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審決分類 審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 取り消して登録 W04
管理番号 1356090 
審判番号 不服2018-14059 
総通号数 239 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-11-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-10-24 
確定日 2019-10-08 
事件の表示 商願2017-84103拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「MORITA MULTI SPRAY」の欧文字を標準文字により表してなり、第4類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成29年6月22日に登録出願されたものである。
その後、本願の指定商品については、原審における平成30年4月17日付け手続補正書により、第4類「歯科用ハンドピース用潤滑剤,スプレー式の歯科用ハンドピース用潤滑剤,歯科用ハンドピースの洗浄用及び注油用機械器具で使用するスプレー式の潤滑剤,歯科用ハンドピース用潤滑油,スプレー式の歯科用ハンドピース用潤滑油,歯科用ハンドピースの洗浄用及び注油用機械器具で使用する潤滑油」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は、「本願商標は、『MORITA MULTI SPRAY』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、『MORITA』の文字は、ありふれた氏である『森田』、『守田』又は『盛田』の文字をローマ字表記したものと容易に認識され、また、『MULTI』の文字は、『多種の、複数の、多要素から成る』の意味を、『SPRAY』の文字は、『噴霧器、スプレー、霧吹き』の意味を、それぞれ有する語であって、潤滑剤を取り扱う業界においては、一般に、『多用途で使用できるスプレー状の商品』に『MULTI SPRAY』及び『マルチスプレー』の文字が使用されている実情があり、そのような実情が補正後の指定商品について当てはまらないとすべき特段の事情は認められないこと、さらに、『MORITA』が、歯科用ハンドピース用潤滑油においても周知であるとはいい難いことから、本願商標は、ありふれた氏をローマ字表記した『MORITA』の文字と、本願の指定商品との関係において、商品の品質を表したものとして認識される『MULTI SPRAY』の語とからなるものというのが相当である。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、本願商標は、自他商品を識別する標識として機能し得ないものであるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
ア 本願商標は、前記1のとおり、「MORITA MULTI SPRAY」の欧文字を標準文字により表してなり、第4類「歯科用ハンドピース用潤滑剤,スプレー式の歯科用ハンドピース用潤滑剤,歯科用ハンドピースの洗浄用及び注油用機械器具で使用するスプレー式の潤滑剤,歯科用ハンドピース用潤滑油,スプレー式の歯科用ハンドピース用潤滑油,歯科用ハンドピースの洗浄用及び注油用機械器具で使用する潤滑油」を指定商品とするものである。
イ 請求人は、1916年に創業した「歯科・医科医療器械器具の製造・販売」を事業内容とする会社であり、遅くとも1989年以降、歯科用のエアータービンやハンドピースといった商品を製造、販売しており(甲1-1、甲1-2、甲6、甲14?甲17、甲25?甲27)、また、遅くとも2016年以降、当該商品に係るメンテナンス(保守点検)に係る情報の提供をしている(甲4、甲5、甲24)ことがうかがえるところ、当該商品やその商品カタログにおいては、商品の出所表示などとして、請求人の名称のほか、「MORITA」の文字を含む標章又は「モリタ」の文字を含む標章が用いられており、また、当該メンテナンス(保守点検)に係る情報の提供の際には、その提供元を示す表示などとして、請求人の名称のほか、「MORITA」の文字を含む標章が用いられている。
なお、請求人は、「Morita」の文字からなる商標であって、指定商品を第10類「歯科用機械器具およびその部品ならびに附属品」とするものについて、商標法第3条第2項の適用により、商標登録第863626号(昭和45年7月4日設定登録)を取得している(甲2)ところ、商標登録原簿の記載によれば、当該商標登録に係る商標権は、現に有効に存続している。
