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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025
管理番号 1073595 
審判番号 審判1999-35030 
総通号数 40 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-04-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-01-19 
確定日 2003-02-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4102222号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4102222号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4102222号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第25類「洋服、コート、セーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、下着、水泳着、水泳帽、エプロン、えり巻き、靴下、ゲートル、毛皮製ストール、ショール、スカーフ、足袋、足袋カバー、手袋、布製幼児用おしめ、ネクタイ、ネッカチーフ、マフラー、耳覆い、げた、草履類」を指定商品として、平成8年3月7日に登録出願、同10年1月16日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のとおり主張し、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備せず、また同法第4条第1項第8号、第10号、第11号、第15号及び19号に該当するから、その登録は無効とされるべきである。
(1)商標法第3条第1項柱書について
請求人の調査した範囲においては、本件商標の権利者が本件商標の指定商品に係る業務を行っている事実は発見できなかった。また、被請求人の提出した証拠によってもその事実は認められない。
被請求人は、請求人に本件商標の使用の事実がない旨を立証するよう要求するが、被請求人に使用の事実又は計画があるのであれば、被請求人の方でその事実を具体的に立証する責任がある。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品について使用する商標」の要件を具備しないものである。
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標は、請求人及びその子会社の名称の著名な略称である「Elegance/エレガンス」を含む商標であるから、商標法第4条第1項第8号に該当する。
請求人である「Elegance Rolf Offergelt Gmbh」は、1930年にドイツで設立された会社であり、子会社としてフランスに「EleganceS.A.」を所有している。請求人の商品には、すべて「EleganceS.A.」の表示が付されている。以下、両社を「Elegance社」という。Elegance社は、1930年の設立以来、化粧品、靴、時計、眼鏡、衣服、アクセサリー、といったいわゆるファッション関連商品の通信販売及び店舗販売を通じて世界的規模でビジネスを行っており、一般に「Elegance」と略称されている(甲第1号証)。(株)講談社発行の「世界の一流品大図鑑」においても、Eleganceの略称が用いられている(甲第2号証)。Elegance社は、遅くとも昭和38年頃から我が国においてビジネスを開始している(甲第3号証の1)。通信販売は、雑誌「Elegance boutique」と「Elegance Paris」を用いて行っている(甲第3号証の2及び3)。我が国では、これらの雑誌は、三興トレーディング(株)により輸入されており、洋雑誌としては我が国最大の輸入部数を誇る(甲第3号証の1)。店舗販売については、「せっけん」は「ペリカン石鹸株式会社」、「洋服生地、洋服及びコート」は「三喜商事株式会社」、「時計」は「シチズン商事株式会社」のように、19種類の商品について各商品毎に特定の取り扱い会社を通じて全国のデパートで販売されている。
以上より、本件商標出願日以前から現在に至るまで、「Elegance/エレガンス」の語がElegance社の著名な略称として我が国において一般に認識されていることは明らかであるから、斯る略称を含む本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
なお、「Elegance/エレガンス」がファッション業界において著名なことは、横浜地裁、東京高裁及び最高裁も認めるところである(甲第6号証)。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、登録第2042713号商標(以下「引用A商標」という。別掲(2))と類似する商標であり、指定商品も抵触するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
