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審決分類 審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
管理番号 1069124 
審判番号 無効2001-35108 
総通号数 37 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2003-01-31 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-03-16 
確定日 2002-09-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第4014800号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4014800号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4014800号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)に示すとおりの構成よりなり、平成5年11月26日に登録出願、第42類「ぎょうざ料理の提供」を指定役務として、同9年6月20日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第54号証を提出した。
1.商標性について
請求人が代表者を努める株式会社【みんみん】(偏を「王」とし、旁を「民」とする漢字を2度繰り返す。;別掲(2)に示す。以下、この漢字については、【みんみん】をもって表記する。)本部(以下「【みんみん】本部」という。)及び株式会社【みんみん】本店(以下「【みんみん】本店」という。)は、餃子料理の提供を行う店舗を「【みんみん】」なる屋号で経営している(甲第1号証、甲第2号証)。また、同じく餃子料理の提供を行い、「【みんみん】」なる屋号を共通して使用する店舗をフランチャイズ展開している(甲第3号証)。「【みんみん】」はこれらの中で共通して看板、メニュー、広告等に餃子料理の提供という役務のために用いられているため(甲第4号証ないし甲第6号証)、「【みんみん】」は商標である。
2.商標の周知性について
請求人所有の商標「【みんみん】」(以下「引用商標」という。)は、以下に述べるとおり、役務「餃子料理の提供」に関し、本件商標の出願日である平成5年11月26日以前より現在に至るまで継続して需要者の間に広く認識されている。
(1)甲第7号証ないし甲第9号証は、平成5年2月25日から同年3月3日にかけて放映されたテレビCMを録画したビデオテープ、CM放映のスポットプログラム表及びスケジュール表である。これより、CMを放映したテレビ局が京都・大阪・神戸という近畿地方の大都市圏をネットする「テレビ大阪」であること、及び同期間中多額の費用をかけて集中的にCMが放映されたこと(料金250万円、1日平均約11回、計75回)がわかる。
したがって、引用商標は、平成5年11月26日近辺において少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたといえる。
(2)甲第10号証は、平成7年2月27日から同年3月2日にかけて放送されたラジオCMの放送スケジュールを記載したタイムテーブル及びその写しである。これより、CMを放送したラジオ局が長年にわたって関西圏で聴取率第1位の座を誇るMBSであること、及び同期間中多額の費用をかけて集中的にCMが放送されたこと(料金220万円、1日平均約13回、計50回)がわかる。
したがって、引用商標は、平成7年3月近辺において少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたといえる。
(3)甲第11号証は、請求人が代表者を努める【みんみん】本部を統括機関とし、これと【みんみん】本店、地区法人の株式会社【みんみん】大阪及びフランチャイズ店より構成される【みんみん】グループ(以下「【みんみん】グループ」という。)の昭和63年度の会社案内である。これより、当時、京都・大阪・神戸を中心とする近畿地区で100店舗(直営店19店舗、フランチャイズ店81店舗)、九州地区で7店舗、名古屋・仙台などその他の地区で8店舗、以上計115店舗が、引用商標を使用して全国的に展開していたことがわかる。
したがって、引用商標は、昭和63年には少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたといえる。
(4)甲第12号証は、【みんみん】グループの平成4年度の会社案内である。これより、当時、京都・大阪・神戸を中心とする近畿地区で88店舗(直営店13店舗、フランチャイズ店75店舗)、九州地区で7店舗、名古屋・仙台などその他の地区で8店舗、以上計103店舗が、引用商標を使用して全国的に展開していたことがわかる。
したがって、引用商標は、平成4年には少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたといえる。
(5)甲第13号証は、【みんみん】グループの平成7年度の会社案内である。これより、当時、京都・大阪・神戸を中心とする近畿地区で101店舗(直営店18店舗、フランチャイズ店83店舗)、九州地区で7店舗、名古屋などその他の地区で6店舗、以上計114店舗が、引用商標を使用して全国的に展開していたことがわかる。
したがって、引用商標は、平成7年には少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたといえる。
(6)甲第14号証は、【みんみん】グループの平成8年度の会社案内である。これより、当時、京都・大阪・神戸を中心とする近畿地区で100店舗(直営店15店舗、フランチャイズ店85店舗)、九州地区で7店舗、名古屋などその他の地区で6店舗、以上計113店舗が、引用商標を使用して全国的に展開していたことがわかる。
したがって、引用商標は、平成8年には少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたといえる。
(7)甲第15号証は、【みんみん】グループの平成9年度の会社案内である。これより、当時、京都・大阪・神戸を中心とする近畿地区で101店舗(直営店15店舗、フランチャイズ店86店舗)、九州地区で7店舗、名古屋などその他の地区で6店舗、以上計114店舗が、引用商標を使用して全国的に展開していたことがわかる。
したがって、引用商標は、平成9年には少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたといえる。
(8)甲第16号証は、【みんみん】グループの平成10年度の会社案内である。これより、当時、京都・大阪・神戸を中心とする近畿地区で101店舗(直営店15店舗、フランチャイズ店86店舗)、九州・名古屋などその他の地区で13店舗、以上計114店舗が、引用商標を使用して全国的に展開していたことがわかる。
したがって、引用商標は、平成10年には少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたといえる。
(9)甲第17号証は、【みんみん】グループの平成11年度の会社案内である。これより、当時、京都・大阪・神戸を中心とする近畿地区で102店舗(直営店15店舗、フランチャイズ店87店舗)、九州・名古屋などその他の地区で13店舗、以上計115店舗が、引用商標を使用して全国的に展開していたことがわかる。
