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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z03
管理番号 1378889 
審判番号 取消2019-300651 
総通号数 263 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-11-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-08-23 
確定日 2021-10-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4319129号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4319129号商標(以下「本件商標」という。)は,「SNOW BERRY」の欧文字と「スノーベリー」の片仮名を2段に書してなり,平成10年11月10日に登録出願,第3類「化粧品」を指定商品として,同11年9月24日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録は,令和元年9月10日であり,当該登録前3年以内の期間である平成28年9月10日から令和元年9月9日までの間を,以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証(枝番号を含む。)を提出した。なお,審判弁駁書及び審判弁駁書(第2回)で提出された甲第1号証ないし甲第13号証は,甲第3号証ないし甲第15号証と読み替え,審判弁駁書(第3回)で提出された甲第14号証ないし甲第17号証は,甲第16号証ないし甲第19号証と読み替える。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品「化粧品」について継続して3年以上,日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第1号証ないし乙第8号証
ア 本件商標は欧文字「SNOWBERRY」(スペースあり)と片仮名「スノーベリー」の2段書きにより構成されているのに対し,使用商標は欧文字「SNOWBERRY」(スペースなし)のみ,あるいは片仮名「スノーベリー」のみの使用である。
本件商標の欧文字部分「SNOWBERRY」(スペースあり)からは,「雪のベリー」程度の観念が生じるのに対し,欧文字の使用商標「SNOWBERRY」(スペースなし)からは,植物の「セッコウボク」(甲4の1・2)の意味が生じるものであり,両者は観念上同一ではない。
インターネット検索エンジンで「セッコウボク」を検索すると,約5万1600件ものヒットがあり(甲11),また(植物と関係のない「スノーベリー」を排除するため)「植物 スノーベリー」を検索すると,約114万件ものヒットがある(甲12)。これらの検索結果に基づけば,「セッコウボク」や「スノーベリー」という植物が,日本人にとって馴染みがないとはいえないと考えられる。
さらに,ECモール「楽天市場」において「セッコウボク」を検索したところ,いわゆる,健康食品(サプリメント)が多数ヒットした(甲13の1)。これは健康食品の原材料に「セッコウボク」が使用されているからである(甲13の2?5)。一般的に,本件商標の使用商品である「化粧品」の需要者は,美容に関心がある者が多いと考えられる。一方,健康食品(サプリメント)の需要者には美容や健康に関心がある者が多いから,両者の需要者は重複している部分が大きいといえる。そうすると,健康食品の原材料として使用されている「セッコウボク」は,本件商標の指定商品分野の需要者において,相当程度の知られていると考えられる。加えて,「楽天市場」において「スノーベリー」を検索したところ,植物や造花の「スノーベリー」が多数ヒットしているから,「スノーベリー」についても相当程度知られていると考えられる(甲14)。
その上,インターネット検索エンジンで,「スノーベリーセッコウボク」を検索すると,約3130件のヒットがあり(甲15の1),「セッコウボク」の英語名が「スノーベリー」であること等の記述が多数見受けられる。また,「セッコウボク snowberry」を検索した場合も,約921件のヒットがある(甲15の2)。このように,「スノーベリー(snowberry)」が「セッコウボク」の英語名であることは,多数のサイトで紹介されているから,需要者間に十分に認識されていると考えられる。
