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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W3540
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W3540
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない W3540
管理番号 1362530 
審判番号 不服2019-4244 
総通号数 246 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2020-06-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2019-04-02 
確定日 2020-05-14 
事件の表示 商願2017-142632拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「雪室仕込み」の文字を横書きしてなり,第35類「商品の展示会の企画・運営及び開催,広告業,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査又は分析,商品の販売に関する情報の提供,飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第40類「食料品の加工,食料品の加工に関する情報の提供,食料品の加工の媒介又は取次ぎ,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の貸与,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の貸与に関する情報の提供,家庭用暖冷房機の貸与,家庭用暖冷房機の貸与に関する情報の提供,家庭用加湿器の貸与,家庭用加湿器の貸与に関する情報の提供,家庭用空気清浄器の貸与,家庭用空気清浄器の貸与に関する情報の提供,発電機の貸与,発電機の貸与に関する情報の提供,ボイラーの貸与,ボイラーの貸与に関する情報の提供,業務用加湿器の貸与,業務用加湿器の貸与に関する情報の提供,業務用空気清浄器の貸与,業務用空気清浄器の貸与に関する情報の提供,業務用暖冷房装置の貸与,業務用暖冷房装置の貸与に関する情報の提供」を指定役務として,平成29年10月27日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,『雪室仕込み』の文字を表してなるところ,その構成中の『雪室』の文字は『冬の間,降り積もった雪で山をつくり,藁などをつかって雪を囲い,夏まで貯蔵して活用する天然の貯蔵庫。』等の意味を有する語であり,また,『仕込み』の文字は『酒や味噌・醤油などの醸造で,原料を混ぜて桶などにつめること。』の意味を有する語である。そして,飲食料品を取り扱う業界においては,雪室を利用して発酵・熟成させる方法によりつくられた商品を『雪室仕込み』と称し取引が行われている実情が出願人に関連する企業以外にも認められる。そうすると,本願商標を,その指定役務中,第40類『食料品の加工,食料品の加工に関する情報の提供,食料品の加工の媒介又は取次ぎ,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の貸与,食料加工用又は飲料加工用の機械器具の貸与に関する情報の提供』に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,『雪室を利用して食料品を加工するための役務』であること,すなわち,単に役務の質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきであるから,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。また,本願商標を,その指定役務中,第35類『飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』に使用した場合,これに接する取引者,需要者は,『雪室で仕込まれた商品に係る小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』程の意味合いを表したものと理解するに止まり,自他役務の識別標識としての機能を有しないとみるのが相当であるから,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認められる。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知及びそれに対する請求人の対応
当審において,本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するか否かについて,職権に基づく証拠調べをした結果,別掲1及び別掲2に示すとおりの事実を発見したので,同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき,請求人に対して,令和元年11月18日付け証拠調べ通知書によって通知し,期間を指定してこれに対する意見を求めた。
しかしながら,請求人は,上記証拠調べ通知に対し,何ら意見を述べていない。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号が,その役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途,数量,態様,価格又は提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標について商標登録の要件を欠くと規定しているのは,このような商標は,指定役務との関係で,その役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他役務の識別力を欠くものであることによるものと解される。そうすると,本願商標が商標法3条1項3号に該当するというためには,本件審決の時点において,本願商標がその指定役務との関係で役務の提供の場所,質,提供の用に供する物,効能,用途その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり,本願商標がその指定役務に使用された場合に,将来を含め,指定役務の取引者,需要者によって役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される。(知財高裁平成26年(行ケ)第10056号,平成26年8月6日判決参照)。
(2)本願商標について
ア 本願商標は,上記第1のとおり,「雪室仕込み」の文字を横書きしてなるところ,その構成文字は,標準的な明朝体の書体で表したものであるから,本願商標は,「雪室仕込み」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章であるといえる。
イ 本願商標の構成中の「雪室」の文字は,「大量の雪を入れて温度を低く保つようにしたむろ。」の意味を有する語として,「仕込み」の文字は,「酒,みそ,しょうゆなどの原料を調合して,醸造するように桶(おけ)などにつめこんでおくこと。また,鮨(すし)などを,味が出るように漬けておくこと。ならすこと。」及び「(場所などを示す名詞に付いて接尾語的に用いる。多く『じこみ』の形をとる)その場所で身につけたこと,得たこと,作られたこと,また,そのものの意を表す。」の意味を有する語として,いずれも国語辞典に載録された語である(別掲1)。
そうすると,本願商標は,「雪室」及び「仕込み」の2語からなる結合商標として理解されるものであり,その言語構成及び上記した「雪室」及び「仕込み」の文字の語義からすれば,全体として,「大量の雪を入れて温度を低く保つようにしたむろ(雪室)で作られたこと」の意味合いが容易に理解されるものである。
