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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X03
管理番号 1380045 
審判番号 取消2020-300637 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-09-10 
確定日 2021-11-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第5452331号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5452331号商標の指定商品中,第3類「化粧品,せっけん類」についての商標登録を取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5452331号商標(以下「本件商標」という。)は,「ヴァーチュ」の片仮名と「VIRTUE」の欧文字を上下二段に横書きしてなり,平成23年5月17日に登録出願,第3類「化粧品,せっけん類,歯磨き,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として,同年11月25日に設定登録されたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,令和2年9月28日であり,当該登録前3年以内の期間である平成29年9月28日ないし令和2年9月27日までの間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中「化粧品,せっけん類」(以下「請求に係る指定商品」という。)について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,本件審判の請求は成り立たない,審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商品パンフレットにおける使用
被請求人は,化粧品,健康食品の製造及び通信販売を事業内容とする会社であるところ,インターネット等を通じて,あるいは卸販売によってこれらの商品を販売している(乙1)。
このうち,「Grastem cell 01」との美容液があり,被請求人は,当該「Grastem cell 01」の美容液の商品パンフレット及び商品包装用箱において,本件商標と社会通念上同一の商標を要証期間内に使用している。
すなわち,乙第2号証は,実際に顧客に配布されている「Grastem cell 01」の商品パンフレットであるが,当該パンフレットには商品容器の写真が掲載されている。また,当該パンフレットの表紙には,「結果に迫るサイエンス」とのキャッチフレーズとともに,「virtue」との標章が大きく表示されているところ,当該「virtue」の標章は,被請求人である株式会社ヴァーチュの略称である「ヴァーチュ」の英語表記であることが容易に理解でき,かつ,本件商標と社会通念上同一の商標であると理解できるものである。そして,当該パンフレットの裏表紙には「gc2020-01」との記載があるところ,「gc」は「Grastem cell」の略字と容易に理解できるもので,「2020-01」の記載より,当該パンフレットが2020年1月に発行されたものであることが分かる。
そうすると,乙第2号証に係る「Grastem cell 01」の商品パンフレットをもって,本件商標と社会通念上同一の商標である「virtue」に係る標章が,その要証期間内に,美容液たる「化粧品」についての広告において使用されていることは明らかであり,当該使用は,商標法第2条第3項第8号に該当する。
2 商品包装用箱における使用
乙第3号証の1及び乙第3号証の2は,被請求人が「Grastem cell 01」に係る美容液を実際に販売したことを示す請求書の写しであり,その発行年月日は,それぞれ令和元年12月31日及び同2年6月30日である。
そして,乙第4号証は,「Grastem cell 01」に係る美容液の包装用箱の正面及び背面の写真である。当該正面においては,本件商標と社会通念上同一の商標と理解できる「virtue」の標章が付されている。また,背面における「販売名」の項目においては,「Grastem cell 01」との記載はないが,「GCエッセンスセラム」と記載されており,「GC」が「Grastemcell」の略字であることが容易に理解できる。
そうすると,これらの請求書及び商品の包装用箱をもって,本件商標と社会通念上同一の商標である「virtue」に係る標章が,その要証期間内において,日本国内において,美容液たる「化粧品」について使用されていることは明らかであり,当該使用は,商標法第2条第3項第1号及び同項第2号に該当するものである。
3 むすび
以上により,本件商標は,被請求人によって,「化粧品」について,審判請求の登録日前3年の間に日本国内において使用されている。

第4 審尋及び被請求人の回答
1 審尋
審判長は,令和3年4月20日付け審尋(以下「本件審尋」という。)において,被請求人に対し,被請求人が提出した証拠によっては,被請求人が商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用をしている事実を証明したものとは認めることができない旨の合議体の暫定的見解に対する回答を求めた。
2 被請求人の回答
被請求人は,本件審尋に対し,何ら応答していない。