実際,種々の植物を紹介するウェブサイトにおいて,「SNOWBERRY」が紹介される場合,学名である「Symphoricarpos/シンフォリカルポス」,英名「SNOWBERRY」,和名「セッコウボク」を全て併記するものもあれば(甲17,甲18),単に学名と「SNOWBERRY」のみを記載するものもある(甲19)。そうすると,「SNOWBERRY」はそれ自体が植物名として知られていると考えられるから,仮に「SNOWBERRY」の和訳が「セッコウボク」であることがそれほど知られていないとしても,「SNOWBERRY」から植物名としての観念が生じない,ということにはならない。なお,甲第17号証によれば,「SNOWBERRY」は,切り枝として人気があるということであるから,我が国において相当程度親しまれている植物と考えることができる。
よって,片仮名による使用商標は,本件商標の欧文字部分及び片仮名部分とは観念が異なるため,片仮名の使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。
イ 乙第1号証ないし乙第8号証によれば,使用商標は常に欧文字「aqua」や片仮名「アクア」と一緒に使用されている。乙第13号証のラベル印刷に関する請求書,乙第14号証の物品受領書,並びに乙第15号証のウェブサイトの全てにおいても,常に「スノーベリーアクア」,「スノーベリー アクア」あるいは「SNOWBERRYAQUA」と記載されている。
これらからも明らかなように,使用商標は「SNOWBERRY aqua」「スノーベリー アクア」という商標なのであって,「SNOWBERRY スノーベリー」ではない。
「aqua/アクア」の語は,化粧品との関係で必ずしも記述的な語,識別力に乏しい語とはいえないから(甲3の1・2),このような語を常に付加し,一体的に使用している使用商標は,本件商標とはその要部を異にするものというべきであり,社会通念上同一の商標ということはできない。
(2)乙第9号証ないし乙第12号証
ア 被請求人は,自身が製造販売している「スキンケアシャンプー」は本件商標の指定商品である「化粧品」に含まれる旨主張する。
しかしながら,「類似商品・役務審査基準」によれば,「シャンプー」は,本件商標の登録出願時(平成10年11月10日)においても,現在においても,原則として第3類「せっけん類」に含まれるものであり(甲6,甲7),「化粧品」に含まれる商品ではない。
よって,乙第9号証ないし乙第11号証は,本件商標を「化粧品」に使用していたことの証左とはならない。
イ 上記使用商標「Snow/berry」の使用態様は,まず「S」が大文字で書され,その右側に「S」の約1/4ほどの大きさの文字で下方に「now」,上方に「berry」が記載されているものである。
我が国においては,文字は左から右へ,上から下へ読む,という一般常識が定着していることから,これを当てはめて当該使用商標を読むと「berry/Snow」あるいは「Sberry/now」となるのであり,到底「Snow/berry」とは認識されない。また,仮に「Snow/berry」と認識される可能性があったとしても,欧文字及び片仮名をそれぞれ横一連に2段に書してなる本件商標と,欧文字部分のみを2段に書し(しかも「now」部分が上段である),かつ「S」のみを大きく記載する使用商標とでは,外観が著しく異なるから,両者は要部が共通するとはいえない。
ウ よって,乙第9号証ないし乙第11号証における使用商標は,本件商標と社会通念上同一とはいえない。
(3)乙第13号証
乙第13号証は,有限会社信用ラベルが,被請求人が製品パッケージに貼付するラベルシールを販売したことに関する請求書であり,これ単独では,被請求人が,要証期間内に「化粧品」について本件商標を使用したことの証左にはならない。また,上述のとおり,当該請求書においても,販売したラベルは「スノーベリーアクア」「SNOWBERRY AQUA」と記載されており,本件商標「SNOWBERRY/スノーベリー」(と社会通念上同一の商標)の使用でないことは明らかである。
(4)乙第14号証
ア 「スキンケアシャンプー」の物品受領書について
乙第14号証中,品名が「スキンケアシャンプー」とされているもの(No.100013380,100013416,100013439,100013440,100013441,100013442,100013467,100013468)については,単に「スキンケアシャンプー」と記載されているのみであり,他に品番等で商品が特定されていないことから,そもそも乙第9号証及び乙第11号証に関する商品の物品受領書であるのかどうか,不明である。
