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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X32
管理番号 1213077 
異議申立番号 異議2008-900168 
総通号数 124 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-04-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-04-11 
確定日 2010-03-03 
異議申立件数
事件の表示 登録第5103375号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5103375号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5103375号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成19年5月11日に登録出願、第32類「清涼飲料」を指定商品として、同20年1月11日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第39号証を提出した。
1 登録異議申立人は、自己の所有に係る以下の登録商標を引用する。
(1)「ピノ/PINO」の文字を書してなり、昭和51年7月28日に登録出願され、第30類「菓子及びパン」を指定商品として昭和56年1月30日に登録設定された登録第1452417号商標
(2)別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和52年4月19日に登録出願され、第30類「菓子及びパン」を指定商品として昭和56年7月31日に登録設定された登録第1469962号商標
2 申立人は、引用各商標につき、自己の業務に係る商品「アイスクリーム」について、1976年の発売から現在に至るまで継続して使用し、その結果、引用各商標は、本件商標の登録出願時には、取引者・需要者間において周知・著名になっていた。
本件商標は、これより「ピノ」の称呼を生じ得るというべきであって、引用各商標と称呼上類似するものというべきである。さらに、本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品とは、その性質、用途等において関連性を有し、かつ、その取引者及び需要者において共通性を有するという取引の実情がある。
よって、本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する需要者・取引者は、引用各商標を連想又は想起し、その商品が申立人又は同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第3 取消理由通知
当審は、平成21年3月13日付けで、商標権者に対し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与え、本件商標の登録は商標法第43条の3第2項の規定に基づき取消すべきものと認める旨、要旨次のとおり通知した。
1 引用商標の著名性について
(1) 申立人の提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人は、「pino」及び「ピノ」の商標(これらをまとめて「引用商標」という。)を使用した商品である「アイスクリーム」(以下「使用商品」という。)を1976年に発売して以来、継続して販売し(甲第10号証及び甲第16号証ほか)、申立人による報道関係者に向けた文書(2003年6月20日ないし2006年3月30日)及び平成2005年4月24日付けフジサンケイビジネスアイによれば、1987年には、タレント等を起用したテレビコマーシャルが放映され、以来継続して行われてきた事実や、イベントの開催事実を認めることができる(甲第11号証ないし甲第14号証、甲第18号証)。
イ 2001年3月10日付け日経流通新聞及び2006年4月24日付け日経MJ新聞に使用商品の広告が掲載され、また、該広告よれば、使用商品は日本経済新聞社POS情報サービスの分析による「その他レギュラーアイス」カテゴリーの販売額年間ランキングにおいて、2004年を除き第1位であったものと認めることができる(甲第15号証及び甲第16号証)。
ウ 1995年12月12日付け日経産業新聞の新聞記事によれば、使用商品の発売20周年のキャンペーン(1995年)により、販売が伸びていることが認められ(甲第17号証)、2006年8月13日付け日経MJ新聞の新聞記事によれば、2006年7月の調査では、マルチパック型アイスのブランド別評価において、使用商品が総合得点でトップとなったことが認められ、2006年8月18日付け日経MJによれば日経POSの7月販売データによるアイスクリームの売れ筋ランキングで第8位であり、2007年3月16日付け日経MJでは、日経POSのレギュラーアイスの販売データでトップ5に使用商品が3品対象となっていることが認められ、その他、2007年5月5日付け日本経済新聞、2007年5月15日付け産経新聞、2007年8月2日付け日経産業新聞、2007年8月15日付け日経産業新聞における、アイスクリームの業界動向に関する記事において、主要メーカーの主力アイスクリームとともに、使用商品も掲載され、平成18年度のアイスクリーム販売額について、申立人が首位になったこと等が報じられている事実を認めることができる(甲第19号証ないし甲第25号証)。