したがって、引用商標は、平成11年には少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたといえる。
(10)甲第18号証は、【みんみん】グループの平成12年度の会社案内である。これより、当時、京都・大阪・神戸を中心とする近畿地区で97店舗(直営店14店舗、フランチャイズ店83店舗)、九州・名古屋などその他の地区で14店舗、以上計111店舗が、引用商標を使用して全国的に展開していたことがわかる。
したがって、引用商標は、平成12年には少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたといえる。
(11)ア.甲第19号証ないし甲第21号証は、京都市(平成5年3月25日現在)・大阪市(同年11月1日現在)・神戸市(同年7月1日現在)の電話帳(タウンページ)である。これより、当時、京都市で10店舗、大阪市で29店舗、神戸市で9店舗、以上計48店舗(直営店及びフランチャイズ店)が、引用商標を使用して近畿地方の大都市圏に展開していたことがわかる。
イ.甲第22号証及び甲第23号証は、京都市(平成5年3月25日現在)・神戸市(同年7月1日現在)の電話帳(ハローページ)である。これより、京都市で7店舗、神戸市で7店舗、以上計14店舗が、引用商標を使用して近畿地方の大都市圏に展開していたことがわかる。なお、本証拠に記載された「【みんみん】」を屋号とする店舗が引用商標を使用するものであることは、甲第3号証、甲第11号証ないし甲第18号証により証明される。
したがって、かかるフランチャイズ展開が引用商標の知名度を需要者の間で高めることは容易に想像できるから、上記証拠は、引用商標が、平成5年11月26日近辺において少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたことを証明するものである。
ウ.甲第24号証、甲第26号証ないし甲第28号証は、京都市(平成10年3月27日現在)・大阪市(同年10月15日現在)・大阪府(大阪市を除く。同年11月26日現在または同年12月10日現在)・神戸市(同年7月8日現在)の電話帳(タウンページ)である。これより、当時、京都市で10店舗、大阪市で32店舗、大阪府で22店舗、神戸市で5店舗、以上計69店舗が、引用商標を使用して近畿地方の大都市圏を中心に展開していたことがわかる。
エ.甲第25号証、甲第29号証は、京都市(平成10年3月27日現在)・神戸市(同年7月8日現在)の電話帳(ハローページ)である。これより、当時、京都市で5店舗、神戸市で6店舗、以上計11店舗が、引用商標を使用して近畿地方の大都市圏に展開していたことがわかる。なお、本証拠に記載された「【みんみん】」を屋号とする店舗が引用商標を使用するものであることは、上記イ.と同様に、甲第3号証、甲第11号証ないし甲第18号証により証明される。
したがって、上記証拠は、上記イ.と同様に、引用商標が、平成10年には少なくとも近畿地方の需要者の間で周知性を有していたことを証明するものである。
(12)甲第30号証は、【みんみん】グループに材料等を提供している者による、引用商標が平成5年11月26日以前より現在まで継続して役務「餃子料理の提供」に関し需要者の間で周知性があることを証明する文書である。いずれも前記【みんみん】グループと長年取引関係にある業者であり、平成5年11月26日以前より現在までに至る【みんみん】の業務の実態やその歴史等を知悉している以上、上記文書の証拠価値は非常に高いといえる。
したがって、上記証拠は、引用商標が、平成5年11月26日以前より現在まで継続して需要者の間で周知性があることを証明するものである。
(13)甲第31号証ないし甲第38号証は、大阪大学・神戸大学・同志社大学等近畿地方の著名大学の学生が主催する合唱又は吹奏楽のコンサートに対し、請求人が代表者を務める【みんみん】本部及び【みんみん】本店が、昭和58年より何度もスポンサーとして支援を行ってきた実績があることを示している。かかる伝統的なコンサートのスポンサーとなるには、【みんみん】の顧客の多数を占める学生の間において高い知名度が要求される。
したがって、上記証拠は、引用商標が、特に学生を中心とする近畿地方の需要者の間で昭和58年近辺より周知性を有していたことを証明するものである。
(14)甲第39号証ないし甲第41号証は、昭和53年に発行された週刊ホテルレストランの特集記事である。全国規模で流通する雑誌であり、【みんみん】グループの創業者である古田安夫氏に焦点を当てながら【みんみん】の古い歴史(創業昭和28年)や創業以来の人気振り等を詳細に紹介している。
(15)甲第42号証は、昭和51年に発行された日経流通新聞の記事である。全国紙であり、【みんみん】の人気振りを詳細に報道している。
したがって、上記証拠は、引用商標が、昭和51年近辺より需要者の間で周知性を有していたことを証明するものである。
(16)甲第43号証は、平成2年4月に発行された前記古田安夫氏の死去を伝える新聞記事である。一般的に、社会的知名度の高い人間についてのみその死去を伝える記事が掲載される。
したがって、上記証拠は、古田安夫氏ひいては【みんみん】自体の高い知名度を示すものであり、引用商標が平成2年には需要者の間で周知性を有していたことを証明するものである。
(17)甲第44号証は、平成7年7月に発行された週刊文春のカラー広告記事である。全国規模で流通する人気雑誌であり、前記株式会社【みんみん】大阪の代表取締役(当時)村上浩一郎氏により【みんみん】が餃子の元祖として紹介されている。
したがって、上記証拠は、引用商標が平成7年7月近辺において需要者の間で周知性を有していたことを証明するものである。
(18)甲第45号証は、平成9年12月に発行された夕刊フジの記事である。全国紙として高い人気を誇っており、【みんみん】の歴史とその広告が1面を使って紹介されている。
したがって、上記証拠は、引用商標が平成9年12月近辺において需要者の間で周知性を有していたことを証明するものである。
(19)甲第46号証は、平成10年5月に発行された京都新聞の記事である。京都地区で高い人気を誇る新聞であり、京都における【みんみん】の古い歴史を紹介している。
また、甲第47号証は、平成10年10月に発行された日本経済新聞の記事である。著名な全国紙であり、前記株式会社【みんみん】大阪の東京進出と【みんみん】グループの規模(店舗数110店、年間総売上高85億円)が報道されている。
したがって、上記証拠は、引用商標が平成10年には需要者の間で周知性を有していたことを証明するものである。
(20)被請求人は、「商標の使用者あるいは使用の主体が明確でない。商標を対象として、請求人等が如何なる法的立場を有するのか明確でない。」旨主張する。
そもそも、周知性に関しては「周知表示主の名称その他を具体的に明確に認識する必要はない」とされる(判例)。さらに、後記5.(3)で述べるように、商標法第4条第1項第10号に規定する周知商標の商標権が請求人に帰属していることは、何ら法律上の要件でない。
したがって、上記被請求人の主張は、引用商標の周知性を否定する理由にはなり得ない。
なお、引用商標の周知性を証明する補強証拠として、大阪商工会議所による周知性証明書(甲第50号証)、昭和60年1月発行の「報道ニッポン」の特集記事(甲第53号証)を提出する。
3.本件商標と引用商標の類似性について
(1)商標について
本件商標は、上段及び中段の図形部分と下段の「ギョーザの店みんみん」なる文字部分からなる結合商標である(甲第48号証)。このうち、図形部分からは当然何らの称呼も生じない。また、文字部分のうち「ギョーザの店」からも、本件商標が表示する役務自体である以上、何らの称呼も生じない。したがって、残った文字部分である「みんみん」より、「ミンミン」の称呼が生じることは明白である。