引用A商標は、「エレガンス」「ELEGANCE」の各文字を書してなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和51年1月23日に登録出願、同63年4月26日に設定登録され、その後、平成10年3月31日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである。
そこで、本件商標と引用A商標の称呼を比較すると、本件商標は、その構成中の「Elegance」の部分が請求人の著名商標に該当すること及び「Elegance」、「Dream」の語を単に羅列したものであることから「Elegance」と「Dream」の部分に分断されることは明らかであり、一連に「エレガンスドリーム」と長く称呼すべき特段の事情もないから、本件商標が指定商品に使用された場合には、「エレガンスドリーム」の外に、看者に強い印象を与える語頭部に位置する「Elegance」に相応する「エレガンス」の称呼が生ずるものと言える。これに対して、引用A商標からも「エレガンス」の称呼が生ずるから、本件商標は引用A商標と称呼上類似の商標であることは明らかである。
なお、著名商標を含む商標は、著名商標と抵触することは、WIPOで採択された周知商標の保護に関する共同勧告において確認されており、日本政府も世界に向け承認しているところである(甲第13号証)。
そうとすれば、本件商標と引用A商標とは、称呼上類似の商標であり、またその指定商品も類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第10号、第15号及び第19号について
Elegance社は、我が国においては、上述のように遅くとも昭和38年頃から「Elegance/エレガンス」の語をハウスマークとしてファッション関連商品を中心に様々な商品に使用している(甲第3号証の1ないし3)。アクセサリー、生地については(株)三貴が、かばんについてはプレリーシミズ(株)が、時計についてはシチズン時計(株)がそれぞれ取り扱っている(甲第3号証の2及び3)。各々の商品に商標「Elegance」を使用しており(甲第4号証)、当該商標はこれらの商品について著名になっている。
「Elegance/エレガンス」の商標は、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、WIP0、ノルウェー、香港、英国、サウジアラビア、カナダ、デンマーク、韓国、メキシコ、スペイン等世界的に登録されている(甲第12号証)。
そこで、本件商標「Elegance Dream」とElegance社の著名商標「Elegance/エレガンス」を比較すると、本件商標は、「Elegance」、「Dream」の語を単に羅列した商標であり、一連に「エレガンスドリーム」と長く称呼すべき特段の事情もないから、本件商標が指定商品に使用された場合には、「エレガンスドリーム」の外に、看者に強い印象を与える語頭部に位置する「Elegance」に相応する「エレガンス」の称呼が生ずるものと言える。よって、本件商標は、Elegance社の著名商標「Elegance/エレガンス」と類似の商標であることは明らかである。
また、Elegance社の商標「Elegance/エレガンス」は、生地、ハンカチ、タオル、婦人服、せっけん、化粧品等ファッション関連分野で特に著名であり(甲第2号証)、生地、婦人服と本件指定商品は互いに類似又は近似した商品といえる。このような、Elegance社の商標「Elegance/エレガンス」の著名性、商標の類似性、商品の近似性、Elegance社の業務の多角化等を考慮すれば、本件商標は、Elegance社の著名商標・略称「Elegance/エレガンス」との関係で、Elegance社の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがある商標に該当すると共にただ乗りに該当するから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、第15号及び第19号に該当し、その登録は無効とされるべきである。
なお、特許庁審査基準には「指定商品又は指定役務について著名な商標と他の文字を結合した商標は、原則として、その著名な商標と類似する」と記載されており、また、商標法第4条第1項第15号に該当すると判断された異議決定例、審決例及び判決例がある(甲第5号証ないし甲第11号証)。
被請求人は、請求人の商標「エレガンス」の著名性を否定する証拠として「Elegance」の語を含む商標の併存登録例(乙第22号証ないし乙第70号証)を提出するが、これらは、審査官のその当時の周知・著名性判断の基準によりなされたものであり、上記WIPO勧告文が採択される前の基準であり、参考にならない。WIPOの勧告文によれば、すべて拒絶されるべきものといえる。また、カネボウの使用例を提出するが、カネボウとの間には一定の契約関係があり、カネボウはその契約に従って「エレガンス」を使用しているにすぎない。これは、リッツホテルが、世界的な契約に基づいて、ビスケットについて商標「RITZ」を使用させているのと、東レが「SUPPORT」をアツギに使用させているのと同じ関係にある。登録権利者は、特殊な事情により、カネボウになっているが、商標「エレガンス」をコントロールする商標の真の所有者は、請求人である。
(5)結論