エ 女性自身2006年5月30日号には、使用商品が30周年であるとして、開催されたイベントの紹介や1976年の誕生から2006年までのそれぞれの当時のパーケージ等を紹介する記事が掲載され(甲第26号証)、また、週間東洋経済2007年6月2日号によれば、使用商品が2006年には、発売30周年を迎え、単品で年間100億円以上を売り上げる商品であると記載されていること等の事実を認めることができる(甲第28号証)。
(2)以上の認定事実によれば、我が国において、引用商標を付した使用商品は、1976年の発売から現在に至るまで、新聞等の媒体を利用して宣伝広告され、常にアイスクリーム分野において、高いシェアを有していることが認められ、引用商標は、本件商標の登録出願時(平成19年5月11日)はもとより登録査定時(平成19年12月3日)を含むその後においても、一般需要者の間に広く知られていたというのが相当である。

2 商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標は、別掲(1)のとおり「pino」の欧文字を肉太で大きく表すとともに、その右上部分に「+」の記号を表してなり、さらにその下に「ピノプラス」の片仮名文字を「pino」の欧文字に比して小さく括弧書きしてなるものであるところ、構成中の「ピノプラス」の片仮名文字はその上段部分の「pino」の文字及び「+」の記号の表音を特定したものとみることができる。
そして、本件商標の構成中の「pino」の文字及び「+」の記号部分についてみると、「pino」の文字は、特定の観念を有しない造語よりなるものといえるのに対し、「+」の記号は、「加えること」を示すものであり、例えば、これがある語に付された場合には「付加した」「付加価値のある」程の意味合いを認識させるにすぎないから、本件商標の指定商品との関係において、自他商品の識別力が弱いものというべきである。
そうすると、本件商標は、これに接する需要者が「pino」の文字部分に着目して取引に当たる場合も決して少なくないものといわざるを得ず、該文字部分に相応して「ピノ」の称呼をも生ずるものというのが相当である。
他方、引用商標は、「pino」、「ピノ」の構成よりなるものであるから、該文字に相応して「ピノ」の称呼を生ずること明らかである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、「ピノ」の称呼を共通にするものである。
また、本件商標と引用する「pino」の商標とは、「pino」の文字を共通にするから、外観上も類似するものである。
してみれば、本件商標は、引用商標と「ピノ」の称呼を共通にし、さらに引用する「pino」商標とは、外観上も類似するするものであるから、本件商標と引用商標とは類似する商標であるとみるのが相当である。
また、本件商標の指定商品「清涼飲料」と申立人の業務に係る商品「アイスクリーム」とは、その販売部門、用途及び需要者の範囲を共通にする関連のある商品といわざるを得ない。
したがって、引用商標の著名性、引用商標と本件商標との類似性、両商標に係る商品の関連性の程度、需要者の共通性を考慮すれば、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、引用商標を連想、想起し、その商品が申立人若しくは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

3 結論
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。

第4 商標権者の意見
上記の取消理由通知に対し、商標権者は、要旨次のように意見を述べ、参考資料1ないし参考資料8を提出している。
(1)商標権者は、創業以来、植物の「松」についての研究開発を積み重ね、松から得られた抽出物を有効成分としたサプリメントを主力商品としており、本件商標を実際に使用している商品についても、天然水に松抽出物、コエンザイムQ10等を添加したものとなっているのである(参考資料1)。
ちなみに、「pinoとは、イタリア語やスペイン語で「松」を意味する言葉であり(参考資料2)、本件商標も、「松を添加している」という意味合いを込めて考案されたのである。
(2)本件商標と引用商標の類否について
取消理由通知において、本件商標に関し、「pino」の文字は特定の観念を有しない造語であり、一方、「+」の記号は「加えること」を示すものであって本件指定商品との関係において自他商品の識別力が弱いものであるとの判断がされいる。