ウ 請求人が提出した「歯科機器・用品年艦 2018年版(28版)」(甲3)(2018年1月15日発刊、株式会社アール アンド ディ)によれば、2016年度の「歯科用タービン及びハンドピース」の市場は、請求人を含む9社からなるとされているところ、当該「歯科用タービン及びハンドピース」の販売実績において、請求人に係る「歯科用タービン」のシェアは、第1位とされ、同じく、「歯科用ハンドピース」のシェアは、第2位とされる。
なお、上記年鑑においては、同様の販売実績に係る2017年度の予測も記載されているところ、請求人に係る「歯科用タービン」及び「歯科用ハンドピース」のシェアは、その予測においても、それぞれ、前者が第1位、後者が第2位とされる。
エ 「歯科用タービン」や「歯科用ハンドピース」は、歯科治療において用いる精密かつ高速回転部を有する機器であり、その性能維持や故障予防のほか、院内感染防止といった観点から、洗浄、消毒、注油及び滅菌といったメンテナンスをまめに行う必要があるとされる(甲4、甲5、甲7?甲9、甲22)ところ、当該「歯科用タービン」や「歯科用ハンドピース」の製造、販売に際しては、請求人を含めて、それを行う者が、それぞれ、自己の商品自体の紹介等はもとより、その商品のメンテナンス用の商品の紹介や、メンテナンスの方法の説明等も併せて行っていることがうかがえる(甲4?甲8、甲18?甲21、甲24)。
また、上記「歯科用タービン」や「歯科用ハンドピース」のメンテナンスについて、請求人を含めて、それらを製造、販売する者は、自己の紹介に係る指定のメンテナンス用の商品の使用を推奨しており、さらに、それらを取り扱う商社や、それらを製造、販売する者等が加入する団体(日本歯科器械工業協同組合)においても、同様の推奨がされていることがうかがえる(甲4?甲8、甲18?甲24)。
オ 本願商標は、上記アのとおり、「歯科用ハンドピース用の潤滑剤」や「歯科用ハンドピースの洗浄用及び注油用機械器具で使用する潤滑油」等の商品について使用をするものであるところ、これらの商品の使用対象は、上記エのとおり、歯科治療において用いる精密かつ高速回転部を有する機器である「歯科用ハンドピース」であって、その性能維持や故障予防のほか、院内感染防止といった観点から、まめなメンテナンスを要するものであり、そのメンテナンスに当たっては、指定された専用の商品の使用が推奨されていることからすれば、当該「歯科用ハンドピース用の潤滑剤」や「歯科用ハンドピースの洗浄用及び注油用機械器具で使用する潤滑油」等の商品は、一般的な潤滑剤又は潤滑油とは、その生産又は販売部門、品質、需要者の範囲を異にすることが少なくないとみるのが相当である。
そして、当審において職権をもって調査するも、上記「歯科用ハンドピース用の潤滑剤」や「歯科用ハンドピースの洗浄用及び注油用機械器具で使用する潤滑油」等の商品を取り扱う業界において、「MULTI SPRAY」の文字が、その商品の具体的な品質を表示するものなどとして使用されている事実は見いだせず、また、取引者、需要者が、当該文字を商品の具体的な品質を表示したものとして認識するとみるべき事情も発見できなかった。
カ 上記アないしオを総合勘案すれば、本願商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、本願商標の構成中の「MORITA」の文字を一般的な氏姓を表したものと看取、理解するとはいい難く、また、その構成中の「MULTI SPRAY」の文字についても、商品の具体的な品質を表したものとして認識するとはいい難い。
そうすると、本願商標は、その指定商品との関係においては、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当であるから、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとはいえない。
(2)むすび
以上によれば、本願商標が商標法第3条第1項第6号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。
その他、本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決日 2019-09-25 
出願番号 商願2017-84103(T2017-84103) 
審決分類 T 1 8・ 16- WY (W04)
最終処分 成立  
前審関与審査官 澤藤 ことは和田 恵美 
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 岩崎 安子
小松 里美
商標の称呼 モリタマルチスプレー、モリタマルチ、モリタ、マルチスプレー、マルチ 
代理人 松井 宏記 

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