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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 117
管理番号 1228378 
審判番号 取消2008-301078 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-08-27 
確定日 2010-12-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第768139号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第768139号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第768139号商標(以下「本件商標」という。)は、「スマイリー」の文字を横書きしてなり、昭和41年7月21日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として同43年1月24日に設定登録され、その後、同53年6月7日、同63年2月26日、平成10年1月20日及び同20年1月29日の4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成20年9月11日である。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第33号証(枝番を含む。)を提出した。
1 請求の理由
請求人が種々調査した結果、本件商標は商標権者により、少なくとも過去3年以内に日本国内でその指定商品には使用されていないことが判明した。
したがって、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録は取消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)使用事実の存在について
ア 被請求人は請求外有限会社パワーボム(以下「パワーボム」という。)について「通常使用権」を設定したと主張するが、商標登録原簿にはその登録がない(甲第8号証)ため、非常に信憑性がない。
イ 乙第2号証は、後付で作成したもので意味がない。「本件商標は契約書上にこそ明記されていないが」等と断りを述べているのは怪しい。このような手法で書類を作る事は誰にでも出来る。商品デザインをする時、このようなパソコンを使用してのデザイン制作は誰にでも簡単に出来るので、証拠能力がない。
ウ 乙第3号証の写真も、宣伝写真を並べたものにすぎない。それも「楽天」等の通販用の頁を提出しただけで、このようなホームページは自宅で通販を行っている「マニア」でも作れるもので、一般市場で商品が広く売られたとはいえない。
被請求人は、「パワーボムは、6月16日現在においても、本件商標を使用したタンクトップを販売している(乙第4号証)。」と主張するが、パソコンで作成したイラストやデザインを見せられて、それが一般市場で商品が広く販売された証拠とは思えない。
エ 乙第6号証の請求外株式会社ファインプラス(以下「ファインプラス」という。)の「通常使用権」についても、後追いの書類で信憑性がない。
乙第7号証のデザインも上記イと同じもので、1?2時間で簡単に誰にでも作れるものである。
オ 被請求人の「スマイリー」のみの単体使用は見当たらず、これでは「使用証明」とならない。被請求人は、独自の理論を展開している。
(ア)本件商標の「スマイリー(Smiley)」と「SmileyWorld」が同一であるとの主張は、被請求人所有の「Smiley」(6件)と請求人所有の「Smiley Face」(登録第4229637号等)が同一と主張することと同じで、到底受け入れられない。
(イ)そもそも「スマイリー・ワールド」は被請求人の社名であり、商標上の表示ではない。
(ウ)「SmileyWorldを使用したことが『スマイリー』を使用した」と詭弁を弄するが、どのように考えても理解し難い。
「World」が「世界」の意味であり「抽象語」だとか、「Smiley」は「ほほえみ」、「笑い」等と主張し、同じように「抽象的」と理論を展開し、それぞれが都合よく「主体性がない」と結論付けているが、こじつけにすぎない。
このような主張で「スマイリー」が実際に使用されたとはいえない。
(エ)ファインプラスについては、被請求人(審決注:「請求人」とあるのは誤記と認める。)との関係が不明確であり、乙第8号証の「商品写真」と同じような主張で意味がない。
カ 商標の「使用証明」には、(ア)使用者の「本件商標」商品の出荷伝票、(イ)販売先リスト(5社以上)、(ウ)販売者の「本件商標」商品の納品伝票、(エ)具体的な商品の写真、撮影した場所・日時の特定、(オ)上記2社の売上伝票、報告書、(カ)商品力タログ、印刷会社名、といった証拠の提出が必要である。
以上を考えると、被請求人の提出に係る証拠は、到底、証拠としては意味を成していない。
よって、本件商標は、実際の使用がなかったとして、その登録が取り消されるべきものである。
(2)不使用の正当理由について
ア 被請求人は請求人との過去の「独占的使用許諾契約」(以下「本件契約」という。)の存在を主張するが、仮にそれがあったとしても本件商標とは全く無関係で、本件事件に何ら影響を与えない。上記契約の対象の商標は、「顔の図形」にすぎない(乙第9号証参照)。
