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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W30 |
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管理番号 | 1368199 |
審判番号 | 取消2018-300892 |
総通号数 | 252 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2020-12-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2018-11-22 |
確定日 | 2020-10-12 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5780510号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5780510号商標の指定商品中,第30類「調理済のうどん」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5780510号商標(以下「本件商標」という。)は,「てぬきうどん」の文字を標準文字で表してなり,平成27年3月13日に登録出願,第30類「うどんのめん,調理済のうどん,電子レンジ加熱用うどんのめん,つゆつきうどんのめん,スープ付うどんのめん,乾燥うどんのめん,フリーズドライ製うどんのめん,冷凍うどんのめん,半生うどんのめん」を指定商品として,同年7月24日に設定登録されたものである。 そして,本件審判の請求の登録は,平成30年12月12日であり,当該登録前3年以内の期間である同27年12月12日から同30年12月11日までの間を,以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,その指定商品中「調理済のうどん」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)商標通常使用権許諾契約書(乙1)について ア 同号証は商標通常使用権の許諾実施契約であるが,この許諾契約書中にはその許諾の範囲を第1条(目的)の項において「指定商品第30類 商品名 うどんのめん・・・半生うどんのめん」のように「うどんのめん」関連の「めん」に対して「てぬきうどん」の商標の使用許諾をした内容であるが,かかる使用権許諾をした契約書のみでは本件商標を使用した証明とはならない。 イ 特に,この使用許諾は本件商標に対する使用許諾であり,本件商標は「てぬきうどん」の平仮名表示である。 したがって,この使用許諾の内容は漢字の「手抜き」と平仮名の「うどん」の組み合わせからなる商標の使用許諾ではないから,かかる使用許諾のみでは,契約の相手方が本件商標を使用したことにはならない。 (2)株式会社ドリームハーバー(以下「ドリームハーバー社」という。)の概要(乙2)について 同号証は使用許諾契約(乙1)の相手方であるドリームハーバー社の企業概要を示すものであり,その内容には店名としての「めんこや」で「うどん」を食するための店舗の情報を示すものである。 すなわち,同号証にはうどんを食するための店舗という飲食業以外の「うどんめん」類の原料たる麺商品に対する情報は一切記載がない。 (3)めんこや幡ヶ谷本店の店内写真(乙3)について 同号証はうどん飲食業店舗の内部の写真であるが,そこには「うどんめん」及びこれに類する「めん」類について本件商標を使用した実績を見ることはできない。 すなわち,店舗内の張り紙では「お持ち帰り」「できます」「ゆで麺生麺」を3行縦書きに書しているが,かかる「ゆで麺生麺」の商品に「てぬきうどん」の商標を付しているものではなく,上記の張り紙では単に「ゆで麺生麺」の商品を持ち帰りできるという表示をしたにすぎず,この表示の「ゆで麺生麺」が本件商標であることを認識することができる記載は一切なく,「てぬきうどん」の商標が持ち帰り商品の「ゆで麺生麺」に関する自他商品識別機能を有するということはできない。 (4)めんこや幡ヶ谷本店内で販売されている「うどんのめん」の写真(乙4)について 同号証は上記店舗で販売している「うどん麺」として「めんこや」の商品名を付した「うどん麺」のパック詰め写真である。 しかし,この「うどん麺」のプラスチック包装ケースのどこにも本件商標の表示は一切なく,本絹商標が使用されたという証拠方法とは認められない。 (5)看板の写真(乙5)について 同号証は店舗前の立て看板の写真と思われ,この立て看板には「手抜き」と「うどん」が2行に表示されている。 ア この立て看板の「手抜きうどん」の表示はあくまで店舗の表示であり個別に持ち帰り商品の「うどん麺」に対する表示ではない。 イ 本件商標に対して,一部に漢字表示を含む「手抜きうどん」の商標は,本件商標と同視され社会通念上同一と認められる商標ではない。 (6)吊り提灯の写真(乙6)について 同号証には吊り提灯に「手抜きうどん」を二段表記している。 この表記についても,乙第5号証の立て看板と全く同一の論理が通用する。 一部漢字の「手抜きうどん」は本件商標と商標法第50条第1項の登録商標の使用定義には該当しない。 (7)看板の写真(乙7,乙8)について 同号証は縦長方形の立て看板に略丸印の図形中に「めんこや」の表記をした図形標章を上部に表わし,その下方に「手抜きうどん」を二段縦書きに書した写真及びブログの写しである。 この看板表記はうどん飲食業の店舗の看板表記であり,決して「うどんめん」及びこれに類する「めん」商品の使用商標に該当しない。 また,「手抜きうどん」の一部漢字を含む表記は本件商標の使用に該当しない。 (8)食べログの記事(乙9)について 同号証は幡ヶ谷本店の食べログの記事の写しである。 この記事に掲載されたいずれのうどんの写真も調理されて店舗で食する状態で撮影されたものであり,調理済みのうどんのテイクアウト用として使用されているものではない。 いずれもうどんを店舗で食する状態の写真である。 しかも,調理されたうどんに関して使用された商標が不明であり,ましてや本件商標を使用したことを証明する写真は一切存在しない。 (9)以上のとおり,乙各号証には本件商標の平仮名表記の「てぬきうどん」と異なる「手抜きうどん」の表記しかないこと,また「手抜きうどん」の一部漢字を含む標章は全てうどん飲食業の店舗表記として使用されているものであり,本件審判の請求に係る商品「調理済うどん」に使用された根拠は全く見出し得ないこと等から,本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたということにはならない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。 1 商標通常使用権許諾契約書について 被請求人は,平成27年12月25日にドリームハーバー社に対して,本件商標の使用に関し,商標通常使用権許諾契約書を締結し,本件商標を使用することを許諾した(乙1)。 2 通常使用権者について 通常使用権者であるドリームハーバー社は,うどん店の直営店の運営並びにうどん店のフランチャイズ事業の開発及び運営を行っている会社である。うどん店の直営店の名称は「めんこや」と称し,幡ヶ谷本店,五反田店,京王閣店,高円寺店,亀有店において調理したうどんを提供するとともに店内で「うどんのめん」の販売,並びに「調理済うどん」のテイクアウトを行っている(乙2?乙4,乙9)。 また,ドリームハーバー社は,幡ヶ谷本店,高円寺店をはじめとするいくつかの店舗において,商標「手抜きうどん」を記載した看板を店の前に掲げて,または,商標「手抜きうどん」を記載した提灯を店の前に掲げて,営業を行っていた(乙5?乙7)。そして,ドリームハーバー社は,少なくとも平成29年11月には商標「手抜きうどん」を使っていたことは明らかである(乙8)。 3 商標の同一性について 本件商標が,標準文字で横一列に「てぬきうどん」を表したものであるのに対して,ドリームハーバー社の使った商標「手抜きうどん」は「てぬき」部分が「手抜き」と漢字とひらがなで表され,さらに全体が「手抜き」文字部分と「うどん」文字部分とが2列に横書きに表したものである点が異なっている。外観的には若干の違いがあるが,両商標ともに称呼は「てぬきうどん」であり,生じる観念は「手間を省いたうどん,簡単に調理できるうどん」というものであり,需要者からみたら誤認又は混同する標章である。よって,商標「手抜きうどん」は,本件商標と社会通念上同一である。 4 指定商品について ドリームハーバー社は直営店である「めんこや」において,「調理済のうどん」のテイクアウトを行っており,よって,本件商標に係る指定商品のうち「調理済のうどん」について本件商標を使っている(乙3,乙4,乙9)。 5 結論 以上のように,要証期間に,本件商標に係る通常使用権者が,社会通念上同一の商標「手抜きうどん」を使用していたことから,不使用取消審判の請求には根拠がないことが明らかである。 