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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W42
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W42
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W42
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W42
管理番号 1367162 
異議申立番号 異議2019-900341 
総通号数 251 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-11-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2019-11-22 
確定日 2020-09-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第6175193号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6175193号商標の指定役務中,第42類「生徒・受講生等の受講状況・授業の進捗状況・学習の進捗状況その他の情報を管理するための電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供」についての商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第6175193号商標(以下「本件商標」という。)は,「iチューター」の文字を標準文字で表してなり,平成30年9月14日に登録出願,第42類「生徒・受講生等の受講状況・授業の進捗状況・学習の進捗状況その他の情報を管理するための電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供」を含む,第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として,令和元年7月24日に登録査定され,同年8月30日に設定登録されたものです。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立ての理由として引用する登録第5716518号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成26年6月30日に登録出願,第9類「コンピュータプログラム(記憶されたもの又はダウンロード可能なもの),電子計算機用プログラム,音声・画像・映像・文字情報を記憶させた記録媒体,通信ネットワークを通じてダウンロードが可能な音声・画像・映像・文字情報」を指定商品として,同年11月7日に設定登録され,現にその商標権は有効に存続しているものである。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により取り消されるべきある旨申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標との類否
本件商標は,「iチューター」の欧文字と片仮名を書してなるものであるから,これより「アイチューター」の称呼を生ずることが明らかである。
他方,申立人が引用する引用商標は,「iTutor」の欧文字を横書きし,その左に「i」と「十」を図案化した図形からなるものであるから,文字部分である「iTutor」から「アイチューター」の称呼が生ずる。
よって,本件商標と引用商標は,共に「アイチューター」の称呼を生じることから,その称呼において類似する商標である。
イ 本件申立役務と引用商標の指定商品との類否について
本件商標と引用商標は,上記のとおりの構成であるところ,本件商標の第42類「生徒・受講生等の受講状況・授業の進捗状況・学習の進捗状況その他の情報を管理するための電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供」(以下「本件申立役務」という。)は,「電子計算機用プログラムの提供」に属する役務である。
(ア)引用商標の指定商品「電子計算機用プログラム」と,本件商標に係る「電子計算機用プログラムの提供」は類似関係にあると考えられ,「類似商品・役務審査基準[国際分類第11-2019版対応](特許庁)」において,第9類「電子計算機用プログラム」では,「(備考)『電子計算機用プログラム』は,第42類『電子計算機用プログラムの提供』に類似と推定する。」とされ,第42類「電子計算機用プログラムの提供」では,「(備考)『電子計算機用プログラムの提供』は,第9類『電子計算機用プログラム』に類似と推定する。」とされている。
(イ)商品及び役務間での類否を判断する際の基準である「商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか」について,今日のICT分野のビジネスでは,商品としての「電子計算機用プログラム」と,役務としての「電子計算機用プログラムの提供」は,我が国の数多くの事業者(企業)において同時に取り扱われているという事実がある(甲4?甲7)。
(ウ)「商品と役務の用途が一致するかどうか」について,本件申立役務に係る「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」の用途は,いずれも,電子計算機用プログラムの提供を受けるか,購入することによって,電子計算機用プログラムを使用して,コンピュータ処理を実行するものであるから,その用途は共通するものといえる。
(エ)「需要者の範囲が一致するかどうか」については,本件申立役務に係る「電子計算機用プログラムの提供」の需要者と「電子計算機用プログラム」を購入する需要者は,ともに,電子計算機用プログラムを使用するユーザーであって,需要者の範囲は共通するものといえる。
(オ)上述したとおり,「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」は,事業者を共通にする事実があること,その用途が共通すること,需要者の範囲が一致すること等から,「電子計算機用プログラム」と「電子計算機用プログラムの提供」に,本件商標及び引用商標を使用した場合は,同一営業主の製造・販売又は提供に係る商品又は役務と誤認される,すなわち出所の混同が生じると考えられる。
(2)むすび
上述したとおり,本件商標は引用商標と類似するものであり,また,その指定役務も引用商標の指定商品と類似するものである。
したがって,本件商標登録は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