しかしながら、このように「加える」「付加した」と解するためには、具体的に「何を」という目的物が明らかである必要がある。すなわち、申立人より提出された甲第7号証ないし甲第9号証の『一般的な水の約5倍の酸素をプラスした清涼飲料水です。』や『話題の黒酢をプラスした、?』、『ゆずポリフェノールをプラス』なる記載からも明らかなように、「○○(目的物)をプラスした?」との文脈において初めて、「+」の意味合いであるところの「加える」「付加した」が明確になるのである。
すなわち、「pino」の文字がイタリア語やスペイン語で「松」を意味するものであることは上述のとおりであるが、かかる意味合いを一般の取引者や需要者が理解できる場合は、本件商標の構成全体より、「松を加えた」程度の意味合いを連想させることになるため、「+」の記号についても自他商品の識別力が弱いものであるとの判断も妥当なものであると思料する。ちなみに、本件商標を実際に使用している商品のラベルには、「※ピノとは日本人にとってなじみ深い松を意味します。」との表記があるため(参考資料5)、実際に商品を手にする需要者には、本件商標の構成中、「pino」「ピノ」部分が日本語の「松」を意味するものであることは容易に理解できると推測される。
特許庁の審査実務においても、食品関連の分野だけで見ても、「プラス」「PLUS」の文字のみからなる商標については自他商品の識別力が認められ、多数の商標登録がなされているのに対し(参考資料3)、「CALCIUM PLUS/カルシウムプラス」(出願番号昭60-29217号)、「FIBERPLUS/フアイバープラス」(出願番号平14-47186号)、「おいしさプラス」(出願番号平8-4060号)など、具体的に加える目的物や性質が明らかな場合には、商標全体として、「○○を加えた?」という意味を連想させるに過ぎず、自他商品の識別力が認められず、拒絶される傾向にある(参考資料4)。
しかしながら、イタリア語やスペイン語そのものに馴染みが深くはない日本人にとっては、英語の「pine」(パイン)とは異なって、本件商標の構成のみから、上記意味合いを直ちに看取することは決して容易なことではないと思料する。
このように、平均的な語学力を有する一般の需要者にとって、「pino」とは特定の観念を有しない単なる造語に過ぎないから、「+」「プラス」らの文字等を組み合わせても目的物としての意味をなさず、よって、「+」「プラス」から直ちに「加えること」との意味合いが生じるものではない。
したがって、かかる特定の観念を有しない造語「pino」「ピノ」と、「+」「プラス」の組み合わせよりなる商標は、全体として、これもやはり、特定の観念を有さない新たな造語であると解する方が自然なのである。
さらに、本件商標の外観についてみても、「pino+」の下段に配された「ピノプラス」という文字が、同書、同大、同間隔で一体的に表されており、「ピノプラス」という称呼も格別冗長なものではない。
そして、「pino」の右上に「+」が配された上段部分においても、文字と記号が外観上、まとまりよく一体的に表されており、すぐその下に「【ピノプラス】」という表記があることも相侯って、本件商標中、「pino」「ピノ」部分のみを抽出して取引に資すると考えることはむしろ不自然であるといわねばならない。
ちなみに、造語若しくは指定商品との関係において識別性を有する文字と「プラス」「+」との組み合わせからなる商標及び、かかる造語若しくは識別性を有する文字のみからなる商標との類否については、特許庁では多くの並存登録を認めており、ここでは、本件指定商品及び申立人の商品と関連する指定商品(菓子類;30A01、清涼飲料;29C01)をその指定商品とするもののみを例示するにとどめるが(参考資料6)、登録第4919923号「mami+/マミープラス」と登録第5097360号「マミー」の登録例など、本件と良く似たケースを挙げることができるのである。
してみれば、特許庁における審査実務においても、「プラス」「+」らが付された造語若しくは識別性を有する文字のみからなる商標に関しては、造語若しくは識別性を有する文字部分のみ抽出して判断することなく、あくまでも、商標全体でひとつのまとまりある商標であるとの前提に立ち、類否の判断を行っていることが伺えるのである。
以上をまとめると、本件商標からは「ピノプラス」の称呼のみ生じるのに対し、引用商標からは「ピノ」との称呼のみ生ずるため、両商標は明瞭に聴別しうるものである。また、観念については、共に特定の意味合いを生じることのない造語であるため、比較することはできず、外観についても、引用商標は「ピノ」「PINO」という文字のみから構成されているのに対し、本件商標は、記号の「+」が「p i n o」の右上に一体的に表され、「プラス」という文字が「ピノ」という文字と一連一体に表されて墨付括弧【 】にくくられており、外観上、明確に区別し得るものである。
したがって、本件商標と引用商標とは互いに相紛れるおそれはない非類似の商標であると思料する。
(3)本件指定商品と引用商標を使用中の商品「アイスクリーム」について