第4 当審の判断 1 被請求人が提出した証拠によれば,以下のとおりである。 (1)本件商標権者とドリームハーバー社は,平成27年12月25日付けで本件商標について,通常使用権許諾契約を締結し,同契約は現在も有効に存続している(乙1)。 (2)ドリームハーバー社のウェブサイト(乙2)には,「住所 東京都渋谷区幡ヶ谷1-2-7」,「代表者名 K」,「事業内容 うどん店の直営店運営,うどん店のフランチャイズ事業・開発・運営」,「めんこや 幡ヶ谷本店」の記載がある。 (3)めんこや幡ヶ谷店内で販売する商品について ア めんこや幡ヶ谷本店の店内写真(乙3)には,張り紙に「お持ち帰り」「できます」「ゆで麺生麺」の文字が3行縦書きされている。 イ 「うどん麺」の包装ケースの写真(乙4)には,「めんこや」の紙片が輪ゴムでとめられている。 ウ 「食べログ」のウェブサイトにおける「手打ちつけうどん めんこや 幡ヶ谷本店」のページには,「サービス」として「お祝い・サプライズ可,テイクアウト」の記載がある(乙9) (4)店前の看板及び店頭の提灯の写真について ア 「手抜きうどん」が表示された看板,提灯の写真(乙5?乙7)は,その撮影日及び撮影場所は確認できない。 イ 「rocketnews24」のウェブサイト(平成29年11月19日)には,「『さぬきうどん』かと思ったら『手抜きうどん』だったでござる!どれだけ手を抜いてるのか,たしかめてみたッ!!」の見出しの下,「手抜きうどん」が表示された看板の写真とともに,店名「めんこや高円寺店」の記載がある(乙8)。 2 判断 (1)使用者について 上記1(1)によれば,本件商標権者は,ドリームハーバー社に対し,本件商標を取消請求に係る商品に使用する通常使用権を許諾していることから,ドリームハーバー社は,本件商標の通常使用権者と認められる。 (2)「調理済のうどん」の販売について ア 被請求人は,ドリームハーバー社は直営店である「めんこや」において,「調理済のうどん」のテイクアウトを行っている旨主張する。 しかし,めんこや幡ヶ谷本店において持ち帰り用の「ゆで麺生麺」があることを,うかがうことはできるが,本件審判の請求に係る指定商品「調理済みのうどん」とは,うどんのスープや具材とともにうどんが調理されていて,そのまま食することができるテイクアウト用の商品が該当することから,上記写真掲載商品(乙4)は「調理済のうどん」ということはできない。 また,「食べログ」の「めんこや幡ヶ谷本店」のページにはサービスとして「テイクアウト」の記載があるものの,当該店舗において,本件商標が使用されている事実は認められない。 したがって,通常使用権者が,要証期間内に「調理済のうどん」に本件商標を付して上記店内で販売したと認めることはできない。 イ 店舗における看板,提灯について 被請求人は,幡ヶ谷本店,高円寺店をはじめとする店舗において「手抜きうどん」を記載した看板,提灯を掲げて営業を行っていた旨主張する。 しかしながら,これらの店舗において,通常使用権者が,要証期間内に「調理済のうどん」を販売した証拠は見いだすことはできず,本件商標を使用していたと認めることもできない。 したがって,通常使用権者が,これらの店舗において,要証期間内に「調理済のうどん」を販売していたと認めることはできない。 ウ 小括 以上のとおり,通常使用権者が,要証期間内に,同人の経営するうどん店において本件商標を使用して「調理済のうどん」を販売していたと認めることはできない。 3 むすび 以上のとおり,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。 また,被請求人は,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2020-08-18 |
結審通知日 | 2020-08-21 |
審決日 | 2020-09-01 |
出願番号 | 商願2015-22736(T2015-22736) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(W30)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 早川 真規子 |
特許庁審判長 |
岩崎 安子 |
特許庁審判官 |
平澤 芳行 大森 友子 |
登録日 | 2015-07-24 |
登録番号 | 商標登録第5780510号(T5780510) |
商標の称呼 | テヌキウドン、テヌキ |
代理人 | 橘 祐史 |