ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W0918 |
---|---|
管理番号 | 1346161 |
審判番号 | 取消2016-670007 |
総通号数 | 228 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-12-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2016-04-08 |
確定日 | 2018-09-28 |
事件の表示 | 上記当事者間の国際登録第1002196号に係る商標登録取消審判事件についてされた平成28年9月29日付け審決に対し,知的財産高等裁判所において審決取消しの判決(平成29年(行ケ)第10033号 平成29年6月8日判決言渡)があったので,さらに審理のうえ,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件国際登録第1002196号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,2008年8月14日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張して,2009年(平成21年)1月16日に国際商標登録出願,第9類「Camera cases;computer carrying cases,mobile phone and cell phone cases and specialty holsters for carrying personal digital assistant;laser pointers;luminous pointers.」,第18類「All-purpose dry bags,luggage,backpacks,daypacks,duffel bags,utility bags,shoulder bags,casual bags,briefcases,non-motorized wheeled packs,cosmetic cases sold empty and toiletry cases sold empty,travel bags,small personal leather goods,namely,wallets,billfolds,credit card cases,neck,necklace wallets,and shaving bags sold empty;umbrellas and name and calling card cases,cosmetic cases sold empty,toiletry cases sold empty,luggage tags,waistpacks,bags worn on the body,business cases,travel bags,all-purpose personal care bags,small personal leather goods;shoe bags for travel;unfitted bags for handheld electronic devices;waistpacks for holding electronic devices.」,並びに第8類,第11類,第12類,第14類,第16類,第20類,第22類,第25類及び第34類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,平成22年8月4日に登録査定,同年11月5日に設定登録されたものである。 そして,本件審判の請求の登録は,同28年4月8日である。 第2 事件概要 1 請求人は,平成28年4月8日付けで本件商標の指定商品中,第9類「全指定商品」及び第18類「全指定商品」について登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,不使用による取消審判(審判2016-670007号)を請求し,その理由として,本件商標は,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが請求に係る商品についての登録商標の使用をしていないものであるから,商標法第50条第1項の規定により,その登録は取り消されるべきである旨の主張をした。 2 被請求人は,上記1の請求に対し,答弁しなかった。 3 当審は,平成28年9月29日付けで「被請求人は,本件審判の請求に対し,答弁していないから,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,指定商品中,第9類『全指定商品』及び第18類『全指定商品』についての登録を取り消すべきものである」旨の審決をした。 4 被請求人は,平成28年9月29日付けの審決に対する審決取消請求事件(平成29年(行ケ)第10033号)において,被請求人の通常使用権者であるビクトリノックス・ジャパン株式会社(以下「ビクトリノックス日本支社」という。)は,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「本件要証期間」という。)に,本件商標の指定商品である第18類の「small personal leather goods」,「utility bags」,「waistpacks」,「bags worn on the body」,「all-purpose personal care bags」に標章を付したものを譲渡し(商標法第2条第3項第2号),譲渡のために展示し(同号),また,指定商品に関する広告に本件商標の標章を付して展示することにより(同第8号),本件商標を使用した旨を主張し,その証拠を提出した。 5 被請求人は,当審において平成29年12月18日付け回答書及び訴訟関係書類(乙1?乙22)を提出した(なお,訴訟における証拠の甲号証は,本件審判における証拠として,乙号証(枝番号を含む。)と読み替えた。)。 第3 当審の判断 1 審決取消判決の拘束力について 商標登録取消審判事件についての審決の取消訴訟において,審決取消しの判決が確定したときには,審判官は商標法第63条第2項で準用する特許法第181条第2項の規定に従い,当該審判事件についてさらに審理を行い,審決をしなければならないところ,再度の審理ないし判決には行政事件訴訟法第33条第1項の規定により上記審決取消し判決の拘束力が及ぶ。 2 本件商標の使用について 当審においては,知的財産高等裁判所による,本件審決取消しの判決における判示と同様に,以下のとおり判断する。 (1)認定事実 証拠(訴訟で提出のもの。)及び上記判決によると,以下の事実が認められる。 ア ビクトリノックス本社は,平成4年(1992年),ビクトリノックス日本支社を設立した(乙3)。