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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41 |
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管理番号 | 1378954 |
審判番号 | 取消2018-670036 |
総通号数 | 263 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-11-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2018-09-12 |
確定日 | 2021-07-30 |
事件の表示 | 上記当事者間の国際登録第1210107号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 国際登録第1210107号商標の指定商品及び指定役務中、第41類「Entertainment services;entertainment services,namely facilitating interactive and multiplayer and single player game services for games played via computer or communication networks;game services provided on-line from a computer network;providing information about online computer games and video games via computer or communication networks;publication of electronic journals and web logs,featuring user generated or specified content;publishing;electronic and online publishing services;electronic desktop publishing;publication of electronic books and journals;publication of books,booklets,brochures,leaflets,magazines,journals,periodical publications,reports,newspapers,newsletters,guides;providing on-line electronic publications(non-downloadable);publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network;arranging and conducting exhibitions,conferences and seminars and networking events for entertainment purposes;production of television programs;audio,film,video and television recording services;production of sound and video recordings;photo sharing and video sharing services;information,advisory and consultancy services and the preparation of reports,all relating to the aforesaid services.」を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件国際登録第1210107号商標(以下「本件商標」という。)は、「QURATE」の欧文字を横書きしてなり,2013年(平成25年)1月23日にEUIPOにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年7月18日に国際商標登録出願、第41類「Entertainment services;entertainment services,namely facilitating interactive and multiplayer and single player game services for games played via computer or communication networks;game services provided on-line from a computer network;providing information about online computer games and video games via computer or communication networks;publication of electronic journals and web logs,featuring user generated or specified content;publishing;electronic and online publishing services;electronic desktop publishing;publication of electronic books and journals;publication of books,booklets,brochures,leaflets,magazines,journals,periodical publications,reports,newspapers,newsletters,guides;providing on-line electronic publications(non-downloadable);publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network;arranging and conducting exhibitions,conferences and seminars and networking events for entertainment purposes;production of television programs;audio,film,video and television recording services;production of sound and video recordings;photo sharing and video sharing services;information,advisory and consultancy services and the preparation of reports,all relating to the aforesaid services.」