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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X05
管理番号 1259708 
審判番号 不服2011-7179 
総通号数 152 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2012-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-04-06 
確定日 2012-06-13 
事件の表示 商願2010-13216拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「肌ケアビタミン」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成22年2月23日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その構成文字の並び(文字列)から『肌をケアするビタミン』といった意味が自然に生じ、指定商品との関係では『肌あれ、にきびなど、肌のトラブルの諸症状を改善するためのビタミン剤』ほどの意味合いを直観させる『肌ケアビタミン』の文字よりなるものであるから、これをその指定商品中『ビタミン剤』に使用しても、その商品の品質、効能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ
当審において、職権に基づく証拠調べをした結果、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、請求人に対し、平成23年12月26日付け証拠調べ通知書によって別掲の内容を開示し、意見を求めた。

4 証拠調べに対する請求人の意見の要点
「肌ケア」の語は、辞書に掲載されておらず、日本語「肌」と英語「ケア(care)」の各語から生じる意味合いをつなげた結果、「肌の手入れ」ほどの意味合いが漠然と想起されるものであり、一般に使用されているとまでは考えにくく、「肌の手入れ」の意味合いを生じる語としては、「スキンケア」の語が成語として一般に使用されている。
また、各種ビタミンが肌の諸症状の改善に効果的に作用するものであり、肌の諸症状の改善を効能とする「ビタミン」を主成分とする薬剤が複数存在している事実については、異論はないが、そのような事実が、本願商標「肌ケアビタミン」についての自他商品識別力の直接の裏付けとなるものではない。
さらに、本願商標は、「肌」、「ケア」及び「ビタミン」の各語が強固に結合した一連一体のものであり、構成文字全体をもって特定の意味を有しない一種の造語として認識されるものであるから、その指定商品との関係において、商品の品質を直接的かつ具体的に表しているとまではいい難く、自他商品識別機能を具備するものである。