第5 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。
(1)商品パンフレット(乙2:以下「本件パンフレット」という。)には,表紙に「結果に迫るサイエンス」,「virtue」の表示があり,7葉目には「幹細胞培養エキスに含まれる豊富な活性成分と厳選された5種の美容成分」の記載があり,11葉目には包装容器に「Grastem cell 01」が表示された商品写真がある。さらに,裏表紙の右下に「gc2020-01」との記載,また,本件商標権者の名称「株式会社ヴァーチュ」の記載があるが,その住所の記載は「東京都港区北青山2-12-4」であり,本件商標権者の住所と異なる。
(2)商品「美容液」の包装用箱の正面及び背面の写真とされる画像(乙4:以下「本件写真画像」という。)には,正面に「virtue」の欧文字の表示があり,背面に「販売名 GCエッセンスセラム」及び「内容量 25ml」の記載があり,「発売元 株式会社ヴァーチュ/東京都港区南青山2-29-8」の記載があるが,その住所は本件商標権者の住所と異なる。
(3)発行日をそれぞれ「令和元年12月31日」,「令和2年6月30日」とする被請求人による請求書(乙3の1,2:以下「本件請求書」という。)には,「数量」,「単価」,「金額」等とともに,「明細」の欄に商品名として「Grastem cell01(グラステムセル 01)」の記載がある。発行者の名称として「株式会社ヴァーチュ」,住所として本件商標権者の住所と同一の「東京都港区南青山2-6-12」の記載がある。
(4)被請求人のものとされるウェブサイト(乙1:以下「本件ウェブサイト」という。)には,「会社名」として「株式会社ヴァーチュ」,「本社所在地」として「東京港区北青山2-12-4-301」の記載があるが,その住所は本件商標権者の住所と異なる。
2 判断
(1)使用商品について
本件パンフレットの11葉目に,商品の包装容器に「Grastem cell 01」が表示された商品写真が掲載され,7葉目に,掲載商品について「幹細胞培養エキスに含まれる豊富な活性成分と厳選された5種の美容成分」等と記載されていることから,本件パンフレットに掲載された商品は,指定商品「化粧品」に含まれる「美容液」ということができる。
(2)使用商標について
使用商標は,本件パンフレットの表紙及び本件写真画像の商品包装箱の正面に表示された「virtue」の欧文字からなるものである。
他方,本件商標は,上記第1のとおり,「ヴァーチュ」の片仮名と「VIRTUE」の欧文字を上下二段に横書きしてなるところ,上段の文字は,下段の欧文字の読みを片仮名で表記したものと理解されるものである。
そうすると,使用商標は,本件商標を構成する「VIRTUE」の欧文字と大文字と小文字に差異があるとしても,同じつづり字からなるものであるから,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標ということができる。
(3)使用者について
ア 本件パンフレットの裏表紙に記載された住所「東京都港区北青山2-12-4」と,本件商標権者の住所「東京都港区南青山2-6-12」とが相違していることから,本件パンフレットの発行者が本件商標権者と同一人であると認めることができないところ,合議体は,被請求人に対し,上記住所の相違について説明し,客観的な証拠により具体的に立証するよう本件審尋を発して回答を求めた。
しかしながら,被請求人はこれに対する回答書を提出せず,当該住所の相違について何ら合理的な主張,立証を行っていない。
イ 本件写真画像に表示された商品包装箱の「発売元」の住所「東京都港区南青山2-29-8」及び本件ウェブサイトに記載された「会社概要」の本社所在地「東京港区北青山2-12-4-301」と,本件商標権者の住所「東京都港区南青山2-6-12」とが相違していることから,本件写真画像の商品の発売元及び本件ウェブサイトの会社は,本件商標権者と同一人であると認めることはできないところ,上記アと同様に本件審尋を発して被請求人に回答を求めたが,被請求人は,当該住所の相違について何ら合理的な主張,立証を行っていない。
ウ そうすると,本件パンフレットの発行者並びに本件写真画像の商品の発売元及び本件ウェブサイトの運営会社は,いずれも本件商標権者と同一人と確認することができないから,本件商標権者が本件商標を使用しているものと認めることはできない。
(4)使用時期及び使用行為について
ア 被請求人は,本件パンフレットが要証期間である2020年に1月に発行されたことをもって,商標法第2条第3項第8号の使用に該当する旨主張するところ,本件パンフレットの裏表紙の「gc2020-01」の記載から「gc」は「Grastem cell」の略字と容易に理解でき,当該パンフレットが2020年1月に発行されたものであると主張するのみであり,その頒布時期,頒布先,頒布方法,頒布部数等,具体的な事実は不明であることから,合議体は,被請求人に対し,本件パンフレットが頒布された事実について説明し,客観的な証拠により具体的に立証するよう本件審尋を発して回答を求めた。
これに対し,被請求人は回答書を提出せず,本件パンフレットが頒布された事実について何ら合理的な主張,立証を行っていない。
そうすると,2020年1月に本件パンフレットが頒布された客観的事実を確認することはできないから,要証期間に商標法第2条第3項第8号に該当する使用を認めることはできない。
イ(ア)被請求人は,本件請求書及び本件写真画像をもって,商標法第2条第3項第1号及び同項第2号の使用に該当する旨主張するところ,本件請求書の発行日が要証期間内であるとしても,その明細欄に記載された名称「Grastem cell01(グラステムセル 01)」は,本件写真画像に表示された商品の名称「GCエッセンスセラム」とは異なるものであり,本件請求書に係る商品が本件写真画像に係る商品と同一のものと確認できないことに加え,本件請求書に対応する注文書や納品書等の取引書類がなく,いかなる取引についての金額を請求するものであるか明らかでないから,「virtue」の文字が付された商品「美容液」が,実際に譲渡又は引渡しされたことを確認することもできない。
(イ)また,本件写真画像の商品包装箱の作成日,作成者等の作成事実を示す客観的な証拠がないばかりでなく,本件写真画像に係る写真の撮影日,撮影者,撮影場所等の事実も不明であることから,商品の包装箱の商標がいつ,誰によって付されたかを確認することはできない。
(ウ)そうすると,本件商標権者は,要証期間に商品「美容液」に本件商標(本件商標と社会通念上同一の商標を含む。以下同じ。)を付したものを譲渡又は引き渡した,又は,商品「美容液」の包装箱に本件商標を付したということはできないから,要証期間に商標法第2条第3項第1号及び同項第2号に該当する使用を認めることはできない。
(5)小括
上記(1)ないし(4)のとおり,被請求人が提出した証拠によっては,要証期間内に,本件商標権者が,本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標を使用したことを認めるに足りる事実を見いだせない。
3 まとめ
以上のとおりであるから,被請求人は,要証期間内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについて,本件商標を使用していた事実を証明したものとは認められない。
また,被請求人は,本件商標を請求に係る指定商品に使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中の「結論掲記の商品」について,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2021-08-24 
結審通知日 2021-08-26 
審決日 2021-09-21 
出願番号 商願2011-33553(T2011-33553) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X03)
最終処分 成立  
前審関与審査官 竹内 耕平 
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 佐藤 松江
鈴木 雅也
登録日 2011-11-25 
登録番号 商標登録第5452331号(T5452331) 
商標の称呼 バーチュ 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 

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