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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z09
管理番号 1241398 
審判番号 取消2010-300685 
総通号数 141 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-09-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2010-06-23 
確定日 2011-07-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第4388234号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4388234号商標(以下「本件商標」という。)は、「Quick View」の欧文字を標準文字で表してなり、平成10年12月25日に登録出願され、第9類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」を指定商品として、平成12年6月2日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第7号証を提出した。
1 請求の理由
被請求人は、本件商標をその指定商品のいずれについても継続して3年以上日本国内において使用していない。また、本件商標について専用使用権者は存在せず、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。 したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品につき使用されていないものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、本件商標を本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、本件請求に係る指定商品「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」について使用していると主張している。
しかしながら、被請求人提出の乙第1号証ないし同第6号証は、被請求人が本件商標を上記指定商品について使用していることを証明していない。
(2)本件商標の使用を証明すべき商品について
ア 商標法第50条第2項
商標法第50条第2項は、「・・・その請求にかかる指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定している。したがって、被請求人が本件商標の使用を証明すべき対象となる商品は、請求に係る「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」(以下「本件指定商品」という。)である。
したがって、本件指定商品以外の商品について本件商標の使用を証明しても、その取消しを免れないことは明らかである。
イ 被請求人が主張する本件商標の使用商品
(ア)被請求人は、「『電子計算機用プログラム』たるデータ読み取りソフトウェアそのもの、あるいは同ソフトウェアを記憶させたCD-ROM収納ケースのラベルに本件商標を使用している」と述べている。しかしながら、データ読み取りソフトウェアそのもの、すなわち「電子計算機用プログラム」及び「同ソフトウェアを記憶させたCD-ROM」は、いずれも本件指定商品とは異なる商品であるから、被請求人は、本件取消審判請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用したことを証明していない。
(イ)平成13年経済産業省令第202号による商標法施行規則別表の一部改正(平成14年1月1日施行)により、同別表に「電子計算機用プログラム」が追記されたことは事実である。しかし、この追記は、それまで商標法上の「商品」は、有体物であると解されていたところ、商標法の平成14年改正時において初めて無体物である「電子計算機用プログラム」を「商品」概念に含めることとし、それに合わせて商標法第2条第3項第2号の使用の定義に「電気通信回線を通じて提供」を追加する改正が行われたのである。
つまり、無体物である「電子計算機用プログラム」自体は、上記改正までは商標法上の「商品」ではなかったのであり、このような無体物を「商品」概念に含ませるということは、革命的、画期的な変更であったのである。
しかして、本件商標の出願日は、平成10年12月25日、登録査定日は平成12年4月24日であって(甲第1号証)、いずれも上記改正以前であるから、本件登録が無体物たる「電子計算機用プログラム」をその指定商品に含むということはあり得ないことであり、これに反する被請求人の主張は、それ自体失当である。
(ウ)さらに、被請求人は、「データ読み取りソフトウェアを記憶させたCD-ROM」(以下「本件CD-ROM」という。)が本件指定商品に含まれる旨主張しているが、本件指定商品は、「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」であるのに対し、「CD-ROM」は、光ディスクの一種であって(甲第5号証)、「電子回路」「磁気ディスク」「磁気テープ」のいずれでもないことは明白である。したがって、被請求人の上記主張も、それ自体失当である。
