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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W07
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W07
管理番号 1357900 
異議申立番号 異議2018-900208 
総通号数 241 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2020-01-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-08-01 
確定日 2019-11-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第6041292号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6041292号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第6041292号商標(以下「本件商標」という。)は,「バリスティックセパレーター」の文字を標準文字で表してなり,平成29年11月30日に登録出願,同30年4月18日に登録査定,第7類「業務用ごみ分別搬送装置,業務用ごみ処理機,業務用廃棄物圧縮装置,業務用廃棄物破砕装置,金属加工機械器具,鉱山機械器具,土木機械器具,荷役機械器具,化学機械器具」を指定商品として,同年5月11日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は商標法第3条第1項第1号,同項第3号,同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1項によって取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第54号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第1号該当性について
本件商標は,「バリスティックセパレーター」の片仮名を標準文字で書してなるところ,「バリスティックセパレーター」の文字は,英語の「ballistic separator」の片仮名表記であり,「加速度分離機」と訳されている普通名称である(甲2の1)。
「バリスティックセパレーター」の文字は,産業廃棄物処理の業界では廃棄物を効率よく分別する選別機の意味で取引者,需要者に理解されており,その取引実情は,本件商標の登録日以前に作成されたか,それ以前の当該装置導入を紹介する日本語の文献により確認できる(甲3?甲31)。
以上より,「バリスティックセパレーター」の文字は,普通名称として使用されている。
よって,本件商標は,本件の指定商品中,「バリスティックセパレーター」に該当する装置の普通名称普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるので,商標法第3条第1項第1号に該当する。
(2)商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標を構成する「バリスティック」(ballistic)の語は,「弾道の」といった意味であるが(甲2の2の1),その本来の意味から派生して強度が強い,頑丈な,の意味で我が国でも使用されている(甲2の2の2)。また,該語は,各種商品について本件商標の登録日以前より,一般的に使用されている(甲32?甲42)。
そして,本件商標の「セパレーター」の語は,一般需要者でも平易な英語「separator」を意味するものと理解し,「分離するもの」「分けるもの」といった意味で一般的に使用されている。
よって,本件商標からは,「耐衝撃性をもって分別する装置」といった意味合いが理解され,よって,本件商標は,その指定商品中「業務用ごみ分別搬送装置,業務用ごみ処理機,業務用廃棄物圧縮装置,業務用廃棄物破砕装置」について,品質,効能,用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
また,外国において,「Ballistic Separator」(バリスティックセパレーター)の文字は,本件商標の登録日以前から普通名称としての使用されている(甲43?甲50)ことからすると,我が国においては,少なくとも記述的な表示として取引上使用されるものである。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は,我が国で複数の企業が普通名称又は記述的表示として使用しており(甲3?甲25),公的な調査資料(甲3)や業界団体の報告書(甲4?甲6)においても普通名称等として使用されており,当業者も普通名称と認識している(甲7)。
また,業界紙等のメディアでも「バリスティックセパレーター」を特に説明を要しない一般名称として使用している(甲8ほか)。
したがって,本件商標がその指定商品中「バリスティックセパレーター」に該当する商品に使用されても,需要者,取引者は,当該商品が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないから,商標法第3条第1項第6号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は,その指定商品中「バリスティックセパレーター」に該当する装置又は「業務用ごみ分別搬送装置,業務用ごみ処理機,業務用廃棄物圧縮装置,業務用廃棄物破砕装置」について普通名称又は記述的表示と需要者に認識されているので,それ以外の商品について使用された場合には,当該商品が「バリスティックセパレーター」又は「業務用ごみ分別搬送装置,業務用ごみ処理機,業務用廃棄物圧縮装置,業務用廃棄物破砕装置」であるかのごとく,商品の品質の誤認を生ずるおそれがある。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当する。

3 当審おける取消理由の要旨
当審において,本件商標権者に対し,「本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨の取消理由を平成30年12月19日付けで通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

