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審決分類 審判 査定不服 観念類似 登録しない W3545
審判 査定不服 外観類似 登録しない W3545
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W3545
管理番号 1379954 
審判番号 不服2020-1196 
総通号数 264 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-01-29 
確定日 2021-10-13 
事件の表示 商願2018- 98419拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲1の構成よりなり、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第45類「衣服の貸与」を指定役務として、平成30年8月1日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第494062号商標(以下「引用商標1」という。)は、「MONT BLANC」の欧文字と「モンブラン」の片仮名を二段に表してなり、昭和30年11月12日に登録出願され、第36類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同32年1月9日に設定登録され、その後、同52年6月6日、同62年2月24日、平成9年1月30日、同18年12月12日及び同28年11月8日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。また、その間、商標権一部取消し審判により、指定商品中一部の商品について取り消すべき旨の審決がされ、同10年11月11日及び同13年2月28日にその確定審決の登録がされ、同19年6月20日に指定商品を、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,ヘルメット,帽子」を含む第5類、第9類、第10類、第16類、第21類、第24類、第25類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第4498896号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおり、「モンブラン」の文字を表してなり、平成12年8月18日に登録出願され、第25類「被服,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く),げた,草履類,仮装用衣服」を指定商品として、同13年8月17日に設定登録されたものであり、その後、同23年4月5日及び令和3年5月21日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(3)登録第4500820号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおり、「montblanc」の欧文字を表してなり、平成12年8月18日に登録出願され、第25類「被服,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く),げた,草履類,仮装用衣服」を指定商品として、同13年8月24日に設定登録されたものであり、その後、同23年4月5日及び令和3年5月21日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(4)登録第4734228号商標(以下「引用商標4」という。)は、「MONTBLANC」の欧文字を表してなり、平成12年8月24日に登録出願され、第10類「使い捨ての手術用ガウン,手術衣,手術用ガウン,手術用患者衣」及び第25類「介護専用被服,その他の被服」を含む第5類、第9類、第10類、第16類、第21類、第24類、第25類及び第26類の商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同15年12月19日に設定登録されたものであり、その後、同25年7月30日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。また、これに前後して、商標権一部取消し審判により、指定商品中一部の商品について取り消すべき旨の審決がされ、同20年7月25日、同21年2月5日、同年5月15日、同22年7月15日及び同28年8月18日にその確定審決の登録がされたものである。
(5)登録第6029680号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲4のとおり、「モンブラン」の文字を表してなり、平成29年5月19日に登録出願され、第10類「使い捨ての手術用ガウン,手術用ガウン,外科用ガウン,その他の医師用ガウン,手術衣,手術用患者衣」及び第25類「被介護者用エプロン,介護専用被服,帽子,その他の被服」を含む第5類、第9類、第10類、第16類、第21類、第24類、第25類、第26類及び第45類の商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同30年3月23日に設定登録されたものである。
以下、上記(1)ないし(5)をまとめて「引用商標」という。