被請求人は、答弁書第4ページにおいて、次のとおり述べている。
「磁気ディスクと光ディスクとに物理的、方式的な違いはあっても、電子計算機用プログラムの記録媒体としての本質的な違いはない。よって、電子計算機用プログラムを記憶したCD-ROM等の光ディスクについても、本件商標の指定商品に含まれると解されるべきである。」
このような結論は、本件指定商品が「・・・記録媒体」であったならば成立するが、上記主張は、例えば、木製机と金属製机は、材質的な違いはあっても、商品の機能としての本質的な違いはないから、同一の商品であるというに等しく到底認められない。この例を借りれば、あえて「木製机」を指定商品として特定している登録について、それとは異なる「金属製机」を使用していても、商標法50条の下では、取消しは免れないのである。
商標法第27条第2項は、「指定商品又は指定役務の範囲は、願書の記載に基づいて定めなければならない。」と規定しており、同法にいう「指定商品」とは、商標登録出願人が同法第6条第1項の規定により商標登録出願に係る願書にその出願に係る商標を使用するものとして指定した商品であるところ、商標登録出願に当たり、いかなる商品を指定商品とするかは、商標登録出願人の意思にゆだねられているものである。そして、「指定商品」は、商標権の効力の及ぶ範囲を画定する極めて重要なものであることを考えれば、願書に記載された「指定商品」は、厳格に解釈される必要がある。
願書において「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」のみを指定商品として特定した以上、これは、上記商品以外の商品は権利に含まないという被請求人の意思を客観的に示すものであるから、これとは異なる「同ソフトウェアを記憶させたCD-ROM」を同一商品と解することは許されない。
「電子計算機用プログラムを記憶させたCD-ROM」は、「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」のいずれでもなく、取消請求に係る指定商品について本件商標を使用したことを証明したものということはできない。
(エ)答弁書において、被請求人は、出願当時に現在の流通形態を予測し、それを網羅する指定商品を設定することは困難である旨主張しているが、本件商標の出願当時においても、既に「CD-ROM」は、記憶媒体としてかなり一般化しており(甲第5号証に示すように、1988年頃から一般に発売されている。)、現に例えば、本件登録と出願日をほぼ同じくする登録第4396470号(出願日平成10年12月15日、甲第6号証)においては、第9類「電子レンジの制御用マイクロコンピュータ、電子レンジ制御用のプログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・ICメモリ・コンパクトディスク・CD-ROM・光磁気ディスクその他の記録媒体、その他の電子応用機械器具及びその部品」の指定商品が採用されている。
また、同じく平成12年の出願に係る登録第4329829号(甲第7号証)でも、第9類「コンピュータ用プログラムを記憶させた磁気ディスク、コンピュータープログラムを記憶させたCD-ROMディスク、コンピューター用プログラムを記憶させたCD-ROMディスク駆動装置、その他の電子応用機械器具及びその部品」の指定商品が採用されている。
以上の事実が示すとおり、上記被請求人の主張も理由がない。
ウ 各乙号証について
被請求人が提出した乙第1号証ないし同第6号証中、本件商標が「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」について使用されたことを示すものは存在しない。
エ まとめ
以上のとおり、被請求人は、取消請求に係る指定商品について、本件商標を使用したことを証明していないから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
(3)被請求人が提出した証拠の信憑性について
被請求人の主張は、それ自体失当であるが、念のため、被請求人が提出した乙第1号証ないし同第6号証について検討する。
ア 乙第1号証ないし同第3号証
答弁書によれば、乙第1号証ないし同第3号証は、「ガス圧記録計およびデータ読み取りソフトウェアの注文書の写し・計装工事指示書の写し・製作仕様書の写し」とのことである。
しかしながら、乙第1号証及び同第2号証中には、本件商標「Quick View」の表示は存在しない。したがって、乙第1号証及び同第2号証は、本件商標が使用されていたことの証拠にはなり得ない。また、乙第3号証中には、「QUICK View1.3」の表示が認められるが、これによっては、本件商標がいかなる物に使用されているか、また、独立して取引の対象となる商品について使用されているか全く不明であり、本件商標の使用証拠とは認められない。
イ 乙第5号証及び同第6号証