また,仮にそうであったとしても上述のとおり,「スキンケアシャンプー」は,「化粧品」に含まれる商品ではない。
さらに,乙第9号証及び乙第11号証に係る商品パッケージには,本件商標と社会通念上同一の商標は使用されていない。
よって,乙第14号証中の上記物品受領書は,本件商標を使用した「化粧品」に属する商品を,被請求人が要証期間内に販売したことの証左とはならない。
イ 「スノーベリー アクア」の物品受領書について
乙第14号証中,品名が「スノーベリー アクア」とされているもの(No.100013415,100013438,100013441,100013466,100013503,100013504)については,単に「スノーベリー アクア」と記載されているのみであり,他に品番などで商品が特定されていないことから,そもそも乙第1号証ないし乙第6号証に関する商品の物品受領書であるのかどうか不明である。また,仮にそうであったとしても上述のとおり,乙第1号証ないし乙第6号証に係る商品パッケージには,本件商標と社会通念上同一の商標は使用されていない。さらに,上述のとおり,物品受領書の記載は「スノーベリー アクア」であり,欧文字「SNOWBERRY」(スペースあり)と片仮名「スノーベリー」の2段書きからなる本件商標とは要部が異なるから,乙第14号証中の上記物品受領書は,本件商標と社会通念上同一の商標が使用された商品に係るものではない。
よって,乙第14号証中の上記物品受領書は,本件商標を使用した「化粧品」に属する商品を,被請求人が要証期間内に販売したことの証左とはならない。
ウ 乙第14号証に係る物品受領書について
乙第14号証は,コクヨ社の品番「ウ-334」という商品のようであり,同社が運営するオンラインサイトによれば「NC複写簿ノーカーボン4枚納品書(請求・受領付き)B6ヨコ型7行50組(品番ウ-334)」という商品のようである(甲8)。コクヨ社のHPから印刷した同商品の中身の画像(甲9)によれば,同商品は,「納品書(控)」「請求書」「納品書」「物品受領書」が複写式で作成可能な伝票であることがわかる。
このような複写式伝票に含まれる乙第14号証の物品受領書は,被請求人自らが,複写式の伝票(納品書,請求・受領書が含まれる)として作成したと考えることが妥当であり,フリースタイル社が作成したとは考えられない。また,乙第14号証に係る物品受領書には,フリースタイル社が間違いなく当該商品を受領した,という事実を確認(推察)できる要素(例えば同社による受領印や受領サイン)もない。
このような物品受領書は,被請求人によって容易に作成可能であるから,乙第14号証は被請求人が本件商標を付した「化粧品」を,要証期間内に販売したことの証左としては不十分である。
乙第14号証の物品受領書においては,「スノーベリーアクア/4000ml」の数量が,品名1の欄で4本,品名2の欄で2本と記載されているのに対し,乙第14号証の2も当該部分の記載は同様だが,単価及び金額の記載は,品名1についてのみであり(それぞれ,1600円,6400円),合計金額も「¥6400」,即ち数量4本分の金額となっていて,品名2の数量については金額が反映されていない。乙第14号証の2においては,全ての納品書(控)について,品名2の数量が合計金額には反映されておらず,乙第14号証の4において,同通し番号の記載においても,品名2の箇所は金額が「0」となっている。その一方で,乙第21号証において,「受領した商品」として列記されている部分,例えば2019年5月22日の日付の品名「スノーベリーアクア4000ml」(これは,上述の通し番号「100013415」に関するものと思われる)は,個数が6となっているが,金額は4本分の「¥6400」となっている。
このように,乙第14号証,乙第14号証の2及び4,並びに乙第21号証は,記載されている数量と金額は表面上合致しているものの,そもそも品名2に記載された数量が,全体の数量に反映されていながら金額としては反映されていないなどの点で,これらの書類内容には疑義がある。
(5)乙第15号証
乙第15号証は,フリースタイル社の取引先である「美容室てんぐ」の通信販売サイトのインターネットアーカイブ画像(2019年9月7日保存)であり,当該画像において,おすすめ商品,売れ筋商品として,「スノーベリーアクア 4L」が掲示されているとのことである。