3 当審の判断
(1)本願商標
本願商標は、ややデザイン化された「MONT」及び「BLANC」の欧文字を二段に表し、上段「T」の右上に黒い円の中に白抜きで六角の星のような図形を配してなるところ、本願商標の構成中、図形部分と文字部分は常に一体のものとしてみなければならないというほど不可分的に結合しているものとはいえないから、それぞれが分離して看取されるものであり、文字部分が独立して識別標識としての機能を有するものと判断するのが相当である。
そして、「MONT BLANC」の文字は、「モンブラン【Mont Blanc フランス】アルプス山脈中の最高峰」(出典:広辞苑第七版)を意味するものとして我が国において親しまれていること、一つの語(商標)を二段に分けて表示する手法は一般的であることからすれば、二段に表した「MONT」及び「BLANC」の欧文字を一体のものとして捉え、「モンブラン」の称呼が生じるものというのが相当である。
したがって、本願商標からは、「モンブラン」の称呼及び「アルプス山脈中の最高峰」の観念が生じるものである。
(2)引用商標
ア 引用商標1は、「MONT BLANC」の欧文字と「モンブラン」の片仮名を二段に表してなるところ、下段の片仮名は上段の欧文字の読みを特定したものとみられるものである。
イ 引用商標2は、別掲2のとおり、「モンブラン」の片仮名を表してなるところ、「ブ」の文字の濁点が通常よりやや下に位置しているものの、全体として無理なく「モンブラン」の文字を表したものと見て取ることができるものである。
ウ 引用商標3は、別掲3のとおり、ややデザイン化された「montblanc」の欧文字を表してなるところ、そのデザイン化の程度を考慮しても、「montblanc」の欧文字を表してなるものと認識させるものである。
エ 引用商標4は、「MONTBLANC」の欧文字を表してなるところ、語頭の「M」がやや右に傾斜しているものの、容易に「MONTBLANC」の欧文字を表してなるものと認識させるものである。
オ 引用商標5は、別掲4のとおり、「モンブラン」の片仮名を表してなるところ、その構成中、「ブ」の文字のみ青緑色で、他の文字は灰色で表されているものである。
カ 前記アないしオのとおりの構成よりなる引用商標からは、いずれもその構成文字に応じて「モンブラン」の称呼が生じるものであり、「モンブラン(Mont Blanc)」の語が、「アルプス山脈中の最高峰」(出典:同上)を意味するものであるから、引用商標からは、いずれも「アルプス山脈中の最高峰」の観念が生じるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標を比較すると、本願商標は、ややデザイン化された「MONT」及び「BLANC」の欧文字を二段に表し、上段「T」の右上に黒い円の中に白抜きで六角の星のような図形を配してなるものであり、引用商標は、「MONT BLANC」と「モンブラン」の二段書き、「モンブラン」、「montblanc」、「MONTBLANC」の文字を表してなるものであるから、外観上、図形の有無、二段書きか一段書きかの相違、文字種や文字色の相違がある。
称呼及び観念については、本願商標からも引用商標からも「モンブラン」の称呼及び「アルプス山脈中の最高峰」の観念が生じるものである。
そうすると、本願商標と引用商標は、外観における差異を考慮しても、「モンブラン」の称呼及び「アルプス山脈中の最高峰」の観念を共通にするものであるから、これらを総合して考察すれば、両者は類似の商標というべきである。
(4)本願の指定役務と引用商標の指定商品の類否について
本願の指定役務のうち、第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、引用商標1の指定商品中、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,ヘルメット,帽子」、引用商標2及び引用商標3の指定商品中、第25類「被服」、引用商標4の指定商品中、第10類「使い捨ての手術用ガウン,手術衣,手術用ガウン,手術用患者衣」及び第25類「介護専用被服,その他の被服」、引用商標5の指定商品中、第10類「使い捨ての手術用ガウン,手術用ガウン,外科用ガウン,その他の医師用ガウン,手術衣,手術用患者衣」及び第25類「被介護者用エプロン,介護専用被服,帽子,その他の被服」と類似するものである。
(5)小括
したがって、本願商標は、引用商標と類似する商標であって、かつ、引用商標に係る指定商品と類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標とほぼ同一の態様からなる商標登録第4628763号を保有しており、当該登録商標は引用商標3が登録された後に出願され登録されたものであり、引用商標1ないし引用商標5と同じく第25類の被服類が指定商品に含まれていること、請求人の当該登録商標の審査時に、引用商標1ないし引用商標3と類似するとして商標法第4条第1項第11号に該当する旨の拒絶理由通知書を受けた事実はないこと、また、引用商標1ないし引用商標3と類似するとの理由で、登録後に無効審判が提起されたこともないことを理由に、本願商標も引用商標と平和裏に共存することが認められて然るべきであると主張している。
しかしながら、そもそも、登録出願された商標が登録され得るものであるか否かの判断は、個々の商標ごとに個別具体的に検討判断されるべきであり、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かの判断は、他の登録事例に拘束されるものではない。そして、前記(1)ないし(5)のとおり、本願商標は、引用商標と類似の商標であって、かつ、引用商標に係る指定商品と同一又は類似する役務について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
イ 請求人は、本願商標が請求人を表すものであって、万年筆をはじめとする商品に関連して世界的に著名であり、日本で広く知られたものであること、また本願商標が付された商品がモンブラン-ジンプロ ゲー・エム・ベー・ハーの業務に係る商品であると認識できることを述べた証明書を提出し(甲1?甲71)、その著名性により、本願商標からは、「万年筆等で世界的に有名な請求人を示すロゴマーク」という観念も生じることから、引用商標とは区別できると主張している。
しかしながら、本願指定役務は、第35類の「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」等であって、本願指定役務との関係においては、本願商標からは、「アルプス山脈中の最高峰」の観念が生じることは、前記(1)のとおりである。なお、請求人は、取引業界の関係者による証明書を多数提出しているが、当該証明書は、同一文章を予め印刷したものに、証明者が日付、住所、名称、担当者の欄を記載し、捺印をしただけのものであって、これらをもって本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの前記判断を左右するものではない。
したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであって、登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。

別掲
別掲1 本願商標


別掲2 引用商標2


別掲3 引用商標3


別掲4 引用商標5(色彩は原本参照)




審理終結日 2021-05-06 
結審通知日 2021-05-11 
審決日 2021-05-27 
出願番号 商願2018-98419(T2018-98419) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W3545)
T 1 8・ 263- Z (W3545)
T 1 8・ 261- Z (W3545)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 真一 
特許庁審判長 森山 啓
特許庁審判官 綾 郁奈子
板谷 玲子
商標の称呼 モンブラン 
代理人 特許業務法人 松原・村木国際特許事務所 

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