申立人は「清涼飲料」と「アイスクリーム」との間に密接な取引実情があるとの主張を裏付けるべく、甲第31号証ないし甲第39号証を提出しているが、まず、甲第31号証ないし甲第33号証に記載されている商品は、単に飲料を凍らしたものに過ぎず、実際はこれを溶かしながら飲むものであるから、その内容物は「冷凍状態の飲料」にほかならない。
現に、甲第31号証では、商品の特徴として、「暑い日にとかしながら飲ことで冷たいドリンクを長時間楽しめる。」と紹介されており、甲第33号証では、商品コンセプトとして、「凍らせて、揉んで、振って飲む、新感覚飲料。」と紹介されている。
そもそも、アイスクリームとは、「クリームなどの乳製品を主材料に、糖類・香料などを加え、かきまぜて空気を含ませながら凍らせた氷菓子。」(広辞苑第6版、参考資料7)を意味し、飲料を凍らせたものがアイスクリームになるわけではない。
そして、類似商品・役務審査基準によると、第32類「清涼飲料」は、アイソトニック飲料をはじめとして、サイダー、シロップ、炭酸水、レモン水などの商品を含む概念である。
それに対し、乳製品を原材料に含む飲料であるところの、乳酸飲料や乳酸菌飲料は、第29類「乳製品」に属し、第32類「清涼飲料」には含まれていない。
してみれば、同じ飲料であっても、その原材料として、乳製品を含むか否かによって、属する区分や類似群が異なることがみてとれるのである。
ちなみに、食品衛生法に基づく通知(昭和32年9月18日厚発衛第413号の2)の第3の一(2)では、「清涼飲料」は「乳酸菌飲料、乳及び乳製品を除く酒精分1容量パーセント未満を含有する飲料をいうものであること。」と定義されており、前記審査基準の類別と同様であることがわかる。
ところで、申立人の提出する甲第34号証ないし甲第36号証では、飲料の風味を模した冷菓に、当該飲料の商標と同一の商標を使用する例が挙げられている。
しかしながら、甲第34号証で挙げられた冷菓に対応する飲料の「カルピス」は、乳酸菌飲料であって、第29類「乳飲料」に属するものであり、また、甲第36号証で挙げられた飲料の「カフェオーレ」及び甲第39号証で挙げられた飲料の「ハイチュウドリンク」も、やはり、第29類「乳飲料」に属するものである。
すなわち、これら証拠類は、アイスクリームと乳飲料との間では同一の商標が使用される場合があるものの、アイスクリームと清涼飲料との間ではそのような使用例が見受けられないことを証明しているに過ぎない。
そして、いうまでもなく、第29類「乳飲料」と第32類の「清涼飲料」とは、前記審査基準においても類似すると推定されていない、互いに全く別異の商品である。
よって、申立人の主張のように、これら「乳飲料」と「清涼飲料」とを、ひと括りに「飲料」として論じることは、ここでは適切ではないと思料する。
ちなみに、甲第34号証ないし甲第36号証で例示されている「乳飲料」とアイスクリームとの関連性について述べると、両商品は、原材料として乳製品を使用している点て共通しており、よって、乳飲料の風味をアイスクリームで再現したり、あるいは、アイスクリームの風味を乳飲料で再現することが容易であり、このような原材料の共通性、風味の類似性をもって、一般需要者にそれら商品の関連性を訴求するものなのである。
その点、本件指定商品は、天然水に松抽出物、コエンザイムQ10等を添加した「清涼飲料」であって、原材料も全く異にし、製造方法の相違についてはいうまでもなく、商品の性質においても何ら共通するところもない。
さらに、本件指定商品は、実際の原材料からも分かるように、美容と健康を強く指向する商品であって、単に涼感を得るための嗜好品であるアイスクリームとは需要者層も異なるし、その販売にあたっても、もっぱら通信販売方式を取り入れており(参考資料8)、一般に、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で店舗販売されるアイスクリームとは販売経路も異なるといえるものである。
以上のとおりであるから、本件指定商品と引用商標を使用中の商品「アイスクリーム」との間には、一般需要者が出所の混同を生ずるほどの関連性はないことは明らかである。
(4)まとめ
以上詳説したとおり、本件商標と引用商標とは称呼・観念・外観のいずれをとっても互いに相紛れることのない非類似の商標であり、本件指定商品の「清涼飲料」と、引用商標を使用中の商品「アイスクリーム」とは、原材料や製造方法、商品の性質において何ら共通するところなく、また、その需要者層や販売経路も異なるため、両商品の関連性においても低いものである。
したがって、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が申立人若しくは同人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではなく、商標法第43条の3第4項の規定により維持されるべきものである。

第5 当審の判断
1 平成21年3月13日付け取消理由通知書により通知した前記第3の取消理由は、妥当なものであって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ないものである。