(以下「本件取消請求に係る指定役務」という。)を含む第9類、第38類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、2015年(平成27年)9月11日に設定登録されたものである。 なお、本件審判の請求の登録は、2018年(平成30年)9月21日にされたものであり、この登録前3年以内の期間を、以下「要証期間」という。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、平成31年1月7日付け審判事件答弁書(以下「答弁書」という。)に対する同年3月8日付け審判事件弁駁書(以下「弁駁書」という。)にて、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、審判請求書で甲第1号証及び甲第2号証を、弁駁書で甲第3号証ないし甲第5号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、本件取消請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者(以下「商標権者又は使用権者」という場合がある。)のいずれによっても使用された事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 弁駁書の要旨 被請求人は、答弁書にて、本件商標を、本件取消請求に係る指定役務中「Publication of electronic journals and web logs,featuring user generated or specified content;publication of books,booklets,brochures,leaflets,magazines,journals,periodical publications,reports,newspapers,newsletters,guides;publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network;production of sound and video recordings;」(以下「本件使用役務」という。)に使用しているとして、乙第1号証ないし乙第12号証を提出しているが、被請求人の提出した証拠には、通常使用権者であると主張するところの「株式会社Qurate」(以下「Qurate社」という。)の商号及びその要部が表示されているものの、本件商標が使用されていることは示されていないし、本件取消請求に係る指定役務のいずれかについて、日本国内で要証期間に使用されていたことも証明されていない。 (1)各争点についての総論 ア 本件商標の商標権者とQurate社の関係について 被請求人は、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)が代表取締役を務めるQurate社に、本件商標について、黙示の通常使用権を許諾している旨主張するが、その真偽は確認できない。 イ 被請求人が本件商標の使用であると主張する表示について 被請求人は、乙第3号証ないし乙第10号証及び乙第12号証に本件商標が表示されていると主張するが、被請求人が指摘する表示はいずれもQurate社の商号そのもの、またはその要部を記載したものであって、自他の役務を識別するための商標の使用には該当しない。 具体的な商品、役務に関して用いられているのは「Que」などであって、「Qurate」が何らかの具体的な商品、役務に関して使用されている事実は示されておらず、専ら商号の要部として表示されているにとどまる。 ウ 使用に係る役務及び提供主体について 被請求人は、Qurate社が福岡市からの委託に基づき制作したウェブサイト「STATUP/FUKUOKA CITY」において、使用役務を提供したと主張しているが、当該ウェブサイトは地方自治体である福岡市が開設しているのであって、そこで提供される情報も福岡市が提供していることは明らかである。 その内容は、世界各地の新興企業を福岡市に誘致しようとの政策目標に沿ったものであって、そもそも役務には該当しないものと考えられ、当該ウェブサイトの内容によりQurate社が何らかの役務を提供していると見る余地は皆無である。 Qurate社は、福岡市に対し、ウェブサイトの制作という役務を提供したのかも知れないが、当該役務の提供に関して本件商標が用いられたとする証拠は提出されておらず,ウェブサイトの制作は、本件取消請求に係る指定役務ではない。 エ 使用時期について 乙第3号証の1枚目には「最終更新日:2016年8月10日」と記載されているが、本号証の2枚目と3枚目には日付が見当たらない。 これらの頁が本件要証期間内に存在していたことは証明されていない。 乙第4号証は、各頁の右下端に「2018/12/28」と表示されていることから、2018年(平成30年)12月28日にコンピュータから印刷されたものであると考えられるところ、これは要証期間外であるから、要証期間に本号証と同じ画面を有するウェブサイトが存在していたことは証明されていない。 乙第5号証は、被請求人によれば印刷物による広告であり、2018年(平成30年)12月14日に印刷したとされているから、要証期間に頒布されていないことは明らかである。 乙第10号証は、右下端に「2019/01/07」と表示されていることから,2019年(平成31年)1月4日に印刷したものと考えられるところ、これは要証期間外であるから、要証期間に本号証と同じ画面を有するウェブサイトが存在していたことは証明されていない。 乙第11号証は、日付が一切示されておらず、被請求人によれば2019年(平成31年)1月7日に印刷したとのことであるが、これは要証期間外であるから、要証期間に本号証と同じ画面を有するウェブサイトが存在していたことは証明されていない。 乙第12号証は、右下端に「2019/01/07」と表示されていることから、2019年(平成31年)1月7日に印刷したものと考えられるが,これは要証期間外であるから、要証期間に本号証と同じ画面を有するウェブサイトが存在していたことは証明されていない。 したがって、上記の各証拠が要証期間に存在していたり、頒布された事実は証明されておらず、これらの証拠をもって、本件商標が要証期間に使用されたとすることはできない。 (2)各証拠についての詳論 ア 乙第3号証について 乙第3号証は、経済産業省九州経済産業局のウェブサイトであって、官庁がその所管地域の状況について告知するためのものである。 そこで、Qurate社等が取り上げられているとしても、事実の紹介にとどまるものであって、同社等の事業について需要者に訴求するためではないから、「広告」には該当しない。官公庁が、一民間企業のためにその商品や役務について広告を行うことはない。