(3)指定役務との関係における,「雪室」の利用状況及び「雪室仕込み」,「雪室」,「仕込み」の各文字の使用状況について
当審における職権調査によれば,以下の事実が認められる。
ア 「雪室」の利用状況
本願の指定役務中,別掲3及び別掲4の役務と関係の深い飲食料品を取り扱う業界においては,雪室の機能や特性が注目され,雪室に様々な飲食料品(酒,野菜,果物,肉,米,そば,漬物,みそ,珈琲等)等を相当の期間保存することで,熟成,鮮度保持,食味向上など,商品の付加価値を高めることが一般に行われている(別掲2(1)及び(2))。
イ 「雪室仕込み」の文字又は「雪室」,「仕込み」の文字の組合せの使用状況
「雪室仕込み」の文字又は「雪室」,「仕込み」の文字の組合せは,本願の指定役務中,別掲3及び別掲4の役務と関係の深い飲食料品(りんご,じゃがいも,酒,米,そば,漬物,みそ)との関係において,例えば,「県内有数の豪雪地である町の農林産物保管庫『雪室』でじっくり熟成した。ジャガイモは甘みを増し,リンゴはみずみずしい。『雪室仕込み』のおいしさを広く知ってもらおうと,・・・販売を始めた。」,「山形県飯豊町のいいで雪室研究所が同町松原に建設していた雪室が完成し・・・雪室を利用することで,農産物や加工品の時期をずらした出荷が可能となる上,酒などは『雪室仕込み』のような付加価値を加えることも期待できるという。」,「米沢市 雪室に貯蔵の日本酒やソバを搬出 日本酒,熟成されまろやか・・・雪室仕込みの日本酒とソバは,二十五日の試飲,試食会で関係者らに振る舞われる。・・・同社は雪室仕込みに本格的に取り組み・・・山形おきたま農協などが試験用にコメやソバなどを入れていた。」,「昨年から『夏の雪室まつり』が開催され,雪室仕込みのじゃがいもの試食・販売や雪室見学が行われ好評を得ています。」,「七ヶ宿産こだわりの農産物が雪室でさらに熟成しています。鮮度が保たれ,甘みが増すこともあると言われている雪室。雪室で鮮度を保ち,長期間の出荷が可能になりました。」,「宮城県内唯一の雪室で鮮度が保たれ,町内の直売所には雪室仕込みの新鮮でおいしい農林産物が並んでいます。」,「新潟の郷土漬物の山海漬とハリハリ漬(切干漬)。雪深い新潟の天然の冷蔵庫『雪室(ゆきむろ)』で低温熟成することでまろやかに仕上げた酒粕や醤油を使用した雪室仕込みの新商品です。」,「雪室とは,雪が多いからこそできる天然の冷蔵庫のようなものです。毎年,地元の酒蔵さんのお酒やお米などと一緒に,この中へ味噌を仕込み入れます。」のように,その飲食料品等が,熟成,鮮度保持,食味向上など,商品の付加価値を高める目的により雪室で保存された商品であることを表示記述する語として,普通に使用されている実情がある(別掲2(1))。
ウ 「仕込み」の文字の使用状況
「仕込み」の文字は,本願の指定役務中,別掲3及び別掲4の役務と関係の深い飲食料品(酢,しょうゆ,漬物,米,酒,乾めん)との関係において,例えば,「木桶仕込みの酢やしょうゆなどをそろえる。・・・木桶で醸した酢やしょうゆは,金属タンクで造られるものに比べて風味が豊かで味もまろやか。」,「赤カブ:杉だる仕込み,おいしく・・・杉だる仕込みにこだわっている。木製のたるは微量の酸素を透過させ,乳酸菌や酵母菌の活動を促すという。」,「雪や井戸水の冷熱を利用したコメの倉庫を一億七千万円かけて建設。・・・この『雪蔵仕込み』には雪を使うことで米の品質の低下を抑えるメリットもある。」,「木槽仕込み芋焼酎完成 香りよくまろやか・・・焼酎の仕込みにはほうろうタンクやかめが使われるが,同社では,保温性や保湿性が高く発酵が穏やかに進むという特性を持つ木槽を使い,より良い酒質の焼酎を完成させた。」,「・・・地場産のソバを雪室で貯蔵した『雪蔵仕込み』の乾めん。豪雪を逆手にとった雪室で玄ソバを保管し,『低温で熟成された,しっとりした風味』が特徴だ。」,「木桶仕込みの醤油」,「焼酎を知る/かめ壺仕込みって何?・・・かめ壺で仕込む焼酎はまろやか!」,「洞窟仕込み焼酎・・・静かな洞窟の中は・・・焼酎の貯蔵には最適な環境です。これにより,芋本来の甘味や芳醇な香りに加え,女性にも飲みやすい柔らかい飲み口を実現しました。」のように,「木桶」,「杉だる」,「雪蔵」,「木槽」,「かめ壺」,「洞窟」等どの場所などを示す名詞に付いて接尾語的に,その飲食料品が,熟成,食味向上等の目的によりその場所で保存された商品であることを表示記述する際に,普通に使用されている実情がある(別掲2(3))。
(4)上記(2)及び(3)のとおり,本願商標は,その言語構成,「雪室」及び「仕込み」の文字の語義並びに本願の指定役務中,別掲3及び別掲4の役務と関係の深い飲食料品等の分野における「雪室」の利用状況及び「雪室仕込み」,「雪室」,「仕込み」の各文字の使用状況などを勘案すれば,その指定役務中,別掲3の役務,すなわち,第40類「食料品の加工,食料品の加工に関する情報の提供,食料品の加工の媒介又は取次ぎ」の役務の取引者及び需要者によって,「雪室で保存することにより,食料品の熟成,食味向上等の加工をすること」程の意味合いを表す語として認識されるものであると認められる。
そうすると,本願商標は,その指定役務中,第40類に属する上記役務に使用されたときは,その役務が「雪室で保存することにより,食料品の熟成,食味向上等の加工をする役務」であるという役務の質を表示記述するものとして一般に認識されるものであって,取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適切でないとともに,自他役務の識別力を欠くものであるというべきである。
そして,上記(2)アのとおり,本願商標は,「雪室仕込み」の文字を普通に用いられる方法で表示する標章であるといえる。
したがって,本願商標は,その指定役務中,第40類「食料品の加工,食料品の加工に関する情報の提供,食料品の加工の媒介又は取次ぎ」との関係においては,その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として,商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標法第3条第1項第6号該当性について
上記1(2)及び(3)のとおり,本願商標は,その言語構成,「雪室」及び「仕込み」の文字の語義並びに本願の指定役務中,別掲3及び別掲4の役務と関係の深い飲食料品等の分野における「雪室」の利用状況及び「雪室仕込み」,「雪室」,「仕込み」の各文字の使用状況などを勘案すれば,その指定役務中,別掲4の役務,すなわち,第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務の取引者及び需要者によって,その小売等役務の取扱商品が「雪室で保存し,熟成,食味向上,鮮度保持等されたもの」程の意味合いを表す語として認識されるものであると認められる。
したがって,本願商標は,その指定役務中,第35類に属する上記役務に使用されたときは,その役務の取扱商品が「雪室で保存し,熟成,食味向上,鮮度保持等されたもの」であるという役務の取扱商品の品質(特徴)を表示記述するものとして一般に認識されるものであって,何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標というべきであるから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
3 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
(1)請求人は,本願商標の使用状況に照らせば,本願商標は,指定役務との関係において,自他役務識別標識としての機能を発揮するものである旨主張し,証拠として,当審において資料1ないし資料28を提出している(以下,当該証拠を,甲第1号証ないし甲第28号証と読み替える)。