しかしながら,当該アーカイブ画像が2019年9月7日に保存されたものであったとしても,当該画像に記載されている商品は「スノーベリーアクア」であるから,本件商標と社会通念上同一の商標が使用された商品とはいえない。被請求人は,当該商品は乙第5号証及び乙第6号証に係る商品であると述べているが,画像上の写真は鮮明とはいえない上,他に品番等での特定もないため,当該商品が乙第5号証及び乙第6号証に係る商品であるのかは確認できない。さらに,仮に乙第5号証及び乙第6号証に係る商品であったとしても,上述のとおり乙第5号証及び乙第6号証には,本件商標と社会通念上同一の商標は使用されていないから,いずれにしても,乙第15号証は,本件商標を使用した「化粧品」に属する商品を,被請求人が要証期間内に販売したことの証左とはならない。
「美容室てんぐ」は,フリースタイル社の取引先と記載されているが,この点は何ら証明されておらず,被請求人と「美容室てんぐ」の関係も不明である。被請求人と何ら関係のない者(美容室てんぐ)のブログやオンラインショップに,仮に被請求人が製造販売しているトリートメントリンス(4L,以下,商品1-2という。)と思われる写真が,2019年9月8日(乙15)又は同年6月28日(乙17の1),あるいは同年9月8日(乙17の2)に掲載されていたとしても,当該写真は同年月日以前に撮影したものなのであるから,当該ブログやオンラインショップの写真掲載のみをもって,商品1-2が要証期間に存在していたことの証明にはならない。
(6)以上を総合して勘案すれば,被請求人の提出する各証拠によっては,被請求人により,要証期間内に,本件商標が本件商標の指定商品に業として使用されていることの証明はなされていないため,本件商標登録の取消を免れることはできない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第22号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 被請求人は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を,取消請求に係る指定商品「化粧品」について,要証期間内に日本国内において使用している。
2 使用に係る商品について
乙第1号証ないし乙第4号証は,被請求人が製造販売しているトリートメントリンス(400mL,以下,商品1-1という。)のそれぞれ表面,裏面,裏面左側,裏面右側の写真である。乙第1号証が示すとおり,商品1-1の表面には,ほぼ中央部に「aqua」,上部に「潤いの海のミネラルウォーター」,これらの間に「SNOWBERRY」との記載が認められる。商品1-1は,容器及び内容物が無色透明で,乙第2号証ではラベルの文字が判別しにくいため,乙第3号証及び乙第4号証は,角度を変えて撮影した。乙第2号証ないし乙第4号証が示すとおり,商品1-1の裏面には,上部に「スノーベリー アクア」,その下方に「(化粧品・トリートメントリンス)」,下部に販売元の一つとして「製造発売元 ジャパンケミコ株式会社」との記載が認められる。
乙第5号証,乙第6号証は,商品1-2のそれぞれ表面,裏面の写真である。乙第5号証が示すとおり,商品1-2の表面には,ほぼ中央部に「aqua」,上部に「潤いの海のミネラルウォーター」,これらの間に「SNOW BERRY」との記載が認められる。また,乙第6号証が示すとおり,商品1-2の裏面には,上部に「スノーベリー アクア」,その下方に「(化粧品・トリートメントリンス)」,下部に販売元の一つとして「製造発売元 ジャパンケミコ株式会社」との記載が認められる。
乙第7号証,乙第8号証は,商品1-1及び1-2のそれぞれ表面,裏面に貼付される前のラベルの写しである。乙第1号証ないし乙第6号証に示すとおり,乙第7号証,乙第8号証のラベルは透明であり,乙第7号証,乙第8号証の背面の色は台紙の色である。なお,乙第8号証のラベルは,ラベル中央部に「400mL」との記載が認められるように商品1-1にはそのまま使用しているが,商品1-2に貼付する場合は,乙第6号証が示すように「400mL」との表示を覆うように「4L」と印字された別シールを貼付して使用している。
乙第9号証は,被請求人が製造販売しているスキンケアシャンプー(400mL,以下,商品2-1という。)の写真である。
乙第10号証は,商品2-1の貼付前のラベルの写しである。乙第9号証,乙第10号証が示すように,商品2-1のラベル上部には,大きな文字で「O」,この「O」の左上に小さな文字で「RIGO」,右下に大きな文字で「S」,この「S」の右下に小さな文字で「OAP」の記載が認められ,これらが一体として「ORIGO SOAP」との記載が認められる。そして,この「ORIGO SOAP」の右下に「S」,この「S」の右側に「S」の約1/4ほどの大きさの文字で下方に「now」上方に「berry」の記載が認められ,これらが一体として「Snowberry」との記載が認められる。