これに対し、引用商標についても、「【みんみん】」の漢字自体は常用漢字でないが、「民」の部分より「ミンミン」の称呼は容易に生じる。また、上記のとおり、引用商標が周知であることからも、「ミンミン」の称呼は容易に生じるといえる。
したがって、本件商標は、引用商標とその称呼において同一であるから、引用商標に類似する。
(2)役務について
本件商標の指定役務は「ぎょうざ料理の提供」であるから(甲第48号証)、引用商標が表示する役務と同一である。
4.以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきである。
5.利害関係について
(1)請求人の平成11年商標登録願第115107号に対する拒絶理由通知に本件商標が引用されており、請求人が法律上の利害関係を有することは明白である(甲第49号証)。
(2)被請求人は、「商標法第4条第1項第10号に規定する「他人」に該当するのは、請求人とは別個独立の「【みんみん】本部及び【みんみん】本店」である。したがって、本件審判請求の主張が認められても、平成11年商標登録願第115107号の商標登録出願人たる請求人に商標登録は認められない。」旨主張するが、商標登録無効審判における請求人の法律上の利益については、「商標登録出願に係る商標が、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標と同一又はこれに類似し、指定商品(指定役務)も同一又は類似するものとして、当該商標登録出願が拒絶され又は拒絶されるおそれがある場合、その商標登録出願人は、上記他人の登録商標につき、商標登録の無効審判の請求をする法律上の利益があることは、明らかである」との判例が存する(平成8年2月28日 東京高裁 平成7年(行ケ)270号)。
請求人が本件審判を請求するにつき利害関係を有することは、上記判例から明らかである。
(3)被請求人は、商標法第4条第1項第10号に規定する「他人」と請求人とが不一致である旨主張する。
しかしながら、商標登録が商標法第4条第1項第10号に違反してされたときは、同法第46条第1項第1号に規定する商標登録の無効事由に該当するのであって、この場合、同法第4条第1項第10号にいう「他人の周知商標」の商標権が無効審判の請求人に帰属していることは、何ら法律上の要件でない。
したがって、上記被請求人の主張は、請求人が審判請求の利益を有することを否定する理由にはなり得ない。
(4)被請求人は、請求人に商標登録は認められない旨主張するが、無効審判手続が行政手続でありながら、請求人と権利者との間で展開される民事訴訟に類似した手続である一方(商標法第56条第1項、特許法第134条及び同第145条等参照)、商標登録手続は特許庁と商標登録出願人との間で展開される純粋の行政手続である。それ故、特許庁と商標登録出願人との間の問題である商標登録の成否が、請求人と権利者との間の問題である無効審判請求の当否に影響を及ぼすことはあり得ない。
したがって、上記被請求人の主張は、請求人が審判請求の利益を有することを否定する理由にはなり得ない。
6.本件商標の周知性について
(1)被請求人は、本件商標の使用状況、被請求人の事業の沿革等を説明する。
しかし、請求人が本件商標の登録無効理由として挙げた商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」は商標登録されないとするものであって、本件商標の周知性に関する議論は本審判において何ら意味を成さない。
(2)乙第1号証ないし乙第3号証によれば、本件商標の使用状況を立証しているが、同証拠についてみると、確かに本件商標を表す図形と「ギョーザの店みんみん」なる横書きの文字がマッチや看板等に表示され、また,店舗の壁面等には、「みんみん」あるいは「餃子専門店みんみん」なる文字が上記図形と共に表示されている。しかし、これだけでは本件商標が「餃子料理の提供」という役務のために用いられているのか、「餃子」という商品のために用いられているのか不明である。例えば、乙第3号証は、「ギョーザの店みんみん」が商品商標として用いられているものと考えられる。
(3)乙第4号証は、被請求人の売上高を立証しているものであるが、被請求人と請求人との間で、売上高を比較してみると、
ア.平成5年度(本件商標登録出願時)の被請求人の売上高は約1億5千万円であるのに対し、同年度の【みんみん】グループの売上高は93億6百万円である(甲第51号証)。参考のため、平成4年度及び平成6年度の売上高も挙げておくと、それぞれ93億4千1百万円及び94億2千5百万円である(甲第51号証、甲第52号証)。
イ.平成9年度(本件商標登録時)の被請求人の売上高は約2億7千万円であるのに対し、同年度の【みんみん】グループの売上高は94億円である(甲第15号証)。
したがって、一般的には、売上高と商標の周知性の度合いとの間には相関関係がある以上、【みんみん】グループの使用する引用商標こそ、本件商標の出願時及び登録時においてより周知性を有していたといえる。
以上からすると、仮に本件商標の周知性に関する議論が本審判において何らかの意味を有するとした場合、このような被請求人の売上高に関する被請求人の主張は、むしろ引用商標の周知性を積極的に補強することになるといえる。
(4)乙第5号証ないし乙第10号証は、本件商標を紹介する雑誌・新聞記事であるが、いずれも本件商標の出願時以前(乙第5号証ないし乙第7号証)あるいは出願時以降登録時以前(乙第8号証ないし乙第10号証)のもの僅か6点であり、しかも、それぞれの発行部数も不明である。そもそも雑誌や新聞などは、単に新奇な話題を作り上げるだけで取材されることが多く、また、取材される側からの申し出により取材が行われることもあることは、よく知られているところである。したがって、単に雑誌や新聞で取り上げられたというだけでは、本件商標がその出願時又は登録時において周知性を有していたことは立証されない。その発行部数等の客観的な数値データを明らかにすることが必要である。
(5)被請求人の創業者が「みんみん」なる店名を採択した理由は、以下のとおりである。
すなわち、「【みんみん】」の文字よりなる登録第478617号商標は、第45類「他類に属しない食料品及び加味品」を指定商品とするものであり、その権利者を東京都渋谷区所在の高橋美枝子とするものである。該高橋は、昭和27年より現在に至るまで同地で「【みんみん】」なる店名の餃子店を経営しているところ、請求人の父親である古田安夫は、昭和28年に高橋に勧められ、「【みんみん】」の店名の使用許諾を得て、大阪千日前で餃子店を開業した(その当時は、役務商標登録制度がなかったため、商品商標の登録で代用するのが常道であった。)。そして、高橋によれば、その餃子店の常連の顧客から「餃子をやるなら『【みんみん】』という店名がいい。」とのアドバイスを受けた被請求人の創業者は、「【みんみん】」の店名で宇都宮に開業したところ、この事実を知った高橋は、宇都宮の創業者のもとへ行き、店名を変更するように要求したが、両者間で、「【みんみん】」から平仮名の「みんみん」にすることで合意に達したのである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
1.請求の利益について
(1)請求人は、本件商標を無効とすべき詳細な理由のうち、商標性について、「請求人が代表者を努める【みんみん】本部及び【みんみん】本店は、餃子料理の提供を行う店舗を『【みんみん】』なる屋号で経営している。」と主張する。
