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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1380148 
異議申立番号 異議2021-900057 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-12-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-02-16 
確定日 2021-11-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第6324709号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6324709号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6324709号商標(以下「本件商標」という。)は、「IBイングリッシュ」の文字を標準文字により表してなり、令和2年9月28日に登録出願、第41類「映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,技芸・スポーツ又は知識の教授,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),書籍の制作,図書の貸与,図書及び記録の供覧,通訳,電子出版物の提供,翻訳,イベントのためのビデオの編集,オンラインによるゲームの提供,インターネットを利用して行う映像の提供,教育又は娯楽に関する競技会の企画・運営,インターネットを利用して行う音楽の提供,文化又は教育のための展示会の企画・運営,文章の執筆,録音済み記録媒体の貸与,セミナーの企画・運営又は開催」を指定役務として、同年11月26日に登録査定され、同年12月3日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第6号及び同項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって、その登録が取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第23号証を提出した。
1 申立人について
申立人は、スイスに拠点を置く非営利の教育法人である。申立人が提供する国際バカロレア(IB)は、チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置された。申立人は、3歳から19歳までの生徒を対象としたカリキュラムを開発し、140カ国以上の5,000以上の私立・公立学校と連携して評価を行っている(甲3、4)。「IB」の語は、申立人及びその教育プログラム(Internationa1 Baccalaureate(国際バカロレア))の略称として使用されてきた。申立人は、我が国において「International Baccalaureate(国際バカロレア)」及びその略称「IB」に関する複数の商標登録を有している(甲5)。
申立人の教育プログラムである国際バカロレア(IB)は、年齢に応じてPYP、MYP、DP、IBCPの4つが設けられている。このうちDPは、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能なものである。文部科学省では、グローバル人材育成の観点から、我が国における国際バカロレア(IB)の普及・拡大を推進している(甲6)。申立人は、文部科学省と連携し我が国においてこれらのプログラムを提供しており、令和3年3月30日時点ではPYPの認定校が49校、MYPの認定校が24校、DPの認定校が57校存在する(甲7)。
2 「IB」の語について
平成25年6月14日に閣議決定された「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」において、「・・・国際バカロレア認定校等の大幅な増加を目指す」という目標が掲げられた(甲8)。同年7月には日本における国際バカロレア(IB)の導入拡大に向けた課題とその対応策について提言を行うための国際バカロレア日本アドバイザリー委員会が発足し、翌年4月には報告書が取りまとめられた(甲9)。その報告書内においても、プログラムを示す語として「IB」が用いられている(甲10)。その後、平成30年度に、日本における国際バカロレア(IB)の普及を目的として、文部科学省からの委託を受けて設立されたのが文部科学省IB教育推進コンソーシアムである(甲11)。コンソーシアムの名称自体にも「IB」が使用されている。
そして、国際バカロレア(IB)に関するシンポジウムの演題においても、「IB校の取り組み」「IB校でのICT活用」等「IB」が用いられている(甲12)。このシンポジウムは、文部科学省の主催により、学校、教育委員会、自治体、教育関係者、保護者、児童生徒等の幅広い関係者を対象に行われたものである。この他にも、コンソーシアム主催の各地域での教育関係者、生徒、保護者等を対象にした「IB地域啓発セミナー」(甲13?15)が開催されるなど、国際バカロレア(IB)の普及に向けた取り組みが進められている。
このように、「IB」は、前述のとおり安倍内閣による日本再興戦略の一環であり、かつ文部科学省と申立人が連携して普及・拡大を推進している国際バカロレアを示す語として、文部科学省及び文部科学省IB教育推進コンソーシアムにおいて用いられている。
そして、これらの文部科学省及び文部科学省IB教育推進コンソーシアムにおいては、「国際バカロレア(IB)」のように「国際バカロレア」と「IB」をセットで表示するものだけでなく、「IBとは」「IB教育」「IB地域啓発セミナー」等、「IB」単独で「国際バカロレア」を意味する語として使用されている。