よって、本号証の2葉目と3葉目の右上端に「Qurate」の文字が表示されているとしても、商標法第2条第3項に列挙するいずれの行為にも該当せず、本件取消請求に係る指定役務との関係を論ずるまでもなく、本件商標の使用を証するものではない。 なお、乙第3号証に表示されている「Qurate」は、具体的な商品、役務との関係で表示されているものではなく、本文中に登場する「Qurate」と同様に、「株式会社Qurate」の商号の略称を表示したにとどまると見るべきである。 イ 乙第4号証について 被請求人が本件商標の使用であると主張しているのは、「Company」と題する項目で赤線が付された表示と思われるところ、乙第4号証の3頁目に表示された「Qurate Inc.」は、Qurate社の商号を英文で表記したものであることが明らかであって、商標ではない。本号証の1頁目には「Qurate」がやや大きく表されているが、具体的な商品や役務との関係で用いられているものではないから、商号の略称と認識されることが自然である。このことは、米国で一般的な登録表示が付されていることで変わるものではない。 そもそも、乙第4号証(訳文を含む)を読んでも、Qurate社等がどのような商品や役務を提供しているのかが定かでない。本号証のウェブサイトは、国内ではなく英語圏の需要者をターゲットにしていることを示唆している。 加えて、乙第4号証には本件取消請求に係る指定役務との関連性をうかがわせる記載は皆無である。 ウ 乙第5号証について 乙第5号証は、要証期間後に作成された広告物であるから、使用を示す証拠となり得ないものであり、本号証を平均的な日本人が読んでもQurate社がどのような商品や役務を提供しているのかは理解できない。 乙第5号証に、乙第4号証のウェブサイトのアドレスを記載するだけで,当該ウェブサイトの内容を乙第5号証の一部とすることはできない。 エ 乙第6号証について (ア)乙第6号証は、被請求人によると、Qurate社が福岡市と締結した業務委託契約書の写しとのことである。そして、契約当事者の欄に記載されている「(株)Qurate」の記載をもって、本件商標の使用であると主張している。 しかし、契約書で当事者を特定するために住所とともに記載する氏名(名称)は、まさに商号そのものであって、これを商標と見る余地はない。商号を商標として登録する例は存在するが,その場合であっても、商標としての使用であるのか、商号の使用なのかは概念上区別されている。ましてや、本件商標は「Qurate」であって、商号とは異なっているのであるから、契約書の「氏名」の欄に記載された「(株)Qurate」の一部「Qurate」をもって、本件商標が使用されていると解することはできない。 さらに、契約書を目にするのは通常は当事者のみであるところ、契約の相手方である福岡市の職員が「(株)Qurate」中の「Qurate」をもって商標と認識するとは考えられない。 したがって、契約書の氏名欄に記載された「(株)Qurate」をもって、本件商標が使用されているとの被請求人の主張は、失当である。 その他の箇所を精査しても、乙第6号証に本件商標は記載されていない。 (イ)被請求人は、乙第6号証ないし乙第9号証の業務委託契約書に記載された「株式会社Qurate」の表示は、単に商号を表示するものではなく、出所表示機能及び品質保証機能を発揮する識別標識としても使用されていると解すべきと強弁する。 しかし、契約書で当事者を特定するために住所や代表者とともに記載された氏名(名称)を識別標識と認識することは、その商号が著名であるとしても考え難い。加えて、Qurate社等が福岡市からウェブサイト制作の業務を委託されたのは、同市に所在する新興企業であって、代表者が英語に堪能であり、かつ、ウェブサイト制作業務を行うのに必要な技術を備えていると評価されたから、と考えるのが自然である。 (ウ)Qurate社等が福岡市から委託された業務は、「ホームページの構築」及び「ホームページの保守・運用」であるところ、これらは本件取消請求に係る指定役務のいずれにも該当しない。 そして、業務委託に基づき作成されたウェブサイトで提供されている情報は、福岡市が発信しているのであって、Qurate社等ではない。 仮に、「ホームページの保守・運用」の一環として、掲載する情報をQurate社等が取捨選択しているとしても、それは福岡市の指示により行っているものであり、Qurate社等が、当該ウェブサイトで情報を発信していると解することはできない。 したがって、契約書の業務内容の履行により、Qurate社等が「publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network」を提供したとの被請求人の主張は、誤りである。 オ 乙第7号証について 契約当事者の氏名が、乙第6号証の「(株)Qurate」の表記から「株式会社Qurate」に変わっている点を除けば、上記エと同様であり、本件商標の使用と思しき記載は皆無である。 被請求人は、乙第7号証による委託業務として「ホームページ・メールマガジン・SNSによる記事配信」とあることを根拠に、Qurate社等が「publication of electronic journals and web logs,featuring user generated or specified content;publication of books,booklets,brochures,leaflets,magazines,journals,periodical publications,reports,newspapers,newsletters,guides;publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network」の役務を提供したと主張する。 しかし、作成されたウェブサイトで「福岡市の紹介」などの情報を発信しているのは福岡市であって、Qurate社等は、ウェブサイトの保守、運用を受託しているにすぎない。 このことは、動画、写真、記事をQurate等が制作してウェブサイトに掲載したとしても、何ら異なるところはない。Qurate社等が福岡市に対し何らかの役務を提供したとすれば、「ウェブサイトの制作・保守・運用」という役務になるが、その役務は、本件取消請求に係る指定役務ではない。 カ 乙第8号証について 上記オと同様、委託業務である「AIエンジンを使ったスタートアップ紹介ビデオ」及び「福岡市スタートアップの紹介長編ビデオの作成」が「Production of sound and video recordings」に該当するとの被請求人の主張について反論すると、これは、「ウェブサイトの制作」の一部であって、独立した役務ではない。すなわち、ウェブサイトには様々な映像、画像、文章などの情報が掲載されるが、それらを総合してウェブサイトを作成することが「ウェブサイトの制作」である。 キ 乙第9号証について 乙第7号証等と同様、乙第9号証は、何ら本件商標の使用を示すものではない。 