4 本件商標権者の意見
商標権者は,上記3の取消理由の通知に対して,指定した期間内に何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
(1)本件商標を構成する語の意味合いについて
本件商標は,「バリスティックセパレーター」の文字を標準文字で表してなるところ,該語は,申立人の提出に係る証拠及び職権による調査によれば,以下のとおりの意味を有するものである。
ア 「マグローヒル科学技術用語大辞典 改訂第3版(株式会社日刊工業新聞社発行)」によれば,「バリスチックセパレーター ballistic separator」の項に,「【土木】石,ガラス,金属物,ゴムのような堆肥にならない物を固形廃棄物から取り出す装置。」との記載がある。
イ 「英辞郎on the WEB」によれば,「ballistic separator」の項に,「加速度分離機」との記載がある(甲2の1)。
(2)本件商標を構成する「バリスティックセパレーター」の語に関する取引の実情等について
申立人の提出に係る証拠及び職権による調査によれば,産業廃棄物処理や容器包装リサイクルの業界において,「バリスティックセパレーター」の語は以下のとおり,「廃棄物を選別する機械」の意味合いで普通に使用されている実情がある。
ア 「経済産業省」のウェブサイト(最終更新日:2011.05.16)において,「■資料を探す『調査資料』 循環型社会システム・技術開発動向調査〈国内外の容器包装リサイクル制度の比較・分析に関する調査〉(2011.3)」の見出しのもと,「参考資料」内の「5.4 EGNソーティングセンター」の項の,「5.4.1.施設概要」に,フロー図の記載があり,その中に「バリスティックセパレーター(振動選別)」の記載がある(甲3)。
イ 平成26年6月付けの「プラスチック製容器包装に係る実証試験(平成24年4月?平成26年3月実施)報告書(公益財団法人日本容器包装リサイクル協会 プラスチック容器事業部 プラスチック製容器包装に係る実証試験評価委員会)」において,「3.2.7〈追加試験3(「3」の丸囲み。)〉形状選別による効果把握」の見出しのもと,「(1)選別試験の概要」に,「*バリスティックセパレーターとは,フィルム類(軽量物),ボトル・トレー類等(硬質系プラ),及び細粒物の3種類に形状選別する設備であり・・・」との記載がある(甲5)。
ウ 「資源総合リサイクル企業 株式会社村上商店」のウェブサイトにおいて,「沿革」の見出しのもと,「平成29年2月 混合廃棄物選別機『バリスティックセパレーター導入』」との記載がある(甲12)。
エ 「角山開発株式会社」のウェブサイトにおいて,「産業廃棄物処分業(一般廃棄物処理業も含む)」の見出しのもと,「6(「6」の丸囲み。)処理方式」内の,「施設」の項の「選別施設」に「処理方式」として「バリスティックセパレーター方式」との記載がある(甲13)。
オ 「農経しんぽう」のウェブサイトにおいて,「農経しんぽう 平成29年6月5日発行 第3178号」,「NEW環境展で破砕機など実演/サナース」の見出しのもと,「混合廃棄物を選別する『バリスティックセパレーター』・・・」との記載がある(甲16)。
カ 「月刊『財界さっぽろ』」のウェブサイトにおいて,「注目の企業」の見出しの下,「北清グループ(掲載号:2018年1月号) 混合廃棄物選別プラント稼働で再資源化率を大幅向上」の項に,「バリスティックセパレーターで混合物を選別する」との記載及び画像が掲載されている(甲22)。
キ 2016年(平成28年)12月5日付け「週刊 循環経済新聞」において,「フラフ製造施設を再編」の見出しの下,「・・・多段の選別装置を設けている。・・・バリスティックセパレーターや光学式選別機を導入する。」との記載がある(甲27)。
ク 2016年(平成28年)4月24日付け「週刊 循環経済新聞」において,「混廃の資源化向上促す」の見出しの下,「搬入混廃は,・・・機械選別のバリスティックセパレーターに送られる。」との記載がある(甲28)。
ケ 「株式会社サナース」のウェブサイトにおいて,「製品情報 選別機」の見出しのもと,「BRTハルトナーはリサイクル及び廃棄物選別の製品を専門に取り扱っています。廃棄物選別とリサイクル業界に最適化された製品を提供しBRTハルトナーはお客様に長期に渡り貢献します。」との記載及び「【BRTハルトナー】バリスティックセパレーター」の画像が掲載されている。
(https://www.sun-earth.jp/pamphlet/?lang=ja)
コ 「産業廃棄物処理業(株)nrs」のウェブサイト(Facebook)において,「投稿」の見出しのもと,「2018年9月度 リサイクル率87.5% 8月下旬に,BRTハルトナー社のバリスティック・セパレーターHV60を本社へ導入しました。」との記載がある。
(https://www.facebook.com/nrs.nipponn.revived/)
サ 1996年10月16日付け「日刊工業新聞」において,「NKK,次世代環境装置技術の実用規模プラント群を実証運転」の見出しのもと,「NKK(社長三好俊吉氏)は・・・中略・・・RDF設備は前処理の選別システムで,振動でゴミの種類を振り分けるバリスティックセパレーターをオーストリアのメーカーから図面を買い取って製作した。」との記載がある。
(3)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は,「バリスティックセパレーター」の片仮名からなるところ,該語は,上記(1)アのとおり,「石,ガラス,金属物,ゴムのような堆肥にならない物を固形廃棄物から取り出す装置。」を指称する語であり,産業廃棄物処理や容器包装リサイクルの業界においては,上記(2)のとおり,「廃棄物を選別する機械」の意味合いで,本件商標の登録査定時前より,普通に使用されている実情がある。
そうすると,本件商標は,これをその指定商品中の「業務用ごみ分別搬送装置,業務用ごみ処理機」といった廃棄物の処理装置に使用するときは,これに接する取引者,需要者をして,該商品が「廃棄物を選別する機械」であることを認識させるにすぎないものであるから,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきである。
したがって,本件商標は,その指定商品中,「業務用ごみ分別搬送装置,業務用ごみ処理機」について使用するときは,単に商品の品質,機能,用途等を表示したものと認識されるに止まり,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであるから,商標法第3条第1項第3号に該当し,また,本願商標の指定商品中,「業務用ごみ分別搬送装置,業務用ごみ処理機」以外の商品について使用するときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから,同法第4条第1項第16号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項16号に該当し,その登録は,同法第3条及び同法第4条第1項の規定に違反してされたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2019-07-08 
出願番号 商願2017-158354(T2017-158354) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (W07)
T 1 651・ 272- Z (W07)
最終処分 取消  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 大森 友子
薩摩 純一
登録日 2018-05-11 
登録番号 商標登録第6041292号(T6041292) 
権利者 スタッドラー アンラーゲンバウ ゲーエムベーハー
商標の称呼 バリスティックセパレーター、バリスティック 
代理人 福屋 好泰 
代理人 浅野 哲平 

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