請求人は,本願商標が使用による自他役務識別力を獲得したとして,商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張しているものと解されるので,本願商標が,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至っているか否かについて,以下検討する。
(2)請求人の提出に係る証拠及びその主張によれば,次の事実が認められる。
ア 請求人について
(ア)請求人は,平成2年に,雪国の持つ地域資源を活用し,自然エネルギーの利用を推進すること等を目的として,「財団法人雪だるま財団」を設立し,平成23年に,現在の「公益財団法人雪だるま財団」に設立登記したものである(甲1,甲2)。
(イ)請求人については,「にいがたの現在・未来/センター月報 November2011 NO.457」(平成23年10月27日 財団法人新潟経済社会リサーチセンター発行)の雑誌のインタビュー記事において,「雪室を利用した食ブランドへの取り組みも活発ですね。」の項に「当財団は,現在2つの食ブランド事業に関わっています。まず2006年に地元上越市の食品関連業者による『上越・雪室仕込み』,10年には県内全域に対象を広げた『越後雪室屋』というブランドの開発に関わりました。事業では,県内食品業者の取り扱う米,味噌,蕎麦,茶,コーヒー,清酒,ワイン,精肉など,様々な食材に,雪室保存による特性を活かし,新たな付加価値をつけて販売する取り組みが行われています。」と紹介されている(甲20)。
(ウ)請求人は,平成27年12月に発足した「雪室推進プロジェクト」の事務局であり,当該プロジェクトは,雪室を中心とした雪の利活用を通じて,地域資源を見直し,雪室商品や雪下・雪室野菜を特産品に成長させ,地域の発展に貢献していくこと等を目的とし,代表,副代表,理事,事務局及びメンバーの48法人からなるものである(甲3)。
イ 「雪室仕込み」の文字の使用について
(ア)有限会社内山農産(以下「内山農産」という。)に係る商品についての使用
a 「雪室推進プロジェクト」のウェブサイトにおいて,商品「みそ」が,「上越雪室仕込み【みそ八百】850g/有限会社 内山農産」の記載とともに紹介されている。なお,内山農産は,同ウェブサイトにおいて,「雪室推進プロジェクト」のメンバーとして記載されている(甲3)。
b 内山農産のウェブサイトにおいて,「上越雪室仕込み【みそ八百】850g」の見出しの下,商品「みそ」が,「・・・上越市安塚区の雪中貯蔵施設『雪むろ』でじっくり寝かせて熟成させました。・・・雪室の内部は低温多湿(温度0?5℃,湿度89?95%)の室内環境が保たれており,雪室で寝かせることで,味噌は適度にゆっくりと発酵します。」の商品説明の記載とともに,販売されている(甲13)。
(イ)株式会社上越フルーツ(以下「上越フルーツ」という。)に係る商品についての使用
a 上越フルーツに係る商品「じゃがいも」に添付するラベルシール案(甲4,甲5)には,「雪室仕込み/じゃが芋/上越フルーツ」及び「越後/雪室屋」の文字並びに「雪の冷気を使った貯蔵庫『雪室』の中で寝かせることで,野菜本来の味を最大限引き出しました。」の文章の記載があり,同社の商品写真(甲6)には,「雪室仕込み/じゃが芋」及び「越後/雪室屋」等の文字並びに「雪のちからで冷やす天然の冷蔵庫『雪室』の中で寝かせることで野菜本来の味を引き出しました。」の文章が記載されたラベルシールが包装に添付されたじゃがいもの画像が掲載されている。
b 上越フルーツのウェブサイトにおいて,2018年(平成30年)7月20日付けの記事として,「弊社では数年前より『雪室(ゆきむろ)』を使った野菜や果物の熟成を行っています。鮮度が大切な野菜や果物ですが,雪の力で美味しくなったりマイルドになったり臭みが弱くなったりする効果があります。先日,そんな雪室仕込み野菜の特徴を活かした料理を教える野菜ソムリエの・・・」の記載がある(甲12)。
c 平成30年8月18日及び同月19日に開催されたイベント「雪室サマーフェスタ in 上越妙高」(「雪室推進プロジェクト」主催)に関するウェブサイトにおいて,上記のイベント開催の2日間,株式会社上越フルーツ(以下「上越フルーツ」という。)が「雪室仕込野菜,雪室りんご・みかんジュースなど」を販売する旨紹介されている(甲11)。なお,上越フルーツは,「雪室推進プロジェクト」のウェブサイトにおいて,「雪室推進プロジェクト」の副代表として記載されている(甲3)。
d 「上越フルーツ/楽天市場店」のウェブサイトにおいて,「雪室仕込みじゃが芋/『雪室』でじゃが芋を貯蔵する事でコクが生まれ糖度は約2倍の美味しさに」の見出しの下,「・・・北海道産他 雪室仕込みじゃが芋(LM?2L)10kg 上越フルーツ」の記載とともに,商品「じゃがいも」が販売されている(甲21)。
(ウ)株式会社自然芋そばに係る商品についての使用
株式会社自然芋そば(以下「自然芋そば社」という。)に係るものとされる商品カタログにおいては,「雪室仕込み生そばと上越の名産品セット」の見出しの下,「雪室貯蔵の『雪室そば』は,・・」の文字とともに,商品「そば」が紹介されており,同社のウェブサイトにおいては,「雪室そばセット」の見出しの下,「雪室(ゆきむろ)仕込みの生そばと,上越の名産品をセット!」の記載とともに,商品「そば」が販売されている(甲7)。なお,自然芋そば社は,「雪室推進プロジェクト」のウェブサイトにおいて,「雪室推進プロジェクト」の理事として記載されている(甲3)。
(エ)雪室を使った食品のブランド事業に関する使用
a 平成18年12月に発行とされる「新潟日報」において,「保存や熟成に冷熱活用/雪室ブランド旗揚げ/酒,ワイン,そば・・・全国へ」の見出しの下,「上越市内の企業など16事業所が,保存や熟成に雪室を使った食品の統一ブランド『上越・雪室仕込み』を4日,立ち上げた。」の記載とともに,「新ブランド『上越・雪室仕込み』のロゴマーク」の記載の上に,上越雪室仕込みロゴマークが記載されている(甲15)。
b 「朝日新聞」(平成18年12月6日発行)において,「『上越・雪室仕込み』発信/推進協が発足/地域のブランドに」の見出しの下,「雪をキーワードにした新しい地域ブランドの創出を目指す地域ブランド『上越・雪室仕込み』推進協議会・・・が4日発足した。・・・上越市,上越青年会議所,雪だるま財団,上越観光コンベンション協会も活動に加わる。」の記載がある(甲16)。
c 「地域の応援団/上越タイムス/糸魚川タイムス」のウェブサイトにおいて,「『雪室仕込み』ブランド化/共通ロゴマークお披露目/2006年12月6日・・・」の見出しの下,「雪をキーワードにした新しい地域ブランドの創出を目指す地域ブランド『上越・雪室仕込み』推進協議会・・・が4日発足した。・・・上越市,上越青年会議所,雪だるま財団,上越観光コンベンション協会も活動に加わる。」の記載がある(甲18)。
d 「ふるさと上越ネットワーク会報/NO24 2007.12」において,「新地域ブランド『上越・雪室仕込み』創出事業のとりくみ/社団法人上越青年会議所 星野明光」の見出しの下,「・・・上越地域には,一定期間雪の上に食材をさらしたり,食材や加工品を雪室や雪中で貯蔵・熟成させることにより品質や食味を向上させた付加価値の高い商品づくりを実践している事業所が複数あること知り,こうした事業所のネットワーク化を図ることにより新たな地域ブランドを創出する事業を立案しました。これが新地域ブランド『上越・雪室仕込み』創出事業です。・・・本事業は,本年より(社)上越青年会議所,上越市,(財)雪だるま財団,そして事業所の皆様で構成する 地域ブランド『上越・雪室仕込み』推進協議会に運営母体を移し,活動を継続しています。」の記載がある(甲9)。
e 平成21年5月9日に発行とされる「新潟日報」において,「雪室生かしブランドに」の見出しの下,「『日本一の雪氷熱利用施設数』などが評価され4月,経済産業省の新エネ百選に選ばれた上越市で『上越・雪室仕込み』という地域ブランドが2006年に誕生した。」の記載がある(甲19)。