また、「IB」は、プログラムの認定校においても、国際バカロレアを示す語として用いられている(甲16?19)。
さらに、「IB」は、様々なインターネット情報においても、国際バカロレアを示す語として用いられている(甲20?23)。
これらの使用例からも明らかなように、「IB」の文字は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であり、かつ、一般に広く知られている著名な標章である(以下、当該「IB」の文字からなる標章を「引用標章」という。)。
3 商標法第4条第1項第6号について
本件商標は、文字種が異なることから、「IB」と「イングリッシュ」を組み合わせたものであると容易に理解されるものであって、「IBイングリッシュ」の文字が、一連で特定の意味合いをもって認識されるというべき事情も見いだせないことから、「IBイングリッシュ」の文字を必ずしも一体不可分のものとしてのみ捉えなければならない特別な事情はない。
また、本件商標の構成中の「IB」の構成部分は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として著名な「IB」とその構成文字を同じくするものであるから、該構成部分は、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものである。
これに対し、「イングリッシュ」は「英語」を意味する語であり、本件商標の指定役務の分野においては、役務の質等を表示する文字と解されるべきものといえ、役務の出所識別標識としての役割を果たすものではない。
そうすると、本件商標の構成中の「IB」の文字を識別標識としての要部として抽出し、当該構成部分のみを引用標章と比較して商標の類否を判断することも許されるというべきである。
本件商標の要部と引用標章は、共に「IB」であり、「アイビイ」の称呼及び国際バカロレアの観念を共通にするものである。
したがって、本件商標と引用標章は類似するというべきである。
4 商標法第4条第1項第16号について
国際バカロレアの認定校においては、そのプログラムに関するカリキュラム等を表すものとして、「IB」に他の語を組み合わせた「IBクラス」「IBコース」といった表示を使用している(甲16、17)。
また、申立人のプログラムのうち、我が国において最も認定校数が多く、大学からの海外留学を志す生徒にとっても有用なDPの授業・試験は、日本語で行うことが認められている科目を除き、英語、フランス語又はスペイン語で行う必要がある。我が国における公用語及び多くの人にとっての母語は日本語であり、国際的に活躍するために学ぶべき外国語といえば、第一に英語であるというのが一般的な需要者の認識である。そして実際に、国際バカロレアの認定校においても、「ほとんどの教科を英語で学ぶIBクラス」(甲16)や、「クラス紹介?国際バカロレア(IB)プログラム English B?」(甲19)のように、「IB」と「英語」や「English」といった語が共に使用される例が見られる。
このため、国際バカロレアを示す「IB」と、英語を意味する「イングリッシュ」を組み合わせた本件商標は、前述の認定校における実際の使用例とも相侯って、国際バカロレアと関連を有する英語教育のサービスや、国際バカロレア及び英語に関連するサービスであるとの誤認を生ずるおそれがあるものである。
5 むすび
よって、本件商標は、各証拠から明らかなように、商標法第4条第1項第6号及び同項第16号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって、その登録が取り消されるべきものである。

第3 当審の判断
1 申立人が提出した証拠について
(1)申立人について
ア 申立人である「INTERNATIONAL BACCALAUREATE ORGANIZATION (IBO)」は、1968年に設立された、スイスに拠点を置く非営利の団体であり、国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)を、国際的な教育プログラムとして、生徒を育成するとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保することを目的として設置した(甲3、4)。
イ 申立人は、3歳から19歳までを対象に、生徒の年齢に応じて4つの教育プログラムを提供しており、平成30年4月1日現在で世界140以上の国・地域、5,119校において実施したとされ、国際バカロレアの認定を受けている学校は、令和3年3月30日時点で、世界158国以上の国・地域において約5,000校である(甲3、4、7)。そして、我が国における国際バカロレアの認定校は、令和3年3月30日時点で、学校教育法第1条に規定されている学校約50校を含む約90校であることが認められるが(甲7)、その数は多いとまではいえない。
ウ 申立人は、我が国において「INTERNATIONAL BACCALAUREATE」、「国際バカロレア」及び「ib」の文字を図案化したと思しき商標など複数の商標登録を有している(甲5)。
しかし、そのことは、引用標章の周知・著名性を直接的に裏付けるものではない。なお、上記証拠において「IB」の文字のみからなる商標の登録を確認することはできない。
(2)「IB」の文字について
ア 「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」(平成25年6月14日)において、「一部日本語による国際バカロレアの教育プログラムの開発・導入等を通じ、国際バカロレア認定校等の大幅な増加を目指す(2018年までに200校)。」という目標が掲げられ(甲8)、同年7月に国際バカロレア日本アドバイザリー委員会が発足し、翌平成26年4月に報告書が取りまとめられた(甲9)。
申立人は、その報告書内において、プログラムを示す語として「IB」が用いられている(甲10)旨主張している。