5 当審の判断
本願商標は、「肌ケアビタミン」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「肌ケア」の語は、別掲の1に示すとおり、肌あれ、にきびなど肌の諸症状の改善といった「肌の手入れ」ほどの意味合いで用いられている語であり、同じく、「ビタミン」の語は、「生命の維持に不可欠な有機化合物の総称」(「朝日現代用語『知恵蔵』2007」、朝日新聞社発行)を意味するものである。
また、別掲の2に示すとおり、「ビタミン」は、肌の諸症状を改善する働きがあるものであり、同3に示すとおり、肌の諸症状を改善するといった効能がある「ビタミン」を主成分とする薬剤が一般に製造、販売されている。
してみれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成全体から容易に「肌あれ、にきびなど、肌の諸症状を改善するためのビタミン剤」ほどの意味合いを看取、把握し、商品の品質を表示してなるものと認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標をその指定商品中、上記意味合いに照応する商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
なお、請求人は、本願商標の構成中の「肌ケア」の語が辞書に掲載されておらず、「肌の手入れ」の意味を表す語としては一般的ではない旨述べるとともに、「肌」、「ケア」又は「ビタミン」の各語と他の語とを結合してなる商標が多数登録されていることからすれば、本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、該商標の構成態様と指定商品との関係において、個別具体的に判断されるものであって、かつ、その判断時期は、査定時又は審決時と解されるべきものであるところ、本願商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者をして、その構成全体をもって、商品の品質を表示してなるものと認識されるにとどまるものであることは、先の認定、判断のとおりである。
また、請求人の挙げた登録例は、いずれも本願商標とはその商標の構成又は指定商品が相違し、本願とは事案を異にするものといわざるを得ないものであるから、それら登録例の存在によって、本願商標についてした前記判断は何ら左右されないというべきである。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
証拠調べ通知の内容
1 「肌ケア」の語が肌の諸症状の改善といった「肌の手入れ」程の意味合いで用いられている例
(1)1999年(平成11年)8月30日付け「読売新聞」(東京朝刊32頁)に、「仕事疲れにグイッと 女性向けドリンク剤人気 売りは『肌ケア成分』」の表題の下、「『普段の肌荒れ防止にはビタミンB2が多いドリンクを三日に1本。疲れで口内炎ができているような時は集中的に。睡眠不足や食欲不振の朝は、糖質の分解を進めるドリンクやストレスを緩和するアミノ酸入りを』といった具合だ。・・・『女性特有の疲れの原因、鉄やカルシウムの慢性的な不足に着目。化粧ののりの悪さで自覚する人が多いということなので、肌荒れによいとされるハトムギ成分も配合した』(大正製薬)、『肌のケアに時間が取れない女性向けに、脂肪をエネルギーに変える作用のあるビタミンB2の苦さを隠して多めに配合』(エーザイ)など、女性仕様を意識する。」との記載がある。
(2)2004年(平成16年)3月23日付け「朝日新聞」(東京朝刊13頁)に、「肌ケア、男性用も拡充『成長分野』と各社期待」の表題の下、「大手化粧品メーカーが、男性用スキンケア用品の拡販に力を入れ始めている。男性の肌への関心が高まっているのに加えて、スキンケア用品は手軽で使いやすいものが多く、利用者が広がりやすいと判断したためだ。」との記載がある。
(3)2007年(平成19年)7月25日付け「共同通信」に、「男も肌ケア ビジネスマンに広がる」の表題の下、「肌のテカリやくすみ、毛穴の汚れ、しみやたるみで実年齢以上に老けて見える肌は、対人的には決していい印象ではなく、仕事上マイナスになることもあるそうです。そんな事情から、ビジネスマンを中心に、美容としてのスキンケアが受け入れられ、広がりつつあるのでしょう。」との記載がある。
(4)2008年(平成20年)6月7日付け「朝日新聞」(東京朝刊3頁)に、「(be report)再生医療を美容に生かす 傷あとケア・肌ケアに新たな動き」の表題の下、「やけどや事故でできた傷、重い皮膚のかいようなどを治す研究から生まれた皮膚再生の技術が、美容の分野に応用されて注目を集めている。肌の活性化を促す成分を含むドクターズコスメも数多く発売され、医療と美容の歩み寄りが新しい傷あとケアや肌ケアの方法を生んでいる。」との記載がある。
(5)2010年(平成22年)10月14日付け「読売新聞」(大阪朝刊26頁)に、「正しい肌ケア、アドバイス 31日にギャラリーよみうり」の表題の下、「肌荒れやシミなどのトラブルを修復するのに大事な時期を迎えることから、大阪よみうり文化センターが企画した。近畿大医学部付属病院皮膚科医師の笹屋晴代さんが、正しいスキンケアや、できてしまったシミへの対処療法などを説明し、きれいになるためのアドバイスをする。」との記載がある。
(6)2011年(平成23年)7月19日付け「日刊工業新聞」(14頁)に、「透視図/『スキンキュア』で美しく-製薬会社、新市場を開拓」の表題の下、「『スキンキュア』という言葉をご存じだろうか。化粧水などで肌を手入れする『スキンケア』はもう女性には当たり前。そこから一歩踏み込み、医薬品の効果で肌の悩みを根本から治療(キュア)して美しさにつなげるという概念だ。処方箋なしで買えるOTC医薬品でスキンキュア商品が登場。シミや傷あとなどの症状改善効果でユーザーに受け入れられている。・・・これまで肌の手入れといえば、化粧品を使った毎日のケアが常識だった。日々の肌ケアと同時に、医薬品のスキンキュア製品を利用してシミや黒ずみ、敏感肌といった肌の症状も改善できれば、利用者の生活の質(QOL)はさらに高まる。この需要は女性を中心にかなり大きいとみられる。」との記載がある。

2 「ビタミン」が肌の諸症状を改善するといった働きをすることを示す例
(1)2003年(平成15年)3月31日付け「日本食糧新聞」に、「シリアル食で美容・健康を、『肌状態』に好影響(日本ケロッグが研究調査)」の表題の下、「『玄米フレーク』群では、国民栄養調査(平成13年)で不足が指摘されたカルシウムや鉄を始め、美肌に有効とされるビタミンA・B1・B2・ナイアシン・ビタミンCなどの摂取量が有意に増加した。・・・また、サプリメントではなく、食事としてビタミン・ミネラルや食物繊維をバランス良く摂取したことが排便回数や肌状態、栄養素どうしの働きに好影響をもたらしたと考えられる。」との記載がある。
(2)2006年(平成18年)3月10日付け「百歳元気新聞」に、「大正製薬のお肌ケア茶『広東美人』『リビタQ10緑茶』発売」の表題の下、「『リビタQ10緑茶』は、日本で初めてCoQ10を安定配合した緑茶で、ビタミンB6を加えた栄養機能食品。ビタミンB6はタンパク質からのエネルギー産生と皮膚や粘膜の健康維持をサポートする。」との記載がある。
(3)2011年(平成23年)5月18日付け「共同通信」に、「薄着の季節に背中安心 簡単にお肌をケア」の表題の下、「背中は皮脂の分泌が多く、にきびができやすい。大人のにきびは不規則な生活やホルモンバランスの崩れなど原因が複雑で治りにくいという。ユースキン製薬の『ルドー 薬用アクネローション』はにきび対策の化粧水。スプレータイプなので背中に簡単に吹き付けられる。消炎、殺菌成分と潤い成分が入っていて、肌の水分量と皮脂量のバランスを保つ。皮脂分泌を抑制するビタミンも配合。」との記載がある。
(4)独立行政法人国立健康・栄養研究所のウェブサイト中の「『健康食品』の安全性・有効性情報」の項目中に、「ビタミンB2・・・一般に『皮膚、爪、髪の毛の健康を維持する』、『成長を促進する』、『脂質の代謝を促進する』などといわれている。」、「ビタミンB6・・・一般に『たんぱく質をつくる』、『健康な皮膚や髪、歯をつくる』、『成長を促進する』などといわれている。」、「ビタミンC・・・一般に『コラーゲンの合成を促進する』、『抗酸化作用がある』、『鉄や銅の吸収を助ける』、『メラニン色素の生成を抑制する』、『免疫力を高める』などといわれている。」の記載がある。
(http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail49lite.html)(http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail48lite.html)(http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail45lite.html)