f 「新潟県県民だより にいがた 平成24年2012冬号」(平成24年1月8日発行 通巻117号 新潟県広報広聴課発行・編集)において,「上越地域版/上越市・妙高市のみなさんへ」の見出しの下,「雪室保存を食品ブランドへ」の項には,「『米』『そば』『味噌』『コーヒー』『酒』『ワイン』『お茶』・・・雪室でゆっくり,じっくり育まれた食材は確かなおいしさとともに,環境にやさしいイメージも商品の魅力となっています。商品を通じて・・・特産品としてブランド化に取り組んでいるグループがあります。」の下に,「[上越・雪室仕込み]/・平成18年発足・上越地域15の事業所と上越市,(社)上越青年会議所,(公財)雪だるま財団が参画(平成23年11月末現在)」の記載,円図形内に「上越/雪室/仕込み」の文字を有するロゴマーク(以下「上越雪室仕込みロゴマーク」という。)の記載の下に「『上越雪室仕込み』ブランドマーク」の記載があり,問合せ先として「地域ブランド『上越・雪室仕込み』推進協議会事務局」の記載がある(甲10)。
(3)判断
ア 上記(2)の認定事実によれば,(a)請求人は,平成18年12月に発足した,新潟県上越市の食品関連業者による雪室を使った食品のブランド事業に参画しており,当該事業の発足について取り上げた上越地域向けの会報,広報誌,新聞記事の記載を総合すれば,当該事業の名称又は標章として,「上越・雪室仕込み」の文字又は上越雪室仕込みロゴマークが使用されていること,(b)請求人が事務局である「雪室推進プロジェクト」の副代表,理事又はメンバー(上越フルーツ,自然芋そば社又は内山農産)が,それぞれ,自己の取り扱う商品(「じゃがいも」,「そば」又は「みそ」)に関して,「雪室仕込み」又は「上越雪室仕込み」の文字を使用していることが認められる。
しかしながら,当合議体は,本願商標は未だ使用による自他役務識別力を獲得するまでに至っていないと判断する。その理由は,以下に述べるとおりである。
なお,上記(a)及び(b)における「上越・雪室仕込み」の文字,上越雪室仕込みロゴマーク,「雪室仕込み」の文字及び「上越雪室仕込み」の文字をまとめて「使用標章」という場合がある。
イ 使用標章について
(ア)内山農産に係る「上越雪室仕込み」の文字の使用,並びに上越フルーツ及び自然芋そば社に係る「雪室仕込み」の文字の使用について
上記(2)イ(ア)によれば,内山農産が「上越雪室仕込み」の文字を使用した商品に関するウェブサイトにおいては,当該商品の小売等役務や当該商品の加工に関する役務が請求人の業務に係るものであることの説明は一切ない。
そうすると,たとえ,内山農産が,請求人が事務局である「雪室推進プロジェクト」のメンバーであるとしても,同ウェブサイトにおいて,「上越雪室仕込み」の文字に接した需要者は,商品の小売等役務や商品の加工に関する役務の出所が請求人であることを認識することができない。
また,内山農産の使用に係る上記「上越雪室仕込み」の文字は,まとまりよく一体的に表されており,その構成中の「雪室仕込み」の文字のみが,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえないから,当該「上越雪室仕込み」の文字は,本願商標と同一のものと認めることはできず,当該文字の使用をもって,本願商標が使用されたものと認めることもできない。
さらに,上記(2)イ(イ)及び(ウ)によれば,上越フルーツ又は自然芋そば社が「雪室仕込み」の文字を使用した商品に関するカタログ,ウェブサイト,商品の包装においても,当該商品の小売等役務や当該商品の加工に関する役務が請求人の業務に係るものであることの説明は一切ない。
そうすると,たとえ,上越フルーツ又は自然芋そば社が,請求人が事務局である「雪室推進プロジェクト」のそれぞれ副代表又は理事であるとしても,同カタログ,ウェブサイト,商品の包装において,「雪室仕込み」の文字に接した需要者は,商品の小売等役務や商品の加工に関する役務の出所が請求人であることを認識することができない。
したがって,内山農産に係る「上越雪室仕込み」の文字の使用,並びに上越フルーツ及び自然芋そば社に係る「雪室仕込み」の文字の使用は,いずれも,本願商標の自他役務識別力の獲得に寄与するということはできない。
(イ)「上越・雪室仕込み」の文字及び上越雪室仕込みロゴマークについて
上記(2)ア(イ)及びイ(エ)によれば,請求人が関わった,新潟県上越市の食品関連業者による雪室を使った食品のブランド事業の名称又は標章として,「上越・雪室仕込み」の文字又は上越雪室仕込みロゴマークが使用されていることは把握できるものの,当該「上越・雪室仕込み」の文字及び上越雪室仕込みロゴマークが,本願の指定役務について,役務の出所が請求人であることを示す識別標識として,具体的にどのように使用されたものであるのか,明らかではない。
また,上記「上越・雪室仕込み」の文字及び上越雪室仕込みロゴマークは,いずれもまとまりよく一体的に表示されており,それらの構成中の「雪室仕込み」の文字のみが,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとはいえないから,当該「上越・雪室仕込み」の文字及び上越雪室仕込みロゴマークは,本願商標と同一のものと認めることはできず,当該文字及びロゴマークの使用をもって,本願商標が使用されたものと認めることもできない。
ウ 本願商標の使用実績,広告宣伝等について
上記イに加えて,本願商標の使用実績(本願商標を使用した役務の売上高,提供数,市場占有率,提供地域)は明らかではないこと,本願商標を使用した広告宣伝の方法,期間,地域及び規模(費用)は明らかではないこと,需要者の認識度(本願商標が請求人の出所表示として指定役務の需要者に認識されているかどうか)については明らかではないこと,別掲2(1)のとおり,請求人以外の者によって本願商標と同一又は類似する「雪室仕込み」の文字が使用されていることを併せ総合的に考慮すれば,本願商標が,請求人の出所表示として,指定役務の需要者の間で全国的に認識されているものということはできない。
(4)小括
以上のとおり,本願商標は,使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至ったものと認めることはできない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第2項の要件を具備するものではない。
4 請求人の主張について
請求人は,過去の商標の登録例によれば,本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するものであるかどうかの判断は,当該商標の構成態様と指定役務とに基づいて,個別具体的に検討・判断されるべきものであって,請求人主張に係る各商標の登録例が存在するからといって,上記1及び2で説示したとおり,本願商標が同法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当することを否定することはできず,また,本願商標についての同法第3条第1項第3号及び同項第6号の判断が,これらの各商標の登録例によって左右されるものでもない。
したがって,請求人の上記主張は,採用することができない。
5 まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当し,かつ,同条第2項に規定する要件を具備するものではないから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
別掲 証拠調べ通知書において示した事実
1 「雪室」及び「仕込み」の各語の辞書における載録例
「日本国語大辞典第二版」(株式会社小学館)において,「雪室」及び「仕込み」の説明として,以下の記載がある。
(1)「雪室」(前掲書「第十三巻」):「大量の雪を入れて温度を低く保つようにしたむろ。」
