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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y0941
管理番号 1139816 
異議申立番号 異議2004-90038 
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-08-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-01-16 
確定日 2006-05-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第4718830号商標の登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4718830号商標の登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4718830号商標(以下「本件商標」という。)は、「X-gamer」の欧文字と「エックスゲーマー」の片仮名文字とを二段に併記してなり、平成15年5月21日に登録出願され、第9類及び第41類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同15年10月17日に設定登録されたものである。

2 本件商標に対する取消理由
当審において、平成17年10月31日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、次のとおりである。
登録異議申立人 イーエスピーエヌ・インコーポレーテッド(以下「ESPN」という。)提出に係る証拠(甲第4号証ないし甲第77号証)によれば、ESPNは、ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(以下「ディズニー社」という。)作成の「有価証券報告書(証券取引法第24条第1項に基づく報告書)」(事業年度 平成8年10月1日〜平成9年9月30日)の「(2)放送部門」中の「ケーブル及び国際放送」の項には、当社のケーブル及び国際放送業務は、主にケーブルテレビ番組の制作配給、番組の米国内外の市場へのライセンスの付与並びに外国に本拠を置くテレビ局及びテレビ配給会社との合弁事業への投資を業務内容とし、当社は、ディズニー・チャンネル、ESPNの80%を所有していること、ESPNは、国内で72百万人、海外では190か国152百万世帯の加入者のいるケーブル及びサテライトスポーツ番組サービスであるESPN及び国内で50百万人の加入者のいるESPN2を運営しており、1997年には、国内で約5百万人の加入者のいる24時間のスポーツ・ニュース・ケーブルチャンネルであるESPNewsの放送を開始したこと、ESPNは、ヨーロッパ全域に衛星伝達ケーブルで家庭に直接スポーツ番組を流しているユーロスポーツの株式の33%、スポーツビジョン・オーストラリアの25%及びESPNブラジルの50%を所有ていること、ESPNはアジアのほぼ全域にわたってスポーツ番組を提供しているESPNとSTERの合弁事業の所有権50%及びカナダにおけるその他のメディア資産の中でザ・スポーツ・ネットワークを所有するネット・スターの事業の33%を所有していること等が記載されている(甲第4号証)。また、ディズニー社作成の英文による「1998年アニュアル・レポート」には、ESPN2は60か月の間に6100万世帯が加入したこと、ESPNインターナショナルは世界20の言語によって米国以外の国の1億5000万以上の世帯に送り出していること、「X Games」ブランドはタイとブラジルで行われた限定(予選)イベントで海外進出を果たしたこと等が記載されている(甲第5号証)。
そして、雑誌「DIME」1999年9月2日号の「X Games」大会について紹介している記事には、「『X Games』とは、米国のスポーツ専門CATV局ESPNが主催する、インラインスケート、スケボー、BMXなどストリート系スポーツの一大コンペティション。その観客数は、95年の第1回大会から年々増加し、今年6月25日〜7月3日に開催された第5回大会では、約22万人を動員した。また、その模様は、ESPNにより全150か国に放映され米国だけでも65万世帯もが視聴するビッグイベントになっている。」、「『X Games』は、日本でも・・・90年に設立されたCS、CATV局『スポーツi・ESPN』で、第1回大会から放映されている。」と掲載、また「日本からの選手も第1回大会から出場し、しかも、今年は、インラインで過去最大の3名もが優勝を果たしている。」と掲載されている。さらに、「X Gamesの歩み」として、1995年4月/「The Extreme Games」(後に「X Games」に改称)のサントラ発売、6月/ESPN本社があるロードアイランド州にて、第1回「X Games」開催、観客動員数は19万8000人、1996年3月/「X Games」の体験型プロモーションを全米12都市で展開、4月/「X Games」の撮影技術がスポーツ・エミー賞を受賞、6月/中国・上海にてインラインスケート・・・のエキシビジョンを開催、6月末/第2回「X Games」開催。テキサス州で「X Games」出場権を競う予選を開始、1997年1月/初の「ウインター・X Games」を開催、198か国で放映、観客は3万8000人を動員、4月/96年「X Games」が2年連続でスポーツ・エミー賞を受賞、5月/オーランドのディズニーワールドで「X Games」の予選を開催、6月/第3回「X Games」開催、観客数過去最高の22万1000人、1998年1月/コロラド州にて第2回「ウインター・X Games」開催、2月/フロリダ州を皮切りに98年度予選開催、タイ・プーケットで初の海外予選が開かれる、200名の選手参加、6月/第4回「X Games」開催、1999年1月第3回「ウインター・X Games」開催、6月/サンフランシスコで、第5回「X Games」開催、約22万人動員されたことが掲載されている(甲第6号証)。
