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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900294 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X3637
管理番号 1248198 
異議申立番号 異議2011-900247 
総通号数 145 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2012-01-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-07-13 
確定日 2011-12-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5408271号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5408271号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5408271号商標(以下「本件商標」という。)は,「ダブルソーラー」の文字を標準文字により表してなり,平成21年10月1日に登録出願,第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務及び第37類「建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,照明用器具の修理又は保守,ガス湯沸かし器の修理又は保守」を指定役務として,同23年3月2日に登録査定され,同年4月22日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第5389281号商標(以下「引用商標」という。)は,「Wソーラー」の文字を標準文字により表してなり,平成21年3月10日に登録出願,第37類「建設工事,太陽光による発電機械器具設置工事,蓄熱型冷暖房装置施工一式工事,熱交換器の設置工事,太陽熱利用温水器の取り付け工事・修理又は保守,配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,電動機の修理又は保守,太陽光発電装置の据付・修理又は保守,スイミングプールの保守,映画機械器具の修理又は保守,光学機械器具の修理又は保守,写真機械器具の修理又は保守,太陽熱利用住宅用冷暖房装置施工一式工事,暖冷房装置の修理又は保守,バーナーの修理又は保守,ボイラーの修理又は保守,ポンプの修理又は保守,冷凍機械器具の修理又は保守,コージェネレーションを利用した暖冷房装置の修理又は保守,コージェネレーションシステムを利用した暖冷房装置の修理又は保守,暖冷房装置の修理又は保守に関する助言,暖冷房装置の修理又は保守に関する情報の提供,暖冷房装置の清掃又は洗浄,暖冷房装置の設置工事,暖冷房装置の点検,民生用電気機械器具の修理又は保守,熱交換器の内部洗浄」を指定役務として,同22年11月10日に登録審決,同23年2月10日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

3 登録異議申立ての理由の要点
本件商標と引用商標は,その称呼及び観念において同一のものである。
一方,指定役務において相違しているが,第37類の「建築工事に関する助言」と「建設工事」は,実際のビジネスにおいて需要者が誤認混同を引き起こすに十分な類似関係にある。
「建設工事」とは,実際の現場施工のことであり,「建築工事に関する助言」とは,施工コンサルティングや施工管理を指すものと理解されるが,一般的に,建築・土木業界においては,設計だけ,施工だけ又は施工管理だけを専門とする中小企業も存在するが,いわゆるゼネコンといわれる大手業者や大手住宅メーカー等において,設計・施工・施工管理を同時に行うことはごく普通のことである。すなわち,設計・施工・施工管理も,通常,同一業界の同一企業によって,同時に行われるサービスであることが普通であるため,需要者=建設工事発注者は,設計だけの会社,施工だけの会社,施工管理だけの会社,そして総合サービスを行う会社とも常に密接な取引関係を有している。
なお,上記以外の指定役務においても,例えば,「照明用器具の修理又は保守」と「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,電動機の修理又は保守」は,共に電気工事業者が実施するサービスである。また,「ガス湯沸かし器の修理又は保守」は,通常,ガス器具業者が実施するものであり,「暖冷房装置の修理又は保守」のうち,ガスを利用したものは実際のビジネスにおいてガス器具業者が実施するサービスである。
以上のとおり,本件商標と引用商標は,その指定役務において,実際のビジネスにおいて需要者が誤認混同を引き起こすに十分な類似の関係にある。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから,その登録を取り消されるべきものである。