(2)「仕込み」(前掲書「第六巻」):「酒,みそ,しょうゆなどの原料を調合して,醸造するように桶(おけ)などにつめこんでおくこと。また,鮨(すし)などを,味が出るように漬けておくこと。ならすこと。」,「(場所などを示す名詞に付いて接尾語的に用いる。多く『じこみ』の形をとる)その場所で身につけたこと,得たこと,作られたこと,また,そのものの意を表す。」

2 本願の指定役務中,別掲3及び別掲4の役務と関係の深い飲食料品の分野における,「雪室仕込み」,「雪室」,「仕込み」の各文字の使用事例
(1)「雪室仕込み」の文字又は「雪室」及び「仕込み」の文字の組み合わせの使用事例
ア 新聞記事
(ア)2019年(令和元年)7月11日付け河北新報朝刊20頁において,「いちおし土産/雪室コロッケ 旬の市七ケ宿(七ケ宿町)/甘み増し・・・」の見出しの下,「雪室コロッケ 旬の市七ケ宿(七ケ宿町)/甘み増し おやつ感覚 しっとり滑らかなジャガイモ『キタアカリ』の生地が,紅玉やふじなどリンゴをふんだんに使ったソースを包み込む。・・・材料は地元の七ケ宿町産。県内有数の豪雪地である町の農林産物保管庫『雪室』でじっくり熟成した。ジャガイモは甘みを増し,リンゴはみずみずしい。『雪室仕込み』のおいしさを広く知ってもらおうと,旬の市七ケ宿の山田栄子店長らが試作と試食を重ね,4月中旬に販売を始めた。一個一個丁寧に手作りし,多いときは1日100個売れる人気商品になった。」の記載がある。
(イ)2008年(平成20年)2月16日付け河北新報朝刊において,「ひんやり新鮮,天然の冷蔵庫/山形・飯豊町で雪室完成・・・」の見出しの下,「ひんやり新鮮,天然の冷蔵庫/山形・飯豊町で雪室完成/豊富な雪を有効活用しようと,山形県飯豊町のいいで雪室研究所(高橋司社長)が同町松原に建設していた雪室が完成し,近く試験運用を始める。・・・生産者や企業から集荷した農産物や加工品などを収容する保管貯蔵室には,360立方メートルの容量を確保した。壁と屋根を断熱材で覆い,雪から出る冷気を自然対流させ,室内を2?4度に保つ。雪室を利用することで,農産物や加工品の時期をずらした出荷が可能となる上,酒などは『雪室仕込み』のような付加価値を加えることも期待できるという。近くコメなどを搬入して試験運用を開始する。」の記載がある。
(ウ)2004年(平成16年)6月15日付け山形新聞朝刊20頁において,「米沢市 雪室に貯蔵の日本酒やソバを搬出 日本酒,熟成されまろやか」の見出しの下,「米沢市李山の産業創造支援施設『夢創工房』の敷地内に設置されている雪室で十四日,今年三月から貯蔵されていた日本酒やソバの実などが取り出された。じっくりと熟成された日本酒はひんやりと冷たく,集まった関係者からは『味がまろやかでおいしい』と好評。雪室仕込みの日本酒とソバは,二十五日の試飲,試食会で関係者らに振る舞われる。雪室は,『雪』を資源に地域の特産品の付加価値を高めようと,米沢商工会議所(大友久太郎会頭)が地域振興活性化事業の一環として設置した。去年,地元の酒造会社『小嶋総本店』(小嶋喜市郎社長)が試験的に雪室を利用し,その効果を確認。同社は雪室仕込みに本格的に取り組み,今年三月に一升(一・八リットル)瓶を五百本,四合(七百二十ミリリットル)瓶を二千本貯蔵。山形おきたま農協などが試験用にコメやソバなどを入れていた。貯蔵庫内の温度は,外気に影響されることなく〇・一?〇・二度に保たれ,『低い温度で一定に保つことができる雪室は日本酒の貯蔵に適している』と小嶋社長。」の記載がある。
イ インターネット情報
(ア)「農林水産省東北農政局」のウェブサイトにおいて,「宮城地域からの便り(平成29年度)」の見出しの下,「雪室仕込みで,七ヶ宿の美味しさ熟成中-宮城県七ヶ宿町- (2017年7月5日掲載)」の項には,「宮城県内有数の豪雪地である七ヶ宿町では,雪を資源として活用する『雪室(ゆきむろ)』で貯蔵した農産物を『雪室仕込み』としてブランド化を進めています。雪室とは,建物内に搬入した大量の雪の冷気を利用する貯蔵施設のことで,平成26年4月に農林水産省の交付金などを活用して完成した,宮城県では同町1カ所だけの施設です。雪はロータリー除雪車で搬入し,その量は約1,000立方メートル(25mプール約3個分)にもなり,秋までとけない自然エネルギーの力で,1年を通して一定の温度と湿度で貯蔵できる環境に優しい施設です。雪室にはじゃがいもや米等を貯蔵しており,雪室で貯蔵することにより鮮度が維持できるとともに,でんぷんが糖へと変わって『甘み』が増すと言われています。実際に大河原農業改良普及センターが測定したところ,じゃがいもを2ヶ月間保存すると糖度は約2倍になったとの結果もあるそうで,試食会でも『甘みが違う!』と好評を博しています。現在,町内販売農家の約4割が雪室を利用し,『雪室仕込み』農産物として町内2カ所の直売所で販売しています。販売額は,施設が完成する前の24年度と28年度を比較すると5年間で1.8倍に増加し,今後七ヶ宿町の新たな目玉商品となることが期待されています。昨年から『夏の雪室まつり』が開催され,雪室仕込みのじゃがいもの試食・販売や雪室見学が行われ好評を得ています。」の記載がある。
(http://www.maff.go.jp/tohoku/rin/tayori/29_miyagi.html)
また,上記記載の下の「『七ヶ宿町雪室』の紹介(PDF : 669KB)」をクリックすると表示される頁(PDF)の一葉目には,「しちかしゅくまちゆきむろ/七ヶ宿町雪室」の見出しの下,「平成26年4月に誕生したよ。」等の記載とともに以下の画像があり,「雪室ブランドのご紹介」の項には,「七ヶ宿産こだわりの農産物が雪室でさらに熟成しています。鮮度が保たれ,甘みが増すこともあると言われている雪室。」,「源流米/・・・雪室の適度な湿度により鮮度が保たれ,いつでも新米のようなおいしさです。」,「そば/・・・そばが,雪室でさらに熟成しています。」,「果樹/・・・雪室で鮮度を保ち,長期間の出荷が可能になりました。」,「野菜/地元で採れた新鮮でおいしい野菜を雪室で大切に保管しています。」の記載がある。2葉目には,「★雪室とは」の見出しの下,「雪の冷気(雪氷熱エネルギー)を利用して低温で農産物などを保存する施設です。一般的な冷蔵施設と比べると,次のような特徴があります。/省エネルギー/電気を使わずに,自然エネルギーである雪の冷気を利用するため環境にやさしい/低温で高湿度/夏の間も低温・高湿度に保たれ,冬でも凍結することがないので,農産物を新鮮な状態に保つことができる。」の記載があり,「雪室のうれしい効果」の項には,「雪室貯蔵によりデンプンが糖へと変わり,『甘み』が増すというデータがあります。」の記載とともに,「じゃがいも糖度比較実験」として,雪室で貯蔵したじゃがいも(「キタアカリ」と「男爵」)の糖度が,貯蔵前や常温のものよりも高いことを示す図表がある。
(http://www.maff.go.jp/tohoku/rin/tayori/attach/pdf/29_miyagi-1.pdf)

(イ)「宮城県七ヶ宿町」のウェブサイトにおいて,「住み心地100点/七ヶ宿町定住のススメ」の見出しの下,「●七ヶ宿町の特産品」の項には,「・・・宮城県内唯一の雪室で鮮度が保たれ,町内の直売所には雪室仕込みの新鮮でおいしい農林産物が並んでいます。」の記載がある。
(https://town.shichikashuku.miyagi.jp/its/iimono.html)
(ウ)「株式会社三幸」のウェブサイトにおいて,「【NEWS RELEASE】雪室仕込み『越乃山海漬』『越乃切干漬』発売」の見出しの下,「三幸銘品部では2019年4月12日より雪室仕込みの『越乃山海漬』と『越乃切干漬』を新発売致します。新潟の郷土漬物の山海漬とハリハリ漬(切干漬)。雪深い新潟の天然の冷蔵庫『雪室(ゆきむろ)』で低温熟成することでまろやかに仕上げた酒粕や醤油を使用した雪室仕込みの新商品です。」の記載がある。
(https://www.kk-sanko.com/topics/public/detail/ID/232/c/1)