被請求人は、上記契約とは別に本件商標を単独で使用出来たはずである。もし「顔の図形」が必要であったならば、「目と口と輪」のマークを目やロを変形して登録したり、使用したりすることも十分考えられたはずである。
イ 被請求人が主張する「独占契約」と本件契約は、平成16年10月30日で終了しており、本件商標の使用期間とは無関係である(乙第9号証参照)。
乙第9号証の契約書に添付された「許諾商標一覧」を見ても、本件商標は含まれていない。被請求人は、「専用使用権設定」のことを持ち出すが、その「抹消」については平成16年10月以降、双方が手続きを忘れただけで、請求人は被請求人の本件商標の使用を妨害したことはなく、拒絶したこともない。
ウ 被請求人は海外在住であることを強調するが、乙第11号証を見るまでもなく、商標問題の国内最高権威法律事務所が長年バックアップしているので、そのような主張は認められない。
現実に請求人はこれらの「顔の図形」計683件を、それぞれ商標登録を得ているので、被請求人も「顔のマーク」等の独自の使用が不可能とは思えない(甲第1号証)。
エ もし、本件商標を使用しなかったならば、あくまで被請求人自身の問題であり、請求人とは無関係である。
オ 被請求人が主張する本件契約に関する所有商標は、甲第10号証に示すように「スマイル商標」として21件の登録商標がある。これらの登録商標は、21件のうち20件が有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッドによる取消審判請求により、平成21年5月8日及び同年6月25日に「取消」となっている(甲第3号証及び甲第11号証)。残りの1件については、審決取消訴訟として知的財産高等裁判所で審理中である。これらの審判において、被請求人は、本件事件と同種の主張を行なったが認められなかった。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
1 使用している事実が存在することについて
本件商標は、商標権者たる被請求人の意思に基づき通常使用権を設定された者により、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、その指定商品について使用されている。
(1)通常使用権者たるパワーボムによる使用
通常使用権の設定
被請求人は、パワーボム(乙第1号証)と平成20年6月1日付けで被請求人所有の商標につき使用許諾契約を締結し、パワーボムに対して通常使用権を設定している(乙第2号証)。本件商標は契約書上にこそ明記されていないが、パワーボムにより、以下の態様で現実に本件商標と社会通念上同一の商標の使用がなされているものである。
通常使用権者による使用
パワーボムは、上記使用許諾契約に基づき、本件商標を「SmileyWorld」という態様で自らが製造する商品であるTシャツに、遅くとも本件審判の請求の登録日前である平成20年7月7日には使用している(乙第3号証)。
なお、パワーボムは、平成21年6月16日現在においても、上記「SmileyWorld」の態様で本件商標を使用したタンクトップを販売している(乙第4号証)。
かかるTシャツないしタンクトップは、本件商標の指定商品である「被服」に属するものである。
そして、本件商標は「スマイリー」と横書きした片仮名文字からなるものであるところ、パワーボムにより使用された「SmileyWorld」のうち、「Smiley」の部分は、本件商標をローマ字の文字で表記するものであり、同一の称呼及び観念を生ずるものであることは明らかである。
加えて、「Smiley」は、パワーボムの商品においては、常に人の目と口様の図柄を配し、全体として人の笑顔をデフォルメし、簡潔的・印象的に表現した標章とともに使用されており、一見して「ほほえみ」「笑い」との認識を与えるのに対し、「World」は「世界」という意味を持つものの、抽象的な語であり、全体としてとらえたときに、見る者に特別な観念を生ずるものでなく、本件では付随的な効果しか有さないことは明らかである。したがって、「SmileyWorld」の要部は「Smiley」であるといえる。
ウ 小括
よって、本件商標につき通常使用権を有するパワーボムにより、本件商標を社会通念上同一と認められる商標「SmileyWorld」の使用があったということができる。
(2)通常使用権者たるファインプラスによる使用
通常使用権の設定
被請求人は、ファインプラス(乙第5号証)と平成20年8月1日付けで被請求人所有の商標につき使用許諾契約を締結し、ファインプラス(審決注:被請求人は答弁書において「パワーボム」と記載しているが、「ファインプラス」の誤記と認められるので訂正する。以下、この項において同じ。)に対して通常使用権を設定している(乙第6号証:署名のあるものは追って提出する。)。本件商標は契約書上にこそ明記されていないが、ファインプラスにより、以下の態様で現実に本件商標と社会通念上同一の商標の使用がなされているものである。
通常使用権者による使用
ファインプラスは、上記使用許諾契約に基づき、本件商標を「SmileyWorld」という態様で自らが製造する商品であるトレーナーに、遅くとも本件審判の請求の登録日前である平成20年8月8日には使用している(乙第7号証)。
なお、ファインプラスは、平成21年6月16日現在においても、上記「SmileyWorld」の態様で本件商標を使用したシャツを販売している(乙第8号証)。