4 当審における取消理由の要旨
当審において,本件商標権者に対し,「本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を令和2年2月21日付けで通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

5 商標権者の意見
上記4の取消理由に対し,商標権者は,何ら意見を述べるところがない。

6 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標との類否について
(ア)本件商標
本件商標は,「iチューター」の文字よりなるところ,その構成文字より「アイチューター」の称呼を生じ,当該文字は,辞書等に載録されていない語であるから,一種の造語とみるのが相当である。
したがって,本件商標からは,「アイチューター」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(イ)引用商標
引用商標は,別掲のとおり,黒色円形の中に白抜きで欧文字の「i」をややレタリングした文字とその右下に小さい黒色円形が約半分ほど左側の図形に入り込んでおり,その中に白抜きの円形の中に黒色の「+」の記号を表した構成よりなるもの(以下「図形部分」という。)であり,その右側に間隔を空けて「iTutor」の文字(以下「文字部分」という。)を横書きしてなるところ,外観においては,図形部分と文字部分との間には,間隔があり,視覚上分離されて看取され,称呼及び観念においては,つながりや関連性が認められないものであるから,図形部分と文字部分は,それぞれが自他役務識別標識としての機能を有するものとみるのが相当である。
そして,当該文字部分は,辞書等に載録されていない語であるから,一種の造語とみるのが相当であって,特定の観念を生じないものである。
また,欧文字よりなる造語の場合は,我が国で一般に普及したローマ字又は英語の読みに倣って称呼されるものであるから,本件商標は,英語の読みに倣って「アイチューター」又は「イチューター」の称呼を生じるものである。
さらに,図形部分については,特定の事物を表したものとは認められないから,称呼及び観念を生じないとみるのが相当である。
したがって,引用商標からは,「アイチューター」又は「イチューター」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(ウ)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると,まず,外観においては,本件商標の語頭の「i」の文字と引用商標の文字部分の語頭の「i」の文字を共通にし,本件商標の「チューター」の文字部分は,引用商標の文字部分の「Tutor」の文字部分の読みを片仮名で表したものと同じであることから,外観上,近似した印象を与えるものである。
次に,称呼においては,本件商標からは「アイチューター」の称呼を生じ,引用商標からは,「アイチューター」又は「イチューター」の称呼を生じるから,両者は,称呼上,「アイチューター」の称呼を同一にするものである。
さらに,観念においては,両者とも,造語であって,特定の観念を生じないから,比較することができない。
以上のことからすると,両者は,観念において比較できないとしても,外観において近似した印象を与え,称呼において同一にすることから,これらを総合的に考慮すれば,本件商標と引用商標とは,互いに紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
イ 本件商標の指定役務と引用商標の指定商品との類否について
(ア)本件商標の指定役務及び引用商標の指定商品は,それぞれ,上記1及び2のとおりであるところ,本件申立役務と引用商標の指定商品中の第9類「コンピュータプログラム(記憶されたもの又はダウンロード可能なもの),電子計算機用プログラム」(以下「引用商品」という。)との類否について検討する。
(イ)役務の提供と商品の製造・販売が同一事業者によって行われている実情について
以下のaないしdのように,コンピュータソフトウェアの提供とコンピュータソフトウェアの製造・販売が同一事業者によって行われている事実がある。
a 「マイクロソフト コーポレーション」のウェブサイトにおいて,「あなたのための365」の見出しの下,「Office 365は,現代の働き方に最適なツールを集めたクラウドベースのサブスクリプションサービスです。ExcelやOutlookなどのアプリに加えて,OneDriveやMicrosoft Teamsなどのクラウドサービスも利用できるOffice 365ならば,場所や使うデバイスを問わず誰もが創造性を発揮し,情報を共有することができます。」の記載がある(甲3)。
b 「富士通株式会社」のウェブサイトにおいて,「富士通のソフトウェア」の見出しの下,「OAソフトウェア」及び「グラウトサービス」の記載がある(甲5)。