本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備せず、また、同法第4条第1項第8号、第10号、第11号、第15号及び19号に該当する商標であり、その登録は無効とされるべきである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を次のように主張し、乙第1号証ないし乙第85号証を提出している。
(1)商標法第3条第1項柱書について
本件商標は、設定登録後、請求人よりなされた登録異議の申立てについて、「本件商標の登録を維持する。」旨の異議決定がなされているものである(乙第2号証)。
請求人は、本件商標が商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品について使用する商標」の要件を具備しない旨主張しているが、単に主張するのみであって、具体的な証拠を全く提示していないのであるから、この無効理由は何ら立証されておらず、この主張は認められない。
被請求人は、その登記簿謄本(乙第3号証)の目的欄にも記載されているように、本件指定商品である「紳士・婦人・子供用既製服等各種衣料品」の売買・輸出入・製造加工・仲立及び代理の業務を現に行っているものである。そして、本件商標の願書(乙第4号証)の業務記載欄には、「婦人・子供服卸売業、下着類卸売業、洋雑貨卸売業(靴下・マフラー・ネクタイを含む)、履物卸売業(靴を除く)」と表示されていること、被請求人は、旧第17類の商標権を多数所有している法人であること(一例として、乙第5号証)、乙第5号証の商標権の存続期間更新登録出願(乙第6号証)の際に提出した「登録商標の使用説明書」には、被請求人の取扱商品である「背広」が表示されていることなどをみても、被請求人が本願指定商品に係る業務を行っていることは明らかである。
また、「with-Elegance」の文字よりなる旧第17類の商標(乙第7号証)の出願公告に対し、請求人よりなされた登録異議の申立てについて、平成10年3月24日付けでなされた昭和62年審判第979号登録異議の決定(乙第8号証)によれば、「被請求人が本願商標の指定商品に係る業務を行っている事実を発見できない旨主張しているが、この点については、主張するのみで、これを立証すべき資料を何ら提出せず、また、本願の願書に記載された被請求人の業務は、「作業服製造業」と表示されている点からすれば、被請求人が指定商品に係る業務を行っていないということはできない。」と判断されている。
してみれば、本件商標が、商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品について使用する商標」の要件を具備しないとする請求人の主張は事実にも反し、無効理由とはなり得ないものである。
(2)商標法第4条第1項第8号について
本件商標の文字部分は、「優雅な夢」の如き一体の観念を有する「Elegance Dream」の語全体で、不可分一体に認識されるものであるから、そもそも、本件商標より「Elegance」の部分のみが独立して看取される虞は、全く無いものといわなければならない。そして、「Elegance」の語は、「優雅、端麗、上品、気品」等の意味合いを有する外来語であって、請求人の創作した造語ではなく、また、これが請求人の著名な略称として我が国の需要者・取引者間に認識されているとは、請求人が提出した甲各号証をみても決して言い得ないものであるから、仮に、本件商標の「Elegance」の文字部分が分離して把握される場合があるとしても、請求人の商号「Elegance Rolf Offergelt Gmbh」が想起されるようなことは、全く無いものと判断されなければならない。
上記の主張が相当であることは、平成8年2月26日付けでなされた昭和61年審判第17380号登録異議の決定(乙第17号証及び乙第18号証)及び乙第19号証からも明らかである。
してみれば、本件商標の出願日以前から現在に至るまで、「Elegance/エレガンス」の語がElegance社の著名な略称として我が国において一般に認識されているとし、本件商標は、他人の著名な略称を含む商標であるとする請求人の主張は失当であり、無効理由とはなり得ないことが明らかである。
(3)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、一見して、上段に大きく顕著に描かれたモノグラム風の図形部分が看者の注意を惹くものであるから(乙第1号証)、文字のみで構成される引用A商標と、外観上、相紛れて把握される虞は、全く無いものである。そして、本件商標のローマ字部分「Elegance Dream」についてみると、外観上まとまり良く一体的に表されていて、これより生ずると認められる「エレガンスドリーム」の称呼も、別段冗長というべきものではなく、澱みなく一連に称呼し得るものであるから、該文字部分は、全体として不可分一体のものと認識、把握されるとみるのが相当である。加えて「Elegance」の語が「優雅、端麗、上品、気品」等の意味合いを有し、「Dream」の語が「夢」を意味する英語であることは良く知られており(乙第10号証)、両語は、外来語として日常一般に使用されていることが認められるため(乙第11号証)、本件商標のローマ字部分からは、「Elegance Dream」という成句はないとしても、全体として「優雅な夢」の如き一体の観念が生ずるとみるべきである。
従って、結局のところ本件商標は、「エレガンスドリーム」の称呼と「優雅な夢」の如き一体の観念のみが生じるものであるから、請求人が主張するように、構成中の「Elegance」の文字部分のみが殊更分離して観察されるようなことは全く有り得ず、「エレガンス」と称呼され、「優雅、端麗、上品、気品」の観念を生じる引用A商標とは、称呼、観念の点でみても全く非類似の別異の商標と判断されなければならない。