この主張からは、「【みんみん】」なる屋号で経営を行っている主体は、「【みんみん】本部及び【みんみん】本店」であり、請求人は、当該会社の代表者を努めるものの個人であると判断される。したがって、経営の主体が、「【みんみん】本部及び【みんみん】本店」等であるなら、請求人の主張する前記商標法第4条第1項第10号に規定される「他人の業務に係る・・商標・・」の「他人」に該当すべきは、「【みんみん】本部及び【みんみん】本店」等となる。
一方、請求人が「利害関係について」で述べている、平成11年商標登録願第115107号における商標登録出願人は、「古田暁生」個人である。
その結果、商標法第4条第1項第10号にいう周知商標権者と、平成11年商標登録願第115107号の商標登録出願人とは、不一致となり、もし万一本件審判請求の主張が認められたと仮定しても、平成11年商標登録願第115107号の商標登録出願人には商標登録が認められないから、本件審判請求は請求の利益の存在しないものである。
なお、「会社はすべて法人であり」(商法第54条第1項)、会社は社員とは別個独立の権利義務の主体となり、会社には財産権に対する権利能力が認められ、したがって、法人としての会社の財産権と個人(代表者であっても)としての財産権は別個独立のものとして峻別されなければならないことは多言を要しないであろう。
(2)請求人は、審判請求の利益について、平成7年(行ケ)270号判決を引用するが、該判例は、商標登録出願人が無効審判の対象となる登録商標が引用されて異議申立を受けている場合に、当該無効審判の請求について、請求人の利害関係を問題としたものである。
その利益が認められる理由は、商標登録出願に係る商標が、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標と同一又はこれに類似し、指定商品も同一又は類似するものとして、当該商標登録出願が拒絶され又は拒絶されるおそれがある(4条1項11号に該当する)場合であり、その商標登録出願人は、商標登録の無効審判の請求によって、他人の登録商標を無効にすることで、請求人自らの商標登録出願の登録可能性が生まれるからである。
しかし、本件においては、本件無効審判の結果の如何によらず、前回答弁書に記載の通り請求人の商標登録出願の登録可能性は否定されるものであるから、引用された判例とは本質を異にし、本件には当てはまらない。
2.引用商標の周知性について
(1)請求人は、平成5年2月25日から同年3月3日にかけてテレビCMとしてテレビ放映した旨を、また、平成7年2月27日から同年3月2日にかけてラジオCMとしてラジオ放送した旨を主張する(甲第7号証ないし甲第10号証)。
しかし、テレビ放映は、本件商標の登録出願日のわずか9ヶ月前に、たった6日間にわたって、関西地域で放映されたにすぎず、また、ラジオ放送は、本件商標の登録出願後、たった4日間にわたって、関西地域で放送されたにすぎない。
しかも、その放映及び放送の内容において、商標の使用者が誰であるのか明確でない。
(2)請求人は、甲第11号証をもって昭和63年時における引用商標の周知性を、また、甲第12号証ないし甲第15号証をもって平成4年時、平成7年時、平成8年時、平成9年時における引用商標の周知性を主張する。
しかし、前記請求の利益の項で述べたことと同様、商標「【みんみん】」を対象として、請求人以下の法人又はグループが如何なる法上の立場を有するのかが明確でないので、単に甲第11号証ないし甲第15号証において、当該時期にその存在が主張されたにすぎず、これらによっては周知性は証明されない。
(3)請求人は、甲第16号証ないし甲第18号証をもって、平成10年時及び平成11年時の引用商標の周知性を主張する。
しかし、平成10年及び平成11年時の資料は、本件商標の登録日である平成9年6月20日以降の資料であり、本審判請求の資料として意味を有さない。
したがって、本件商標の登録日以降の資料を元にした2.(8)ないし(10)における主張は意味を有さない。
(4)請求人は、甲第19号証ないし甲第21号証を示し、直営店及びフランチャイズ店が、「【みんみん】」を使用して近畿地方の大都市圏に展開していた旨主張する。
しかし、その電話帳への掲載内容は、単に店の名称と電話番号が記載されているだけで、いかなる商標がいかなる態様で使用されているのか、何ら具体的証明がないものである。
(5)請求人は、甲第24号証、甲第26号証ないし甲第28号証を示し、直営店及びフランチャイズ店が、「【みんみん】」を使用して近畿地方の大都市圏に展開していた旨主張する。
しかし、前述のとおり、平成9年6月20日以降における周知性に対する立証は、本件審判においてはなんら意味を有さない。
なお、甲第19号証ないし甲第21号証において、甲第24号証ないし甲第29号証と同様な立証がなされていると仮定した場合には、電話帳への掲載内容は、単に店の名称と電話番号が記載されているだけで、いかなる商標が如何なる態様で使用されているのか、何ら具体的証明がなく、甲第3号証、甲第11号証ないし甲第18号証がこれを証明するものでもないことを指摘したい。
(6)請求人は、甲第30号証をもって、【みんみん】グループと取引のある業者による証明書を提出している。
証明書冒頭において、「弊社は、『【みんみん】』が、・・古田暁生氏もしくは先代古田安夫氏が代表を務める株式会社【みんみん】本部もしくは【みんみん】本店が経営するレストラン、又は両者のフランチャイジーであるレストランにおいて店名として用いられ、・・」との記載があるが、この証明書は次の2点において、立証の内容が明確でない。
先ず、「弊社は、『【みんみん】』が・・」と記載される商標は、如何なる態様の商標なのか、具体的でない。商標法第4条第1項第10号にいう「他人の業務に係る・・商標」は、抽象的な商標をいうのでなく、実際に用いられた字体、色、図柄等を明らかにして、その周知性を明らかにするものでなければならない。
したがって、タイプ文字で打ち出された証明書の「【みんみん】」なる記載では、立証対象となる商標が抽象的で不明瞭である。
次いで、上記「【みんみん】」の商標の主体が明確でない。当該証明書において「・・古田暁生氏もしくは先代古田安夫氏が代表を務める【みんみん】本部もしくは【みんみん】本店が経営するレストラン、又は両者のフランチャイジーであるレストランにおいて店名として用いられ、・・」との記載があるが、証明者が異なるに拘わらず記載内容は15通とも全く同じ記載形式で、かつ、誰の商標として需要者の間に広く認識されているのか、不明である。
前述したとおり、代表を務める個人とその法人たる会社とは、法上独立別個の存在であり、複数の個人と複数の会社とが、商標に対する法的関係が全く説明されることなく、互いに・・「もしくは」・・「もしくは」・・と並記される記載においては、法上の関係が不明確で立証内容が不明瞭である。
(7)請求人は、甲第31号証ないし甲第38号証をもって、大阪大学、神戸大学、同志社大学等の合唱、吹奏楽、コンサート等の支援を行った旨を主張する。
しかし、同パンフレットには複数の店名が記載されるだけで使用の主体が明確でなく、かつ、配布された枚数等も不明確である。
大学で行われるこれら催し物のパンフレット広告は、配られる地域や枚数及び期間が限定されたものであり、かつ、複数企業と並んで表示された程度では、到底商標法第4条第1項第10号にいう周知性を立証したものとはいえない。
(8)請求人は、甲第39号証ないし甲第43号証をもって、週刊ホテルレストランなる雑誌の特集記事及び日経流通新聞の記事等で古田安夫氏に関する内容が掲載された旨を主張する。