ク 乙第10号証について (ア)乙第10号証は、被請求人によれば、乙第6号証等の契約に基づいて作成されたウェブサイトとのことであるが、乙第10号証の1枚目に「STARTUP FUKUOKA CITY」と大書されているとおり、このサイトは福岡市が世界各国の新興企業に向け、福岡市への誘致を勧誘することを目的としており、福岡市の政策に沿った内容となっている。 被請求人は、このウェブサイトの内容が「広告」、「マーケティング」及び「プロモーション」に該当すると主張するが、地方自治体が政策実現のための情報発信に用いるウェブサイトで役務が提供されていると見るのは無理がある。いずれにしても、当該ウェブサイトで情報を発信しているのは福岡市であって、Qurate社ではないから、仮に何らかの役務の提供があるとしても、Qurate社等が提供するものではない。 (イ)被請求人は、乙第10号証のどこに本件商標が表示されているのか、何ら説明するところがないが、本号証の9枚目と10枚目(倍率を変えた同じ頁と思われる)などの下端に矢印が付されていることからして、そこに記載された「Powered by Qurate」が本件商標の使用に当たると主張しているものと推測される。 しかしながら、本件商標は「QURATE」であって、「Powered by Qurate」とは明らかに相違する。 「Powered by ◯◯」は比較的最近になって目にするようになった用法であるが、「その会社のテクノロジーを使っている、その会社がサービスのインフラを支えている」との意味合いのようである(甲3)。 したがって、乙第10号証のウェブサイトにおいて「Powered by Qurate」に気付いた者は、当該ウェブサイトにQurate社の技術が用いられているといった意味合いを理解するのであって、「Qurate」を商号の略称と認識するに止まる。 なお、付言すれば、「Powered by Qurate」が本件商標と「社会通念上同一」であると見る余地はない。 したがって、乙第10号証のウェブサイトに本件商標は一切記載されていない。 (ウ)乙第10号証のウェブサイトは英語で記載されており、日本語は用いられていないから、その対象は外国(主に英語圏)の新興企業であると考えられる。事実、福岡市は別途、「福岡市の起業,創業支援サイト」なる日本語のウェブサイトを開設している(甲4)とすると、たとえ乙第10号証で何らかの役務が提供されていると解したとしても、専ら外国向けに提供されているのであって、国内向けではない。 ケ 乙第11号証について 被請求人によれば、Facebookにおける福岡市の頁であるとのことであるが、役務については乙第10号証について、述べたことがそのまま当てはまる。 なお、他の証拠と異なり、被請求人は本号証に本件商標が記載されていると主張していない。 コ 乙第12号証について 被請求人は、乙第12号証の5枚目と6枚目に矢印を付していることから、そこに表示された「Powered by Qurate」が、本件商標の使用であると主張するものと考えられる。 しかし、この記載中の「Qurate」は商号の略称と理解されるにとどまり、商標と認識されることはない。加えて、このウェブサイトも外国向けであって、日本国内を対象としたものではない。国内向けには別途、日本語のウェブサイトが開設されている(甲5)。 (3)結び 以上のとおり、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標が本件取消請求に係る指定役務のいずれかにつき、日本国内で、要証期間に、使用された事実が何ら証明されていない。 第3 被請求人の主張の要点 被請求人は、本審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、答弁書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。 1 答弁書による主張の要旨 本件商標の通常使用権者であるQurate社は、要証期間に、我が国において、本件取消請求に係る指定役務中の本件使用役務について、本件商標を使用している。 (1)本件商標の使用事実 ア 商標の使用者 乙第1号証は、本件商標の商標登録原簿であり、本件商標権者「ThomasBrooke」は、自己が代表取締役を務めるQurate社に対して、本件商標の通常使用権を黙示的に許諾している。 乙第2号証は、Qurate社の履歴事項全部証明書であり、本件商標権者は居所を「福岡市中央区黒門3番22-201号」として、平成26年(2014年)2月4日付けで同住所にQurate社を設立し、同社の代表取締役を務めている。Qurate社の履歴事項全部証明書(乙2)の目的の欄には、同社の目的として、「1.メディアコンテンツの企画、デザイン、開発、導入支援、販売、マーケティング及びメンテナンス」、「2.コンピュータアプリケーションの企画、デザイン、開発、導入支援、販売、マーケティング及びメンテナンス」、「3.ウェブアプリケーションの企画、デザイン、開発、導入支援、販売、マーケティング及びメンテナンス」、「4.企業イメージの構築支援及び企業ブランディング」、「5.ハードウェアと統合するアプリケーション、ウェブサイト及びシステム(IoT)の企画、デザイン、開発、導入支援、販売、マーケティング及びメンテナンス」、「6.前号に付帯関連する一切の事業」と記載されており、同社は当該目的に沿った事業を日本国内で行っている。 乙第3号証は、Qurate社を紹介する記事であり、経済産業省九州経済産業局のウェブサイトにおける「九州の主な外資系企業・外国人による創業の事例に掲載されている。Qurate社を紹介する記事(乙3)には、本件商標が記載されるとともに、同社の代表取締役を本件商標権者が務めている旨、同社の事業内容、同社が本件商標を使用したシステムを開発した旨、本件商標を使用したシステムのメリット等が記載されていることから、乙第3号証は、同社の広告に相当する。Qurate社を紹介する記事(乙3)に記載した住所は、履歴事項全部証明書(乙2)の本店の欄に記載された同社の旧住所「福岡県福岡市中央区大名1丁目14番28第一松村ビル402号室」と同一であるから、同社は本件商標を使用している。 乙第4号証は、Qurate社のウェブサイトによる広告であり、同社が自己の業務を紹介するために制作して開設し、維持及び管理するものである。 Qurate社のウェブサイトによる広告(乙4)中の「Company」の項目には、本件商標を記載しており、同社の住所は、履歴事項全部証明書(乙2)の本店の欄に記載された住所と同一である。 したがって、Qurate社は本件商標を使用している。 また、Qurate社は、同社のウェブサイトによる広告(乙4)中の「OurTeam」の項目において、同社のCEO(最高経営責任者)として、本件商標権者を記載して紹介している。 乙第5号証は、Qurate社の印刷物による広告であり、同社が自己の業務を紹介するために制作して配布したものである。 Qurate社は、当該資料に本件商標を記載するとともに、自己の事業を紹介するウェブサイトのアドレス「qurate.com」を記載することにより、当該資料の閲覧者を同社のウェブサイトによる広告(乙4)へ誘導して、同社の事業の内容及び連絡先を紹介している。 