かかるトレーナーないしシャツは、本件商標の指定商品である「被服」に属するものである。
そして、上述のように、本件商標は「スマイリー」と横書きした片仮名文字からなるものであるところ、ファインプラスにより使用された「SmileyWorld」のうち、「Smiley」の部分は、本件商標をローマ字の文字で表記するものであり、同一の称呼及び観念を生ずるものであることは明らかである。
加えて、「Smiley」は、ファインプラスの商品においては、常に人の目と口様の図柄を配し、全体として人の笑顔をデフォルメし、簡潔的・印象的に表現した標章とともに使用されており、一見して「ほほえみ」、「笑い」との認識を与えるのに対し、「World」は「世界」という意味を持つものの、抽象的な語であり、全体としてとらえたときに、見る者に特別な観念を生ずるものでなく、本件では付随的な効果しか有さないことは明らかである。したがって、「SmileyWorld」の要部は「Smiley」であるといえる。
ウ 小括
よって、本件商標につき通常使用権を有するファインプラスにより、本件商標を社会通念上同一と認められる商標「SmileyWorld」の使用があったということができる。
2 不使用である場合でも正当理由があることについて
仮に、上記主張が認められず、被請求人が本件商標を使用していることが認められなかったとしても、本件商標を使用できなかったことについては、以下のとおり正当な理由があり、本件審判請求は不成立とされるべきである。
(1)請求人との間の本件契約の存在
ア 被請求人は、被請求人の商標を管理するスマイリー・ライセンシング・コーポレーション(以下「SLC社」という。現スマイリーワールド・リミテッド)を代理人として、平成12年10月30日に請求人との間で、本件契約を締結し、請求人に対し、最初に14の商標に関して再許諾の権利を含む専用使用権を設定した(乙第9号証)。契約の有効期限は平成16年10月30日までとされた。
イ 本件商標は当該契約書添付の許諾商標として明記こそされていないものの、当該契約書第1項中「添付の一覧に記載のない現存の商標、およびSLCが本契約の調印後に登録する商標は、いずれも自動的に同一覧に含まれる。」とあること、本件商標の登録年月日が昭和43年1月24日(審決注:「平成4年3月31日」とあるのは誤記と認める。)であることから、本件商標も現存の商標として、同契約の対象に含まれることは明白である。
ウ してみると、請求人にこそ、本件商標を上記ライセンス契約に基づいて使用する権利及び義務があったのであり、同契約書6条(a)項にあるように、「契約に調印した時点で、SLC(被請求人)は日本国内における直接の営業活動をすべて停止する。」と定められていたのであるから、被請求人は、少なくとも同契約期間中は、請求人を通じてしか、本件商標を使用することができなかったのである。
エ しかるに、請求人は特許庁において、本件契約に係る商標に対する専用使用権の期間を平成24年11月29日までとして登録を行った。その後、本件契約締結後、被請求人に秘してハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団ないし有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッドの代理人として、2001年には少なくとも30件以上(商標登録第4746890号等)、2002年には少なくとも60件以上(商標登録第4847106号等)の商標登録を行う傍ら、本件契約終了後も請求人は表面上は被請求人との関係を継続しようとしていた(乙第10号証)。
専用使用権の抹消が行われていないことを知った被請求人が再三にわたり請求人に対し、専用使用権の抹消を求めたが(乙第11号証)、請求人はこれに応じなかった。請求人が専用使用権の抹消にようやく応じ、抹消の申請登録がなされたのは、平成19年5月9日のことにすぎない(乙第12号証)。
オ 確かに、本件商標自体には専用使用権は設定されていないのであるから、被請求人が本件商標のみを日本において使用することは、理論的に不可能ではない。しかしながら、被請求人は海外在住であり、日本に正規の代理店がないまま、直接メーカーとライセンス契約を締結することは、およそ考えられない。他人が被請求人の大部分の商標につき専用使用権を有している限り、被請求人を信頼して契約を希望する者など現実には存在しないからである。
カ よって、少なくとも被請求人はこの専用使用権抹消の時点まで、自ら本件商標を使用することができなかったといえる。
被請求人が請求人と契約を締結したのは、ハーベイ・ボール氏の商標展開を止めて被請求人商標の発展に協力するという請求人の言を信頼したからであり(乙第13号証)、かかる言動を信頼したからこそ、被請求人は被請求人商標の日本での使用を請求人に託してきたのである。よって、本件商標の不使用が被請求人の責に帰するとするのはあまりに酷であるといえる。
(2)専用使用権抹消後の請求人の言動
ア 請求人は、専用使用権の設定登録の抹消後およそ1年後の平成20年5月15日の時点でもなお、ホームページ上において自ら「スマイリー・フェイス商品化代理人」を名乗り、本件商標に関して「所有」又は「専用使用権を得ている」として、権利関係を混同させる言動を続けていた(乙第14号証)。