上記の主張が相当であることは、平成10年5月7日付けでなされた商願平6一18140登録異議の申立てについての決定(乙第12号証及び乙第13号証)及び平成10年7月9日付けでなされた平成10年異議第90189号商標登録異議の申立てについての決定(乙第14号証及び乙第15号証)からも明らかである。
本件商標の文字部分の後半部「Dream」は、例えば、乙第16号証に示す旧々第36類の登録例があるように、本件指定商品に対して識別力を有するものであることは明らかである。
そうとすれば、本件商標の文字部分も外観上まとまりよく一体的に表されていることに加え、前半部と後半部に軽重の差は認められないものであるから、これを殊更分離して観察しなければならない格別の事由は存在しない。
よって、本件商標からは「エレガンスドリーム」の称呼と「優雅な夢」の如き一体の観念のみが生じるものであるため、引用A商標とは非類似と判断されるのが相当である。
してみれば、本件商標より単に「エレガンス」の称呼も生じるとし、本件商標は引用A商標と称呼上類似の商標であるとする請求人の主張は、上記した本件商標の外観および観念上の特徴を全く捨象したものであるから、失当といわざるを得ず、無効理由とはなり得ないことが明らかである。
(4)商標法第4条第1項第10号、第15号について
乙第21号証の雑誌によれば、「エレガンス」なるブランドには、請求人の商品を取り扱う三喜商事株式会社以外にも、鐘紡株式会社や、カネボウシルクエレガンス株式会社の自社ブランドが存在し、鐘紡株式会社の「エレガンス」ブランドは年商5億円(第40頁)、カネボウシルクエレガンス株式会社の「エレガンス(Elegance)」ブランドは年商8億円の規模で社名にも「エレガンス」を取り入れた事業展開を行っていることが認められるため、このように、日本においてファッション業界をリードする鐘紡株式会社及びその系列会社が、後述するように、「Elegance」の文字を含む多数の登録商標を所有した上で、自社ブランド「エレガンス」の宣伝・販売活動を行っている現状にあっては、「Elegance」の語が、それのみで請求人の出所を表示するものとして需要者・取引者間に広く認識されているとは、到底言い難いと判断される。そして、請求人が著名だと主張している服飾品の範疇の商品区分において、以下に示すように、多数の「ELEGANCE」又は「Elegance」の文字を含む商標が、請求人の商標「Elegance/エレガンス」との関係で商標法第4条第1項第10号、同第15号には該当せず、登録を受けている事実に鑑みれば、本件商標だけに上記無効理由が存在するという解釈には、合理的な根拠を全く見出せず、請求人の上記主張は成り立たないといわなければならない。
すなわち、「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品に含む旧第17類においては、前述の乙第7号証の公告例、乙第17号証の登録例以外にも、乙第22号証ないし乙第70号証の登録例に挙げる如く多数存在する。
このように、多数の「ELEGANCE」又は「Elegance」の文字を含む商標が、請求人の商標との関係で商標法第4条第1項第10号、第15号の適用を受けずに登録になっていることは、審判請求人が周知・著名だと主張する「Elegance/エレガンス」商標が、「Elegance/エレガンス」と表示するだけで需要者にその出所が認識されるほど著名なものではなく、また、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている周知商標でもないことの何よりの証拠と解されるべきである。そして、本件商標は、前述のように、請求人の「Elegance/エレガンス」商標とは、相紛れて認識される虞は全く無い非類似の別異の商標であるから、本件商標が、その構成中に「Elegance」の文字を含むということのみで、請求人の業務に係る商品であるかのように商品の出所について混同を生ずる虞があると断じている請求人の主張は、全く失当であるといわなければならない。
また、請求人は、三興トレーディング株式会社の社員仙田陽三氏が昭和53年1月9日付で大阪府警察本部捜査第二課課長宛に提出した上申書(甲第3号証の1)を証拠資料として提出し、Elegance社は遅くとも昭和38年頃から我が国においてビジネスを開始している旨主張しているが、「被服」の分類について言えば、そもそも国内において、「Elegance」の文字のみからなる商標を所有しているのは、請求人ではなく、鐘紡株式会社であることが明らかである(乙第28、40、71〜72号証)。この昭和32年に登録された黒地に白抜きの「Elegance」の文字よりなる商標(乙第71〜72号証)が先願として存在するため、請求人は、被服の分類で、「Elegance」の文字のみからなる登録商標を所有しておらず、乙第73〜74号証に示す図形商標を、自他商品を識別する標章として使用してきたのが現状である。