しかし、古田安夫氏と請求人である古田暁生氏が、本件商標を対象とした場合どのような法的立場を形成するのか明確でないので、かかる証拠が如何なる立証を目的としているのか不明瞭である。
(9)請求人は、甲第44号証をもって、平成7年7月発行の週刊文春の広告記事で株式会社【みんみん】大阪の代表取締役村上浩一郎氏により【みんみん】が餃子の元祖として紹介されている旨を主張する。
しかし、同記事内容には、「・・と、餃子元祖ののれんを誇る【みんみん】の主・村上浩一郎氏は言った。・・」と記載されるだけで、「餃子元祖」が如何なる者を指すのかが不明である。
(10)請求人は、甲第45号証及び甲第46号証をもって、平成9年12月発行の夕刊フジ及び平成10年5月発行の京都新聞の記事内容を立証対象としているが、前述のとおり、平成9年6月20日以降における周知性に対する立証は、本件審判においてはなんら意味を有さない。
(11)甲第50号証は、証明願の申請者が「株式会社【みんみん】本店」であり、これによると、周知商標の所有者は「株式会社【みんみん】本店」ということになる。
一方、甲第30号証として提出された証明書においては、「・・古田暁生氏もしくは先代古田安夫氏が代表を努める【みんみん】本部もしくは株式会社【みんみん】本店が・・」と記載されている。
提出される証明書において、当該商標を需要者の間に広く認識されるに至った主体がその都度異なっており、証明の内容に矛盾がある。商標法第4条第1項第10号にいう周知商標の所有者が一定の何人かであることを明確にすることは、本条適用においては必須要件であり、同号の主体的要件を満たさない。
(12)甲第53号証は、対談と題して【みんみん】本部及び【みんみん】食品株式会社の代表取締役会長古田安夫氏と評論家との対談内容が記載されているだけである。
そもそも、商標法第4条第1項第10号にいう商標が使用により周知性を獲得するに至ったかどうかを判断するには、「実際に使用している商標並びに商品又は役務等の事実」が明示されねばならないものを(商標審査基準第4条第1項第10号で準用する第3条第2項の2.(1))、この記事には、かかる内容の記載がない。同時に提出された甲第51号証、甲第52号証においても、同様である。
(13)以上のとおり、請求人の本件審判による請求は、審判請求の利益がなく、かつ、いずれの証拠のよっても商標法第4条第1項第10号に規定される周知性を立証するものでもないから、本件審判請求は成り立たないとの結論に達する。
3.本件商標の使用の状況、及び当該登録商標権者の事業の沿革、及び特筆事項を本件商標に関する参考の資料として以下に説明する。
(1)本件商標の使用状況
本件商標の使用は、昭和40年に本店を拡張した際に、顧客に配るマッチに付して用いたのが始まりであり、その後マッチの使用が一般的でなくなる昭和63年ころまでマッチに付されて用いられた(乙第1号証)。
その後、平成12年に株式会社「みんみん」の直営店となる宇都宮駅ビル内に「みんみんパセオ店」を出店した際に、店舗表示(乙第2号証)、広告ディスプレイ表示(乙第3号証)等として復活させた経緯がある。
(2)被請求人株式会社「みんみん」の沿革
被請求人の創業は、昭和33年現在地栃木県宇都宮市馬場通り4丁目2番3号に餃子と老酒の店「【みんみん】」として個人開業したのが出発点である。北京から引き上げてきた当社代表の伊藤信夫の妻の両親鹿妻芳行と三子によって始められ、特に三子の餃子に対する研究熱心さは有名で、ほどなく人気店となり、評判の店となった。
その後、酒類を排して餃子専門の店とする一方、事業は順調で、昭和40年には本店を3倍に拡張し、このとき顧客に配るマッチのデザインとして本件商標が使用される契機となったのは前述のとおりである。
そして、昭和46年に、事業の拡大に伴い、個人経営であったものを会社組織に改め、株式会社「みんみん」を設立した。
昭和51年には、栃木県宇都宮市東宿郷3-13-6に直営の「みんみん駅東店」(当時は宿郷町第二と呼んだ)を立ち上げ、同時に、効率化を図るために餃子の製造部門を独立させ、本店隣に餃子製造の専門工場を設け、製造された生餃子を店で冷凍庫に保管しつつ料理して提供する分業体制を確立した。
昭和55年には、「みんみん江曽島店」を栃木県宇都宮市春日町1-15に独立採算制によるのれん分けの態様で立ち上げた。昭和56年には、経営の若返りを狙いとして代表取締役を初代の鹿妻芳行から現在の伊藤信夫へとバトンタッチがなされた。次いで、昭和57年には「みんみん真岡店」を栃木県真岡市並木町1ー11一13に出店し、昭和58年には「みんみん雀宮店」を栃木県宇都宮市情町13-3に出店し、平成元年には「みんみん睦町店」を栃木県宇都宮市睦町6ー11に出店し、平成8年には、「みんみん鹿沼店」を栃木県鹿沼市茂呂2209一3670及び「みんみん高根沢店」を栃木県宇都宮市高根沢町宝台1-8ー18に出店した。その後、「みんみん小山店」、「みんみんパセオ店」(直営)を出店して現在に至っているが、そのすべてが餃子専門店である。
その売上高の過去10年における推移は、乙第4号証のとおりで、平成12年には、売上高4億8千万円(そのうち直営店の売上が2/3程度)を計上し、餃子専門店の売上高としては異例の業績を示すものとなった。
(3)特筆事項
上記被請求人の沿革にあって、特筆すべきは、「餃子の町」宇都宮の町おこしとの関係についてである。
すなわち、今日栃木県宇都宮市は餃子の町として全国的に知れわたるに至っており、その宇都宮市において、餃子売上ナンバーワンの店が被請求人であり、その結果、餃子専門店としての「みんみん」の名は全国に知れわたる存在となっていることである。
ことの起こりは、平成2年に宇都宮市が餃子消費量のナンバーワンであることが、総務庁の家計調査年報から明らかとなったことから始まる(乙第5号証)。
このことに注目した宇都宮市及び商工会議所等と餃子を扱う業者が一体となって、街おこしの一環として餃子をテーマとしたイベントを開催し、それらがNHKを中心としたマスコミの目にとまり、餃子の町宇都宮が少しづつ各報道機関から流されるようになった。
そして、平成5年には、餃子を扱う業者を対象として「宇都宮餃子会」が発足し、その初代会長として被請求人の代表取締役である伊藤信夫が選任された(乙第6号証)。
さらに、餃子の町宇都宮が一躍脚光を浴びるようになったのは、平成5年10月から放送の開始されたテレビ東京の人気番組「おまかせ!山田商会」とのタイアップによる宇都宮餃子の「ギョウザプロジェクト」であり、宇都宮餃子会と宇都宮市とが番組作りに協力する代わりに、テレビ東京が餃子の町をアピールするアイデアを提供する役割で構成され、同プロジェクトによる放送が平成5年10月8日から平成6年2月25日の計7回にわたって全国放送がなされた(乙第7号証、乙第8号証)。
それから以後の報道機関の取材攻勢は凄まじく、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌が毎月のように取材に訪れ、宇都宮市内の名物餃子専門店が紹介され、その報道に伴って宇都宮餃子の名は全国に知れわたった。
その詳細は、本件審判の内容には直接関係ないので割愛するが、その宇都宮餃子のなかで、一番の老舗であり、かつ、売上ナンバーワンを誇る株式会社みんみんは取材の中心となり、各テレビ、新聞、雑誌等に紹介され、その結果、餃子専門店「みんみん」の名称は、全国に知れわたるものとなった(乙第9号証、乙第10号証)。
(4)請求人は、被請求人所有の商標の周知性及び商標「みんみん」の使用の経緯について述べているが、被請求人所有の商標の周知性については、前記したとおりである。