したがって、Qurate社は本件商標を使用している。 乙第6号証は、業務委託契約書(福岡市グローバルスタートアップホームページ構築業務委託)であり、受注者の項目には、住所と氏名が記載され、氏名として(株)Qurateが記載されている。この住所と名称は、履歴事項全部証明書(乙2)の本店の欄に記載されたQurate社の旧住所及び商号と同一であり、同社の商号は本件商標を含むものであるから、Qurate社は、役務の提供にあたり本件商標を使用した。 乙第7号証は、業務委託契約書(福岡市グローバルスタートアップホームページ等運営業務委託)であり、受注者の項目には、住所と氏名が記載され、氏名として株式会社Qurateが記載されている。この住所と名称は、履歴事項全部証明書(乙2)の本店の欄に記載されたQurate社の旧住所及び商号と同一であり、同社の商号は本件商標を含むものであるから,Qurate社は、役務の提供にあたり本件商標を使用した。 乙第8号証は、業務委託契約書(福岡市グローバルスタートアップマッチングサイト構築等業務委託)であり、受注者の項目には、住所と氏名が記載され、氏名として株式会社Qurateが記載されている。この住所と名称は,履歴事項全部証明書(乙2)の本店の欄に記載されたQurate社の住所及び商号と同一であり、同社の商号は本件商標を含むものであるから、Qurate社は、役務の提供にあたり本件商標を使用した。 乙第9号証は、業務委託契約書(福岡市グローバルスタートアップホームページ等運営業務委託)であり、受注者の項目には,住所と氏名が記載され、氏名として株式会社Qrateが記載されている。この住所と名称は、履歴事項全部証明書(乙2)の本店の欄に記載されたQurate社の住所及び商号と同一であり、同社の商号は本件商標を含むものであるから、Qurate社は、役務の提供にあたり本件商標を使用した。 乙第10号証は、福岡市グローバルスタートアップホームページであり、このホームページは、乙第6号証、乙第7号証及び乙第9号証に係る業務委託契約により、Qurate社が制作したものである。 また、このホームページに掲載された全ての動画、写真、記事についても、乙第6号証、乙第7号証及び乙第9号証に係る業務委託契約により、Qurate社が制作、配信、保守を行った。 したがって、Qurate社は本件商標を使用している。 乙第12号証は、スタートアップマッチングサイトであり、このサイトは、乙第8号証に係る業務委託契約により、Qurate社が制作したものである。 また、このサイトに掲載された全ての動画、写真、記事については、乙第8号証及び乙第9号証に係る業務委託契約により、Qurate社が制作、配信、保守を行った。 したがって、Qurate社は本件商標を使用している。 イ 使用に係る役務 乙第6号証の業務委託契約書の「福岡市グローバルスタートアップホームページ等運営業務委託」には、「3.業務内容」の項目に、Qurate社へ委託する業務として、「(1)ホームページの構築」及び「(2)ホームページの保守・運用」が記載されている。 このホームページは、「1.目的」の項目に記載されたように、「福岡市が海外のスタートアップ拠点とのネットワークを構築し、グローバル展開を見据えた創業が可能となる環境作りを推進する取組みを実施していることを、海外のスタートアップ関係者に効果的に伝える。」ことを目的とするため、このホームページは、「広告」、「マーケティング」、「プロモーション」にあたる。 そして、ホームページは、インターネット回線を用いて世界中からアクセス可能であることから、グローバルコンピューターネットワークの手段により提供されるものである。 したがって、乙第6号証の業務委託契約書に記載された業務内容の履行によって、本件商標の第41類の指定役務中「Publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network.」の役務が提供された。 乙第7号証の業務委託契約書の「仕様書」には,「4.業務内容」の項目において,使用権者へ委託する業務として,「(1)ホームページの保守・運用」,「(2)ホームページ・メールマガジン・SNSによる記事配信」と記載されている。 また、「5.ホームページ要件等」の項目中「(3)配信方法」の項目において、「ホームページによる記事配信」、「メールマガジンによる記事配信」、「SNS(Facebookなど)による記事配信」と記載され、「(4)ホームページ等に掲載するコンテンツについて」の項目において、「福岡市の紹介」、「福岡市のスタートアップ施策の紹介」、「福岡市のスタートアップ等の紹介」、「スタートアップイベント情報の紹介」、「この他、コンテンツの充実を図ること。」と記載されている。 福岡市はQurate社が制作するコンテンツの内容を指定しており、メールマガジンは電子定期刊行物にあたるものであり、Facebookに投稿された記事は投稿後に適時閲覧できることからウェブログにあたる。 したがって、乙第7号証の業務委託契約書に記載され業務内容の履行によって、本件商標の第41類の指定役務中「Publication of electronic journals and web logs,featuring user generated or specified content.」の役務が提供された。 また、乙第7号証の業務委託契約書に関して、メールマガジンは定期刊行物又はニューズレターにあたることから、乙第7号証の業務委託契約書に記載され業務内容の履行によって、本件商標の第41類の指定役務中「Publication of books,booklets,brochures,leaflets,magazines,journals,periodical publications,reports,newspapers,newsletters,guides.」の役務が提供された。 さらに、乙第7号証の業務委託契約書に関して、ホームページによる記事配信、メールマガジンによる記事配信、FacebookなどのSNSによる記事配信は、いずれも、インターネット回線を用いて世界中からアクセス又は受信可能であることから、グローバルコンピューターネットワークの手段により提供されるものである。 これらは、福岡市の紹介、福岡市のスタートアップ施策の紹介、福岡市のスタートアップ等の紹介、スタートアップイベント情報の紹介を内容とするものであることから、「広告」、「マーケティング」、「プロモーション」にあたる。 また、メールマガジンは定期刊行物又はニューズレターにあたり、Facebookはソーシャルネットワーキングにあたり、Facebookに投稿された記事は投稿後に適時閲覧できることからブログにあたる。 したがって、乙第7号証の業務委託契約書に記載された業務内容の履行によって、本件商標の第41類の指定役務中「Publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network.」