4 当審の判断
(1)商標の類否について
本件商標は,「ダブルソーラー」の文字からなり,一方,引用商標は,「Wソーラー」の文字からなるものであるから,両商標は,それぞれの構成文字に相応して生ずる「ダブルソーラー」の称呼を共通にする類似の商標である。
(2)役務の類否について
本件の商標登録異議申立書には,登録異議の申立てに係る指定役務及び役務の区分として,第36類及び第37類の全役務が記載されているが,申立の理由には,その対象役務として,本件商標の指定役務中の第37類「建築工事に関する助言」と引用商標の指定役務中の「建設工事」が類似関係にあること,また,「なお」として,本件商標の指定役務中の「照明用器具の修理又は保守及び,ガス湯沸かし器の修理又は保守」と引用商標の指定役務中の「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,電動機の修理又は保守及び,暖冷房装置の修理又は保守」とが同一の事業者が実施するサービスであることのみ記載されている。
ア そこで,まず,「建設工事」と「建築工事に関する助言」の類否について検討する。
申立人は,「『建設工事』とは,実際の現場施工のことであり,『建築工事に関する助言』とは,施工コンサルティングや施工管理を指すものと理解される」として,「建設工事」と「建築工事に関する助言」の役務の内容が相違すること,建築・土木業界において,設計,施工又は施工管理のみを専門とする中小企業が存在することを認めた上で,ゼネコンといわれる大手業者や大手住宅メーカー等においては,双方の役務を同時に行うことが普通であるとして,「建設工事」と「建築工事に関する助言」とが類似の役務である旨主張する。
しかし,役務の類否の判断に際しては,例えば,イ)提供の手段,目的又は場所が一致するか否か,ロ)提供に関連する物品が一致するか否か,ハ)需要者の範囲が一致するか否か,ニ)業種が同じかどうか,ホ)当該役務に関する業務や事業者を規制する法律が同じどうか,ヘ)同一の事業者が提供するものであるかどうかを総合的に考慮して具体的に判断すべきものと解されることから,申立人の主張する役務を提供する事業者の一部(大手業者やゼネコン)が一致することのみをもって,対比する役務が類似するということはできない。
そして,念のため,「建設工事」と「建築工事に関する助言」を,前記イ)ないしヘ)の観点により比較すると,「建設工事」は,申立人の主張のとおり,「実際の現場の施工のこと」であって,対象物を建設するために資材や建築機械その他の機械を使用し,工事現場において提供される役務であるのに対し,「建築工事に関する助言」は,同じく申立人の主張のとおり,「施工コンサルティングや施工管理」などと理解され,資材や建築機械その他の機械を使用することはなく,書面や口頭により提供される役務であり,その提供場所は工事現場に限られるものでない。
また,「建設工事」は,建設業法により,その役務(工事の種類)とこれを行う業種が定められ(参考「建設業法 第2条及び別表第一」),また,その業種は,日本標準産業分類(平成19年11月改定)において,「中分類09-総合工事業及び中分類10-職別工事業(設備工事を除く)の範疇に分類されているのに対し,「建築工事に関する助言」は,これを定義する法律はないが,その役務を行う業種の一つである「建設コンサルタント」が,公共工事の前払金保証事業に関する法律において定義され(参考「同法 第19条第1項第3号」),その「建設コンサルタント」は,日本標準産業分類(同上)において,中分類86-専門サービス業(他に分類されないもの)の範疇に分類されている。
さらに,申立人の主張のとおり,建築・土木業界においては,設計だけ,施工だけ又は施工管理だけを専門とする中小企業も存在することから,提供する事業者が一致するということはできない。
以上のとおり,「建設工事」と「建築工事に関する助言」とは,イ)提供の手段・目的又は場所,ロ)提供に関連する物品,ニ)業種,ホ)当該役務に関する業務や事業者を規制する法律及び,へ)提供する事業者が一致するものとはいえないから,両役務を混同のおそれのある類似する役務ということはできない。
イ 申立人は,前記アの役務の他,「なお」として,「照明用器具の修理又は保守」と「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,電動機の修理又は保守」は共に電気工事業が実施するサービスであり,また,「ガス湯沸かし器の修理又は保守」と「暖冷房装置の修理又は保守」はガス器具業者が実施するサービスである旨主張する。
しかし,役務の類否の判断に際しては,前記アで示したとおり,イ)ないしヘ)に例示するような事項が一致するかどうかを総合的に考慮して具体的に判断すべきものと解されるところ,申立人は,これらの役務の事業者が一致すると主張するのみで,その主張を裏付ける具体的な主張・立証をしておらず,また,前記イ)ないしへ)に例示するような事項に関する具体的な主張,立証もしていない。
してみれば,「照明用器具の修理又は保守」と「配電用又は制御用の機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,電動機の修理又は保守」及び「ガス湯沸かし器の修理又は保守」と「暖冷房装置の修理又は保守」とが互いに類似するものとはいえず,イに関する申立人の主張は採用できない。
ウ また,本件商標と引用商標中の前記ア及びイ以外のいずれの役務も互いに類似するものとはいえない。
したがって,本件商標の指定役務は,引用商標のいずれの指定役務とも同一又は類似するものではない。
(3)商標法第4条第1項第11号該当について
前記(1)及び(2)のとおり,本件商標は,引用商標と商標において類似するものであるとしても,その指定役務は,引用商標の指定役務と類似するものではないから,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に違反して登録
されたものではないから,商標法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2011-12-02 
出願番号 商願2009-74615(T2009-74615) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (X3637)
最終処分 維持  
前審関与審査官 久保田 正文 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
小川 きみえ
登録日 2011-04-22 
登録番号 商標登録第5408271号(T5408271) 
権利者 アールイーコム株式会社
商標の称呼 ダブルソーラー、ダブル 
代理人 日高 賢治 

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