このことは、請求人が提出した甲第3号証の2〜3の雑誌の表紙や、甲第4号証の商品カタログの表紙を見ても明らかである。すなわち、これら請求人自身の出版物に関しては、必ず乙第73号証の図形商標が使用されているのであり、請求人が著名だと主張する「Elegance/エレガンス」商標が単独で使用されている例は存在しないのである。そして、乙第73〜74号証の図形商標との連合商標として、あたかも図形を構成する一部として「Elegance」の文字が組み込まれているような態様の請求人の商標(乙第75〜76号証)が登録されたのは、平成2年3月27日のことであり、また、「Elegance」の文字が図形から分離する態様の請求人の商標(乙第77号証)が、ようやく登録されたのは、本件商標の出願日の約2年前に過ぎない平成6年5月31日のことである。このように、「被服」の分類において、請求人の商標「Elegance」が、その文字のみでは権利化されておらず、図形との結合商標でしか登録を受けていない事実には、注目をされるべきである。
そして、本件商標の図形部分を請求人の図形商標(乙第73号証)と対比してみても、両者は、構成の軌が異なり、看者にそれぞれ異なった印象を与える図形であるため、両者が対比して観察される場合は勿論、時と場所を異にして隔離的に観察される場合においても、相紛れて認識される虞は無く、外観上、非類似の別異の関係にあることは明らかである。
上記の点は、例えば、本件商標と同一の態様の乙第65号証の商標が、請求人の図形商標(乙第73号証)とは非類似と判断されて、両立して登録されていることをみても明らかであるし、また、昭和57年審判第17508号審決(乙第79号証)及び昭和57年審判第22054号審決(乙第80号証)などの審決例における図形商標の観察方法をみても明らかである。
してみれば、本件商標の図形部分は、審判請求人の図形商標(乙第73号証)とは、左側に位置する文字について大文字の「D」と、上下を逆転させた小文字の「e」の明らかな差異を有し、図形全体としても看者にそれぞれ異なった印象を与えるものであるため、外観上非類似の関係にあり、需要者に出所の混同を生じさせる虞も全く無いものと判断されるのが相当である。 なお、審判請求人が提出した甲第6号証の判決は、小文字の「a」と「e」を左右に接するように配置し、一見して、請求人の図形商標(乙第73号証)と構成の軌が酷似している図形部分と、地名である「あざみ野」を表したものと把握され得る「azamino」と「Elegance」の文字を上下二段に書してなる文字部分とを、併記してなる被告商標において、上記図形部分が分離観察をされて、請求人の図形商標(乙第73号証)と外観上、類似するものと判断された判例であるから、本件商標の場合とは全く事案を異にし、同列には論じられないことが明らかである。
また、請求人は、「エレガンスクラブ」なる旧第21類の商標が、審判請求人からの異議申立てにより商標法第4条第1項第15号に該当すると判断された異議決定(甲第5号証)を提出しているが、この登録異議の申立ては、答弁書が提出されておらず(乙第81号証)、第15号を立証する証拠能力としては疑問があるといわざるを得ない。そして、請求人が提出した、本件商標と商標の態様が同じである第24類の商標に対する異議決定(甲第8号証)については、現在、拒絶査定不服審判の審理中であり(乙第82及び乙第83号証)、まだ、最終的な結論が出ていないものである。
さらに、請求人が提出した甲第10号証の審決(「LUOMO VOGUE」「SUNSEAVOGUE」「おにぎり宅急便」「MILLE VOGUE」「VOGUE PELLE」)、甲第11号証の判決(「白山雲龍」「Polo Club」「CASAVOGUE」「東京電音株式会社」「HYPERchannel」)についてみても、これらの審決例・判決例からは、著名商標を構成の一部に含む商標に対して第15号が適用される場合があることや、商標の態様や結合する文字の識別力の有無により第11号が適用される場合があることは知り得ても、「Elegance」の文字を含む商標が、審判請求人の商標「Elegance/エレガンス」との関係で拒絶されていることを示すものは一例もなく、特に15号は具体的出所の混同の有無について判断をする規定であって、一般論として論じることは出来ないものであるから、これらの審決例・判決例は、本件商標が、請求人の商標「Elegance/エレガンス」との関係で、商標法第4条第1項第10号、第15号に該当するものであることを立証する証拠には、全く成り得ないものといわざるを得ない。
上記の主張が相当であることは、平成4年1月16日付けでなされた昭和58年審判第2574号登録異議の決定(乙第78号証)、平成10年7月9日付けでなされた平成10年異議第90189号商標登録異議の申立てについての決定(乙第14号証及び乙第15号証)、平成8年2月26日付けでなされた昭和61年審判第17380号登録異議の決定(乙第17号証及び乙第18号証)例からも明らかである。
請求人は、被請求人が提出した乙第22ないし70号証について、「これらは、審査官のその当時の周知・著名性判断の基準によりなされたものであり、上記WIPO勧告文が採択される前の基準であり、参考にならない。」と主張している。しかしながら、商標法第4条第1項第15号は、出願商標(登録商標)と著名商標との間に生ずる具体的出所の混同の有無について判断する規定であるから、本件審判事件において、前述した本件商標の外観および観念上の特徴、請求人が著名だと主張する「Elegance」の本来の語義、その「Elegance」商標の認知度等を勘案することなく、画一的に第15号の適否を判断するような姿勢が相当でないことは、言うまでもないところである。