イ かような状況下で、被請求人がようやく正規の代理人を見つけることができたのが平成20年1月9日であり、市場の混乱が少しずつ治まり、ようやく被請求人商標の使用が開始できたにすぎない。かかる市場の混乱は、請求人が関係各社に対して「『スマイリー・フェイス』の商品化は米国『ハーベイ・ボール・ワールド・スマイル財団』との契約が必要です」などというような、表現の誇張された文書(乙第15号証)を配る等して意図的に引き起こしたものに他ならない。また、東京高裁平成12年1月19日判決(審決注:平成11年(ネ)第5027号 損害賠償等請求控訴事件)も、当時被請求人の代理店であった請求外株式会社イングラムが中心的に行ったものであり、被請求人本人が把握できている事実は極めて少ない。いくら代理人であったとしても、海外在住の被請求人が逐一監督できるわけはなく、これら事情の一切を被請求人の責に帰するとするには、海外在住の権利者の保護にあまりにも欠けるといわざるを得ない。
ウ さらに、請求人は新しい代理人に対しても、平成20年9月19日付け書面(乙第16号証)においても、損害賠償請求をほのめかす等、脅迫ともとられかねない文書を送付しており、被請求人が本件商標を含めた商標を使用できないよう暗躍していたものである。
エ 商標法第50条が制裁的性格を有しているとしても、使用開始の妨害をする一方で、不使用の事実を逆手に取り同条の審判請求をするような者の権利請求までが本条で保護される趣旨であろうはずがない。
(3)小括
ア 商標法第50条第2項の正当理由の有無の判断は個別的事情を勘案して決せられるべきである。本件商標の不使用に関しては、上述するような請求人の被請求人の代理人としての背信的な行為及びその後の妨害行為という、看過し難い特別な事情が存在することは明らかである。よって、本件商標を使用できなかったことに被請求人に本条の制裁を課すのは酷にすぎる。
イ したがって、本件商標の不使用には真にやむを得ない事情があるのであり、本件審判請求は不成立とされなければならない。
3 本件請求が請求人の権利濫用であることについて
不使用取消審判を、出願の障害となる先行登録商標を排除する目的で請求すること自体は、制度の趣旨にかんがみて、想定される主たる目的の一つであるといえる。
しかしながら、本件においてはかかる目的以前に、本来本件商標を唯一使用することができた者が、適切に本件商標を使用せず、また使用できない状態の継続に深く関与しているにもかかわらず、自ら不使用取消審判を請求しているのである。かかる行為は信義則に反して同審判制度を悪用するものであることは明白で、本件審判の請求は権利濫用として到底認められるものではない。
4 むすび
以上により、本件審判の請求は速やかに棄却されなければならず、本件審判の請求は成り立たない。

第4 当審の判断
1 本件商標の使用の事実について
被請求人は、パワーボム及びファインプラスと使用許諾契約を締結し、両者に通常使用権を設定しており、通常使用権者たるパワーボム及びファインプラスが本件商標と社会通念上同一の商標を使用している旨主張し、証拠を提出しているので、以下、この点について検討する。
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 乙第2号証は、3枚からなる被請求人とパワーボムとの間の使用許諾契約書とするところ、1枚目には、「LICENSOR」の欄に「Smileyworld Ltd」、「LICENSEE」の欄に「POWER BOM Co.,Ltd.」、「TYPE OF LICENSE:」の欄に「Non Exclusive」、「TRADEMARKS:」の欄に「1.Smileyworld National registration number 5039287」、「2.Smiley logo National registration number 4383603」及び「3.Smiley Winky logo National registration number 4952253」、「PRODUCTS:」の欄に「T-shirts・・・」、「COMMENCEMENT DATE:」の欄に「01 June 2008」との各記載が認められる。
3枚目には、「LICENSOR」の欄に「SMILEYWORLD LTD.」と記載されているが、その下の、「Signature:」及び「Date:」の各欄には記載がない。また、「LICENSEE」の欄に「POWER BOM CO.,LTD」と記載され、その下の「Signature:」及び「Date:」の各欄に署名並びに日付が手書きされている。
イ 乙第3号証は、2枚からなる「APPROVAL REQUEST」と題する書面であるところ、そのいずれにも「Property」の欄に別掲1のとおりの構成からなる標章(以下「使用標章1」という。)が記載され、「Licensee」の欄に「POWER BOM co.,ltd」と記載されており、各書面の中央部に「DREAM OF IRREPLACEABLE LOVE & PEACE」の文字が表示された商品「ティーシャツ」が表示されている。
ウ 乙第4号証は、ウェブページの写しと認められるところ、その4枚目ないし6枚目には、商品「タンクトップ」の写真と共に、使用標章1、「CavariA×Smiley World スマイリーニュースペーパータンク/SAX」及び「当店一押しブランドCavariAとSmiley Worldのコラボタンクがついに登場!!」等と記載されている(以下、「Smiley World」の文字を「使用標章2」という。)。そして、これらの右下には、2009(平成21)年6月16日にプリントアウトされたと解される「2009/06/16」の文字が記載されている。