の役務が提供された。 乙第8号証の業務委託契約書の「仕様書」には、「4.業務内容」の項目において、使用権者へ委託する業務として、「(1)マッチングサイトの構築」、「(2)マッチングサイトの保守・運営」、「(3)コンテンツの作成」と記載されている。 また、「5.マッチングサイトの要件等」の項目中「(3)開発内容及びコンテンツについて」の項目において、「福岡市スタートアップマッチングサイトの各インターフェイス」、「福岡市スタートアップの基本情報ページ」、「AIエンジンを使ったスタートアップ紹介ビデオ」、「福岡市スタートアップの紹介長編ビデオの作成(10社以上)」、「この他、コンテンツの充実を図ること。」と記載されている。 このマッチングサイトは、「2.目的」の項目に記載されたように、「福岡市が海外のスタートアップ拠点とのネットワークを構築し、グローバル展開を見据えた創業が可能となる環境作りを推進する取組みを実施しており、市内スタートアップと海外スタートアップとのマッチングを支援していることを伝える。」ことを目的とするため、マッチングサイトは、「広告」、「マーケティング」、「プロモーション」にあたる。 そして、このサイトは、インターネット回線を用いて世界中からアクセス可能であることから、グローバルコンピューターネットワークの手段により提供されるものである。 したがって、乙第8号証の業務委託契約書に記載された業務内容の履行によって、本件商標の第41類の指定役務中「Publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network.」の役務が提供された。 また、乙第8号証の業務委託契約書に関して、「仕様書」の「5.マッチングサイトの要件等」の項目中「(3)開発内容及びコンテンツについて」の項目において、「AIエンジンを使ったスタートアップ紹介ビデオ」、「福岡市スタートアップの紹介長編ビデオの作成(10社以上)」とある。 したがって、乙第8号証の業務委託契約書に記載され業務内容の履行によって、本件商標の第41類の指定役務中「Production of sound and video recordings.」の役務が提供された。 乙第9号証の業務委託契約書の「仕様書」には、「4.業務内容」の項目において、Qurate者へ委託する業務として、「(1)ホームページ,マッチングサイトの保守・運用」、「(2)ホームページ・マッチングサイト・メールマガジン・SNS(以下「ホームページ等」という。)による記事配信」と記載されている。また、「5.ホームページ、マッチングサイト要件等」の項目中「(3)配信方法」の項目において、「ホームページ、マッチングサイトによる配信」、「メールマガジンによる配信」、「SNS Facebookなど)による配信」と記載され、「(4)ホームページ等に掲載するコンテンツについて」の項目において、「福岡市の紹介」、「福岡市のスタートアップ施策の紹介」、「福岡市のスタートアップ等の紹介(マッチングサイト分も含む)」、「スタートアップイベント情報の紹介」、「この他、コンテンツの充実を図ること。」と記載されている。 福岡市はQurate社が制作するコンテンツの内容を指定しており、メールマガジンは電子定期刊行物にあたるものであり、Facebookに投稿された記事は投稿後に適時閲覧できることからウェブログにもあたる。 したがって、乙第9号証の業務委託契約書に記載され業務内容の履行によって、本件商標の第41類の指定役務中「Publication of electronic journals and web logs,featuring user generated or specified content.」の役務が提供された。 また、乙第9号証の業務委託契約書に関して、メールマガジンは定期刊行物及びニューズレターにあたることから、乙第9号証の業務委託契約書に記載された業務内容の履行によって、本件商標の第41類の指定役務中「Publication of books,booklets,brochures,leaflets,magazines,journals,periodical publications,reports,newspapers,newsletters,guides.」の役務が提供された。 さらに、乙第9号証の業務委託契約書に関して、ホームページによる記事配信、メールマガジンによる記事配信、FacebookなどのSNSによる記事配信は、何れも、インターネット回線を用いて世界中からアクセス又は受信可能であることから、グローバルコンピューターネットワークの手段により提供されるものである。 これらは、福岡市の紹介、福岡市のスタートアップ施策の紹介、マッチングサイト分も含め福岡市のスタートアップ等の紹介、スタートアップイベント情報の紹介を内容とするものであることから、「広告」、「マーケティング」、「プロモーション」にあたる。 また、メールマガジンは定期刊行物又はニューズレターにあたり、Facebookはソーシャルネットワーキングにあたり、Facebookに投稿された記事は投稿後に適時閲覧できることからブログにあたる。 したがって、乙第9号証の業務委託契約書に記載された業務内容の履行によって、本件商標の第41類の指定役務中「publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network.」の役務が提供された。 乙第10号証は、福岡市グローバルスタートアップホームページであり、このホームページは、乙第6号証、乙第7号証、及び乙第9号証に係る業務委託契約により、Qurate社が制作したものである。 また、このホームページに掲載された全ての動画、写真、記事は、乙第6号証、乙第7号証、及び乙第9号証に係る業務委託契約によりQurate社が制作、配信、保守を行った。 このホームページ中の最下端に設けられた「Entery your email address」の空欄にEメールアドレスを入力すると、Qurate社が業務委託契約に基づいて作成したニューズレターが、入力したEメールアドレスに定期的に送信される仕組みである。 乙第11号証は、Facebookにおける福岡市グローバルスタートアップページであり、乙第7号証及び乙第9号証に係る業務委託契約により、Qurate社が制作したものである。 また、このホームページに掲載された全ての動画、写真、記事は、乙第7号証及び乙第9号証に係る業務委託契約により制作、配信、保守を行った。 乙第12号証は、スタートアップマッチングサイトであり、このサイトは、乙第8号証及び乙第9号証に係る業務委託契約により、Qurate社が制作したものである。 また、このサイトに掲載された全ての動画、写真、記事は、乙第8号証及び乙第9号証に係る業務委託契約によりQurate社が制作、配信、保守を行った。 ウ 使用に係る商標 乙第3号証のQurate社を紹介する記事には、本件商標が記載されている。 乙第4号証のQurate社のウェブサイトによる広告には、本件商標が記載されている。 