請求人が著名だと主張する「Elegance」の文字は、「優雅、上品」等を意味する英語又はフランス語として知られており、本件商標の指定商品である被服類等の商品との関係でみれば、商品の品質を表示する語と認められるから、本来、「Elegance」のような語は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないと解するのが相当である。
このように判断することが相当であるからこそ、旧22類「くつ類、その他本類に属する商品」を指定商品とする「valentino elegance」なる商標の拒絶査定不服審判事件(乙第84号証)では、請求人が著名だと主張する「Elegance」商標との出所混同については、何ら触れられておらず、後半の「elegance」の部分は、「優雅、上品」等を意味する品質表示に過ぎないとの見解が示されているのである。また、旧17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品とする「MADAME ELEGANCE/マダム エレガンス」なる商標の拒絶査定不服審判事件(乙第85号証)でも、後半の「ELEGANCE」と「エレガンス」の各文字は、「優雅、上品」の意味を表す良く知られた英語及び外来語であり、「MADAME ELEGANCE/マダム エレガンス」なる商標からは、全体として「エレガンス奥様」ないしは「優雅な婦人」の語意を看取し得るものであるから、「Elegance」なる商標とは混同しないと判断されている。このように、乙第7ないし8号証、乙第12ないし15号証、乙第17ないし20号証、乙第22ないし70号証、乙第85号証のような多数の「ELEGANCE」又は「Elegance」の文字を含む商標が、請求人の「Elegance」商標との関係で商標法第4条第1項第10号、第15号の適用を受けずに登録になっていることは、請求人が著名だと主張する「Elegance」商標が、「Elegance」と表示するだけで取引者・需要者にその出所が認識されるほど周知・著名なものではないことの何よりの証拠と解されるべきである。
また、請求人は、「カネボウとの間には一定の契約関係があり、カネボウはその契約に従って「エレガンス」を使用しているにすぎない。」、「登録権利者は、特殊な事情により、カネボウになっているが、商標「エレガンス」をコントロールする商標の真の所有者は、請求人である。」とも主張している。
しかしながら、乙第21号証の雑誌によれば、鐘紡株式会社、並びにカネボウシルクエレガンス株式会社が、自社ブランドとして「エレガンス」を展開していることは明らかである。そして、鐘紡株式会社の「エレガンス」ブランドは年商5億円(第40頁)、カネボウシルクエレガンス株式会社の「エレガンス」ブランドは年商8億円の規模で、社名にも「エレガンス」を取り入れた事業展開を行っている。この事実を鑑みれば、「商標「エレガンス」をコントロールする商標の真の所有者は、請求人である。」という請求人の主張は、根拠のないものと考えざるを得ない。
また、仮に、請求人が言うように、請求人と鐘紡との間に一定の契約関係があるのだとしても、それは一般の需要者が関知する事柄ではないから、日本においてファッション業界をリードする鐘紡株式会社及びその系列会社が「Elegance」の文字を含む多数の登録商標を所有した上で自社ブランド「エレガンス」の宣伝・販売活動を行っている事実を無視することは、到底出来ないものである。むしろ、請求人は、乙第73ないし74号証の図形商標を自他商品の識別標識として用いてきたのが実状であり、「Elegance」の文字が図形から分離する態様の商標(乙第77号証)の登録を受けたのは、本件商標の出願日の約2年前に過ぎない平成6年5月31日のことであるから、「Elegance」の表示のみで取引者・需要者にその出所が理解されるほど請求人の「Elegance」商標が著名であるとは全く認められないのである。
(5)商標法第4条第1項第19号について
商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。)をもって使用をするもの」の登録を排除する規定であるところ、本件商標は、既に説明したように、請求人の商標「Elegance/エレガンス」とは非類似の別異の商標であるため、上記第19号に規定には該当しないことが明らかである。加えて、本件商標の権利者「瀧定株式会社」が、本件商標を不正の目的で使用している事実は全く存在しない。
請求人は、甲第12号証を提出して、日本以外の国でも商標権を取得していることを示すのみで、「不正の目的」があったことの立証については、ただ主張するのみで具体的な証拠を提出していないのであるから、上記無効理由は、そもそも何ら立証されておらず、成り立たないといわざるを得ない。
してみれば、本件商標が、商標法第4条第1項第19号に該当するとの請求人の主張は事実にも反し、無効理由とは成り得ないことが明らかである。
(6)結論
以上説明したように、本件商標は、商標法第3条第1項柱書の要件を具備しており、引用A商標との関係で商標法第4条第1項第11号には該当せず、また、請求人が周知・著名だと主張している審判請求人の略称・商標「Elegance/エレガンス」との関係で、商標法第4条第1項第8号、第10号、第15号、第19号にも該当しないものであるため、その登録を無効とされる理由は全く存在しない。

4 職権審理結果の通知