エ 乙第6号証は、3枚からなる被請求人とファインプラスとの間の使用許諾契約書とするところ、1枚目には、「LICENSOR」の欄に「SMILEYWORLD LTD」、「LICENSEE」の欄に「FINE PLUS CORPORATION」、「PRODUCTS:」の欄に「Apparel」との各記載並びに「TYPE OF LICENSE:」及び「TRADEMARKS:」の各欄に、乙第2号証の同欄と同じ記載(前記ア)が認められる。
2枚目には、「COMMENCEMENT DATE:」の欄に「01 August 2008」と記載されている。
3枚目には、「LICENSOR」の欄に「SMILEYWORLD LTD.」、また、「LICENSEE」の欄に「FINE PLUS CORPORATION」と各記載されているが、そのいずれの「Signature:」及び「Date:」の各欄には署名並びに日付の記載がない。
オ 乙第7号証は、2枚からなる「APPROVAL REQUEST」と題する書面であるところ、そのいずれにも「Property」の欄に使用標章1が記載され、「Licensee」の欄に「Fine Plus Corporation」と記載されており、各書面の中央部に使用標章1又は別掲2のとおりの構成からなり、赤色に着色された標章(そのほか、該標章と構成態様を同じくし、黄色及び青色に着色されたものをまとめて、以下「使用標章3」という。)が表示された商品「トレーナー」が表示されている。
カ 乙第8号証は、ファインプラスに係るウェブページの写しと認められるところ、その2枚目ないし4枚目には、商品「フード付きシャツ」の写真と共に、使用標章2及び同3、「Smiley World チェッカー フード ネルシャツ」及び「【スマイリーワールド】のチェッカー フード ネルシャツです。」等と記載されている(以下、「スマイリーワールド」の文字を「使用標章4」という。)。そして、これらの右下には、2009(平成21)年6月16日にプリントアウトされたと解される「2009/06/16」の文字が記載されている。
キ 乙第1号証は、パワーボムの商業登記簿謄本であり、乙第5号証は、ファインプラスの会社概要を記載したものであるが、いずれも本件商標の具体的な使用は認められない。
(2)前記(1)の事実によれば、以下のとおり認定、判断するのが相当である。
ア 被請求人とパワーボムとの間の使用許諾契約書として提出された乙第2号証は、「LICENSEE」の「Signature:」及び「Date:」の各欄に署名及び日付の記載があるものの、「LICENSOR」の「Signature:」及び「Date:」の各欄に、署名及び日付の記載がなく、また、被請求人とファインプラスとの間の使用許諾契約書として提出された乙第6号証も、「LICENSOR」及び「LICENSEE」における「Signature:」及び「Date:」の各欄にいずれの署名及び日付の記載がないことから、乙第2号証及び乙第6号証が正規の契約書とは認め難いものである。
なお、被請求人は、乙第6号証について、平成21年6月17日受付の答弁書において、署名のあるものを追って提出すると述べるが、その後、相当期間経過するも乙第6号証に係る使用許諾契約書が真実と認めるに足りる証拠の提出がないのであるから、乙第6号証の書面をもって被請求人とファインプラスとの間に使用許諾契約が締結されたものと認めることはできない。
さらに、乙第2号証及び乙第6号証の「TRADEMARKS:」の欄に、「National registration number」として記載された「5039287」、「4383603」及び「4952253」は、商標登録の登録番号と解されるものであるが、いずれの登録番号も本件商標に係る登録番号と異なるものであるから、そもそも乙第2号証及び乙第6号証は、本件商標の使用許諾に係るものではないとみるのが相当である。
ほかに、被請求人あるいはSLC社がパワーボム又はファインプラスに本件商標に係る通常使用権を許諾したことを認めるに足りる証左は見いだせない。
そうすると、乙第2号証及び乙第6号証は、「PRODUCTS:」の欄の「T-shirts」及び「Apparel」の記載によって、これらが本件商標の指定商品中、「被服」に含まれる「ティーシャツ、既製服」と認められ、また、「COMMENCEMENT DATE:」の欄の「01 June 2008」及び「01 August 2008」の各記載から、それぞれ「開始日 平成20年6月1日」、「開始日 平成20年8月1日」と解され、これらの日付が本件審判の請求の登録前3年以内に該当するものであるとしても、これら乙各号証によっては、本件商標に係る使用許諾契約が被請求人あるいは同人の商標を管理するSLC社とパワーボム及びファインプラスとの間で締結されたものということができない。
イ 仮に、被請求人がパワーボム及びファイプラスに対し通常使用権を許諾しているとしてもなお、以下の理由により、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標がその指定商品について使用されていたものということができない。
(ア)乙第1号証及び乙第5号証には、本件商標が一切表示されていないから、本件商標の具体的な使用を示すものとはいえない。
(イ)乙第3号証、乙第4号証、乙第7号証及び乙第8号証によって、商品「ティーシャツ」又は「トレーナー」について、使用標章1ないし4の使用が認められるところ、これらが本件商標と社会通念上同一といえるか、以下検討する。
