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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W3537 審判 一部申立て 登録を維持 W3537 |
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管理番号 | 1378993 |
異議申立番号 | 異議2021-900074 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2021-02-26 |
確定日 | 2021-10-11 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6328233号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6328233号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6328233号商標(以下「本件商標」という。)は、「ラック」の文字を標準文字で表してなり、令和元年11月29日に登録出願、第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類「電気通信機械器具の修理又は保守,電子応用機械器具の修理又は保守,電話機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具(「電話機械器具・ラジオ受信機及びテレビジョン受信機」を除く。)の修理又は保守」を含む、第35類、第37類、第38類及び第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、同2年11月17日に登録査定され、同年12月11日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は第35類の指定役務中「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第37類の指定役務中「電気通信機械器具の修理又は保守,電子応用機械器具の修理又は保守,電話機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具(「電話機械器具・ラジオ受信機及びテレビジョン受信機」を除く。)の修理又は保守」(以下「本件申立役務」という。)については商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)「ラック」の語について 「ラック」の語は、異議2002-90867商標決定公報(甲2)に記載されているとおり、「配電用又は制御用の機械器具用ラック,電気通信機械器具用ラック及び電子応用機械器具用ラック」の普通名称である旨、認定されている。 この異議決定は、平成16年5月10日になされてものであるが、前記「ラック」が当該商品の普通名称であることは現在においても同様である。 この事実は甲第3号証(JIS規格)、甲第4号証(EIA/ECA STANDARD)、甲第5号証(商品カタログ)、甲第6号証(特許文献)から証明されている。 ア 甲第3号証の1である「JIS C6010-1:1998」(電子機器用ラック及びユニットシャシのモジュラオーダ第1部:通則モジュラオーダ概念)(平成10年10月20日制定)には、「ラック」は「電気又は電子機器を収納するための自立又は固定された構造物。」と定義されており、「ラック」の語が配電用又は制御用の機械器具用ラック,電気通信機械器具用ラック及び電子応用機械器具用ラック」の普通名称であるとことを示す証拠である。 イ 甲第3号証の2ないし5(JIS規格)には電子機器用ラック、ラックを使用されており、また、甲第4号証(EIA/ECA STANDARD)には「Rack」は電気、電子装置を据え付けるオープン式構造物と定義されている。 ウ 甲第5号証(商品カタログ) (ア)申立人(日東工業株式会社)の平成28年10月発行に係る情報・通信関連の商品カタログ(甲5の1)には情報・通信関連の機器を収納する各種の「ラック」が掲載されている。 (イ)申立人の2018年5月発行に係る小型ラックHUB収納キャビネットの商品カタログ(甲5の2)に小型ラックの利用シーンとしてネットワーク機器の収納、無線用機器の収納、各種サーバの収納、放送設備機器の収納が掲載されている。 (ウ)申立人の平成29年6月発行に係るFSネットワークタイプFSAの商品カタログ(甲5の3)の表紙に「システムラック」が使用され、また、1頁にはシステムラックにネットワーク関連機器を収納した画像が掲載されている。 (エ)河村電器産業株式会社の2019年11月1日発行に係るカワムラ情報通信カタログNo.16(甲5の4)及び2015年2月現在の内容に係るSERVER RACK、OPEN RACK、NETWORK RACKのカタログ(甲5の5)に情報通信機器用のラックがラックとして掲載されている。 (オ)中央電子株式会社の2011年3月制作に係るラック・ソリューションカタログ〈IT編〉(甲5の6)に電子機器類を搭載するラックが記載されている。また、同社の2018年5月制作に係るセキュリティラックのカタログ(甲5の7)において電子機器を収納するための自立又は固定された構造物をラックと称している。また、同社の2018年5月制作に係るフレームラックのカタログ(甲5の8)において電子機器を収納するための自立又は固定された構造物をラックと称している。 (カ)日本フォームサービス株式会社の2020年6月現在の情報通信関連機器総合カタログ2020.6VOL.2(甲5の9)において電子機器を収納するための自立又は固定された構造物をラックと称している。 これらの商品カタログによれば、「ラック」、「RACK」の語は「電子応用機械器具」の概念に含まれる「電子機器」を専用に搭載する構造物である「電子応用機械器具用ラック」を表示する普通名称として使用されていることは明らかである。 