(1) 本件審判請求事件に関し、当審は、請求人の申し立てない理由についても審理した結果、請求人が同人の使用する引用A商標を引用し本件商標の登録が商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである旨主張していることに加え、本件商標の登録が以下に述べる理由により前記規定に違反して登録されたと判断するので、同法第56条第1項で準用する特許法第153条第2項の規定により、当事者に対し、意見を申し立てる機会与えるため、申し立て期間を指定して、平成14年7月30日付けをもってその審理の結果を通知した(通知書発送日同年8月2日)。理由の要旨は次のとおりである。
請求人の提出した甲第2号証、甲第3号証の1ないし3及び甲第4号証によれば、請求人は、その名称が「エレガンス」と略称され、フッァション関連製品の取引者、需要者に広く知られていること並びに請求人は引用A商標の他、別掲(3)のとおりの「e」の欧文字を180度回転させて表しその右側に「e」の 欧文字を接合させた図形よりなる商標(以下「引用B商標」という。)及び別掲(4)のとおりの引用A商標と同一の綴り字「Elegance」(ただし、第3文字「e」の文字にはアクサン・テギュの綴字記号が付されている。以下「Elegance」の綴り字において同じ。)を表しその中央上部に引用B商標と同一の構成の図形を配してなる商標(以下「引用C商標」という。)を「せっけん、化粧品、洋服生地、洋服及びコート、タオル、ストッキング、子供服、ハンカチ、手袋、寝具類、キッチングッズ、屋内装置 品、アクセサリー、かばん、運動靴、婦人靴、スリパ、傘、眼鏡及び時計」などに永年使用し、引用各商標はその取引者、需要者にいずれも広く知られていることが認められる。
前記認定事実に照らせば、本件商標は、取引者、需要者に引用各商標を連想、想起させ易い構成よりなるものであり、また引用各商標はフッション関連製品はじめ多種類の品目に使用されているものであるから、本件商標をその指定商品に使用するときは、該商品が請求人若しくは請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのようにその商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
(2)上述した職権審理結果の通知に対し、両当事者はいずれも何らの意見を申し立てるところがない。

5 当審の判断
請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである旨を主張しているので、先ずこの点について検討する。
請求人は、1930年の設立以来、衣服、化粧品、アクセサリー、時計等の商品を通信販売し、「Elegance」「エレガンス」と略称されている企業である(甲第1号証(1990年株式会社研究社発行「英和商品名辞典」、甲第2号証株式会社(講談社発行「世界の一流品大図鑑」’81年版、’83年版ないし’85年版、’88年版及び’93年版)及び甲第3号証の1(株式会社三興トレーディングに勤務する仙田陽三作成の「上申書」))。
一方、請求人の商品は、我が国においては、昭和38年頃に三興トレーディング株式会社が請求人の被服類に使用される服地の輸入販売を開始し、請求人の発行する雑誌「Elegance boutique」及び「Elegance Paris」を輸入販売したことに伴い販売量が増えるようになり、現在では、「せっけん」はペリカン石鹸株式会社、「化粧品」は株式会社エレガンスコスメティックス、「洋服生地、洋服及びコート」は三喜商事株式会社、「タオル」は天野商事株式会社、「ストッキング」は福助株式会社、「子供服」はラブリー株式会社、「ハンカチ」は株式会社アルプス・カワムラ、「手袋」は株式会社ウルシハラ、「寝具類」は株式会社京都金桝及びニッコー株式会社、「キッチングッズ」は富士琺瑯工業株式会社及びミタニ、「屋内装置品」は常磐商事株式会社、「アクセサリー」は株式会社三貴、「かばん」はプレリーシミズ株式会社、「運動靴」はアイドマインターナショナルカンパニー、「婦人靴」は三宝シューズ株式会社、「スリッパ」は株式会社フラワースリッパ、「傘」は株式会社ハヤシミチ、「眼鏡」は和合商事株式会社、「時計」はシチズン商事株式会社と商品毎に前記各会社を通じて全国のデパートで販売している(甲第3号証の2及び3、甲第4号証)。
ところで、請求人は、当初引用A商標を「婦人用既製服、アクセサリー」等に使用していたが、1990年頃から引用A商標の使用に加え、別掲(3)のとおりの引用B商標及び別掲(4)のとおりの引用C商標の使用を開始した。これらの引用各商標は、請求人が発行する「Elegance Boutique」及び「Elegance Paris」による宣伝及び新聞、雑誌等に記事として取り挙げられた結果、遅くとも本件商標の登録出願時までには、いずれの引用各商標も取引者、需要者間に広く知られるようになり、その後も継続して取引者、需要者間に広く知られていると認められる(甲第2号証、甲第3号証の1ないし3、甲第4号証)。
本件商標は、別掲(1)のとおり「Elegance Dream」の文字を書し、その中央上部に「D」と「e」の各欧文字を接合させた図形を配した文字と図形の結合商標であるのに対して、引用C商標は、上述したとおり「Elegance」の欧文字を書し、その中央上部に「e」の欧文字を反転させた図形の右側に「e」の欧文字を接合させた図形を配した文字と図形の結合商標である。