また、商標「みんみん」の使用の経緯について高橋美枝子氏と古田安夫氏との関係に及んで種々述べているが、内容はすべて伝聞又は想像に基づくもので、その正否については被請求人の関知し得ないところのものである。いずれであっても、本件商標と指定役務の異なる上記商標に関し、本件審判請求の本筋から離れ、無縁のかかる内容を議論することに本来の意味はない。

第4 当審の判断
1.本件審判の請求に関し、当事者間において利害関係の有無につき争いがあるので、この点について判断する。
(1)商標登録出願に係る商標が、当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標と同一又はこれに類似し、指定商品若しくは指定役務も同一又は類似するものとして、当該商標登緑出願が拒絶され又は拒絶されるおそれがある場合、その商標登録出願人は、上記他人の登録商標につき、商標登録の無効審判の請求をする法律上の利益があることは、明らかである。
そして、甲第49号証(拒絶理由通知書)によれば、請求人は、その出願に係る商標について、本件商標を引用した拒絶の理由を通知され、該商標登録出願は現在審査に係属していることが認められるところである。
してみると、本件商標が存在することにより、請求人の上記商標登録出願が拒絶されるおそれがあるから、請求人は、本件審判を請求するにつき利害関係を有するものといわなければならない。
(2)被請求人は、請求人の主張する商標法第4条第1項第10号に規定する「他人」に該当するのは、「【みんみん】本部及び【みんみん】本店」であるのに対し、請求人が本件審判を請求するにつき利害関係があるとする根拠となる平成11年商標登録願第115107号の商標登録出願人は、「古田暁生」個人であるから、商標法第4条第1項第10号にいう周知商標権者と、平成11年商標登録願第115107号の商標登録出願人とは、不一致となり、仮に本件審判請求の主張が認められたとしても、平成11年商標登録願第115107号の商標登録出願人には商標登録が認められないから、本件審判請求は請求の利益が存在しないものである旨主張する。
しかしながら、商標登録が商標法第4条第1項第10号に違反してされたときは、同法第46条第1項第1号に規定する商標登録の無効事由に該当するものとして、当該商標登録は無効とされるのであり、この場合において、同法第4条第1項第10号にいう「他人」の使用に係る周知商標が無効審判の請求人の使用に係る商標でなければならないことについては、法律上の要件とはされていない。
してみれば、本件審判請求において、請求人が本件商標の無効の理由として引用する引用商標が請求人に帰属するか否かによって、請求人の本件審判請求についての法律上の利害関係の有無が左右されるものではない。
付言するならば、商標法第4条第1項第10号でいう「他人」とは、当該表示の本来的な帰属者である当該法人、あるいは当該本人のみならず、これと組織的、経済的に密接な営業上の関係を有する者をも包含されると解されるところ、甲第1号証及び甲第2号証によれば、請求人は、【みんみん】本部、【みんみん】本店の代表取締役と認められ、本件商標が商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたことを理由として無効審判を請求することについては、重大な利害関係を有することは明らかである。
2.引用商標の周知性について
(1)甲第7号証ないし甲第14号証、甲第21号証、甲第31号証ないし甲第44号証、甲第51号証ないし甲第53号証、請求の理由及び弁駁の理由によれば、以下の事実が認められる。
ア.【みんみん】グループの前身である餃子、ラーメンを中心とした中華料理店「【みんみん】」は、昭和28年に請求人の父親である古田安夫により大阪千日前において創業された。(但し、甲第39、40、41、53号証には、「昭和29年創業」の記述も認められる。)
イ.前記「【みんみん】」は、直営店のほか、のれん分けによりフランチャイズチェーンを展開してきており、昭和44年に「株式会社」に組織が変更され、【みんみん】グループが形成された。
なお、「【みんみん】グループ」は、昭和63年の時点(甲第11号証)では、「【みんみん】本部、【みんみん】本店、のれん分けの店、【みんみん】食品株式会社」で構成されていたが、平成9年の時点(甲第15号証)では、「【みんみん】本部、【みんみん】本店、株式会社【みんみん】京都、株式会社【みんみん】大阪、のれん分けの店」で構成されている。しかし、その中心は、創業者の古田安夫及び請求人が代表取締役を努める【みんみん】本部、【みんみん】本店であると認められる。
ウ.昭和51年には、京都、大阪、神戸を中心に店舗数95(直営店48店舗、のれん分け47店舗)に達し、のれん分けをした店舗の中には、仙台、名古屋、広島、下関、博多、大分の京阪神地方以外の地域にも進出し、従業員数は1000人に達した(甲第42号証)。
エ.昭和63年度の会社案内(甲第11号証)によれば、店舗数115(直営店20店舗、のれん分け95店舗)に達し、従業員数は1000人であること、平成4年度の会社案内(甲第12号証)によれば、店舗数102(直営店13店舗、のれん分け89店舗)に達し、従業員数は800人であること、「決算期6年4月」とする資料(甲第51号証)によれば、店舗数114(直営店30店舗、のれん分け84店舗)に達したこと、「決算期7年4月」とする資料(甲第52号証)によれば、店舗数113(直営店29店舗、のれん分け84店舗)に達したこと、平成7年度の会社案内(甲第13号証)によれば、店舗数114(直営店16店舗、のれん分け98店舗)に達し、従業員数は800人であること、平成8年度の会社案内(甲第14号証)によれば、店舗数113(直営店15店舗、のれん分け98店舗)に達し、従業員数は800人であること、平成9年度の会社案内(甲第15号証)によれば、店舗数114(直営店15店舗、のれん分け99店舗)に達し、従業員数は800人であること、そして、これらの店舗は、前記ウ.と同様に、京都、大阪、神戸を中心とした京阪神地方がほとんどであるが、のれん分けをした店舗の中には、九州地区、名古屋、広島等、京阪神地方以外の地域にも進出した。
オ.【みんみん】グループの前身である中華料理店「【みんみん】」がのれん分け等により店舗展開を図り、急速にその数を増やしていったこと及びその創業者が画家であることにも、外食産業界において注目され、中華料理店「【みんみん】」ないし「【みんみん】グループ」は、日経流通新聞(昭和51年11月4日付け)、週刊ホテルレストラン(1978年6月2日、同年6月16日、同年7月21日発行の隔週連載記事)、報道ニッポン(昭和60年1月1日発行)、週刊ホテルレストラン(平成6年7月1日、平成7年7月7日発行)、週刊文春(平成7年7月6日発行)といったマスコミに取り上げられた。
カ.昭和58年から同62年にかけて、神戸大学、武庫川女子大学、大阪大学、甲南女子大学、大谷女子大学、大阪経済大学、関西六大学等の演奏会、合唱会などのスポンサーとなり、それらのプログラムに「中国庶民料理」、「餃子舗」、「【みんみん】」の文字等を用いて宣伝広告をした。また、タウンページ(神戸市 '93.10-'94.9;甲第21号証)において欄外広告をした。
キ.平成5年2月25日から同年3月3日の7日間及び平成6年2月27日から同年3月2日の4日間に、店名「【みんみん】」の読みである「ミンミン」と3月3日とを語呂合わせ風に用いて、「3月3日はミンミンの日」として餃子等が半額になることをテレビ大阪及び毎日放送ラジオ(MBS)を介してスポットコマーシャルをした。
ク.会社案内、宣伝広告には、「【みんみん】」の文字、「ぎょうざの店」、「餃子舗」などの文字が表示されている。
