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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 |
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管理番号 | 1292886 |
異議申立番号 | 異議2013-900430 |
総通号数 | 179 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2014-11-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2013-12-26 |
確定日 | 2014-09-12 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5619927号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5619927号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5619927号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成25年6月18日に登録出願、第33類「果実のエキス(アルコール分を含むもの),アペリティフ(ビールを除く。),カクテル,ブランデー,ぶどう酒,アルコール飲料(ビールを除く。),ウォッカ,消化促進酒(リキュール及びスピリッツ),スピリッツ(飲料),日本酒,ウイスキー,果実入りアルコール飲料,米を原料とする酒,ラム,プレミックスアルコール飲料(ビールベースのものを除く。)」を指定商品として、同年9月18日に登録査定、同年10月4日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は、次のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。 以下、これらをまとめて「引用商標」という。 (1)登録第5453571号商標(以下「引用商標1」という。) 商標 「LA CAPITELLE DU DOMAINE DE BARON’ARQUES」 指定商品 第33類「ぶどう酒」 出願日 平成23年5月24日 登録日 平成23年11月25日 (2)国際登録第791599号商標(以下「引用商標2」という。) 商標 「CASTEL」 指定商品 第33類「Alcoholic beverages (except beer); delete from list; wines other than those of specified and guaranteed origin; eaux-de-vie other than those of specified and guaranteed origin.」(参考訳:アルコール飲料(ビールを除く。),(以下のものを除く。原産地が特定された及び保証されたもの以外のぶどう酒、原産地が特定された及び保証されたもの以外のブランデー) 国際商標登録出願日 2002年(平成14年)10月26日 事後指定日 2006年(平成18年)11月13日 登録日 平成20年4月11日 3 申立ての理由(要旨) (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、「キャシテル」及び「カシテル」の称呼が生じ、特定の意味を観念し得ない造語からなる。 イ 引用商標について 引用商標1は、「ラキャピテルデュドメーヌドバロナーク」、「キャピテル」及び「バロナーク」の称呼が生じ、特定の観念が生じない造語からなる。 引用商標2は、「キャステル」及び「カステル」の称呼が生じ、「CASTEL」は、フランス語で「大邸宅」といった意味を有するものの、通常の国内取引上は観念を想起し得ない、いわゆる造語からなる。 ウ 本件商標と引用商標の類否について (ア)外観について 両者はそれぞれの構成が異なる。 (イ)称呼について a 引用商標1の称呼との類否 本件商標は、「キャシテル」の称呼が生じ、引用商標1は、「キャピテル」の称呼が生じる。両者は「シ」と「ピ」の音の差異を有し、それ以外の音を共通にするものであるが、該差異音は母音「i」を同じくする音である。しかもこの差異は、比較的聴者の印象に残り難い中間に位置することと相まって、両称呼の全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいい難く、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似し、相紛れるおそれがある。 b 引用商標2の称呼との類否 次に、「キャシテル」「カシテル」の称呼が生じる本件商標と「キャステル」「カステル」の称呼が生じる引用商標2とを比較すると、両者は「シ」及び「ス」の音の差異を有するものの、それ以外の音を共通にする。しかもこの差異は、いずれも無声摩擦子音を伴う近似の音であるうえ、比較的印象の薄い中間に位置し、かつ、これら差異音に後続する「キャ」ないし「カ」にアクセントがかかることで、差異音は比較的弱く聴取されるから、当該差異が称呼全体の音感に与える影響は決して大きいものとはいえない。したがって、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が近似し、相紛れるおそれがある。 (ウ)観念について 本件商標と引用商標とは、いずれも観念が生じないため、比較することができない。 エ 指定商品について 本件商標の指定商品中「果実のエキス(アルコール分を含むもの),アペリティフ(ビールを除く。),カクテル,ブランデー,ぶどう酒,アルコール飲料(ビールを除く。),ウォッカ,消化促進酒(リキュール及びスピリッツ),スピリッツ(飲料),ウイスキー,果実入りアルコール飲料,米を原料とする酒,ラム,プレミックスアルコール飲料(ビールベースのものを除く。)」は、引用商標1の指定商品「ぶどう酒」及び引用商標2の指定商品「アルコール飲料(ビールを除く。)」と同一又は類似するものである。 オ まとめ 以上より、本件商標と引用商標とは、それぞれ外観及び観念において相違する点があるとしても、称呼上相紛らわしい類似の商標であり、また、その指定商品も同一又は類似するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条1項11号に該当する。