• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 Y03
審判 一部申立て  登録を維持 Y03
審判 一部申立て  登録を維持 Y03
審判 一部申立て  登録を維持 Y03
審判 一部申立て  登録を維持 Y03
管理番号 1295107 
異議申立番号 異議2014-685006 
総通号数 181 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2015-01-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2014-04-03 
確定日 2014-10-07 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1081147号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1081147号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1081147号商標(以下「本件商標」という。)は、「Vetia Floris」の欧文字を横書きしてなり、2012年(平成24年)6月15日に国際商標登録出願(事後指定)され、第3類「Soaps for personal use;perfumery,essential oils,cosmetics,hair lotions;dentifrices.」及び第5類「Pharmaceutical and veterinary products;sanitary products for medical purposes;dietetic substances adapted for medical use,food for babies;plasters,materials for dressings;material for dental fillings and dental impressions;pesticides;fungicides,herbicides.」を指定商品として、平成25年11月13日に登録査定、同26年1月17日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その指定商品中、第3類の全指定商品についての登録は取り消されるべきであるとして、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。
(1)引用商標
申立人が引用する登録第1545159号商標(以下「引用商標」という。)は、「FLORIS」の欧文字を横書きしてなり、昭和53年8月23日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同57年10月27日に設定登録され、その後、平成14年11月20日に、指定商品を、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」とする指定商品の書換登録がなされたものであり、現に有効に存続している。
(2)引用商標の周知性について
申立人の創立者であるジュアン・ファメニアス・フローリスは、1730年に理髪店を開店し、伝統的な製法と上質な香料を使った香水やせっけんが大評判となり、フレグランスブランドとしての地位を確立した。1820年に、2代目のジョン・フローリスは「王室御用達の理髪師および香水商」の称号を授与された。また、引用商標に係る商品の香りは歴代の国王や女王から愛用され、今日ではエリザベス2世女王陛下及びチャールズ皇太子殿下から「王室御用達許可書」を与えられている。280余年にわたる歴史があり、ジャーミンストリート本店やディスプレイ什器などが、英国の歴史的重要文化財に指定されている。(甲2)
上記のとおり、申立人は、引用商標を永年に亘って香水類等について継続して使用してきた結果、英国では皇室御用達となるほどの名声を獲得するに至っている。そして、2004年に日本橋三越本店に初めての店舗を構えて以降、札幌三越、浦和伊勢丹、新宿伊勢丹、阪急MEN’S TOKYO、JR大阪三越伊勢丹、京都高島屋、名古屋松坂屋といった大手デパートに次々と店舗をオープンし(甲3)、日本においても、永年に亘って香水類について引用商標の使用を継続してきた(甲4?9)。また、「FLORIS」は、「Begin」(甲10)や「VOGUE」(甲11)、「FIGARO」(甲12、13)等の名だたる雑誌においても、「英国王室御用達」等の表現と共に、数多く紹介されている。その他、数多くの雑誌にも商品が紹介されている(甲14?23)。
よって、引用商標は、化粧品等について日本においても広く知られた商標である。
(3)商標法第4条第1項第15号について
申立人の業務に係る引用商標は、上記(2)のとおり、化粧品等の分野において、周知な商標である。よって、本件商標の指定商品に、引用商標の構成文字を含む本件商標が使用された場合、本件商標から直ちに申立人の周知な引用商標を連想・想起し、商標権者により販売される商品が、申立人又はその関連団体により提供されるものであるかの如く、その出所につき誤認・混同を生じる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第19号について
上記(2)のとおり、申立人の業務に係る引用商標が本件商標の出願日前より外国および日本国内の需要者の間に広く認識されていたことは明らかであり、このような周知な引用商標を含む類似の商標を出願し、登録することは、引用商標の名声、顧客吸引力にただ乗りし、また、引用商標の出所識別力希釈化するものであり、不正の目的をもって使用するものであり、また、造語である引用商標「FLORIS」の文字を含む本件商標を申立人と同じ化粧品業界に属する商標権者が偶然採択するとは到底考えられない。
したがって、本件商標は、商標法第4条1項19号に該当する。
(5)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標は、いずれも「フローリス」の称呼を共通にし、さらに需要者・取引者の注意を強く惹く「FLORIS」とその小文字表記に過ぎない「Floris」とは外観において紛らわしものであるから、類似の商標である。また、本件商標の指定商品中、第3類の指定商品は、いずれも引用商標の指定商品と同一又は類似である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきものである。
4 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
申立人により提出された証拠及びその主張等によれば、申立人は、1730年に創立者ジュアン・ファメニアス・フローリスがロンドンにおいて理髪店を開店したことを契機に香水の調合を始め、1820年に「イギリス王室御用達の理髪師及び香水商」の称号、エリザベス2世及びチャールズ皇太子からは「王室御用達許可書」が与えられているとされている(甲2)。
そして、我が国においては、日本橋三越本店(東京都中央区)を始め9箇所のデパートに出店し、主に「香水」を取扱っていることが認められ(甲3)、また、「Begin(2006年1月号)」(甲10)「VOGUE(2011年4月号)」(甲11)「FIGARO(2011年5月号)」(甲12)において、申立人の業務に係る香水及びボディパウダーが紹介されている。