c 「日本電気株式会社」のウェブサイトにおいて,「ソリューション・サービス」の「NEC Cloud Solutions」の見出しの下,「ラインナップ」の項に,「アプリケーションサービス(SaaS)」の記載があり(甲6),同社のウェブサイトにおいて,「製品」の見出しの下,「ソフトウェア」の項に,各種ソフトウェアが記載されている(甲7)。
d 「デジタルアーツ株式会社」のウェブサイトにおいて,「『i-フィルターforマルチデバイス』ラインナップ」の見出しの下に,「年額版」,「1台用・3年版」,「1台用・2年版」,「月額版」,「1台用・月額版」等の記載があり,それぞれに「ご利用期間」,「価格(税込)」の記載がある。
また,「かんたん3ステップ!ご利用までの流れ」の見出しの下,「STEP1/ユーザー登録/お客さま情報の登録とシリアルIDの発行」,「STEP2/ダウンロード/お客さま情報の登録完了後,ご利用になる端末に『i-フィルター』をダウンロード」及び「STEP3/インストール/ダウンロードした『i-フィルター』をインストール後,フィルタリングを設定すれば,ご利用開始!」の記載がある。
(https://www.daj.jp/cs/lp/md/001/a/?gclid=EAIaIQobChMIq7fl3NTN5wIVVLaWCh1-_QGYEAAYASAAEgLpivD_BwE)
また,「Amazon」のウェブサイトにおいて,「i-フィルター6.0」の見出しの下,「デジタルアーツ」,「ダウンロード版」,「パッケージ版」の記載,「動作環境」の項に「メディア:CD-ROM」,「商品の数量:1」の記載がある。
(https://www.amazon.co.jp/%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%84-i-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC-6-0/dp/B0049684BI)
(ウ)役務と商品の用途について
本件申立役務と引用商品の用途は,いずれも,電子計算機用プログラムの提供を受けるか購入することにより,電子計算機用プログラムを使用して,コンピュータ処理をするものであるから,その用途は共通するものといえる。
(エ)需要者の範囲について
本件申立役務の係る需要者と引用商品に係る需要者とは,ともに,電子計算機用プログラムを使用するユーザーであって,需要者の範囲は共通するものといえる。
(オ)上記(イ)ないし(エ)のとおり,「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」は,事業者を共通にする事実があること,その用途が共通していること及び需要者の範囲を共通にするものであること等から,これらに同一又は類似する商標を使用した場合には,取引者,需要者をして,その出所について誤認混同するものといわざるを得ない。
(カ)以上を総合勘案すれば,本件申立役務と引用商品は,互いに類似するものと認められる。
ウ 小括
上記アのとおり,本件商標と引用商標は類似する商標であって,上記イのとおり本件申立役務と引用商品は,互いに類似する役務と商品であるといわなければならい。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)むすび
以上のとおり,本件商標は,その指定役務中,第42類「生徒・受講生等の受講状況・授業の進捗状況・学習の進捗状況その他の情報を管理するための電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供」について,商標法第4条第1項第11号に該当し,その登録は同条第1項に違反してされたものと認められるから,その余の申立ての理由について論及するまでもなく,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲
別掲(引用商標)




異議決定日 2020-07-22 
出願番号 商願2018-117309(T2018-117309) 
審決分類 T 1 652・ 263- Z (W42)
T 1 652・ 262- Z (W42)
T 1 652・ 261- Z (W42)
T 1 652・ 264- Z (W42)
最終処分 取消  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 小俣 克巳
榎本 政実
登録日 2019-08-30 
登録番号 商標登録第6175193号(T6175193) 
権利者 株式会社メック
商標の称呼 アイチューター、チューター 
代理人 澤邉 由美子 
代理人 特許業務法人スズエ国際特許事務所 

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