また,上記ウェブサイトにおいて,「商品の詳細はこちらから(PDFが開きます)」をクリックすると表示される頁(PDF)には,「?新潟の郷土漬物を雪室熟成でまろやかに?/贈り物にぴったりな『越乃山海漬』『越乃切干漬』4月12日新発売」の見出しの下,「この度商品化した『越乃山海漬』『越乃切干漬』は,新潟の天然の冷蔵庫『雪室』を利用しています。『雪室』は,貯蔵庫の上に冬の間降り積もった雪で山をつくり,もみがらで表面を覆うことで雪が解けないように造られており,昔から冬に収穫した作物の夏までの貯蔵庫として用いられてきました。雪に覆われた室内は,温度の上下を繰り返す通常の冷蔵庫とは異なり,冬場はもちろん夏場も温度はほぼ一定の0度に保たれ,食品にストレスを与えないという利点があります。また,食品に対しては低温順化,鮮度保持,不快臭の低減等の効果があり,環境的にも省エネで注目されています。このような雪室の利点を生かし,『越乃山海漬』は新潟県産酒粕を味・香りがまろやかになるまでの期間じっくり低温熟成したものを使用し,パリッとした国産野菜とともにピリ辛のわさび味に仕上げました。」の記載がある。
(https://www.kk-sanko.com/topics/files/elfinder/20190404%E9%9B%AA%E5%AE%A4%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%9C%EF%BC%92%E5%93%81NEWS%20RELEASE.pdf)
(エ)「越後みそ西・西本町店」のウェブサイトにおいて,「三階節極上味噌 雪室(ゆきむろ)そだち」の見出しの下,「雪室とは,雪が多いからこそできる天然の冷蔵庫のようなものです。毎年,地元の酒蔵さんのお酒やお米などと一緒に,この中へ味噌を仕込み入れます。雪の中でゆっくりゆっくり低温熟成された生味噌は,くもりのない純粋な味と香りをお楽しみいただけます。・・・雪が溶けるまでじっくりと寝かされて,旨みを引き出します。たくさんの量を仕込むことができないので,数に限りがございますが,・・・」の記載がある。
(http://www.echigomiso.net/gokujyomiso-yukimuro.html)
(2)「雪室」の文字の使用事例
ア 新聞記事
(ア)2019年(令和元年)9月28日付け中国新聞朝刊28頁において,「雪室じゃがいも スイーツ定番に 道の駅たかの・・・庄原」の見出しの下,「庄原市高野町の道の駅たかのにある雪室で3カ月熟成させた,糖度の高いジャガイモを使ったスイーツのバイキングが10月19?22日,道の駅のレストランである。・・・雪室は,自然の雪で室温を一年中0度に保つ天然の冷蔵庫。豪雪地帯の同市高野町の気候を生かし,道の駅が開業した2013年に設置した。雪室内で農産物を一定期間寝かせると糖度が上がり,うま味が増すとされている。これまで試験的に野菜や日本酒などを寝かせていたが,今年から甘みが際立ったジャガイモに絞って特産品として売り出すことにした。」の記載がある。
(イ)2019年(令和元年)6月28日付け日本経済新聞地方経済面長野3頁において,「酒や野菜搬入,雪室保存でどう変わる?,飯山市,雪の利用方法を研究。」の見出しの下,「長野県飯山市は雪の利用方法を研究するため,このほど雪室に酒や野菜を搬入した。夏場でも低温多湿を保てる雪室に食品や飲料を保管し,味や鮮度などへの影響を探る。雪室を用いた実験は2019年度で2回目。雪室は建物内の7?8割に雪を敷き詰めるため,断熱効果が高い。気温はセ氏1?2度,湿度は100%に保てる。・・・18年度の実験では酒や野菜のほか,そばなども保存した。酒の味にまろやかさが増したり,ジャガイモの甘みが増加したりしたという。」の記載がある。
(ウ)2019年(令和元年)6月14日付け朝日新聞朝刊23頁において,「雪中貯蔵の日本酒『蔵出し』 『まろやか,飲みやすい』 羽後 /秋田県」の見出しの下,「雪室に保存した雪中貯蔵酒の『蔵出し』が,羽後町田代の菅原酒店であった。・・・雪室の中は気温零度,湿度100%で,酒の質が変わりにくいという。」の記載がある。
(エ)2019年(平成31年)4月26日付け日本農業新聞14頁において,「雪室から貯蔵品蔵出し 野菜や清酒おいしく 新潟県村上市」の見出しの下,「3カ月間雪室で眠っていた清酒や野菜を室から出す催しが21日,村上市高根集落であった。・・・清酒の試飲も行われ,『酒は角が取れ,まろやかになった。ニンジンはとても甘くなった』と,参加者は雪室の効果に驚いていた。・・・ニンジンとジャガイモを貯蔵した本間農園の本間正栄さん(59)は,『少雪だったのでニンジンの肥大が進んで,普段の2倍の大きさになった。雪室に入れると糖分が増して甘くなる。・・・』と,アピールした。」の記載がある。
(オ)2019年(平成31年)3月1日付け日本農業新聞14頁において,「貯蔵の準備ばっちり 雪室が完成 新潟・JA津南町」の見出しの下,「新潟県JA津南町の赤沢集出荷施設で2月26日,残っている根雪に新たな雪が積み上げられた。昨年より10日早く,高さ10メートル,貯雪量1300トンが積み重ねられ1年を通じて野菜や切り花などの鮮度,熟成を高める雪室が完成した。」の記載がある。
(カ)2019年(平成31年)2月20日付け山形新聞朝刊16頁において,「真室川町 小中学校で雪室野菜と山菜給食 雪に埋めるとこんなに甘い」の見出しの下,「雪室野菜は雪中に貯蔵して糖度を高めた町内産の野菜で,JA全農山形とJAおいしいもがみがブランド化に向けて今冬デビューさせた。」の記載がある。
(キ)2019年(平成31年)2月8日付け日本農業新聞12頁において,「春が待ちきれない 日本酒,米を雪中貯蔵 新潟県村上市地域おこしG」の見出しの下,「新潟県村上市高根の地域おこしグループ『高根フロンティアクラブ』が関係人口の増加を目的に3日,雪中貯蔵体験を行い50人が参加した。1・8メートルの豪雪に見舞われる,同集落内の旧小学校校庭の雪室に,参加者は手渡しリレーで日本酒やどぶろく,ワイン,米,ソバ,野菜を貯蔵した。4月に蔵出しを行い,味が良くなるという雪室効果を確かめる。雪室の中で農産物や酒などを寝かす雪中貯蔵は,雪室内の温度が0度と,湿度100%になることで,食品の味がまろやかになったり甘くなったりするという。」の記載がある。
(ク)2019年(平成31年)2月1日付け山形新聞朝刊26頁において,「米沢市 上長井地区で『雪菜』の収穫が最盛期 冬が育む元気,うまみ」の見出しの下,「米沢市の上長井地区で,市特産の『雪菜』の収穫が最盛期を迎えている。・・・雪菜は天然の雪室で自らの葉を養分に,食用となる『とう』(花茎)を伸ばす伝統野菜。」の記載がある。
(ケ)2018年(平成30年)10月20日付け中日新聞朝刊地方版(福井総合版)23頁において,「不死鳥 冬の足音」の見出しの下,「勝山市では倉庫に雪を運び込んで野菜などを保管する『雪室』に取り組んでいる。」の記載がある。
(コ)2018年(平成30年)5月24日付け北海道新聞朝刊全道(総合)3頁において,「<発信>豊頃*豊頃『互産互生』の挑戦*下*地域同士つなぎ価値創造」の見出しの下,「十勝管内芽室町の坂東農場には,冬の雪を貯蔵した80平方メートルの『雪室』がある。夏場も低い温度を維持して野菜の鮮度を保つ予冷庫の役割をもつ。・・・坂東さんの案内で雪室の扉を2枚くぐると,中には静岡県掛川市産のキウイのケースが保管されていた。*『雪室』で熟成 気温1?3度,湿度98%を保つ雪室で6月末まで熟成。『スノーキウイ』と名付けられ,夏に十勝管内豊頃町や掛川市などで販売される。国産キウイは秋の収穫のため,夏場はニュージーランドからの輸入品が中心で,国産品は貴重だ。スノーキウイは通常の値段の1・5倍で販売される。いまは4千個を熟成中だ。キウイを生産するキウイフルーツカントリージャパン(掛川)の平野正俊代表は『冷蔵庫と違ってモーターの振動がなく,温度や湿度も一定でキウイの熟成に理想的な環境。十勝の自然のおかげで新たな価値が生まれた』と語る。」