そこで、本件商標と引用C商標を比較してみると、両商標は、文字商標の構成中に本件商標は「Dream」の文字を有するのに対し、引用C商標は同文字を有しないこと及び図形部分の左側半分が本件商標は「D」の文字を配しているのに対し引用C商標は「e」の欧文字を反転させた図形を配していることの各点において差異を有するが、文字商標を表しその中央上部に図形商標を配してなる点において基本的構成を同一にすること、文字商標の構成中にいずれも「Elegance」の欧文字を有すること及び図形商標の構成中の中央右側部分にはいずれも「e」の欧文字に相当する図形を配していることの各点において共通している。そして、本件商標については、その構成中の「Elegance Dream」の語が我が国において成句を構成するとか広く親しまれているとの事実は認められず、また本件商標構成中の図形部分が広く知られた図形とも認められない。本件商標の指定商品はファッション製品を包含するものであり、引用各商標は上述したとおりファッション製品始めそれ以外の商品にも広範囲に使用されているものであるから、本件商標と引用各商標の取引者、需要者はかなりの部分で共通している。
本件商標は、文字商標を表しその中央上部に図形商標を配してなる点において引用C商標と基本的構成を同一にし、しかも文字商標の構成中に「Elegance」の欧文字を有する点においても引用C商標と共通し、さらに図形部分の「e」の欧文字を右側に配している点が引用C商標と共通していることと、引用C商標構成中の図形は「e」の欧文字を反転させた図形とその右側に「e」の欧文字を接合させた図形よりなる独創的なものであって強い印象力を有するものであること及び引用各商標がいずれも著名であることを併せ考慮すると、前記文字商標部分における差異点は引用C商標の構成中の文字に「Dream」の文字を付加したものであり、前記図形商標部分における差異点は引用C商標構成図形部分中の「e」の欧文字を反転させた部分を「D」の文字に相当する図形に置き換えたにすぎないとの印象を需要者に与えるというべきである。
したがって、本件商標は、これに接する取引者、需要者が請求人の商標を連想・想起し易い構成よりなるものであるから、該商品が請求人若しくは請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのようにその商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるというべきである。
なお、被請求人は、鐘紡株式会社及びその系列会社のカネボウシルクエレガンス株式会社が「エレガンス(Elegance)」の語を含む多数の登録商標を所有し、宣伝・販売活動を行っている現状にあっては、「Elegance」の語がそれのみで請求人の出所を表示するものとして需要者・取引者間に広く認識されているとは到底言い難い旨及び請求人が著名だと主張する「Elegance」の文字は、「優雅、上品」等を意味する英語又はフランス語として知られており、本件商標の指定商品である被服類等の商品との関係でみれば、商品の品質を表示する語と認められるから、本来、「Elegance」のような語は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない旨主張する。
しかしながら、「Elegance」又は「エレガンス」の語が、「優雅、上品」等を意味する英語若しくはフランス語又は外来語として知られており、また、該語又は該語を含む商標が鐘紡株式会社及びその系列会社により商標登録され、使用されているとしても、上述したとおり、引用各商標は、いずれも本件商標の登録出願前より請求人の業務に係る商品の出所を表示するものとして著名性を有するに至っていると認められるから、いずれの引用商標も商品の出所識別機能を有するというべきであり、「Elegance」に関連する商標についての請求人と鐘紡株式会社及びその系列会社の関係はさておき、本件商標が請求人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあるものであるか否かを判断する妨げとはならないというべきである。 したがって、前記被請求人の主張はいずれも採用することができない。
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたと認められるから、その余の請求人の主張について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本件商標(登録第4102222号商標)



(2)引用A商標(登録第2042713号商標)




(3)引用B商標




(4)引用C商標


審理終結日 2002-12-04 
結審通知日 2002-12-09 
審決日 2003-01-06 
出願番号 商願平8-24671 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (025)
最終処分 成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 田辺 秀三
特許庁審判官 岩崎 良子
小林 薫
登録日 1998-01-16 
登録番号 商標登録第4102222号(T4102222) 
商標の称呼 デイイイエレガンスドリーム、エレガンスドリーム、ドリーム 
代理人 青木 博通 
代理人 溝上 満好 
代理人 中田 和博 
代理人 溝上 哲也 
代理人 柳生 征男 
代理人 足立 泉 

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