないし5は、7文字又は6文字を共通にし、外観においても相紛らわしいものというのが相当である。
(ウ)観念としては、上述のように「thermo」は「熱」という意味の英語の接頭語であり(甲7、甲8)、本件商標と引用商標2ないし5とは「熱」との観念を共通に有するものといえる。
(エ)以上のことから、本件商標と引用商標2ないし5とは、外観、称呼、観念のいずれに関しても相紛らわしい、互いに類似する商標といえる。
ウ 小括
以上より、本件商標と引用商標とは外観、称呼、観念について相紛らわしい類似の商標であって、かつ、本件商標の指定商品は引用商標の指定商品のいずれかと同一又は類似であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標である。
(2)商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであること
ア 本件商標と引用商標1の類似性
本件商標と引用商標1が類似する商標であることは、上記(1)アのとおりである。
さらに、後述のように「THERMORE」商標は大文字で表記する場合もあることから(甲11?甲17)、なお更、本件商標は申立人の主張する商標と相紛らわしいというのが相当である。
イ 出所混同のおそれ
申立人は、イタリアの会社であり、イタリアミラノを拠点とする中綿素材メーカーの「Thermore spa」(以下「Thermore社」という。)の関連会社である。
Thermore社は、1972年創業の機能性中綿素材メーカーで、自社でR&D部門を設け、研究開発に力を入れている(甲9、甲10)。
Thermore社の製品には、少なくとも、「THERMORE CLASSIC」、「THERMORE THERMAL BOOSTER」、「THERMORE ECODOWN FIBERS」など6つのカテゴリーがある(甲9、甲11?甲17)。各製品は、いずれも「Thermore」の表示を冠しており、大文字で「THERMORE」と表記する場合もある(甲11?甲16)。
これら製品の直接の需要者は、一般消費者というより、衣服を製造する服飾用品メーカー、スポーツウェアメーカーなどファッション業界やスポーツ用品業界の企業であることが多い(甲18、甲46、甲47)。
「Thermore」シリーズの中綿は、断熱性、保温性に優れ、スキーを含む多くのアスリート競技や極寒でのアウトドアシーンなど幅広く使用されている。また、スポーツ用品最大手のナイキを始め多数の国内外の有カブランドに採用されている(甲10、甲18)。
「Thermore」の中綿が使用された衣服には、当該衣服のブランド名とともに「Thermore」の表示が記載されたラベルが付されている(甲18)。
Thermore社は、我が国のファッション関連の展示会「ファッションワールド東京」「IFF Magic Japan」「Jitac Tokyo」「プレミアムテキスタイルジャパン」に、少なくとも2017年3月から継続的に出展している(甲19?甲23、甲25?甲42、甲44、甲45)。
申立人は、長年にわたり引用商標を綿製詰め物材料等に広く使用しており、国内外において、需要者である衣類やスポーツウェアメーカーの間で一定の周知性を得ており、かつ、本件商標の指定商品は、申立人の業務に係る商品「衣類用の中綿等」と密接に関連するものである。本件商標がその指定商品に使用された場合、申立人の商標と関係があるものと認識し、両商標を同一事業主体又は経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者による商品であると判断されるおそれのあるものである。
このように、本件商標の商標権者が申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者であるとの誤認を生じるおそれがあることから、商品又は役務の需要者が商品又は役務の出所について混同を生じるおそれは極めて大きい。
ウ 小括
以上より、引用商標と類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証、同人の主張及び職権調査(インターネット情報など)によれば、イタリアの会社「Thermore spa」(Thermore社)は、引用商標1を使用した商品「衣類用の中綿」(以下「使用商品」という。)を我が国において少なくとも2017年(平成29年)3月ないし2019年(令和元年)11月に開催されたファッション関連の各種展示会に16回程度出展し、2020年10月に開催される展示会に出品予定であること(甲9、甲10、甲19?甲45、及び職権調査)、それら展示会の使用商品のブースには、引用商標1が大きく表示されていたこと(甲19?甲23、甲25?甲27、他)、使用商品が使用された衣服には、引用商標1が表示されたラベルが付されるものがあること(甲10及び甲18)及び使用商品の主な需要者はファッション業界やスポーツ用品業界のメーカーであることがうかがえる。
しかしながら、使用商品の我が国における売上額など販売実績を示す主張、証左は見いだせず、また、申立人とThermore社との関係、及び申立人が引用商標を使用している事実は確認できない。
さらに、引用商標2ないし引用商標5が我が国で使用されていると認めるに足りる証左は見いだせない。
イ 上記アのとおり、使用商品は、平成29年3月から2年8か月の間に16回程度ファッション関連の展示会に出展されたことがうかがえることから、ファッション業界やスポーツ用品業界のメーカーなどの需要者の間である程度知られているといえるとしても、使用商品の販売実績を示す証左は見いだせないから、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
そうすると、使用商品に使用されている引用商標1は、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人又はThermore社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
また、引用商標2ないし引用商標5は、それらが我が国で使用されていると認めるに足りる証左は見いだせないから、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において、申立人又はThermore社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり「THERMONE」の文字を標準文字で表してなり、該文字に相応し「サーモン」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが自然である。
イ 引用商標