また,この「Snowberry」の下方には「スキンケアシャンプー」,ラベル下部には販売元の一つとして「製造販売元 ジャパンケミコ株式会社」との記載が認められる。
乙第11号証は,被請求人が製造販売しているスキンケアシャンプー(1000mL,以下,商品2-2という。)の写真である。乙第12号証は,商品2-2の貼付前のラベルの写しである。乙第11号証,乙第12号証が示すように,商品2-2のラベル右上部には,「オリゴ石鹸シャンプー」,その下方に「ORIGO SOAP」と「SHAMPOO」との記載が認められる。さらに,その下方に「S」と,この「S」の右側に「S」の約1/4ほどの大きさの文字で下方に「now」上方に「berry」の記載が認められ,これらが一体として「Snowberry」との記載が認められる。また,商品2-2のこの「Snowberry」のすぐ下には,「スキンケアシャンプー[オリゴ石鹸シャンプー]」,ラベル下部には販売元の一つとして「製造販売元 ジャパンケミコ株式会社」との記載が認められる。
商品1-1,1-2(乙1?乙6)の「ヘアトリートメントリンス」,商品2-1,2-2(乙9,乙11)の「スキンケアシャンプー」は,本件商標の指定商品である「化粧品」に含まれる。
乙第18号証は,商標権者が埼玉県知事に提出したスノーベリーアクア等の「スノーベリー」シリーズに属する化粧品の化粧品製造製品販売名届書等の表紙である。商標権者は,平成10年から13年にかけて,「スノーベリー」シリーズの頭髪化粧品の化粧品製造製品販売名届書等を提出し,これらについて製造,販売を開始した。なお,本件商標の出願日は,平成10年11月10日であり,これら「スノーベリー」シリーズの各化粧品の届出日と,その時期は一致している。
3 使用商標について
本件商標は,欧文字「SNOW BERRY」と片仮名「スノーベリー」とを二段併記で表示した構成態様からなる商標である。
そして,使用商標は,商品1-1,1-2のとおり「SNOWBERRY」,「スノーベリー」である。
「SNOW」は「雪」を意味する英語として広く知られており,「スノー」はその英語での発音を表したものとして既に日本語化しており,単独または他の語句と組み合わせて日常的に広く使用されている。また,「BERRY」は,「strawberry(ストロベリー)」や「blueberry(ブルーベリー)」など「ベリー類の果物」を意味する英語として広く知られており,「ベリー」はその英語での発音を表したものとして既に日本語化しており,単独または他の語句と組み合わせて日常的に広く使用されている。
そうすると,本件商標の欧文字部分が「SNOW」と「BERRY」の間に半文字程度の空白があっても,下段の片仮名が「スノーベリー」と一連に表示されていることから,本件商標については,「スノーベリー」の称呼及び「雪のベリー」という観念を生じるものである。
そして,被請求人が使用している使用商標「SNOWBERRY」,「スノーベリー」についても,「スノーベリー」の称呼及び「雪のベリー」という観念を生じるものである。
請求人は,使用商標「SNOWBERRY」(スペースなし)からは植物の「セッコウボク」の観念が生じ,本件商標の欧文字部分「SNOW BERRY」(スペースあり)からは「雪のベリー」との観念が生じるから,「SNOWBERRY」(スペースなし)と「SNOW BERRY」とは観念が異なり,社会通念上同一の商標ということはできないと主張する。
甲第4号証が示すとおり,「SNOWBERRY」が植物「セッコウボク」の英名であることは認めるが,令和2年10月1日にインターネット検索サイト(Google)で「セッコウボク」と完全一致検索しても,そのヒット件数はわずか5490件にすぎず(乙20の1),同月12日にインターネット通販サイト(amazon)で「セッコウボク」と検索しても,植物「セッコウボク」に関する商品はヒットしない(乙20の2)。このように,「セッコウボク」という植物は,一般的な日本人にとって馴染みのある植物種とはいえない。
ここで,一般的に知られている植物種の英語名を例記すると,「ginkgo(銀杏)」,「hydrangea(アジサイ)」,「camellia(椿)」,「azalea(ツツジ)」,「tree peony(牡丹)」,「chrysanthemum(菊)」,「dandelion(タンポポ)」等であり,一般的な日本人にとって「セッコウボク」より遥かに馴染みのある植物種であっても,その英語名の認知度が非常に低いことは明らかである。
よって,そもそも植物「セッコウボク」の名称を知っている者は少なく,さらに,「セッコウボク」を知っている者の中でもその英語名が「SNOWBERRY」であることを知っている者はごく一部に限られる。