使用標章1は、別掲1のとおり、筆記体風の籠字で「Smiley.World」の一連の文字を横書きしてなるものであるところ、「Smiley」と「World」の各文字の間にピリオド(.)が配されているとしても、いずれの文字も同じ書体で近接して表されているものである。
使用標章2は、「Smiley World」と横書きしてなるものであるところ、「Smiley」と「World」の各文字は、1文字程度の空白を介して同じ書体で表されているものである。
使用標章3は、別掲2のとおり、筆記体風の「Smiley」及び「World」の各文字を上下二段に横書きしてなるところ、「Smiley」と「World」の各文字は、同じ書体、同じ大きさで表されているばかりでなく、下段の「W」、「l」及び「d」の各文字の上部が上段の文字と接して表されているものである。
使用標章4は、「スマイリーワールド」の文字を横書きしてなるところ、各文字は同じ書体、同じ大きさ、等間隔で一連一体に表されているものである。
しかして、使用標章1ないし4は、いずれも「Smiley」又は「スマイリー」と「World」又は「ワールド」の各文字が同じ書体で表され、一方が他方よりも看者の注意を強く引くような態様で表記されることもなく、外観的特徴において差異がないことから、構成全体をもって一体のものとして認識され、殊更「Smiley」又は「スマイリー」の文字部分のみが切り離されて認識されることはなく、その構成文字に相応して生ずる「スマイリーワールド」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、使用標章1ないし3は、その構成中の「Smiley」の文字部分が「にこやかな、スマイルマーク」等(甲第6号証:「小学館ランダムハウス英和大辞典第2版」2002年1月10日 株式会社小学館発行)の意味を有する語として、また、「World」の文字部分が「世界」の意味を有する語として、いずれも知られているものであるから、その構成全体からは「にこやかな世界」又は「スマイルマークの世界」ほどの観念を生ずるものであり、また、使用標章4は、「Smiley World」の文字等と共に使用されているものであるから、該「Smiley World」から生ずる読みを片仮名で表したものと認識されることが少なくないとみるのが相当であり、これからも「にこやかな世界」又は「スマイルマークの世界」ほどの観念を生ずるものである。
そうすると、使用標章1ないし4は、その構成全体をもって、一体不可分のものとして認識し、把握されるというべきである。
これに対して、被請求人は、「World」は「世界」という意味を持つものの、抽象的な語であり、全体としてとらえたときに、見る者に特別な観念を生ずるものでなく、本件では付随的な効果しか有さないことが明らかであるから、「SmileyWorld」の要部は「Smiley」である旨主張する。
しかし、被請求人は、かかる主張を裏付ける証拠を提出していないばかりでなく、上記のとおりの構成からなる使用標章1ないし4において、「世界」を意味する「World」又は「ワールド」の語を殊更捨象して、「Smiley」又は「スマイリー」の文字部分のみを分離抽出して認識し、把握されるとみるべき格別の理由を見いだせないものであるから、使用標章1ないし4は、上記のとおり、一体不可分のものというべきであり、構成中の「Smiley」又は「スマイリー」の文字部分がその要部であるということはできない。
よって、被請求人の上記主張は理由がない。
したがって、使用標章1ないし4は、取消請求に係る指定商品に含まれる商品「ティーシャツ」又は「トレーナー」に使用されているとしても、「スマイリー」の文字からなる本件商標とは、「World」又は「ワールド」の文字の有無の差異により、外観、称呼及び観念において明らかに相違するものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標とは認めることができない。
(ウ)パワーボムのウェブサイトの写しと認められる乙第4号証及び乙第8号証は、本件審判の請求の登録後である平成21年6月16日にプリントアウトされたものと認められ、本件審判の請求の登録前3年以内における本件商標の使用の事実を立証するものとはいえない。
(エ)その他、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって本件商標がその指定商品について使用されていることを示す証左はない。
2 不使用の正当理由について
被請求人は、同人が本件商標を使用していることが認められなかったとしても、本件商標を使用していないことについて正当な理由がある旨主張し、証拠を提出しているので、以下、この点について検討する。
(1)被請求人は、本件商標の不使用の理由として、請求人との間に本件契約(乙第9号証)を締結し、本件審判の請求外に係る商標権について専用使用権を設定していたため、この専用使用権の登録を抹消するまでは日本国内において自ら本件商標を使用することができなかったこと、専用使用権者(請求人)の背信的意思ないし悪意により、専用使用権者(請求人)を通じての本件商標の使用も全く行われなかったこと、本件契約の終了後も専用使用権が登録されていたので、再三にわたり請求人に対し専用使用権の抹消を求めたが、請求人はこれに応ずることなく、ようやく抹消の登録がされたのは平成19年5月9日であったこと、請求人が被請求人の大部分の商標につき専用使用権を有しており、専用使用権の設定登録の抹消後も、本件商標に関して「所有」又は「専用使用権を得ている」として、権利関係を混同させる言動を続けたことにより、海外在住で日本に正規の代理店がない被請求人が直接メーカーとライセンス契約を締結することは現実には不可能であったことなどを挙げている。