しかし、ウェブサイトや文献等の記事において、活字や紙(誌)面等の関係、あるいは読みやすさ等の関係から、簡略的に表記することは一般に行われていることであるところ、甲第10号証の報告書においては、その冒頭部分で「国際バカロレア(IB)」と記載された上で、以下「IB」の文字が簡略的な表記として単独で用いられていると見てとれるものである。
イ 2018年5月に、日本における国際バカロレアの普及を目的として、文部科学省からの委託を受けて文部科学省IB教育推進コンソーシアムが設立され(甲11)、上記名称中に「IB」の文字を含むこと、また、2020年10月の「国際バカロレア推進シンポジウム」において、国際バカロレア教育におけるICT活用をテーマとする講演等がプログラムとして記載され、そこには「国際バカロレア教育の普及への期待 ?コロナ禍におけるIB校の取り組みから学べる事?」、「IB校でのICT活用によるリモート教育の実践withコロナ」等のように、「IB」の文字を含むこと(甲12)、さらに、2019年11月及び2020年9月の、上記コンソーシアム主催の「IB地域啓発セミナー」が、「国際バカロレア(IB)教育について関心のある教育関係者ならびに生徒・保護者の皆様を対象に・・・」と案内され、「セッション1」として「国際バカロレアの推進について」又は「国内の国際バカロレア啓発について」があり、その他のセッションに「IB生の保護者体験談」、「IBで育つ生徒とは?・・・」のように「IB」の文字を含むことが認められる(甲13?15)。
しかし、申立人提出の証拠(甲11?15)は、いずれも国際バカロレアを推進する文部科学省のウェブサイトであるところ、当該サイトにアクセスしなければ見ることができない情報であり、しかも、当該シンポジウムやセミナーは、国際バカロレアに関心を有する教育関係者等を対象としたものと認められ、広く一般の需要者を対象としたものではない上、国際バカロレアに関するものであることを前提として「IB」の文字が単独で用いられていると見てとれるものである。
ウ 申立人提出のインターネット情報(甲16?23)において、「IB」の文字が、国際バカロレアを示すものとして用いられていることがうかがえるが、該証拠は、国際バカロレアの認定校が掲載している記事又は国際バカロレアについて説明した記事等であるところ、多くは、「国際バカロレア(IB)」、「国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)」、「インターナショナルバカロレア(IB)」のように括弧内に「IB」の文字が付記的あるいは説明的に記載されているもの、あるいは、「国際バカロレア(以下「IB」)」のような記載があり、活字や紙(誌)面等の関係、あるいは読みやすさ等の関係から、簡略的に表記したといえるものであるし、「IB」の文字が単独で用いられていると認め得るものについても、国際バカロレアに関するものであることを前提としていると見てとれるものである。
(3)小括
上記(1)及び(2)を踏まえれば、申立人は、1968年に設置された、スイスに拠点を置く非営利の団体であることが認められるとともに、国際バカロレア(International Baccalaureate)は、国際的な教育プログラムを指称する語として使用されていることが認められる。
しかしながら、引用標章「IB」が、一般に申立人「INTERNATIONAL BACCALAUREATE ORGANIZATION(IBO)」を表示するものとして使用されていると認め得る証左は提出されておらず、かつ、申立人提出の証拠からは、引用標章が申立人の事業を表示するものとして広く知られていると認めることはできないものである。
2 商標法第4条第1項第6号該当性について
(1)本件商標と引用標章の類否について
本件商標は、上記第1のとおり「IBイングリッシュ」の文字を、同書、同大、等間隔で一体的に表されているものであり、また、これより生ずると認められる「アイビイイングリッシュ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、その外観及び称呼の上記特徴を踏まえると、構成中の「IB」の文字部分のみが独立して取引者、需要者に強い印象を与えるものではなく、構成全体をもって、一体不可分の商標を表したものと認識されるというべきである。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「アイビイイングリッシュ」の一連の称呼のみを生じるものであって、特定の観念を有しない造語を表したものと理解されるとみるのが相当であるから、「IB」の文字からなる引用標章とは、観念において比較できないとしても、「イングリッシュ」の文字の有無により生じる外観及び称呼上の明らかな相違により、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両者は相紛れるおそれのない非類似の商標と判断するのが相当である。
(2)引用標章の著名性について
上記1からすれば、引用標章は、「国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であって営利を目的としないもの又は公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章であって著名なもの」と認めることはできない。
(3)小括
以上からすると、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に該当しない。
(4)申立人の主張について