被請求人は,平成17年(2005年),ビクトリノックス本社傘下の独立子会社となった(乙3)。それ以降,ビクトリノックス本社及びその子会社は,本件商標を含む被請求人の商標を管理し,平成22年(2010年)10月から,ビクトリノックス日本支社が同社「ウェンガー事業部」によりウェンガー商品の販売を開始した(乙4,乙5)。 イ ビクトリノックス日本支社は,商品名を「Case22」,商品番号を「6.068.022.000」とする本件商標を付した商品(以下「本件商品1」という。乙8,乙9),商品名を「Case24」,商品番号を「6.068.024.000」とする本件商標を付した商品(以下「本件商品2」という。乙8,乙10)及び商品名を「Case21」,商品番号を「6.068.021.000」とする本件商標を付した商品(以下「本件商品3」という。乙18)を取り扱っている。 本件商品1?3は,ベルトに通すことにより腰に装着することが可能な収納用具であり,本件商標の指定商品である第18類の「small personal leather goods」(革製の小さな身の回り物),「utility bags」(多用途のかばん),「waistpacks」(ウエストパック),「bags worn on the body」(身体に装着させるかばん),「all-purpose personal care bags」(汎用の身の回りの物を入れるかばん)に該当するものである(乙1,乙16)。 ウ ビクトリノックス日本支社は,平成25年(2013年)5月24日及び8月10日,同社のウェブサイトに,本件商品1?3を販売のため掲載した(乙5,乙15,乙16)。上記ウェブサイトの各ページのタイトル部分には,本件商標(ただし,色彩は赤)が記載され,その右側に「WENGER」の欧文字が黒で記載され,さらにその右肩に「R」(Rの文字を○で囲んだ記号,以下同じ。)が黒で記載されている。また,本件商品1?3は,それのみで価格が付されており,収納物とは別に購入することが可能である。 エ ビクトリノックス日本支社は,平成26年(2014年)2月18日,東京都台東区所在の取引先に対し,本件商品1及び3を販売した(乙11,乙12)。 オ ビクトリノックス日本支社は,平成26年(2014年)3月11日,前記ウ記載の取引先に対し,本件商品1及び2を販売した(乙13,乙14)。 カ 本件商品1?3は,いずれも,革製で略直方体のケースである。蓋の表面には,本件商標が刻まれ,その右側に「WENGER」の欧文字が刻まれ,さらにその右肩に「R」が刻まれている。(乙9,乙10,乙18) 本件商品1は,「エヴォグリップS54以外の85mmナイフに適合する革ケースです。」,本件商品2は,「130mmのスイスアーミーナイフに適合する革ケースです。」,本件商品3は,「ネイルクリップを含む全ての65mmナイフに適合する革ケースです。」と説明されている(乙16)。上記「85mmナイフ」「65mmナイフ」は,ビクトリノックス日本支社において取り扱っている商品である,85mm,65mmの「スイスアーミーナイフ」を意味しており,上記「130mmのスイスアーミーナイフ」を含む「スイスアーミーナイフ」は,刃物であるナイフ及びその他のさまざまなツール(爪切り,爪ヤスリ,爪そうじ,ドライバー,栓抜き,穴あけ,つまようじ,ピンセットなど)をまとめて携帯することができるものである(乙18)。 (2)判断 ア 使用商標について 前記(1)カのとおり,本件商品1?3には本件商標が付されていたところ,前記(1)エ及びオのとおり,ビクトリノックス日本支社は,本件商品1?3を譲渡したものと認められる。また,前記(1)ウのとおり,同社は,本件商品1?3を販売のため掲載したウェブサイトに本件商標を表示したから,本件商品1?3に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供したものと認められる。 したがって,同社は,本件商標を使用したものと認められる。 イ 使用商品について 前記(1)カのとおり,本件商品1?3は,革製のケースであって,スイスアーミーナイフに適合するものとして販売されているものの,その形状は略直方体であってスイスアーミーナイフ以外の物を収納することも可能であること,その販売形態は,収納物を伴うことなく本件商品1?3のみで購入することが可能であること,スイスアーミーナイフには,刃物であるナイフ等以外に,栓抜きやつまようじなど,他の物も組み込まれていることからすると,第18類「small personal leather goods」(革製の小さな身の回りの物)に該当するということができる。 ウ 使用時期について 前記(1)イ?オのとおり,本件商標は,本件商品1?3に,本件要証期間内である,平成25年5月24日,同年8月10日,同26年2月18日及び同年3月11日に使用されたことが認められる。 エ 使用者について ビクトリノックス日本支社は,前記(1)アのとおり,ビクトリノックス本社とともに本件商標を管理しており,前記(1)イ?カのとおり,本件商標を使用していたことからすると,本件商標の通常使用権者であると認められる。 オ 小括 したがって,原告は,本件要証期間内に日本国内において,本件商標の通常使用権者が,商標登録取消請求に係る指定商品の第18類「small personal leather goods」(革製の小さな身の回りの物)に,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していたことを証明したものと認められる。 3 まとめ 以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標の通常使用権者が,その請求に係る指定商品中,第18類「small personal leather goods」について,本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したものということができる。 したがって,本件商標は,商標法第50条第1項の規定により,その請求に係る指定商品についての登録を取り消すべきではない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】 |
審理終結日 | 2018-07-30 |
結審通知日 | 2018-08-01 |
審決日 | 2018-08-22 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(W0918)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中尾 真由美、杉本 克治、谷村 浩幸 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
網谷 麻里子 薩摩 純一 |
登録日 | 2009-01-16 |
代理人 | 特許業務法人浅村特許事務所 |