3 肌の諸症状を改善するといった効能がある「ビタミン」を主成分とする薬剤の例
(1) エーザイ株式会社のウェブサイトの「製品情報」の項目中に、「チョコラBB肌ケアシリーズ」の記載と共に、「肌あれ」等に効く各種医薬品が紹介されている。また、「チョコラBBプラス」の説明として、「チョコラBBプラスは、肌あれ・にきび・口内炎の緩和と、疲れた時に効果的なビタミン剤です。吸収にすぐれた活性型ビタミンB2が、細胞の新陳代謝を助けて皮膚・粘膜の症状を改善します。また、バランスよく配合した5種類のビタミンB群が、食事から摂取した栄養素を効率よくエネルギーに変換して毎日の疲れをケアします。疲れた時と肌あれには、小型でのみやすい錠剤のチョコラBBプラスがよく効きます。」との記載がある。(http://www.eisai.jp/health-care/products/chocola-skin-care/index.html)(http://www.eisai.jp/health-care/products/chocola-skin-care/bb.html)
(2)エーザイ株式会社が運営する「チョコラドットコム」のウェブサイトの「商品紹介」の項目中に、「チョコラBBプラス」の説明として、「肌ケアと疲れケアに効果的なB群ビタミン(B2・B6・B1)を高単位に配合。」の記載がある。(http://www.chocola.com/product/lineup/bb.html)
(3)エスエス製薬株式会社のウェブサイトの「ハイチオール全ラインナップ」の項目中に、「カラダの中から、素肌ケア」の記載と共に、「肌あれ」等に効く各種医薬品が紹介されている。また、「ハイチオールB」の説明として、「ハイチオールBは、『脂質と肌』2つの代謝をたすけ、体の内側から気になる肌あれ・にきびを緩和する医薬品です。L-システインが肌細胞の代謝を正常化し、ビタミンB2が脂質代謝に働きます。さらにビタミンB6・ビタミンC・パントテン酸カルシウムが肌細胞の機能維持、コラーゲン生成をサポート。これらの作用により、肌あれ・にきびを緩和します。」との記載がある。(http://www.ssp.co.jp/hythiol/about/series.html)(http://www.ssp.co.jp/product/all/hb/)
(4)武田薬品工業株式会社が運営する「タケダ健康サイト」のウェブサイトの「製品情報」の項目中に、「ハイシーBメイト2」の説明として、「肌あれ・にきびを改善する2つの主成分 脂質やたんぱく質の代謝を助け、体の内側から『肌細胞の生まれ変わり』を助けるビタミンB2・B6 肌あれ・にきびの改善を助ける4つの成分 1.コラーゲンの生成に欠かせないビタミンC」の記載がある。(http://takeda-kenko.jp/products/vitamin/hic_bmat.html)
(5)興和株式会社のウェブサイトの「OTC医薬品」の項目中に、「デュアタイムコーワ」の説明として、「朝と夜、それぞれの肌の状態にあった2種類の処方で肌の生まれ変わりを助け、肌あれ・にきびなどの肌トラブルを改善する朝夜肌系ビタミン剤です。サーカディアンリズムと、昼間と夜間の肌環境の違いに着目したビタミンB6主薬製剤です。」の記載がある。(http://hc.kowa.co.jp/duatime/lineup.php)

審理終結日 2012-03-13 
結審通知日 2012-03-19 
審決日 2012-04-24 
出願番号 商願2010-13216(T2010-13216) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前山 るり子田中 幸一 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 山田 和彦
田中 敬規
商標の称呼 ハダケアビタミン、ハダケア 
代理人 小谷 悦司 
代理人 川瀬 幹夫 

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