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審決分類 |
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 W39 審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 取り消して登録 W39 |
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管理番号 | 1356945 |
審判番号 | 不服2018-9659 |
総通号数 | 240 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-12-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2018-07-12 |
確定日 | 2019-11-12 |
事件の表示 | 商願2017-39210拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第35類、第36類、第39類及び第42類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成29年3月22日に登録出願され、その後、本願の指定役務については、原審における同年11月24日付け、当審における同30年7月12日付け、令和元年5月30日付け、及び同年9月26日付け手続補正書により、最終的に、第39類「車両による宅配その他車両による輸送,貨物の集荷および分荷並びに梱包」に補正されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、ありふれた氏と認められる『佐川』のローマ字表記である『SAGAWA』の文字を、青色にて、普通に用いられる方法を脱しない程度に表してなるにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第4号に該当する。また、出願人は、本願商標が商標法第3条第2項の要件を満たす旨主張し、証拠を提出しているが、当該証拠は、本願商標がその指定役務に使用された結果、取引者、需要者に広く認識されていたものであることを立証するに足る充分なものとは認められない。さらに、本願の指定役務は第35類、第36類、第39類及び第42類の多数の役務を指定しており、これらの全ての役務において使用した結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるに至ったものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審の判断 1 商標法第3条第1項第4号該当性について 本願商標は、別掲のとおり、普通に用いられる方法の域を出ない態様で、「SAGAWA」のローマ字を青色で表してなるものと容易に看取されるものである。 そして、原審説示のとおり、「佐川」の姓は、我が国においてありふれた氏と認められ、日常の商取引において姓氏を表す場合には、必ずしも漢字のみに限らず、ローマ字で表示する場合も決して少なくないことからすれば、「SAGAWA」の文字は、姓氏の「佐川」の文字をローマ字で表記したものと理解されるというのが相当である。 してみれば、本願商標は、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、商標法第3条第1項第4号に該当するものである。 2 商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて 請求人は、前記第1のとおり、当審において指定役務を第39類「車両による宅配その他車両による輸送,貨物の集荷および分荷並びに梱包」と補正したうえで、本願商標が、商標法第3条第1項第4号に該当するものであるとしても、同法第3条第2項に規定する要件を具備する旨主張し、証拠方法として、平成30年8月24日付け手続補足書に係る参考資料1ないし22(枝番号を含む。)及び令和元年5月30日付け手続補足書に係る参考資料1ないし4(枝番号を含む。)を提出しているので、以下、本願商標が同法第3条第2項の要件を具備するものであるかについて検討する。なお、本審決においては、上記各証拠のうち、平成30年8月24日付け手続補足書に係る参考資料1ないし22(枝番号を含む。)については、順次、甲第1号証ないし甲第22号証(枝番号を含む。)と読み替え、令和元年5月30日付け手続補足書に係る参考資料1ないし4(枝番号を含む。)については、順次、甲第23号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)と読み替えることとする。 (1)請求人について 請求人は、1957年3月に、佐川清が京都で創業した飛脚業に端を発し、以来60年以上にわたり、宅配便を主として、請求人が有する全国ネットワークを使用した輸送サービスを法人顧客中心に提供している(甲3-2、甲3-6)。 (2)請求人の使用に係る商標及び役務並びに使用開始時期について 請求人は、2001年に、本願商標と同一と認められる「SAGAWA」の文字を含むロゴマークを採用し、請求人の業務に係る各種宅配便、各種輸送において使用する営業車のフロントパネル、サイドパネル、バックパネルに当該ロゴマークを付した(甲2)。それ以降、車体デザインに変更が見受けられるものの、本願商標と同一と認められる「SAGAWA」の文字は、常に営業車に付されていることが認められる(甲3-1、甲3-6、甲18?甲21) (3)使用地域、売上高、取扱個数等について 宅配便による配送システムは、依頼等による荷物の集荷、集荷した荷物の梱包、振り分け(分荷)及び輸送などから構成されるところ、請求人は、全国47都道府県に荷物の集荷等を業として営む営業所を有しており(甲25-1?甲25-3)、各種宅配便、各種輸送等を含む「デリバリー事業」における営業収益(売上高)については、2016年3月期に7,215億円だったものが、その後に漸増し、2019年3月期に9,036億円となったことが認められる(甲3-6、甲24-2)。 また、平成30年(2018年)9月7日付けの国土交通省によるプレスリリース(甲23)によれば、「平成29年度 宅配便(トラック)取扱個数(国土交通省調べ)」として、「佐川急便(株)」による取扱個数は、平成28年度(2016年度)は1,218,215(千個)であり、平成29年度(2017年度)は1,262,225(千個)である旨、また、平成29年度の取扱個数の構成比は全体の30%である旨が記載されているところ、当該構成比は、「宅配便(トラック)」の役務を提供する業界において、第2位であることが認められる。 (4)広告宣伝について 請求人は、本願商標と同一と認められる「SAGAWA」の文字を使用し、テレビCM(甲5?甲17)を通じて、広告宣伝を行っていることがうかがえる。 (5)アンケートについて 請求人の提出した「SAGAWAロゴ認知度調査」と称するアンケート調査(甲4、甲22)によれば、本願商標を見て「佐川急便」を思い浮かべた人の割合は、業種等を特定せずに会社名を回答欄に自由に記載させる自由回答式のアンケート調査で72.2%、業種を「ある宅配事業を行っている運送会社」と特定し会社名を回答欄に自由に記載させる自由回答式のアンケート調査で81.2%であった(なお、「佐川便」「佐川運送」などと回答した割合も含めると、業種等を特定しない回答において85.3%、業種等を特定した回答において95.2%の割合であった)。 (6)小括 上記(1)ないし(5)を総合して考察すれば、請求人は、2001年から継続して、自己の業務に係る役務「車両による宅配その他車両による輸送,貨物の集荷および分荷並びに梱包」について、本願商標と同一と認められる商標を全国的に使用しており、その役務の取引者、需要者の間で、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、認識されているとみるのが相当である。 また、職権による調査によれば、本願商標と同一の構成からなる商標を、本願の指定役務を取り扱う業界において、他人が使用している事実は発見できなかった。 そうすると、本願商標は、その指定役務について、請求人により長年にわたり継続的に使用された結果、需要者が、請求人の業務に係る役務を表示する商標として認識するに至ったものとみるのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものというべきである。 3 まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当するものの、同法第3条第2項の要件を具備するものであり、商標登録を受けることができるものであるから、原査定は取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本願商標(色彩は原本参照) |
審決日 | 2019-10-29 |
出願番号 | 商願2017-39210(T2017-39210) |
審決分類 |
T
1
8・
14-
WY
(W39)
T 1 8・ 17- WY (W39) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 堀内 真一 |
特許庁審判長 |
金子 尚人 |
特許庁審判官 |
中束 としえ 石塚 利恵 |
商標の称呼 | サガワ |
代理人 | 岩谷 龍 |