ケ.【みんみん】グループの年間の売り上げは、昭和50年度は約55億円(甲第42号証)、昭和63年度会社案内によれば、約68億円、平成4年度会社案内によれば、約68億円、平成7年度会社案内によれば、約94億円、平成8年度会社案内によれば、約94億円、平成9年度会社案内によれば、約94億円である。
(2)前記2.(1)で認定した事実によれば、個人経営としての「【みんみん】」から昭和44年に法人組織に変更し、形成された「【みんみん】グループ」は、その構成法人に多少の変遷はあるものの、請求人が代表取締役を努める【みんみん】本部、【みんみん】本店を中心に、直営店、のれん分け店などによって構成されている。
また、「【みんみん】グループ」は、昭和29年の「【みんみん】」創業以来、餃子を中心とした中華料理を提供する店舗として、直営店のほか、のれん分けにより京阪神地方を中心に店舗を展開し続けて、昭和51年には、直営店及びのれん分けの店を合わせた店舗数が95店舗に達し、本件商標の登録出願日である平成5年11月26日前の平成4年度の店舗数は、直営店及びのれん分けの店を合わせて102店舗に達していたことが認められ、また、本件商標の登録査定時とほぼ同時期である平成9年度の店舗数は、直営店及びのれん分けの店を合わせて114店舗に達していたこと、その間の従業員数は、おおよそ800人であったことが認められる。
さらに、その年間の売上高も、昭和50年度は約55億円、平成4年度は約68億円、平成9年度は約94億円となっていることが認められる。
また宣伝広告においても、昭和58年から同62年にかけて、関西にある大学のコンサート等のプログラムにそのスポンサーとして宣伝広告をしたことが認められ、餃子やラーメンが手軽な料理、値段などから、当時の大学生等若者にも人気のある料理であったと容易に推測される。
さらに、のれん分け等により店舗展開を図り、急速にその数を増やしていったこと及びその創業者が画家であることが異色の存在として注目され、新聞、雑誌に取り上げられ、同時に「【みんみん】」なる餃子を中心とした中華料理を提供する店舗の名称が知られるようになったということができる。
このような状況からみると、「【みんみん】」ないし「【みんみん】グループ」は、餃子を中心とした中華料理を提供する店舗の名称として、本件商標の登録出願前より、京阪神地方を中心として、その需要者の間に広く認識されていたと認め得るところである。その結果、「【みんみん】」の表示は、本件商標の登録出願時には、【みんみん】グループの取扱いに係る餃子を中心とした中華料理の提供を表示するものとして、京阪神地方の取引者、需要者の間に広く認識されていたということができる。そして、その認識の度合いは、本件商標の登録査定時においても継続していたものと認められる。
3.本件商標について
(1)乙各号証及び答弁の理由によれば、以下の事実が認められる。
ア.被請求人の前身である個人経営としての「【みんみん】」は、昭和33年に栃木県宇都宮市に餃子と老酒の店として開業した。
イ.昭和40年に店舗を拡張した際、顧客に配るマッチに本件商標を使用した。
ウ.上記「【みんみん】」は、昭和46年に「株式会社みんみん」に組織変更し、昭和51年「みんみん駅東店」開業、昭和55年「みんみん江曽島店」開業、昭和57年「みんみん真岡店」開業、昭和58年「みんみん雀宮店」開業、平成1年「みんみん睦町店」開業、平成8年「みんみん鹿島店」及び「みんみん高根沢店」開業、その後「みんみん小山店」及び「みんみんパセオ店」開業し、上記店舗はいずれも餃子専門店である。
エ.平成2年に、宇都宮市の餃子の消費量が全国一位であること(総務庁がまとめた「家計調査年報」による。)が新聞報道(平成2年12月18日付け宇都宮よみうり)されたことに端を発し、宇都宮市をあげて「餃子の町」おこしが始まり、平成5年に、市内の餃子専門店など34店舗で組織した「宇都宮餃子会」が発足した(乙第6号証)。「餃子の町」として宇都宮市が、栃木新聞(平成5年7月14日付け)、東京新聞(平成5年11月4日)、下野新聞(平成5年11月29日付け)、danchu(1995年10月1日発行)、翼の王国(ANA May 1997 No.335)に取り上げられた。
上記東京新聞には、宇都宮市は、テレビ局とタイアップして「餃子の町」をテレビを通じてアピールしたこと、餃子専門店が市内に21店舗あり、自家製餃子を出す中華料理店は40店舗以上あること、その消費量も6年連続日本一であることなどの記載がある。
そして、被請求人の代表者である伊藤信夫が上記「宇都宮餃子会」の会長となったこともあり、被請求人は、宇都宮市の餃子専門店の老舗としてその店舗名が新聞、雑誌(栃木新聞、下野新聞、danchu、翼の王国)に掲載された。
オ.被請求人の平成3年から同12年までの10年間の売上高(いずれの年も6月)は、平成3年から順に、約1億1千万円、約1億3千万円、約1億5千万円、約2億円、約2億2千万円、約2億4千万円、約2億7千万円、約3億4千万円、約3億9千万円、約4億8千万円である。
(2)前記3.(1)で認定した事実によれば、被請求人の前身である「【みんみん】」は、昭和33年に宇都宮市において個人経営の餃子専門店として開業し、昭和46年に法人組織である「株式会社みんみん」に変更した後、栃木県内に直営店を含めた餃子専門店を9店舗を開業し、宇都宮市においては餃子専門店の老舗と認められる。
そして、平成5年ころ、宇都宮市が餃子の町として町おこしをした際、餃子専門店の老舗として、その名前が新聞、雑誌に掲載されたこと、また、被請求人の年間売上高は、平成3年には約1億1千万円、その後売上高を伸ばし、平成12年には約4億8千万円であることが認められる。
しかしながら、被請求人の前身である「【みんみん】」は、その開業が昭和33年であり、その後法人に組織変更された被請求人は、宇都宮市では老舗の餃子専門店であるとはいえ、平成2年の「家計調査年報」により、宇都宮市の餃子の消費量が全国一位であることに端を発し、平成5年ころに宇都宮市の町おこしとして、宇都宮市の餃子業界が一躍脚光を浴びる以前においては、その存在は、宇都宮市内、ないし被請求人が出店した栃木県内の一部の地域に限られて知られていたものとみるのが相当であり、したがって、平成5年以前に少なくとも栃木県及びその近接県において、本件商標が被請求人の提供に係る餃子を表示するものとして、その需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠は見出せない。
また、宇都宮市が餃子の町として全国的に知られるようになった平成5年以降においても、餃子専門店及び餃子を提供する中華料理店が多数存在する宇都宮市において(乙第6号証ないし乙第8号証、乙第10号証)、被請求人が老舗であること及び被請求人の代表者が前記「宇都宮餃子会」の会長であることが宇都宮市及びその近隣地域において知られていたとしても、本件商標が被請求人の提供に係る餃子を表示するものとして、栃木県及びその近接県において広く知られていたという事実は見出せない。
したがって、本件商標は、被請求人が昭和40年から本件商標を顧客に配るマッチに付して使用していたことを考慮したとしても、被請求人の業務に係る餃子の提供を表示するものとして、少なくとも栃木県及びその近接県において、その需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできない。
4.商標法第4条第1項第10号について