2 商標権者の意見
(1)商標権者は、「pino」とは特定の観念を有しない単なる造語にすぎないから、「+」「プラス」らの文字等を組み合わせても目的物としての意味をなさず、よって、「+」「プラス」から直ちに「加えること」との意味合いを生じるものではない。したがって、本件商標は、全体として特定の観念を有さない新たな造語と解するのが自然である。さらに、本件商標の外観についてみても、「pino+」の下段に配された「ピノプラス」という文字が、同書、同大、同間隔で一体的に表されており、「ピノプラス」という称呼も格別冗長なものではない。そして、「pino」の右上に「+」が配された上段部分においても、文字と記号が外観上、まとまりよく一体的に表されており、すぐその下に「【ピノプラス】」という表記があることも相侯って、本件商標中、「pino」「ピノ」部分のみを抽出して取引に資すると考えることはむしろ不自然である旨主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第15号の「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきであると解されるところ、本件商標と引用商標は、視覚的にも「pino」の部分が顕著に表されているものであり、「ピノプラス」の文字も特定の意味合いを有する語として知られているものでないから、観念上も「pino+」「ピノプラス」がそれぞれ一体不可分としなければならない理由はないものである。そして、引用商標は、「Pino」の文字からなり、本件商標は、上記のとおり「pino」の文字を含むものであるから、本願商標と引用商標の類似性の程度は極めて高いものというべきである。
そうとすると、引用商標の著名性、後述する商品の関連性、需要者の共通性等を考慮すると、本願商標に接する需要者は、「pino」の文字部分より引用商標を想起するというべきであるから、商標権者の上記意見は採用できない。
(2)商標権者は、引用商標の使用に係るアイスクリームと本件指定商品である「清涼飲料」との原材料の相違等を理由にその関連性について述べている。
しかしながら、アイスクリーム及び清涼飲料は、冷菓と飲料の違いはあっても共に栄養摂取を目的とせず、日常生活の中において消費者が嗜好のために使用される商品であって、同一店舗で取り扱われることも多いものであり、需要者も共通にするものというべきである。また、クリームソーダやメロンソーダのように炭酸水にアイスクリームを加えた飲料も提供されており、バニラアイスクリーム風味やクリームソーダ風味の商品も開発、製品化されている。したがって、アイスクリームと清涼飲料は、商品としては異なるとしても、密接な関連性を有するといえる。
また、商標権者が本件商標を使用している商品が松抽出物、コエンザイムQ10等を添加した商品であり、美容と健康を強く指向する商品であって、アイスクリームとは需要者も異なり、また、販売経路も通信販売方式を取り入れているので、一般に店頭販売されるアイスクリームとは販売経路も異なる旨主張している。
しかしながら、商標法第4条第1項第15号の適用の際に考慮される取引の実情とは、指定商品全般についての一般的・恒常的なそれを指すものであって、特殊的・限定的なそれを指すものではないと解され、また、商標権者が実際に使用しているとする商品についてみても、一般に飲食料品に健康等に効果のある原材料を加えて、機能や価値を高めた商品作りが行われ、それらの商品が通常の菓子や清涼飲料等の商品と同様に取り扱われていることからすると、松流出物やコエンザイムQ10等を添加した清涼飲料であっても、アイスクリームとは需要者が異なるとはいえないし、商標権者の商品が通信販売により販売されることが多いとしても、引用商標の著名性、商品の関連性、需要者の共通性等を考慮すると、本願商標に接する需要者は、「pino」の文字部分より引用商標を想起することは否定できない。
3 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標

(色彩は原本参照)

(2)登録第1469962号商標


異議決定日 2009-06-24 
出願番号 商願2007-46842(T2007-46842) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (X32)
最終処分 取消  
前審関与審査官 小松 孝 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 内山 進
岩崎 良子
登録日 2008-01-11 
登録番号 商標登録第5103375号(T5103375) 
権利者 株式会社スパングル
商標の称呼 ピノプラス、ピノ 
代理人 鶴目 朋之 
代理人 河野 生吾 
代理人 河野 誠 
代理人 小野 信夫 
代理人 河野 茂夫 
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