答弁書によれば、乙第5号証は、「データ読み取りソフトウェア『Quick View』を記憶させたCD-ROMおよびその収納ケース」であり、同第6号証は、「データ読み取りソフトウェア『Quick View』の実行ファイル格納フォルダ表示状態および起動状態の各ハードコピー」とのことである。乙第5号証及び同第6号証中には、本件商標の表示が認められるが、乙第5号証及び同第6号証のみをもっては、当該ソフトウェアがいつ・誰に・どのような形で譲渡等されたものであるのか全く不明である。
そして、乙第5号証についてみると、当該ソフトウェアが格納されているCD-ROMは、家電量販店などにおいて、一般消費者向けに販売されている日立マクセル株式会社製のCD-Rであって、購入者が自由にデータを書き込み、CDのレーベル面にもプリントが可能な仕様であって、業として販売されるCDとして使用されるものとは考えにくい。一般に、商品として市販されているソフトウェアは、ケースから出した後も内容がわかるようにCD自体にソフトウェアの名称、製作・販売会社等が詳細に記載されているものであるが、当該CD自体には、本件商標の記載はおろか被請求人を表示するものも全くない。また、通常のソフトウェアは、無断複製利用を防止するための処理がなされているが、本ソフトウェアは、そのような制限もなく自由にコピーできる。加えて、当該ソフトウェアの収納ケースのラべルもコピー用紙に印刷したものを収納ケースの爪部分にはめただけの非常に簡単なものである。
以上の事実をふまえると、このような通常の商品とは思えない外観を呈するCD-Rが実際に被請求人の商品として(すなわち独立して有償で取引されるものとして)商取引の対象とされているとは、信用し難い。
ウ 乙第4号証
答弁書によれば、乙第4号証は、「日本測器営業担当者:豊島亮二による本件商標の使用事実の証明書」である。
しかしながら、「豊島亮二」は、日本測器営業担当者であって、答弁書によれば、日本測器株式会社は、被請求人の顧客であるから、このような取引関係にある者による「証明書」には客観性がなく、全く信憑性に欠けるから、商標法第50条第2項所定の「証明」の証拠とはなり得ない。
そして、乙第4号証以外に乙第1号証ないし同第3号証と乙第5号証および同第6号証を関連付ける証拠は、一切提出されていない。
つまり、乙第4号証のみが、「Quick View」の文字が付されたCDを被請求人が日本測器株式会社に譲渡したことを示すものであるが、上記のとおり、第4号証は、証拠力を欠くものである。
したがって、乙第1号証ないし同第6号証は、被請求人が本件商標を付した商品を販売したとの事実を立証するものとはいえない。
(4)以上詳述したとおり、本件商標が請求に係る指定商品「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」について請求登録日前3年間に使用されたことを立証する証拠はなく、被請求人の主張に係る「同ソフトウェアを記憶させたCD-ROM」について提出された証拠も不自然である。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第6号証を提出した。
答弁の理由
本件商標は、その登録から現在に至るまで被請求人のデジタルガス圧記録計のデータ読み取りソフトウェアを示す商標として被請求人によって使用されているものである。
乙第1号証は、平成21年11月13日付けで日本国内の法人である日本測器株式会社(以下「日本測器」という。)から被請求人に対して発せられた注文書の写しであり、また、乙第2号証は、乙第1号証を受けて被請求人社内で受注品生産を指示した計装工事指示書の写しであり、さらに、乙第3号証は、乙第2号証と同時に被請求人社内で発行された製作仕様書の写しである。注文書を受けると被請求人社内において計装工事指示書と製作仕様書が作成され、これに基づいて受注品の生産・出荷が行われる。これら乙第1号証ないし同第3号証が、一連の関係書類であることは、各号証に記入された工事指示番号から明らかである。これら乙第1号証ないし同第3号証によれば、平成21(2009)年11月13日に日本測器からデジタルガス圧記録計及びデータ読み取りソフトウェアの発注が被請求人に対してなされ、その生産過程でデータ読み取りソフトウェアを示す商標として「Quick View」が使用されていることが明白である。
また、乙第4号証は、乙第1号証ないし乙第3号証に基づいて被請求人から日本測器に納入された製品に関する日本測器営業担当者:豊島亮二の証明書である。この乙第4号証によれば、日本測器からの乙第1号証による発注に対し、被請求人からデータ読み取りソフトウェアを記憶したCD-ROMが納入されたこと、同CD-ROMの収納ケースには、そこに記憶されたデータ読み取りソフトウェアを示す商標として「Quick View」が使用されていたことが明白である。
さらに、乙第5号証は、上記日本測器に納入したデータ読み取りソフトウェアをコピーし記憶させたCD-ROMである。この乙第5号証に記憶されたデータ読み取りソフトウェアをパソコンにインストールし、その実行ファイル格納フォルダを開いた時のウィンドウと、同実行ファイルを起動した時のウィンドウとのハードコピーをとったものが乙第6号証である。
この乙第6号証によれば、データ読み取りソフトウェアの実行ファイル名として「Quick View」が使用されていること、実行ファイルを起動した状態(データ読み取りソフトウェアを起動した状態)においては、ウィンドウ左肩に「GP Quick View XP」なる表示が用いられていることがそれぞれ明白である。このように、本件商標は、ソフトウェアそのものにも使用されている。