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について ア 引用商標1の周知・著名性について 申立人が株主である「バロン フィリップ ド ロスチャイルド エス アー」(以下「バロンフィリップ社」という。)(甲4)は、引用商標1を指定商品「ぶどう酒」に付して販売している(甲5ないし甲12)。バロンフィリップ社は、ボルドー五大シャトーの一つである「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」をはじめ、多数の銘柄を所有しており、その中の一つのラングドック地方で造られた「ドメーヌ・ド・バロナーク」のセカンドワインの銘柄名が、引用商標1である(甲5ないし甲7)。 引用商標1に係るワインは、インターネット通販ショップ等で全国的に販売されており(甲6ないし甲12)、また最高級ファッションブランド「シャネル」と世界中で展開する著名な高級レストラン「アラン・デュカス・エンタープライズ」のコラボレーションによって2004年に誕生した、「ベージュ アラン・デュカス 東京」の屋上テラス用メニューでも提供されている(甲13)。 引用商標1に係るワインは、洋酒専門月刊誌「WANDS」の海外ニュースページや、男性向けファッション雑誌「UOMO」の特集ページ「ワインは、“ラングドック”の時代」においても取り上げられており、洋酒好きの一部の人の間はもとより、一般的な成人男性等にも知名度が拡大していることが推認できる(甲14、甲15)。 以上より、引用商標1及びその略称である「CAPITELLE」は、申立人ないしバロンフィリップ社の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標ということができる。 イ 商標及び指定商品の類否について 本件商標と引用商標1とは互いに類似するから、本件商標は、他人の周知・著名商標に類似する商標であり、かつ、その商品「ぶどう酒(ワイン)」に類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条1項10号に該当する。 (3)商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第7号該当性について ア 商標法第4条第1項第15号該当性 引用商標1は周知・著名な商標であるから、本件商標をその指定商品に使用した場合には、申立人ないしバロンフィリップ社の業務に係る商品であると誤認するだけでなく、経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、需要者が商品の出所について混同するおそれがある。 したがって、本件商標は、商標法第4条1項15号に該当する。 イ 商標法第4条第1項第19号該当性 本件商標権者には、周知・著名な引用商標1中「CAPITELLE」の部分を二か所変更したにすぎない本件商標について権利を取得し、外国で周知な引用商標の使用者である申立人ないしバロンフィリップ社の、未だ日本で販売開始していない商品についての本格的な国内参入を阻止するような「不正の目的」が推認される。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。 ウ 商標法第4条第1項第7号該当性 日本において周知・著名な引用商標1に類似する商標について登録を受けることは、申立人ないしバロンフィリップ社の名声をせん用して不正な利益を得るために使用する目的、その他不正な意図をもってなされたものと認められるため、商取引の秩序を乱すものであり、ひいては国際信義に反するものとして、公序良俗を害する行為というべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 (4) 結び 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、別掲のとおり、上段に我が国において使用されている漢字「査斯特楽」に相当する中国語簡体字を横書きし、下段に「CACITELE」の欧文字を横書きしてなるところ、その構成中の中国語簡体字で表された部分については、その読みや意味については我が国においては知られていないものであり、また、「CACITELE」の欧文字部分についても我が国において知られた語ではなく、特定の意味を有しない造語として認識されるものであるから、「CACITELE」の構成文字に相応して「キャシテル」又は「カシテル」の称呼が生じ、特定の観念が生じないものである。 イ 引用商標 引用商標1は、「LA CAPITELLE DU DOMAINE DE BARON’ARQUES」の欧文字を書してなるところ、構成全体として我が国において特定の意味を想起、連想させるものではなく、「ラキャピテルデュドメーヌドバロナーク」の称呼が生じ、また、長い構成の商標においては、一般的には冒頭部分をもって略称され得るものであるから、冒頭の冠詞を省いた「CAPITELLE」の文字部分から「キャピテル」又は「カピテル」の称呼をも生じるものといえ、特定の観念が生じないものである。 引用商標2は、「CASTEL」の欧文字を書してなるところ、これがフランス語で「小さな城、邸宅」などの意味を有するとしても、我が国においてこのことが広く知られているとはいえず、造語として認識されるものであるから、構成文字に相応して、「キャステル」又は「カステル」の称呼が生じ、特定の観念が生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標の対比について (ア)外観 本件商標と引用商標の外観を比較すると、両者は、文字構成において顕著な差異を有するから、外観において相紛れるおそれのないものである。 (イ)称呼 a 本件商標の称呼「キャシテル」 (i)本件商標から生じる称呼「キャシテル」と引用商標1から生じる称呼「ラキャピテルデュドメーヌドバロナーク」とを比較すると、両者は、構成音において顕著な差異を有するから、称呼において相紛れるおそれのないものである。 (ii)本件商標から生じる称呼「キャシテル」と引用商標1から生じる称呼「キャピテル」とを比較すると、両者は、「キャ」及び「テル」の音を共通にするが、いずれも短い構成音数の4音にあっては、その第2音において明確に聴取される「シ」と「ピ」の音に差異を有するから、これらを一連に称呼しても十分聴別することができ、相紛れるおそれのないものである。 (iii)本件商標から生じる称呼「キャシテル」と引用商標2から生じる称呼「キャステル」とを比較すると、両者は、共に4音からなり、そのうち第2音を除き「キャ」及び「テル」の音を共通にし、異なる第2音も拗音「キャ」に続く同行に属する音となるため、これらを一連に称呼するときは明確に聴取しにくくなり、相紛らわしい類似のものである。 b 本件商標の称呼「カシテル」 (i)本件商標から生じる称呼「カシテル」と引用商標1から生じる称呼「ラキャピテルデュドメーヌドバロナーク」とを比較すると、両者は、構成音において顕著な差異を有するから、称呼において相紛れるおそれのないものである。 (ii)本件商標から生じる称呼「カシテル」と引用商標1から生じる称呼「カピテル」とを比較すると、両者は、「カ」及び「テル」の音を共通にするが、いずれも短い構成音数の4音において、その第2音において明確に聴取される「シ」と「ピ」の音に差異を有するから、これらを一連に称呼しても十分聴別することができ、相紛れるおそれのないものである。 (iii)本件商標から生じる称呼「カシテル」と引用商標2から生じる称呼「カステル」とを比較すると、両者は、「カ」及び「テル」の音を共通にするが、いずれも短い構成音数の4音にあっては、その第2音において明確に聴取される「シ」と「ス」の音に差異を有するから、これらを一連に称呼しても十分聴別することができ、相紛れるおそれのないものである。 (ウ)観念 本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念において相紛れるおそれはない。 (オ)小括 以上からすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似しない非類似の商標である。また、本件商標と引用商標2とは、それぞれから生じる称呼「キャシテル」と「キャステル」において類似する場合があるとしても、外観において大きく異なり、観念においても相紛れるおそれがないものであるから、これらを総合的に考察すれば非類似の商標というのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第10号該当性について 申立人は、本件商標は他人の周知・著名商標である引用商標1に類似する商標であり、かつ、その商品「ぶどう酒(ワイン)」に類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条1項10号に該当する旨主張する。 しかしながら、本件商標は、引用商標1とは、上述したとおり、外観、称呼及び観念のいずれの点においても類似しないものであって、別異の商標というべきものであり、また、引用商標1は、その周知性を証明するものとして甲第1ないし第15号証を提出しているが、これら甲各号証のみによっては、引用商標1が「ワイン」に使用していることが認められるとしても、その商品の販売期間、販売数量、宣伝広告の期間・数量・地域及び金額等並びに市場占有率などが明らかにされておらず、引用商標1が本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国及び外国において周知性を獲得していたとの事実を認めるに足りない。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標は、上述したとおり、引用商標1とは別異の商標というべきものであること及び引用商標1が本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国及び外国において周知性を獲得していたとは認められないことから、商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、取引者・需要者において、その商品が申立人あるいは申立人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずるおそれがない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 本件商標は、上述したとおり、引用商標1とは別異の商標というべきものであり、引用商標1が本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国及び外国において周知性を獲得していたとは認められない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人は、日本において周知・著名な引用商標1に類似する商標について登録を受けることは、申立人ないしバロンフィリップ社の名声をせん用して不正な利益を得るために使用する目的、その他不正な意図をもってなされたものと認められるため、商取引の秩序を乱すものであり、ひいては国際信義に反するものとして、公序良俗を害する行為というべきである旨主張する。 しかしながら、本件商標は、上述したとおり、引用商標1とは別異の商標というべきものであること、引用商標1が本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国及び外国において周知性を獲得していたとは認められないこと並びに「不正の目的」をもって使用するとは推認できないことから、商取引の秩序を乱すものであるとはいえず、また、国際信義に反するともいえないものであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (6)結論 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
異議決定日 | 2014-09-05 |
出願番号 | 商願2013-46626(T2013-46626) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(W33)
T 1 651・ 271- Y (W33) T 1 651・ 262- Y (W33) T 1 651・ 261- Y (W33) T 1 651・ 222- Y (W33) T 1 651・ 263- Y (W33) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 矢澤 一幸 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
大森 健司 土井 敬子 |
登録日 | 2013-10-04 |
登録番号 | 商標登録第5619927号(T5619927) |
権利者 | 厳可勇 |
商標の称呼 | サシトクラク、カシテル、カシテレ、キャシテル、キャシテレ |
代理人 | 特許業務法人ウィンテック |