(サ)2018年(平成30年)1月5日付け朝日新聞朝刊25頁において,「(WORST×WORTH:3)六ケ所のデータセンターや西目屋などの雪室 雪の効用生かす試み/青森県」の見出しの下,「雪の効用は冷やすことに限らない。古くから食品貯蔵に用いられてきた『雪室』は,食品の味を良くする効果も持つことがわかってきた。自前の雪室で貯蔵したリンゴやヤーコンの販売を手がけるエビサワ農園(東北町)の蛯沢正紀社長は『ジャガイモを貯蔵すると,まるでフルーツのような味わいになる。雪室貯蔵することで付加価値が生まれる』と話す。青森市は市浪岡交流センターの低温熟成施設で雪室の効果を研究している。昨年の実験では,リンゴを雪室に入れたところ,1カ月で糖度が4?5%上昇して酸味が減り,この状態は2カ月目もほとんど変わらなかった。・・・角田克彦支配人は『天然の冷蔵庫「雪室」が付加価値をつけてくれる』と話す。」の記載がある。
(シ)2008年(平成20年)11月19日付け山形新聞朝刊4頁において,「鶴岡市 庄内氷温研究会が発足 氷温技術生かした食品の加工法など探る」の見出しの下,「氷温技術を庄内の地域資源に生かそうと,農水産業者と食品メーカーなどでつくる『庄内氷温研究会』(代表・斎藤秀紀ベスト社長)が十八日,発足した。野菜や肉,魚などの新たな加工法や保存法,新商品の開発などに取り組んでいく。『氷温』は零度から細胞が凍るまでの温度『氷温域』を利用し,肉や魚を腐らせずに長期保存する技術。『雪室』『寒仕込み』など古くから伝わる貯蔵,加工法に現代の科学的視点を加え開発された。長期保存が難しい野菜などにも応用でき,風味が落ちにくいほか,ニンジンやピーマンでは逆に甘味が増すなどの効果があるという。」の記載がある。
(ス)2008(平成20年)6月4日付け中日新聞朝刊地方版(岐阜総合版)19頁において,「雪とともにお届け 飛騨 『雪中酒』 受け付け開始」の見出しの下,「【岐阜県】飛騨市河合町の北飛騨商工会・むらおこし実行委員会は,雪室の中で熟成させる同町特産の日本酒『雪中酒』の受け付けを始めた。七月に蔵出しし,雪とともにパック詰めして全国発送する。同委員会と同市古川町の渡辺酒造店が,豪雪地ならではの酒をと毎年製造。地元の天生山ろくのわき水を使って一月に仕込み,四月から町内の雪室に貯蔵する。」の記載がある。
(セ)2004年10月26日付け北海道新聞朝刊地方24頁において,「雪室でバッチリ『手前漬け』*低温熟成みそで減塩,添加物不要*29,30日ダイコン漬け込み*美唄・自然エネルギー研究会」の見出しの下,「【美唄】美唄自然エネルギー研究会(山上重吉会長)は,雪氷冷熱で熟成させたみそでダイコンの漬物を作る『美唄雪蔵・手前漬け』の製法を確立し,一般市民が参加する初の本格的な漬け込みを二十九,三十日に行う。・・・漬物は,みそ作りと並行して製法を研究していた。その結果,室温を一度前後に保った雪室で大根などを漬けると腐敗が防止でき使用する塩が大幅に減少,添加物も不要になった。・・・その後も五月ごろまで雪室や氷室に保管し,参加者が必要な分量だけ持ち帰れるようにする。」の記載がある。
(ソ)2000年(平成12年)10月6日付け日本農業新聞34頁において,「雪室でみそ造り,低温熟成し『うま味』,美唄市」の見出しの下,「雪室保存の品物は,常温保存と比べ,『うま味』で非常に高い評価を受けている。特に,発酵と熟成が雪室庫内の安定した低温下で長期間行われ,うま味成分のアミノ酸の含有率が他の市販のみそや常温保存と比べると高いことが分かった。」の記載がある。
イ インターネット情報
(ア)「tenki.jp」のウェブサイトにおいて,「雪国ならではの知恵の宝庫。天然の冷蔵庫『雪室』とは?/ライフ2014年12月20日」の見出しの下,「雪室のルーツをひもとくと・・・」の項に「江戸時代に日本海側から関東まで鮮度のよい魚を運ぶため,雪を詰めた箱に入れて魚を運んだのが雪室(雪中貯蔵庫)のルーツとされています。・・・明治から昭和30年代にかけては地面に掘った大きな穴の中に大量の雪を入れ,ワラなどで覆ってじっくりと冷蔵する新たなスタイルが定着。雪室は当時,魚,肉をはじめ郷土料理に使う野菜などさまざまな食品の保存に活用されましたが,電気冷蔵庫の普及とともにその数は激減。それでもいまだに雪室を利用する人々が多い理由は,その高い機能性にあります。」の記載,「一年中,低温・高湿度の環境」の項に「現代の雪室は,蔵などの建物の中に大量の雪を貯蔵する方法に変化し,大型の雪室の場合は700tを超える雪を使用するというから驚きです。さらに驚くべきは,通年を通して低温状態が保たれること。真夏でも真冬でも約5℃,湿度90%前後の低温・高湿度が維持される雪室は,電気冷蔵庫に比べ,温度の揺らぎが少ないため食品の細胞が傷みにくく,おいしさもしっかり維持できるすぐれもの。さらに,電気による振動や光を受けない『静置』状態は,食品の旨みを増す低温熟成に最適の環境といわれています。」の記載,「雪室でおいしさ倍増に」の項に「野菜,肉,米はより甘みが増し,お酒はよりまろやかな味になる・・・。食品本来の美味しさにさらなる旨みを加味する伝統的な貯蔵法『雪室』は,まさしく雪とともに暮らしてきた先人たちの知恵が結集。米どころが多い雪国ですが,どうしても高温多湿の夏は虫の害で米の味が落ちてしまいがちですが,雪室で米を貯蔵すれば新米同様の味を保てるばかりではなく,出荷当時と香りを保てるメリットも。その証しに,雪中貯蔵庫である雪室で貯蔵された食品は,その美味しさが全国のグルメの間で評判となり『雪室ブランド』は高い人気を誇っています。」の記載がある。
(https://tenki.jp/suppl/y_kogen/2014/12/20/391.html)
(イ)「いきいき雪国やまがた」のウェブサイトにおいて,「雪氷熱の利用」の見出しの下,「雪氷熱エネルギー利用は,雪や氷の持つ冷却エネルギーを,農作物の冷蔵や居室の冷房などに利用するものです。雪氷熱エネルギーを,雪室への貯蔵などにより,作物の保存に活用することで,鮮度保持や,糖度の増加などの効果が得られ,商品の付加価値向上につながります。本県では,この雪氷熱エネルギーを活用して,様々な県産品が開発されており,雪が貴重な地域資源として役立てられています。」の記載があり,「雪氷熱エネルギーを利用した県産品」として,「米」の項に「雪室貯蔵米/刈り取った米を,玄米のまま雪の冷却エネルギーで冷温に保たれた貯蔵庫に保管します。大きなチルド室と同じ状態となり1年を通してほぼ新米と変わらない味を得ることができます。」,「雪室米『YUKIMURO』梅雨から夏の間に米は食味が落ちると言われていますが,電気を一切使わず0℃?2℃の低温,70%?80%の高い湿度を保つことができる雪室に保管することで新米同様の鮮度を実現しました。」の記載,「蕎麦」の項に「尾花沢雪むろそば/外気が30度を超える夏でも,雪の冷熱を利用し,気温5℃前後,湿度90%の雪蔵で保存。乾燥や劣化を防ぎ,室温貯蔵に比べ,食味の美味さ,舌触り,粘りのほか,還元糖もアップします。」の記載,「日本酒」の項に「雪室貯蔵熟成酒『翁山』/・・・『幻酒翁山』をさらに雪むろで貯槽し熟成させ付加価値を高めたお酒です。」の記載,「珈琲」の項に「雪室熟成珈琲/・・・雪室で珈琲豆を熟成させると不快な香り成分が減少して,アロマの香りが際立つ珈琲になります。」の記載,「花き」の項に「トルコギキョウ(育苗)/・・・雪を活用した『雪氷庫(雪室)』をはじめ花きの育苗専門施設を利用し,優良種苗の安定供給と,『世界一品質の高い花づくり』を目指しています。」の記載,「野菜」の項に「雪国育ち。大石田町自然薯/春から夏まで一定温度に保たれた雪室で高湿度かつ低温度で保存されるのでより熟成が進み通年美味しく楽しめます。」,「雪室貯蔵『雪室あまみ芋』/雪室の中で,じゃがいもは『自分の身を守れ!!』と体内のでんぷんを『糖分』に変え糖度が通常の倍に上がります。」の記載がある。
(http://ikiikiyukiguni-yamagata.com/snow-energy/)