申立人は、本件商標の構成中の「IB」の構成部分は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として著名な引用標章とその構成文字を同じくするものであって、該構成部分は、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるのに対し、「イングリッシュ」は「英語」を意味する語であり、本件商標の指定役務の分野においては、役務の質等を表示する文字と解されるべきものといえ、役務の出所識別標識としての役割を果たすものではないから、本件商標の要部と引用標章は、共に「IB」であり、「アイビイ」の称呼及び国際バカロレアの観念を共通にするものであるから、本件商標と引用標章は類似する旨主張する。
しかしながら、上記1からすれば、「IB」の文字は、著名ないしは周知な標章ということはできないから、本件商標の構成中「IB」の文字について、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものということはできず、「イングリッシュ」が「英語」を意味する語であることなどを勘案しても、これと欧文字2字との結合からなる本件商標の構成においては、本件商標の構成中の「IB」の文字部分をその要部というのは妥当でない。
そして、上記(1)のとおり、本件商標は、引用標章とは非類似の商標というべきものである。
したがって、申立人の上記主張は採用することができない。
3 商標法第4条第1項第16号該当性について
(1)「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」について
商標法第4条第1項第16号でいう、「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標」とは、指定商品又は指定役務に係る取引の実情の下で、公益性を担保するという観点から、取引者又は需要者において、当該商標が表示していると通常理解される品質又は質と指定商品が有する品質又は指定役務が有する質とが異なるため、商標を付した商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがある商標を指すものというべきである。(参考:知的財産高等裁判所 平成20年(行ケ)第10086号 平成20年11月27日判決)
そして、同号でいう、商品の品質又は役務の質とは、抽象的な内容のものを指すのではなく、取引者又は需要者が当該商標から看取する具体的な商品の品質又は役務の質をいうものとみるのが相当である。
(2)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり「IBイングリッシュ」の文字を横書きした構成からなるところ、該構成文字から直ちに特定の意味合いが想起されるとはいえず、本件商標は、上記2(1)のとおり、特定の観念(意味合い)を有しない一連の造語を表したものとして理解されるものである。
また、申立人が提出した証拠からは、「IBイングリッシュ」の文字が本件商標の指定役務の質を表すものとすべき事実は見あたらず、職権をもって調査するも、本件商標の登録査定時において、上記文字が、本件商標の指定役務の質等を表示するものとして一般に使用されている実情は発見できなかった。
したがって、取引者又は需要者が本件商標に接する場合、役務の質を表したものであると認識することはないものというべきである。
(3)小活
以上によれば、本件商標をその指定役務に使用した場合であっても、その取引者、需要者は、役務の質を表したものであると認識することはなく、また、申立人主張のように国際バカロレアと関連を有する英語教育のサービスや、国際バカロレア及び英語に関連するサービスであるとの誤認を生ずるおそれがあるものとも認められない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号でいう「商品の品質又は役務の質」を表示する語には該当しないというべきであって、本件商標をその指定役務に使用しても、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるとすることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(4)申立人の主張について
申立人は、「国際バカロレアを示す『IB』と、英語を意味する『イングリッシュ』を組み合わせた本件商標は、国際バカロレアと関連を有する英語教育のサービスや、国際バカロレア及び英語に関連するサービスであるとの誤認を生ずるおそれがある。」旨主張する。
しかしながら、上記(2)のとおり、本件商標は一連の造語として理解されるものであって、その指定役務の質等を表示するものというべき事実は見いだせず、もとより、申立人が主張するような意味合いを認識し、そのような内容の役務であると誤認するというべき事実も見いだせない。
したがって、申立人の上記主張を採用することはできない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第6号及び同項第16号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲
異議決定日 2021-11-09 
出願番号 商願2020-119545(T2020-119545) 
審決分類 T 1 651・ 21- Y (W41)
T 1 651・ 272- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中尾 真由美貳方 勝太 
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 小田 昌子
板谷 玲子
登録日 2020-12-03 
登録番号 商標登録第6324709号(T6324709) 
権利者 株式会社IBジャパン
商標の称呼 アイビイイングリッシュ、イングリッシュ 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 

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