ところで、平成13年の商標法施行規則別表の改正では、第9類に「電子計算機用プログラム」が新たに設けられ、それにともなって「電子計算機用プログラムを記憶した電子回路、磁気ディスク、磁気テープ、その他の周辺記憶装置」が削除された。これは、旧法下における「電子計算機用プログラムを記憶した電子回路、磁気ディスク、磁気テープ、その他の周辺記憶装置」が「電子計算機用プログラム」を示すものであったことを意味している。つまり、本件商標の指定商品「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」は、「電子計算機用プログラム」を意味しているものである。これに関して、本件商標と同時期にマックストア コーポレイション(以下「マックストア」という。)が本件商標と同一商標「QUICK VIEW」について「ハードディスクドライブ、その他の電子計算機周辺機器」を指定商品として商標登録出願を行い、商標登録を受けている事実がある(商標登録第4559690号)。これは、本件商標の指定商品が「電子計算機用プログラム」に相当すると解された証左である。もし、本件商標の指定商品中の「電子計算機用プログラムを記憶させた磁気ディスク」が「磁気ディスク」と解されるものなら、本件商標は、先願の地位を有するマックストアの商標出願により登録を受けられなかったはずである。
また、「商標法施行規則別表」や「類似商品・役務審査基準」に挙げられた商品・役務は、例示にすぎない。すべての商品をこれらに明示することは不可能であり、明示されていない商品が多数含まれることは自明である。したがって、上記別表や「類似商品・役務審査基準」に明示されていないからといって、その商品が商標法上の商品に該当しないことにはならないことは明白である。
現在、電子計算機プログラムの提供に際してフロッピディスク等の磁気ディスク媒体はほとんど用いられなくなり、替わってCD-ROMやDVD-ROMなどの光ディスク媒体が用いられるようになっている。フロッピディスクに記憶できる程度の容量の小さいソフトウェアは、インターネット等のネットワーク環境を通じたダウンロード方式など、記憶媒体を介さずに流通することも一般化した。しかし、本件商標出願当時(平成10年12月当時)は、磁気ディスク媒体たるフロッピディスクによる電子計算機用プログラムの提供が主流の時期であった。この頃に現在の流通形態を予測し、それを網羅する指定商品を設定することは困難である。また、磁気ディスクと光ディスクとに物理的、方式的な違いはあっても、電子計算機用プログラムの記録媒体としての本質的な違いはない。よって、電子計算機用プログラムを記憶したCD-ROM等の光ディスクについても、本件商標の指定商品に含まれると解されるべきである。
しかして、被請求人は、「電子計算機用プログラム」たるデータ読み取りソフトウェアそのもの、あるいは同ソフトウェアを記憶させたCD-ROMの収納ケースのラベルに本件商標を使用しているのであるから、これは、本件商標をその指定商品である第9類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」に使用していることにほかならない。また、その使用時期も2009年12月であることが明白である。
以上のとおり、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の何れによっても、その指定商品につき使用されていないものということはできない。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
乙第1号証は、平成21年11月13日付けで日本国内の法人である日本測器から商標権者に対して発せられた注文書の写しであり、また、乙第2号証は、乙第1号証を受けて商標権者社内で受注品生産を指示した計装工事指示書の写しであり、さらに、乙第3号証は、乙第2号証と同時に商標権者社内で発行された製作仕様書の写しである。そして、乙第1号証には、「商品名/型番」として、「デジタルガス圧記録計 GP100P」「数量20個」、「PC接続通信ケーブル/データ読み取りソフトウェア 通信アダプタ含む。」「数量2個」の文字があり、乙第2号証には、「ガス圧計 GP100P」のほか「GP100P」「数量20個」、「PC接続通信ケーブル」「通信アダプタ」の文字とともに「データ読み取りソフトウェア」「数量2個」の文字があり、また、乙第3号証には、「基本構成 GP100P 記録計20 圧力センサ20 収納袋20 電池20」、「通信ケーブル類 GP100P DOS/V用 2」「通信アダプタ2」、「関連ソフトウェア類 GP100P Quick View1.3 2」、「マニュアル(機器、ソフトウェア用) ユーザーズマニュアル 2」とあり、乙第2号証及び乙第3号証には、その出荷日を2009年12月9日としていることが認められる。
乙第4号証は、日本測器営業担当者:豊島亮二の証明書であるが、該証明書には、日本測器からの乙第1号証による発注に対し、商標権者から2009年(平成21年)12月9日にデジタルガス圧記録計GP100Pを20台、「PC接続通威信ケーブル/データ読み取りソフトウェア」2セットを受領したこと、データ読み取りソフトウェアを記憶したCD-ROMが納入されたこと、同CD-ROMの収納ケースには、「Quick View」が横書きされたラベルが付されたことが示されている。