(2)ところで、商標法第50条第2項に定める不使用についての正当な理由とは、地震、水害等の不可抗力によって生じた事由、放火、破壊等の第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由その他の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下「商標権者等」という。)の責めに帰すことができない事由(以下「不可抗力等の事由」という。)が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用することができなかった場合をいうものと解される(知的財産高等裁判所、平成19年(行ケ)10227号、平成19年11月29日判決参照)。
これを本件についてみるに、被請求人が本件商標の不使用についての正当理由として挙げている上記(1)の理由は、被請求人あるいは同人の商標を管理するSLC社が自らの自由な意思に基づく選択により請求人との間に締結した契約に起因しているものであるから、かかる当事者間における契約を起因とする事情は、そもそも被請求人あるいはSLC社の経営判断等に基づくものであり、不可抗力等の事由に該当するということはできない。
そして、被請求人あるいはSLC社が外国に所在し、日本国内に所在する者に本件商標の使用を許諾するか否かについても、被請求人等の経営判断等によるものであるから、「海外在住で日本に正規の代理店がない」旨の被請求人の上記主張は、到底採用できないというほかない。
加えて、本件契約は、平成16年10月30日に終了(当事者に争いがない。)しているのであり、かつ、本件商標に係る商標登録原簿には専用使用権の設定がされていないのであるから、被請求人の主張する上記理由は、本件審判の請求の登録前3年以内(同17年9月11日から同20年9月10日まで)における本件商標の継続した不使用についての正当な理由とは直接関係するものでもない。
そして、「商標権者は、指定商品(略)について登録商標の使用をする権利を専有」(商標法第25条)し、「商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができ、また、他人に通常使用権を許諾することができる」(同法第30条第1項及び第31条第1項)のであるから、少なくとも本件契約の終了後の上記平成17年9月11日以降、同20年9月10日までの間において、被請求人あるいはSLC社が本件商標の使用をすることが可能であったというべきであり、被請求人の主張及び提出に係る証拠によっては、かかる期間に、本件商標の使用をしていないことについて、商標権者等の責めに帰すことができない事由が存したものと認めるに足りる証左を見いだすことはできない。
なお、被請求人は、平成20年5月15日の時点で請求人は自らのホームページ上で本件商標に関して「所有」又は「専用使用権を得ている」として、権利関係を混同させる言動を続けていたと主張し、乙第14号証を提出する。
乙第14号証は、「18.スマイル商品事業展開」と題するホームページの写しと認められるところ、そこには、「スマイリー・フェイス商品化代理人は『JASS INTERNATIONAL INC.』です。商品化は当社の許可を得てください。」及び「日本では下記の登録商標を所有しており、又その専用使用権を得ています。」と記載され、これらの下に、116件の登録番号が記載され、さらに、右下には、「2008/05/」、左下には、「file://C:\DOCUME~1\AE9E3~1.KAR\LOCALS~1\Temp\4LVDJ3A8.htm」との記載が認められる。
しかし、乙第14号証は、右下の「2008/05/」の記載から2008(平成20)年5月に出力されたものと解されるものではあるが、左下に記載された「file://C:\DOCUME~1\AE9E3~1.KAR\LOCALS~1\Temp\4LVDJ3A8.htm」は、インターネットのURLとは認められず、むしろ前半部の「file://C:\DOCUME~」の記載からすれば、特定のコンピューターに記録されたホームページのデータと解されることを勘案すると、乙第14号証は、平成20年5月の時点において、請求人がインターネット上において真実公表していたものと認定することはできないものである。
そうすると、乙第14号証をもって本件商標の不使用についての正当な理由をいう被請求人の主張は採用することができない。
以上によれば、被請求人が主張している種々の事情は、被請求人の内部事情に属するものというべきであるから、これをもって不可抗力等の事由とはいえない。
(3)したがって、商標権者である被請求人が本件商標をその指定商品について使用していないことにつき、正当な理由があったということはできない。
2 請求人の権利濫用について
被請求人は、本件商標を唯一使用することができた者が本件商標を適切に使用せず、また使用できない状態の継続に深く関与しているにもかかわらず、自ら不使用取消審判を請求することは、信義則に反して同審判制度を悪用するものであり、権利濫用として認められるものでない旨主張しているので、この点について検討する。