(1)商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似するであって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの」と規定しているところ、その立法趣旨は、商品又は役務の出所の混同防止とともに、一定の信用を蓄積した未登録有名商標の既得の利益を保護するところにあるものと解される。そして、その立法趣旨に鑑みると、他人が使用している商標が他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、たとえ、商標登録を受けようとする者の使用する商標もまた、自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときであっても、両商標が類似する商標である以上、出所の混同のおそれがあることは明らかであるから、商標登録を受けようとする者は、その商標の登録を受けることができないと解するのが相当である。
(2)前記2.(2)で認定したとおり、「【みんみん】」の表示(引用商標)は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、【みんみん】グループの取扱いに係る餃子を中心とした中華料理の提供を表示するものとして、京阪神地方の取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、また、【みんみん】グループは、のれん分けにより店舗を展開していることは前記認定のとおりであるところ、展開された店舗は、京阪神地方に限られることなく、平成4年度会社案内によれば、「九州地区」においては、小倉店、行橋店、博多店、鶴崎店、中津店、苅田店、鹿児島店がそれぞれ営業し、「その他」として、名古屋今池店、名古屋山里店、仙台店、仙台第2店、仙台第3店、下関店、広島店、光店がそれぞれ営業していることが認められ、また、平成9年度会社案内によれば、「九州地区」においては、小倉店、行橋店、博多店、鶴崎店、中津店、苅田店、鹿児島店がそれぞれ営業し、「その他」として、名古屋今池店、名古屋山里店、下関店、光店、鳥取大山中山店がそれぞれ営業していることが認められる。
(3)甲第47号証(平成10年9月21日付け日本経済新聞)によれば、「ぎょうざを主力とする関西の中華料理チェーン、【みんみん】(ミンミン)大阪(大阪市、村上浩一郎社長)が十月二日、関東一号店を東京・六本木に開く。・・・二年以内に都内で三-五店舗を出店し、将来の多店舗化を狙う。」旨の記載が認められ、【みんみん】グループは、京阪神地方から関東地方へ進出しつつあることが認められる。
(4)一方、本件商標は、前記3.(2)で認定したとおり、被請求人の前身である「【みんみん】」が創業した時点から、宇都宮市の餃子業界が注目され始めた平成5年の前後を通して現在に至るまで、被請求人の業務に係る餃子の提供を表示するものとして、宇都宮市及びその近隣地域では知られていたと認め得るものの、少なくとも栃木県及びその近接県において、その需要者の間に広く認識されているものとは認めることはできないものである。
(5)本件商標は、別掲のとおり、上段に大きく図形を配置し、その下に「ギョーザの店」を書し、該文字の下に「みんみん」の文字を書してなるものである。
そして、本件商標中の図形部分と文字部分とは、それぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものというのが相当であるところ、図形部分からは、特定の称呼、観念は生じないものである。また、文字部分中の「ギョーザの店」の文字部分は、本件商標の指定役務との関係からすると、自他役務の識別機能を有しない部分であるから、本件商標に接する需要者は、「みんみん」の文字部分を自他役務の識別標識と判断してこれより生ずる称呼をもって取引に当たるというのが相当である。
してみると、本件商標は、「みんみん」の文字部分より単に「ミンミン」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
これに対して、引用商標は、「【みんみん】」の文字を書してなるものであるところ、該文字は、わが国で使用される漢字にはないものであるが、甲第7号証、甲第10号証、甲第12号証ないし甲第15号証、甲第40号証によれば、「【みんみん】」を「ミンミン」と称呼して、宣伝広告等をし、京阪神地方で広く認識されているものと認められる。したがって、引用商標は、これより「ミンミン」の称呼を生ずるものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、「ミンミン」の称呼を共通にする類似の商標といわなければならない。
また、本件商標の指定役務「ぎょうざ料理の提供」と引用商標が使用される「餃子を中心とした中華料理の提供」とは、同一又は類似の役務と認められる。
(6)上記(1)ないし(5)を総合して判断すると、引用商標は、本件商標の登録出願時には、他人の業務に係る役務を表示するものとして、京阪神地方を中心にその需要者の間に広く認識されていた商標と認められ、かつ、九州、名古屋、仙台、中国地方にも進出していたことが認められるから、たとえ、本件商標もまた、その商標登録当時に、宇都宮市及びその近隣地域でその需要者の間に広く認識されていた商標であるとしても、本件商標と引用商標とでは、前記認定のとおり、店舗数、営業地域、売上高等において、大きな差異があり、したがって、その周知の程度にも大きな差異が生ずることは明らかである。そして、本件商標と引用商標とは「ミンミン」の称呼において類似する商標である以上、本件商標をその指定役務について使用した場合は、【みんみん】グループの取扱いに係る役務との間に出所の混同を生ずるおそれがあるといわざるを得ない。
(7)被請求人は、引用商標の主体が不明確であり、商標法第4条第1項第10号にいう「他人」が特定できない旨主張する。
しかしながら、前記したように、個人経営としての「【みんみん】」から昭和44年に法人組織に変更した際に形成された、請求人が代表取締役を努める【みんみん】本部、【みんみん】本店を中心に、直営店、のれん分け店などによって構成さた「【みんみん】グループ」が、引用商標をその提供に係る「餃子、その他の中華料理」等について使用し、京阪神地方を中心にして需要者の間に広く認識されていたものであるから、本件においては、商標法第4条第1項第10号にいう「他人」とは、【みんみん】本部、【みんみん】本店を中心に、直営店、のれん分け店などによって構成され形成される、いわゆる「【みんみん】グループ」であることは明らかである。
5.以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、同第46条第1項の規定により無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (1)本件商標


(2)【みんみん】の態様


審理終結日 2002-07-26 
結審通知日 2002-07-31 
審決日 2002-08-14 
出願番号 商願平5-119343 
審決分類 T 1 11・ 252- Z (042)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中嶋 容伸 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 茂木 静代
上村 勉
登録日 1997-06-20 
登録番号 商標登録第4014800号(T4014800) 
商標の称呼 ギョーザノミセミンミン、ミンミン 
代理人 平山 俊夫 
代理人 小林 良平 

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