乙第5号証は、CD-ROM及びその収納ケースであり、その収納ケースには、商標権者の社標のほか、「デジタル圧力記録計(GPシリーズ)」「データ読取りグラフ作成ツール」「Quick View」「Windows XP USBアダプタ対応」「セットアップディスク」の表示が記載されている。
乙第6号証は、「Quick View」の実行ファイル格納フォルダを開いた時のウィンドウと、同実行ファイルを起動した時のウィンドウのハードコピーであり、そのソフトウェアの実行ファイル名として「Quick View」が使用されていること、実行ファイルを起動した状態においては、ウィンドウ左肩に「GP Quick View XP」の表示がされている。
2 前記1の認定した事実によれば、商標権者は、平成21年11月13日にデジタルガス圧記録計20台と共にPC接続通威信ケーブル及びデータ読み取りソフトウェア「Quick View」を2セット受注し、同年12月9日に、当該ソフトウェアについてはCD-ROMに記憶し、本件商標である「Quick View」の商標が表示されたラベルが付されたケースに収納して、納品したことが認められる。
3 使用商品について、
本件審判の請求に係る指定商品は、「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」であり、使用商品は、電子計算機用プログラムを記憶させたCD-ROM(以下「使用商品」という。)である。
この点について、請求人は、使用商品は、本件指定商品に含まれる商品ではないとし、本件指定商品とは異なる商品であると主張している。
そこで検討するに、本件指定商品「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ」は、記憶媒体が、「電子回路」「磁気ディスク」「磁気テープ」であるが、当該商品の購入者は、そこに記憶されたソフトウェアをコンピュータにインストールするなどし、そのソフトウェアの用途(例えば、表計算)に使用するものである。そうすると、本件指定商品は、実質的には「電子計算機用プログラム」であって、それを記憶させた記録媒体は、当該ソフトウェアを有体性をもった取引対象物として販売するための手段、取引形態にすぎないものである。
そうであれば、ソフトウェアを記憶させた記憶媒体が、本件指定商品は「電子回路」「磁気ディスク」「磁気テープ」であり、使用商品は「CD-ROM」であって、異なるものであるとしても、実質的に同一の商品というべきであり、使用商品は、取消に係る指定商品の範ちゅうに属するものとみるのが相当である。
4 請求人のそのほかの主張について
請求人は、一般に商品として市販されているソフトウェアは、CD自体にソフトウェアの名称、製作会社等が記載され、無断複製利用を防止する処理などがなされているが、使用商品は、市販のCD-ROMに格納されているものであり、このような通常の商品とは思えない外観を呈するCD-ROMが独立して有償で取引されるものとして商取引の対象とされているとは信用し難い、と主張している。
しかし、本件使用商品は、一般消費者などを対象とするような一般に広く流通する商品ではなく、業務用の商品であり、このような商品は、それぞれの業務、用途に合わせて専用仕様とし、特定の者に販売する場合も多いものである。そして、このような場合にソフトウェアを市販の記録媒体に記憶させて取引先に販売することは、不自然とはいえないから、本件商品が市販の商品と同様の形態ではないことをもって、その取引の事実を否定することはできない。
さらに、請求人は、個々の乙号証について、本件商標が使用されていたことの証拠になり得ないなどとし、被請求人の提出した証拠は、商標権者が本件商標を付した商品を販売した事実を立証するものではないと主張しているが、提出された証拠を総合してみれば、前記2のとおり認定できるから、請求人の主張は採用できない。
5 結論
してみれば、商標権者は、本件審判についての要証期間内に、電子計算機用プログラムを記憶させたCD-ROMをその包装に本件商標を付して販売したものと認められるところであり、これは、商標法第2条第3項第1号及び同第2号に規定されている商標の使用行為ということができる。
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件商標を本件審判の請求に係る指定商品について使用をしていたことを証明したものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2011-02-22 
結審通知日 2011-02-28 
審決日 2011-03-11 
出願番号 商願平10-111311 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z09)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 内山 進
前山 るり子
登録日 2000-06-02 
登録番号 商標登録第4388234号(T4388234) 
商標の称呼 クイックビュー、クイック 
代理人 大島 厚 

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