そのため,英語と植物とについて一般的な知識を有する日本人であれば,「SNOWBERRY」という欧文字を,植物「セッコウボク」の意味を理解するのではなく,「SNOW」を「雪」,「BERRY」を「ベリー類の果物」を意味する英語と理解することが自然であると考える。
そうすると,本件商標と,使用商標「SNOWBERRY」,「スノーベリー」とは,「スノーベリー」の称呼及び「雪のベリー」の観念を同じくするものであるから,社会通念上同一の商標ということができる。
4 使用時期について
乙第13号証は,有限会社信用ラベルが,商標権者へ販売した商品1-1,1-2に使用される乙第7号証,乙第8号証に示すラベルのシール各1000枚についての,令和元年7月25日付け請求書の写しである。
なお,品名「SNOWBERRY AQUA 3色シール」が乙第7号証,「スノーベリーアクア 青1色シール」が乙第8号証に示すラベルのシールである。
乙第14号証は,フリースタイル社が,商標権者から商品1-1,1-2,2-1,2-2を購入し,受領したことを示す物品受領書の写しである。
物品受領書の品名「スノーベリー アクア 業務用袋400ml」,「スノーベリー アクア 4000ml」,「スキンケアシャンプー 400ml」,「スキンケアシャンプー1000ml」が,それぞれ商品1-1,1-2,2-1,2-2に相当する。
乙第14号証が示すように,フリースタイル社は,商品1-1について2019年6月21日,7月8日,7月29日,9月9日付けで,商品1-2について2019年5月22日,7月29日,8月27日付けで,商品2-1について2019年5月23日,7月5日,7月8日,7月16日,8月1日,8月9日付けで,商品2-2について2019年5月7日,6月21日,7月16日付けで,商標権者に物品受領書を発行した。つまり,商標権者は,商品1-1,1-2,2-1,2-2について,これら物品受領書の発行日またはそれ以前にフリースタイル社に販売し,受領されている。
乙第15号証は,フリースタイル社の取引先である「美容室てんぐ」の通信販売サイトのインターネットアーカイヴ画像(2019年9月7日保存:https://web.archive,org/web/20190907155919/http://tengu-herb.shop-pro.jp/)であり,「スノーベリーアクア4L」として掲載されている商品画像が,乙第5号証に示す商品1-2の表面と一致していることは十分に確認できる。
乙第13号証ないし乙第15号証が示すように,商標権者は,要証期間内に日本国内において,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を,化粧品(トリートメントリンス,シャンプー)について使用している。
乙第17号証の1,2は,静岡県藤枝市にある美容室てんぐの経営者であるM氏による,それぞれ2019年6月28日,同年7月16日のブログ記事であり,商品1-2の写真が掲載されている。また,乙第17号証の1,2には,商品1-1,1-2である「スノーベリーアクア」との語句が記載されており,乙第17号証の1には,スノーベリーアクア 400ml(商品1-1)が税込み1296円(本体価格1200円),スノーベリーアクア 4000ml(商品1-2)が税込み4914円(本体価格4550円)であることが記載されている。
さらに,乙第17号証の1と乙第15号証に掲載されている商品1-2の画像は,商品1-2の前方の白い飾り(サンゴ,貝殻)の位置,背景の黒い線等からして同一の画像であり,乙第15号証に掲載されている商品1-2の写真は,乙第17号証の1のブログ記事の掲載日である同年6月28日以前に撮影されている。
これらの事実より,商品1-2,及び商品1-2と同様に取り扱われている商品1-1は,2019年6月28日(乙17の1のブログ記事の公開日)以前にフリースタイル社から美容室てんぐへ譲渡され,美容室てんぐの関係者により商品1-2の写真Aが撮影され,2019年6月28日に写真Aを載せたブログ記事(乙17の1)が公開され,2019年9月8日(乙15の保存日)以前に商品1-2の写真Aが美容室てんぐの通信販売サイトに掲載されている。
よって,商品1-1,1-2は,乙第17号証の1のブログ記事が掲載された2019年6月28日に存在していたことは明らかである。
5 取引書類について
(1)ラベル(乙7,乙8)の取引を示す書類について