乙第5号証のQurate社の印刷物による広告には、本件商標が記載されている。 本件商標は、Qurate社の商号の一部であるところ、乙第6号証ないし乙第9号証に係る業務委託契約は、受注者がQurate社であることから、Qurate社による委託に係る業務の履行、すなわち、Qurate社による役務の提供をもって、本件商標が使用されたと解すべきである。 また,Qurate社が福岡市と、乙第6号証ないし乙第9号証の業務委託契約書に係る業務委託契約を締結できたのは、契約締結時において、Qurate社が業務上の信用を獲得していたためである。 本件商標はQurate社の商号の一部であることから,乙第6号証ないし乙第9号証の業務委託契約書に記載された「株式会社Qurate」の表示は、単に商号を表示するものではなく、出所表示機能及び品質保証機能を発揮する識別標識としても使用されていると解すべきである。 したがって、乙第6号証ないし乙第9号証の業務委託契約書には、本件商標が記載されている。 乙第10号証の福岡市グローバルスタートアップホームページには、本件商標が記載されている。 乙第12号証のスタートアップマッチングサイトには、本件商標が記載されている。 乙第3号証ないし乙第10号証及び乙第12号証に記載された商標は、いずれも本件商標の書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であることから、本件商標の使用と認められるべきものである。 エ 使用時期 乙第1号証の国際登録第1210107号の商標登録原簿によると、本件審判請求の登録日は、平成30年(2018年)9月21日である。 したがって、要証期間は、同27年(2015年)9月21日から同30年(2018年)9月20日である。 乙第3号証のQurate社を紹介する記事には、最終更新日付として、2016年(平成28年)8月10日と記載されている。 したがって、乙第3号証は、要証期間である平成28年(2016年)8月10日に、本件商標が使用されたことを明らかにするものである。 乙第6号証の業務委託契約書に記載された履行期間は、平成28年(2016年)10月3日から同29年(2017年)3月31日であることから、当該期間において、使用権者は福岡市に役務を提供した。 したがって、乙第6号証は、要証期間である平成28年(2016年)10月3日から同29年(2017年)3月31日において、本件商標が使用されたことを明らかにするものである。 乙第7号証の業務委託契約書に記載された履行期間は、平成29年(2017年)4月1日から平成30年(2018年)3月31日であることから,当該期間において、Qurtate社は福岡市に役務を提供した。 したがって、乙第7号証は、要証期間である平成29年(2017年)4月1日から同30年(2018年)3月31日において、本件商標が使用されたことを明らかにするものである。 乙第8号証の業務委託契約書に記載された履行期間は、平成29年(2017年)11月27日から同30年(2018年)3月31日であることから、当該期間において、Qurate社は福岡市に役務を提供した。 したがって、乙第8号証は、要証期間である平成29年(2017年)11月27日から同30年(2018年)3月31日において、本件商標が使用されたことを明らかにするものである。 乙第9号証の業務委託契約書に記載された履行期間は、平成30年(2018年)4月1日から同31年(2019年)3月31日であることから、同30年(2018年)4月1日から現在に至るまで、Qurate社は福岡市に役務を提供している。 したがって、乙第9号証は、要証期間である平成30年(2018年)4月1日から同年9月20日において、本件商標が使用されたことを明らかにするものある。 (2)結び 以上のとおり、Qurate社は、要証期間に日本国内において,本件商標の第41類の指定役務中「Publication of electronic journals and web logs,featuring user generated or specified content;publication of books,booklets,brochures,leaflets,magazines,journals,periodical publications,reports,newspapers,newsletters,guides;publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network;production of sound and video recordings.」について、本件商標を使用している。 第4 当審においてした審尋 合議体は、令和2年9月17日付け審尋において、被請求人に対し、被請求人が提出した証拠によっては、被請求人は、商標権者又は使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を、本件取消請求に係る指定役務のいずれかについて、要証期間に日本国内において、商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為を行ったことを証明していない旨の合議体の暫定的見解及び弁駁書に対する回答を求めた。 被請求人は、上記内容の審尋に対し何らの応答もしていない。 第5 当審の判断 1 被請求人の立証責任 商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。 すなわち、本件商標の使用をしていることを証明するには、商標法第50条第2項に規定されているとおり、被請求人は、ア 要証期間に、イ 日本国内において、ウ 商標権者又は使用権者のいずれかが、エ 本件取消請求に係る指定役務のいずれかについての、オ 本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用(商標法第2条第3項各号のいずれかに該当する使用行為)をしていることをすべて証明する必要がある。 2 被請求人の主張及び被請求人の提出に係る証拠によれば、以下のとおりである。 被請求人は、本件商標権者から本件商標の通常使用権を黙示的に許諾されたQurate社が、要証期間に日本国内において、本件取消請求に係る指定役務中の本件使用役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している旨を主張し、乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。 そこで、被請求人の提出に係る答弁の全趣旨及び上記乙各号証について、以下検討する。 (1)本件商標の使用者について 被請求人は、本件商標権者は、自己が代表取締役を務めるQurate社に対して、本件商標の通常使用権を黙示的に許諾している旨を主張するが、本件商標の国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿(乙1)によると、本件商標権者は、UnitedKingdam在であり、Qurate社の履歴事項全部証明書(乙2)の「役員に関する事項」の欄に記載された「代表取締役」の住所は、「福岡市中央区」であることから、本件商標権者とQurate社の代表取締役が同一人であることが確認できない。 その他、被請求人は、Qurate社が、本件商標の通常使用権者であることを立証する証拠を提出していない。 したがって、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、Qurate社が、本件商標の通常使用権者とは認めることができない。 (2)本件商標の使用に係る役務について 被請求人は、Qurate社と福岡市との業務委託契約(乙6?乙9)の履行により、Qurate社は、本件取消請求に係る指定役務中の「Publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network.」の役務を提供した旨を主張する。 しかしながら、Qurate社と福岡市との業務委託契約書(乙6?乙9)によると、Qurate社が、福岡市から業務委託されているのは、「ホームページやマッチングサイトの作成・保守」と「ホームページ・マッチングサイトの作成」の一環として、福岡市が作成した記事(メールマガジン等)をホームページに掲載することであるが、「ホームページやマッチングサイトの作成・保守」及び「ホームページ・マッチングサイトの作成」は、いずれも、国際分類第42類に属する役務であると考えられ、本件取消請求に係る指定役務中の「Publication of non-downloadable magazines,periodicals,newsletters,reports,blogs,articles,audio and video files in the fields of entertainment,social networking,advertising,marketing and promotion by means of a global computer network.」に該当する役務と認めることはできない。 その他、被請求人は、商標権者又は使用権者のいずれかが、本件取消請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることを証明していない。 したがって、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、被請求人は、商標権者又は使用権者のいずれかが、本件取消請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることを証明していない。 3 上記2によれば、当審の判断は、以下のとおりである。 (1)本件商標の使用者について 本件商標権者とQurate社との関係が明らかではなく、また、本件商標権者とQurate社との間で、本件商標の通常使用権を許諾する契約が締結されていたことも確認できない。 そうすると、Qurate社が、本件商標の通常使用権者であるとは認められない。 また、被請求人は、本件商標権者が、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を、本件取消請求に係る指定役務のいずれかについて、日本国内で要証期間に、本件取消請求に係る使用役務のいずれかについて使用していることを証明していない。 したがって、本件商標の使用者は、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかであることが特定することができない。 (2)本件商標の使用に係る役務について 本件使用役務は、本件取消請求に係る指定役務には含まれない。 その他、被請求人は、商標権者又は使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を、本件取消請求に係る指定役務のいずれかについて、日本国内で要証期間に、使用したことを立証していない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標の使用者が、商標権者又は使用権者のいずれかについて特定することができず、また、本件使用役務は、本件取消請求に係る指定役務の範ちゅうに含まれない。 また、被請求人が提出した全証拠によっても、商標権者又は使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を、本件取消請求に係る指定役務のいずれかについて、日本国内で要証期間に、使用したとは認められない。 4 被請求人の主張について 被請求人は、本件商標権者から本件商標の通常使用権の黙示の許諾を受けたQurate社が、本件商標を要証期間に日本国内において、本件使用役務について使用している旨を主張する。 しかしながら、Qurate社が、本件商標の通常使用権者であるとは認められないものであり、かつ、被請求人が、本件取消請求に係る指定役務に含まれると主張する本件使用役務は、いずれも、本件取消請求に係る指定役務の範ちゅうに含まれない。 また、被請求人が提出した全証拠を総合してみても、商標権者又は使用権者のいずれかが、要証期間に本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標を本件取消請求に係る指定役務に、使用していることを証明するものは見いだすことができない。 したがって、被請求人の上記主張は、採用できない。 5 むすび 以上のとおり、被請求人が提出した全証拠によっては、被請求人は、要証期間に、日本国内において、商標権者又は使用権者のいずれかが、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件取消請求に係る指定役務のいずれかについて、商標法第2条第3号各号に規定する使用行為を行ったことを証明していない。 また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品及び指定役務中の「結論同旨の指定役務」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2020-11-26 |
結審通知日 | 2020-12-03 |
審決日 | 2021-03-29 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(W41)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
齋藤 貴博 |
特許庁審判官 |
小俣 克巳 豊田 純一 |
登録日 | 2013-07-18 |
商標の称呼 | クレート、クラテ |
代理人 | 一色国際特許業務法人 |
代理人 | 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 |