また、1998年6月19日発行の「Los Angels Times」の記事によると、「X Games」がロードアイランドで行われてから3年の間に、ESPNはそのイベントで多数の加入者を集め1998年の視聴者数は1400万世帯であり、これは1997年に比べると2倍になっており、この数字を日割り計算すると、1997年の「X Gemes」の影響によって、ナショナル・ホッケイ・リーグやサッカーワールドカップの試合の観客数を超える人数が1日に加入したことになること、今年はESPNでは、国内向けに36.5時間、ESPNインターナショナルを通じて海外には25.6時間を使ってこの内容を放送する予定であること等が掲載されている(甲第11号証)。加えて、「X GAMES」の競技会には、NHK衛星第1、スポーツ・アイ(スカイパーフェクTV)で本件商標の登録出願前より放映され(甲第29号証)、コナミ株式会社の「PlayStation2」(販売日2001年11日29日:甲第21号証及び同第22号証)でも「XGames」をゲームで再現していることから、我が国においても相当程度知られていたものとみるのが相当である。
してみると、上記事実(甲第4号証ないし甲第6号証、甲第11号証、甲第21号証及び同第22号証、甲第29号証)ほかの甲各号証からすれば、「X GAMES」及び同一視できる「XGames」の表示は、本件商標の登録出願時(平成15年5月21日)には、ESPNの業務に係るスポーツ大会の企画・運営及び開催する役務を表すものとして、米国の取引者・需要者の間に広く認識されていた事実を認め得るものであり、その周知・著名性は、現在も継続しているとみるのが相当である。
また、「X GAMES」競技大会の内容は、ESPNを通じて「X GAMES」の表示と共に、カナダ、ヨーロッパや日本国その他アジア諸国等世界各国へ配給、配信され、視聴されたものと推測され、わが国においても、その大会の競技選手として第1回大会から競技に参加し、また、同大会の内容等が雑誌で紹介され、その競技内容や大会の状況がNHK衛星第1やCS、CATV局の株式会社ジャパンスポーツチャンネル「スポーツi.ESPN」で放送されていた事情からして「X GAMES」や「XGames」は、その関連競技であるインラインローラースケート、スケートボード、自転車等によるストリート系スポーツに関心をもっている者やストリート系スポーツで使用される運動用具類を取り扱う業界及び各種イベント関連業者の間において広く知られていたものとみて差し支えなく、ESPNの業務に係るスポーツ大会を表す周知・著名な役務表示というべきである。
次に、上述で認定した「X GAMES」と「X-gamer」の欧文字及びその読みを小さく「エックスゲーマー」と片仮名文字で書した本件商標との類否についてみるに、本件商標の構成にあって格別顕著に表した欧文字部分と「X GAMES」とは、構成各文字中に大文字と小文字及びスペースとハイフンの差違及び語尾における「S」と「r」の文字の差違を有するほかは、綴りを悉く同じくするものであるから、両者は外観において相紛らわしく、類似するものといえる。また、「X-gamer」及び「エックスゲーマー」の文字からは、ESPNの業務に係るスポーツ大会の周知・著名性に照らし、当該スポーツ大会「X GAMES」を容易に想起し、「『X GAMES』(Xゲームズ)をするもの」程の意味合いを認識して取引に資される場合も決して少なくないから、本件商標は、当該スポーツ大会を想起し感得する点において「X GAMES」と相紛れるおそれがあり、観念上も類似するものである。しかして、「X GAMES」からは「エックスゲームズ」の称呼が生じるのに対し、本件商標はその構成に相応して「エックスゲーマー」の称呼を生じるものであって、両者は称呼の識別上、大きな要素といえる冒頭からの「エックスゲー」の音を同じくするものであり、聴感において共通する要素が多く、末尾部において子音「m」を共通にする「ム」と「マ」の音、及び当該スポーツ大会名称にあって必ずしも明瞭に発声・聴取され難い「ズ」の音と「マの母音の余韻程度に響く長音」の差異に止まり、それぞれを一連に称呼する場合、全く聞き誤るおそれがないともいい得ず、たとい、称呼の点のみを捉えれば両者は相紛れないものとしても、これが上述の外観及び観念の類似性を越えて両者を相紛れるおそれのないものとすることはできないから、結局、本件商標は、「X GAMES」と類似する商標といわなければならない。更に、本件商標の商標権者である「株式会社ライズシステム」は、インターネット上で紹介された会社概要(甲第76号証)によれば、業務内容としてイベントの企画、運営等のほか、携帯電話でのサ-フィンに関する情報の提供を行っていることが認められる。
そうとすれば、その業務内容からして、スポーツ大会を含め各種イベントには関心をもつものであり、かつ、若者向けのサーフィンに関する情報の提供を行っている商標権者が、「ウエイク・ボーディング」(ボートに引かれながらボートが引き起こす波を利用してジャンプやスピンの難易度を競うスノーボードの水上版)を含む当該スポーツ大会の名称である「X GAMES」を知らないとは考えられないところである。
以上のとおり、商標権者は、本件商標の登録出願前にESPNの業務に係るスポーツ大会を表す役務表示というべき「X GAMES」を知り得ていたとみて差し支えなく、これと類似の本件商標の取得には当該スポーツ大会の周知・著名性にただ乗り(フリーライド)して不正の利益を得ようとする不正の目的があったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定によって、取り消されるべきである。

3 商標権者の意見
商標権者は、上記2の取消理由について、指定した期間内に意見を述べていない。

4 当審の判断
商標権者に対し、上記2の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。そして、上記2の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、この取消理由によって、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2006-03-14 
出願番号 商願2003-41300(T2003-41300) 
審決分類 T 1 651・ 222- Z (Y0941)
最終処分 取消  
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 井岡 賢一
中村 謙三
登録日 2003-10-17 
登録番号 商標登録第4718830号(T4718830) 
権利者 株式会社ライズシステム
商標の称呼 エックスゲーマー、ゲーマー 
代理人 青木 博通 
代理人 足立 泉 
代理人 森川 正仁 
代理人 柳生 征男 
代理人 中田 和博 

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