(1)商標法第50条第1項は、「継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標・・・の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。
上記規定は、平成8年法律第68号による改正前の商標法において、登録商標の不使用による取消審判の請求人適格について明示の規定がなかったことから、その反対解釈として、利害関係人に限って同審判を請求することができると解される余地が存在していたのを、「何人」にも認めることとし、その旨を法文上明示したものと解される。
したがって、登録商標の不使用による取消審判の請求が、専ら被請求人を害することを目的としていると認められる場合などの特段の事情がない限り、当該請求が権利の濫用となることはないと解するのが相当である(知的財産高等裁判所、平成20年(行ケ)10025号、平成20年6月26日判決参照)。
(2)ところで、SLC社と請求人が締結した本件契約(乙第9号証)によれば、「1.許諾される権利」(a)には「添付の一覧に記載のない現存の商標、およびSLCが本契約の調印後に登録する商標は、いずれも自動的に同一覧に含まれる。」と記載され、「6.SLCの事業活動」(a)には「本契約に調印した時点で、SLC(審決注:「SCL」とあるのは誤記と認める。)は日本国内における直接の営業活動をすべて停止する。」等と記載されていることから、本件商標についても、本件契約に含まれるものと解され、請求人は、日本国内において本件商標について独占的に使用する権利を有していたということができる。
そうすると、被請求人のいう「本件商標を唯一使用することができた者」とは、本件契約に基づき本件商標についての使用をすることができた請求人をいうものと解するのが相当である。
(3)これを本件についてみるに、被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、被請求人の商標を管理するSLC社と請求人との間で締結された本件契約は、平成12年10月30日に締結され、同16年10月30日に終了しているものであり、ほかに、本件契約が更新されたこと又は請求人が被請求人あるいはSLC社と本件商標についての独占的な使用に関する契約を別途締結したことを認めるに足りる証左もないから、同年11月1日以降は、請求人が本件商標について独占的に使用する権利を有していなかったといわざるを得ない。
一方、本件審判は、本件契約が終了してから約4年後の平成20年8月27日に請求されたものであるから、本件審判の請求の登録前3年以内に請求人が本件商標を適切に使用しない旨の主張は採用することができない。
また、請求人が本件商標の使用をできない状態の継続に深く関与している旨の主張は、要するに本件審判の請求外に係る商標権についての専用使用権の抹消に関するものであり、本件商標に関するものではないと解されるから、かかる請求外に係る商標権についての請求人の行為をもって、本件審判の請求が信義に反し、あるいは権利の濫用に該当するとは到底いえない。
(4)なお、付言するに、被請求人のいう「本件商標を唯一使用することができた者」が専用使用権者を指すのであれば、前記のとおり、本件商標に係る商標権には、専用使用権は設定されておらず、請求人は専用使用権者ではないから、被請求人の主張は、前提を欠くものであって、採用することはできない。
(5)以上によれば、請求人による本件審判の請求が、専ら被請求人を害することを目的としてなされたものとは認められず、ほかに、被請求人が前記第3において主張する諸事情を総合考慮しても、本件審判の請求が信義則違反ないし権利濫用に該当するものと認めることはできないから、この点の被請求人の主張は理由がない。
したがって、請求人による本件審判の請求は、信義則違反ないし権利濫用ということはできない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件商標をその指定商品について使用していることを証明したものとはいえず、かつ、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があったものともいえない。
また、請求人による本件審判の請求は、信義則違反ないし権利濫用ということもできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 使用標章1

(色彩については原本参照)

2 使用標章3

(色彩については原本参照)

審理終結日 2009-10-06 
結審通知日 2009-10-09 
審決日 2009-10-29 
出願番号 商願昭41-40878 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (117)
最終処分 成立  
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 田村 正明
末武 久佳
登録日 1968-01-24 
登録番号 商標登録第768139号(T768139) 
商標の称呼 スマイリー 
代理人 唐牛 歩 
代理人 金塚 彩乃 

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