引用商標1は、「Thermore」の文字を別掲1のとおりのデザイン化された態様で表してなり、該文字に相応し「サーモア」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが自然である。
引用商標2は、別掲2のとおりの構成からなるものであり、その構成中に表された「Thermore」の文字部分(引用商標1と同一の態様である。)が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし、該文字に相応し「サーモア」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
引用商標3は、別掲3のとおりの構成からなるものであり、その構成中に表された「Thermore T37」の文字部分(引用商標1と同様に「T」の文字の上部を伸ばし、枠を構成するようにデザイン化されている。)が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであって、さらに該文字部分中の「T37」の文字が各種商品の品番等に用いられる欧文字と数字の一類型であり自他商品識別標識としての機能がないか、極めて弱いものであるから、「Thermore」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るから、該文字に相応し「サーモア」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものと判断するのが相当である。
引用商標4及び引用商標5は、それぞれ上記2(4)及び(5)のとおり「THERMOREFLEX」及び「THERMOSOFT」の文字からなり、該文字に相応し、引用商標4は「サーモリフレックス」「サーモアフレックス」の称呼を、引用商標5は「サーモソフト」の称呼を生じ、いずれも特定の観念を生じないものとみるのが自然である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否を検討すると、まず本件商標と引用商標1を比較すれば、両者は外観上、つづりでみれば「N」と「r」の中間部の一文字が異なるのみであるが、デザイン化の有無という差異及び欧文字と小文字の差異を有し、この差異が両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は大きく、相紛れるおそれのないものと判断するのが相当である。
次に、本件商標から生じる「サーモン」と引用商標1から生じる「サーモア」の称呼を比較すると、両者は語尾において「ン」と「ア」の音の差異を有し、この差異が共に長音を含む4音という短い音構成からなる両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、彼これ聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両者は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標1は、外観、称呼において相紛れるおそれがなく、観念において比較できないものであるから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
してみれば、本件商標と引用商標2及び引用商標3も非類似の商標ということができる。
また、本件商標と引用商標4及び引用商標5とは、両者の上記のとおりの外観及び称呼は構成態様及び語調語感が明らかに異なり、また観念は比較できないから、両者の外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。
その他、本件商標と引用商標が類似するというべき事情は見いだせない。
エ 申立人の主張について
申立人は、本件商標と引用商標1の外観は大文字と小文字の差異はあるが末尾から2文字目の「N」と「R」のみの相違であるから相紛らわしい、両商標の称呼「サーモン」と「サーモア」は相紛らわしい、両商標は「熱に関連する」という観念を共通にする、引用商標2ないし引用商標5は「熱」の観念を生じる、引用商標4及び引用商標5は「サーモア」及び「サーモ」の称呼を生じるなどとして、本件商標と引用商標は外観、称呼及び観念について相紛らわしい類似の商標である旨主張している。
しかしながら、本件商標と引用商標1の外観及び称呼は上記ウのとおり相紛れるおそれのないものと判断するのが相当であり、また、観念においては「thermo」の文字が「熱」の意の接頭語であるとしても、殊更両商標が「熱に関連する」というような曖昧な観念を生じるというのは不自然である。
さらに、引用商標4及び引用商標5は、いずれもそれらの構成文字は一体に表されているものであって、上記イのとおりとみるのが自然である。
したがって、申立人のかかる主張は採用することができない。
オ 小括
以上のとおり、本件商標と引用商標は非類似の商標であるから、両商標の指定商品が同一又は類似するとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり引用商標は、申立人又はThermore社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)のとおり本件商標は、引用商標と相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人若しくはThermore社)又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものといえない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(引用商標1)

別掲2(引用商標2)


別掲3(引用商標3)


異議決定日 2020-10-30 
出願番号 商願2019-21494(T2019-21494) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W25)
T 1 651・ 262- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
T 1 651・ 261- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 和田 恵美 
特許庁審判長 中束 としえ
特許庁審判官 庄司 美和
山田 啓之
登録日 2020-01-14 
登録番号 商標登録第6215855号(T6215855) 
権利者 株式会社リベルタ
商標の称呼 サームワン、サーモン、サーモネ、テルモネ 
代理人 ▲吉▼川 俊雄 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