しかしながら、提出された証拠からすると、引用商標に係る香水等の雑誌への掲載は、2006年及び2011年に限られ、しかも、上記3紙のみである(なお、申立人は、さらに甲第13号証ないし甲第23号証を提出して、多数の雑誌において引用商標に係る商品が紹介されていると主張するが、当該各号証には、引用商標に係る商品の写真は掲載されているものの、その掲載雑誌名及び掲載月日を確認することはできない。)。
他に、引用商標が使用された商品の具体的な販売数量、市場占有率、宣伝広告の事実等は明らかではなく、需要者の引用商標に対する認識の程度を判断し得る証拠の提出はないものであって、本件商標の登録出願時において、引用商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国における需要者等の間に広く認識されていたものと認めるに足る証拠はない。
さらに、申立人は歴史がある「王室御用達」の称号を得ている等と主張するのみで、イギリス、その他の外国における引用商標の使用の事実等の周知性に係るその他の証拠の提出はなく、引用商標の外国における著名性も認めることができない。
したがって、「香水」について引用商標が使用され、我が国の需要者間にある程度知られていることが推認し得るとしても、本件商標の登録出願の時及び査定時において、その引用商標が申立人の業務に係る「香水」を表示するものとして、我が国又は外国における需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
ア 本件商標について
本件商標は、「Vetia Floris」の欧文字からなるところ、その構成は、「Vetia」及び「Floris」の文字からなり、その構成前半部分及び後半部分の各文字は、いずれも親しまれた成語とは認められないから、その構成全体として親しまれた特定の意味合いを想起させることのないものである。
そして、本願商標を構成する上記文字は、半角文字分程度のスペースを介し、同書同大に、外観上まとまりよく一体的に表わされていると看取されるものであり、また,構成文字全体から生ずる称呼「ヴェティアフロリス」も、無理なく一連に称呼し得るものである。
さらに、「Vetia」及び「Floris」の文字のいずれかが、本件商標の指定商品との関係において、取引者、需要者に対し、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとすべき実情、及び商品の出所識別標識として機能し得ないものであるなどの取引の事情も見当たらない。
してみると、本件商標の構成態様にあっては、これに接する取引者、需要者は、殊更その構成中の「Vetia」の文字を捨象し、「Floris」の文字部分のみをもって取引に資するものとはいい難く、構成全体をもって一体不可分のものと認識し、把握されるとみるのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ヴェティアフロリス」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものというべきである。
イ 引用商標について
引用商標は、「FLORIS」の欧文字からなるものであるから、その構成文字に相応して「フロリス」の称呼を生じるものであり、該文字が親しまれた成語とは認められないから、特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標は、その外観において、「Vetia」の文字の有無という明らかな相違を有するから、両商標は、外観上、明確に区別できるものであり、称呼においては、本件商標から生ずる「ヴェティアフロリス」の称呼と、引用商標から生ずる「フロリス」の称呼とは、語頭における「ヴェティア」の音の有無という明瞭な差異を有するものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、判然と聴別し得る。また、本件商標及び引用商標からは、特定の観念を生じないものであるから、観念において比較することができず、両商標は、観念上、相紛れるということはできない。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても十分に区別することができる非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号及び同項第19号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び査定時に、我が国又は外国において申立人の業務に係る商品を表すものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることができないものであり、また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、類似しない別異の商標と認められるものである。
そうとすれば、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、申立人の引用商標を連想又は想起しないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものである。
さらに、本件商標が引用商標の顧客吸引力にただ乗りしたり、不当に利用するなど、不正の目的をもって使用するものであることを具体的に示す証拠は一切見あたらない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第19号に該当しない。
(4)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも該当しないものであるから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2014-09-30 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (Y03)
T 1 652・ 262- Y (Y03)
T 1 652・ 263- Y (Y03)
T 1 652・ 222- Y (Y03)
T 1 652・ 261- Y (Y03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 野口 智代小田 昌子藤田 和美 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 堀内 仁子
守屋 友宏
登録日 2011-05-06 
権利者 Skin Concept AG
商標の称呼 ベティアフローリス、ベティア、フローリス 
代理人 鈴木 薫 
代理人 青木 博通 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 山崎 和香子 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 柳生 征男 
代理人 中田 和博 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