(ウ)「北海道めむろ町/尾藤農園」のウェブサイトにおいて,「雪室熟成/じゃがいも」をクリックすると表示される頁には,「雪室熟成とは?」の見出しの下,「雪室は天然の冷蔵庫で,生鮮食品の冷蔵保存などに利用されてきました。昔からある北国の知恵です。雪室倉庫に雪があることで『湿度』と『温度』が保たれ,ゆっくり熟成することででん粉が糖化されます。糖化されることで,しっとり甘くなった食感を味わえます。」の記載がある。
(https://www.bitou.asia/category.cgi?sg3=5&sg4=1&thum=1&field=sg8)
(エ)「jizakewine.com」のウェブサイトにおいて,「天寿『雪室氷点熟成純米生酒』」の見出しの下,「<<蔵元コメント>>豪雪地帯で知られる矢島町も今年は雪が少なく,市の除雪車の力も借りての雪室造りとなりました。開け閉めの無い0℃貯蔵の雪室の中では解禁日に向けゆっくりと熟成し,フレッシュさと丸みある旨味を併せ持つ酒質になると思いますので,ご期待下さい。」の記載がある。
(http://jizakewine.com/sake/tenju/tenju_yukimuro.htm)
(3)「仕込み」の文字の使用事例
ア 新聞記事
(ア)2017年(平成29年)7月27日付け毎日新聞地方版25頁において,「おじゃまします:きしな屋 大阪せんば店 /大阪」の見出しの下,「先月13日にオープンした大阪せんば店では『木桶(きおけ)とご当地うまいもん』と銘打って,木桶仕込みの酢やしょうゆなどをそろえる。・・・木桶で醸した酢やしょうゆは,金属タンクで造られるものに比べて風味が豊かで味もまろやか。・・・どれも木桶仕込み特有のまろやかさを実感できる。」の記載がある。
(イ)2010年(平成22年)12月6日付け毎日新聞中部朝刊1頁において,「赤カブ:杉だる仕込み,おいしく--岐阜・飛騨」の見出しの下,「冷え込みが厳しくなった岐阜県飛騨地方で,特産の赤カブの漬け込み作業が最盛期を迎えている・・・高山市下之切町の飛騨農産は,昔ながらの杉だる仕込みにこだわっている。木製のたるは微量の酸素を透過させ,乳酸菌や酵母菌の活動を促すという。従業員が赤紫色の赤カブを直径2・1メートル,高さ約2メートルのたるに詰め,ぬかを混ぜた塩を慣れた手つきで振りまいていた。」の記載がある。
(ウ)2008年(平成20年)5月17日付け日本経済新聞地方経済面新潟22頁において,「米穀卸の吉兆楽,コメ保存,雪の冷気活用??新蔵建設,環境配慮アピール。」の見出しの下,「雪や井戸水の冷熱を利用したコメの倉庫を一億七千万円かけて建設。・・・三月に完成した一千平方メートルの新蔵では,冬場にため込んだ七百トンの雪の冷気によって倉庫をコメの品質が劣化しないセ氏五度に次の冬まで保つ。冷たい空気を循環させるファンを回すため電気は使うが,冷房で温度維持するより電気使用量を三分の一にまで引き下げられる。この『雪蔵仕込み』には雪を使うことで米の品質の低下を抑えるメリットもある。」の記載がある。
(エ)2008年(平成20年)3月27日付け日本農業新聞49頁において,「木槽仕込み芋焼酎完成 香りよくまろやか/鹿児島」の見出しの下,「・・・県内では初めての“木槽”を使った仕込みの芋焼酎『木々の目覚め』を新発売した。焼酎の仕込みにはほうろうタンクやかめが使われるが,同社では,保温性や保湿性が高く発酵が穏やかに進むという特性を持つ木槽を使い,より良い酒質の焼酎を完成させた。」の記載がある。
(オ)2004年(平成16年)4月3日付け中日新聞朝刊21頁において,「楽市楽座 杉だる仕込みにこだわり」の見出しの下,「【岐阜県】創業半世紀,杉だる仕込みの漬物づくりにこだわるひだ千利庵(高山市)の三ツ畑祥一社長(60)は『杉だるは水分を保ち,通気性に優れる。菌が発酵するには最適で,野菜のうまさが引き立つ』と胸を張る。杉だるは,かつて酒屋で使われていた物ばかりで直径約二メートル,高さ約二メートルと巨大。みそ漬けのみそも杉だるで作る。」の記載がある。
(カ)1999年(平成11年)12月16日付け日本農業新聞10頁において,「[一村逸品]大梵字そば・熊笹そば,山形県朝日村」の見出しの下,「山形県朝日村の『大梵字そば』と『熊笹そば』は,地場産のソバを雪室で貯蔵した『雪蔵仕込み』の乾めん。豪雪を逆手にとった雪室で玄ソバを保管し,『低温で熟成された,しっとりした風味』が特徴だ。」の記載がある。
イ インターネット情報
(ア)「DIAMONDonline」のウェブサイトにおいて,「木桶仕込みの醤油,国内シェア1%から海外を目指す」の見出しの下,「・・・昔ながらの木桶で仕込んでいる醤油蔵となるとさらに限られる。木桶でつくられた醤油は現在ではなんとわずか1%,その3分の1を小豆島が占めるというから驚きだ。
」の記載がある。
(https://diamond.jp/articles/-/106528)
(イ)「株式会社AMRITARA(アムリターラ)」のウェブサイトにおいて,「生搾り/杉樽仕込み醤油」の見出しの下,「国産無農薬の丸大豆と小麦を原料に,杉の大樽で1年半以上琴の音色を聴かせながら熟成させ生搾りした生醤油です。」の記載がある。
(https://www.amritara.com/fs/amritara/c/seasoning05)
(ウ)「九州焼酎島」のウェブサイトにおいて,「焼酎を知る/かめ壺仕込みって何?」の見出しの下,「かめ壺で仕込む焼酎はまろやか!」の項に「かめ壺とは読んで字のごとく,丸いかめである。このかめが地中に埋めてある。地中にあることで温度が一定な利点があるのだ。また,ステンレスにはない,とっても小さな気孔から空気が入るのも麹の発酵にはいい。ある焼酎メーカーの担当者によると,長年使っているかめ壺には気孔に微生物(体にいいやつですよ)がおり,発酵の手助けもしてくれるという。また,かめ壺は焼き物だけに,遠赤外線効果で焼酎にまろやかさを加えてくれるとの話もある。」の記載がある。
(http://44471.jp.net/know/kametsubo/)
(エ)「Iショップ勝目店|鹿児島焼酎専門店」のウェブサイトにおいて,「店長一押し!洞窟仕込み焼酎 のみちょれ」の見出しの下,「日本一美しいと謳われた風連鍾乳洞に連なる洞窟内に置かれた甕のなかで寝かせたこだわりの逸品!静かな洞窟の中は年間を通じて湿度と温度の変化が少なく,甕表面の呼吸作用と土甕の持つ無機成分の中和作用や触媒作用によって熟成が促進され,焼酎の貯蔵には最適な環境です。これにより,芋本来の甘味や芳醇な香りに加え,女性にも飲みやすい柔らかい飲み口を実現しました。」の記載がある。
(http://ec.shokokai.or.jp/cmsdb/shop/shohin/?ken=46&block=86&uid=4634513218&renno=000000000014219)

3 本願の指定役務中,商標法第3条第1項第3号に該当する役務
第40類「食料品の加工,食料品の加工に関する情報の提供,食料品の加工の媒介又は取次ぎ」

4 本願の指定役務中,商標法第3条第1項第6号に該当する役務
第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用水産物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」

審理終結日 2020-03-11 
結審通知日 2020-03-17 
審決日 2020-03-30 
出願番号 商願2017-142632(T2017-142632) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W3540)
T 1 8・ 16- Z (W3540)
T 1 8・ 17- Z (W3540)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 池田 光治 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 渡邉 あおい
平澤 芳行
商標の称呼 ユキムロジコミ、ユキムロ 
代理人 黒田 勇治 

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