エ 甲第6号証(特許文献) 甲第6号証の特許文献は、電気機器、電子機器の技術分野において「ラック」の語が「電気機器、電子機器を搭載・収納する構造物」の普通名称として使用されている事実を示すものである。 (2)第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」が取り消されるべき理由 本件商標は「ラック」の片仮名を標準文字により表示したにすぎないから、第35類に属する指定役務中「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」は、類似する商品「配電用又は制御用の機械器具用ラック,電気通信機械器具用ラック及び電子応用機械器具用ラック」の普通名称である「ラック」を表示するにすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。 また、本件商標は、「ラック」の語であるから、「ラック」に関係しない商品・役務については、役務の質の誤認を生じさせるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第16号に該当する。 (3)第37類「電気通信機械器具の修理又は保守,電子応用機械器具の修理又は保守,電話機械器具の修理又は保守,電気通信機械器具(「電話機械器具・ラジオ受信機及びテレビジョン受信機」を除く。)の修理又は保守」が取り消されるべき理由 「ラック」の語は、「配電用又は制御用の機械器具用ラック,電気通信機械器具用ラック及び電子応用機械器具用ラック」の普通名称であるので、上記役務の提供の対象となる商品を表示したにすぎないから、当該役務に係る業界については、役務の質を普通に用いられる方法で表示した標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。 このことは、申立人の平成29年6月発行に係るFSネットワークタイプFSAの商品カタログ(甲5の3)の2頁にシステムラックの「設置-保守・運用-変更・改修」の工程が図示されており、この役務は販売に付随したものでなく独立した役務として提供されているものであることから明白である。 また、本件商標は、「ラック」の語であるから、「ラック」に関係しない商品・役務については、役務の質の誤認を生じさせるおそれがある商標であり、商標法第4条第1項第16号に該当する。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本件商標は、「ラック」の文字を標準文字で表してなるところ、「ラック」の文字は、「(rack)平板歯車、棚」の意味を有するほか、「(lack)不足、欠如」、「(luck)幸運、運」等(「コンサイスカタカナ語辞典」株式会社三省堂)の意味を有する語として辞書類に載録されている。 そうすると、「ラック」の文字よりは、「棚」の意味を想起させる場合があるとしても、本件申立役務との関係において、役務の提供の対象となる商品を直接的かつ具体的に表すものと理解させるともいい難いものである。 また、申立人の提出した証拠は、それらにおいて、情報・通信関連の機器や各種電子機器類を収納する棚を「ラック」と称することがあり、「ラック」の文字が、「配電用又は制御用の機械器具用ラック,電気通信機械器具用ラック及び電子応用機械器具用ラック」の普通名称であるとはいい得るとしても、本件申立役務との関係において、役務の質等を表した証拠とはいい難く、必ずしも申立人の主張する「(『ラック』の語が)役務の提供の対象となる商品を表示したにすぎない」ことを示したものとはいえない。 そうすると、申立人が提出した証拠は、「ラック」の文字が、特定の役務の質を表示しているものといえる直接的かつ具体的な証拠とみることはできない。 そして、当審において職権をもって調査するも、我が国の本件商標の指定役務を取り扱う業界において、「ラック」の文字が、本件商標の登録査定時に具体的な役務の質を表示するものとして、取引上一般に使用されている事実を発見することができず、取引者、需要者が当該文字を役務の質等を表示したものと認識するというべき事情も発見できなかった。 してみれば、本件商標は、これをその指定役務に使用しても、役務の質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないと判断するのが相当である。 その他、本件商標が、役務の質等を表示するとすべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第16号該当性について 本件商標は、上記(1)のとおり、役務の質を表示するものではないから、これをその指定役務に使用しても役務の質の誤認を生ずるおそれのないものである。 その他、本件商標が、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるとすべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標は、その指定役務中の本件申立役務について、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号のいずれにも違反して登録されたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
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異議決定日 | 2021-10-01 |
出願番号 | 商願2019-150433(T2019-150433) |
審決分類 |
T
1
652・
13-
Y
(W3537)
T 1 652・ 272- Y (W3537) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 有水 玲子 |
特許庁審判長 |
榎本 政実 |
特許庁審判官 |
渡邉 あおい 小松 里美 |
登録日 | 2020-12-11 |
登録番号 | 商標登録第6328233号(T6328233) |
権利者 | 株式会社ラック |
商標の称呼 | ラック |
代理人 | 綿貫 敬典 |
代理人 | 棚井 澄雄 |
代理人 | 高柴 忠夫 |
代理人 | 久我 貴洋 |
代理人 | 綿貫 達雄 |