商標権者は,有限会社信用ラベルにラベル製造を依頼しており,乙第13号証は,有限会社信用ラベルが商標権者へ販売したラベル(乙7,乙8)各1000枚についての2019年7月31日締めの請求書である。乙第13号証の2(通帳の写し)が示すように,商標権者は,請求書(乙13)に記載の額(31320円)を2019年8月23日にインターネットバンクにより有限会社信用ラベルヘ振り込んでいる(乙13の2に記載の「IB」は,インターネットバンクで振り込んだことを示す)。
なお,請求書(乙13)に記載の取引に関し,商標権者は,有限会社信用ラベルヘの依頼を電話で行っているため注文書は存在しないが,注文書の代わりに電話・FAX等で注文することは,商慣習上,広く行われている。また,その代金はインターネットバンクで振り込んでいるため,領収書を受領していない。
また,このラベルの納品日については,ラベル(乙7,乙8)の代金について請求書(乙13)を受領し,その請求額を支払っていることから,その代金を支払う前(令和元年8月23日以前)にラベル(乙7,乙8)が納品されていることは明らかである。
そして,乙第13号証,乙第13号証の2が示すように,商標権者と有限会社信用ラベルとの間で,要証期間内に商品1-1,1-2に使用するラベル(乙7,乙8)の取引が行われたことは明らかである。
(2)物品受領書(乙14)に対応する取引を示す書類について
乙第14号証の2は,その右上の通し番号の数字から明らかなように,商品1-1,1-2に係る物品受領書(乙14)に対応する複写式の納品書(控)である。なお,商標権者は,一月分の取引を20日締めでまとめる掛売方式で請求を行っている。そのため,物品受領書(乙14),納品書(控)(乙14の2)に対応する複写式の請求書は存在しない。また,フリースタイル社からの支払いも一月分の請求額がまとめて振り込まれているため,物品受領書(乙14),納品書(控)(乙14の2)の各取引に対応する領収書も発行していない。
乙第14号証の3は,フリースタイル社宛ての2019年5月ないし8月分の一月分の商品代をまとめた請求書,乙第14号証の4は,商標権者のフリースタイル社との取引が記録された帳簿,乙第14号証の5は,フリースタイル社からの振込額が記帳された通帳の写しである。なお,帳簿は,会社法,法人税法により,作成,保存することが義務付けられているものであり,その記載内容は正確である。
物品受領書(乙14),納品書(控)(乙14の2),帳簿(乙14の4)を比較すると,例えば,2019年6月21日ないし7月20日までの7月20日締めの取引に関し,物品受領書(乙14),納品書(控)(乙14の2),帳簿(乙14の4)において,品名,数量,単価,金額(ただし,物品受領書(乙14)は,単価,金額を黒塗りしている)が一致している。また,物品受領書(乙14)と納品書(控)(乙14の2)の右上の通し番号(例えば,2019年7月8日付けでは100013441)も,帳簿(乙14の4)の該当取引の差引残高の欄に同一番号が記載されている。よって,物品受領書(乙14),納品書(控)(乙14の2),帳簿(乙14の4)の記載内容は一致している。
さらに,請求書(乙14の3),帳簿(乙14の4),通帳の写し(乙14の5)を比較すると,商標権者は,フリースタイル社に,2019年5月ないし8月分の商品代を請求し,5月分の商品代(264578円)は6月4日に,6月分の商品代(38210円)は6月24日に,7月分の商品代(90439円)は7月29日に,8月分の商品代(32788円)は8月23日に,振り込まれている。なお,6月分の入金について,確認ミスによる帳簿(乙14-4)の記載漏れがあったが,同年12月末に,6月分の請求額が未入金であるのか確認したところ,6月24日に振り込み済みであることが確認できたため,帳簿の第60頁に12月26日付けで「その他訂正6/24振込分」として記載している。
請求人は,物品受領書(乙14)と納品書(控)(乙14の2)に関し,商品数と金額が合致しないから,書類内容に疑義があると主張しているが,これは,請求人とフリースタイル社との間の取引において,いわゆる「商品添付」や「現品添付」という商慣習に基づく取引を行ったためである。この「商品添付」,「現品添付」という商慣習は,注文された数量に加えて,幾つかの商品を無料で上乗せして納品を行う,いわば無料でおまけを付けるようなものであり,特に,被請求人のような中小企業では,一般的に行われている商慣習である。
乙第21号証は,フリースタイル社の取締役であるK氏による宣誓書である。この宣誓書によると,フリースタイル社は,要証期間内である2019年5月ないし8月の間に,被請求人との間でスノーベリー アクア(商品1-1,1-2)を含む商品を有償で譲渡され,その対価を支払っている。
そして,乙第14号証,乙第14号証の2ないし5,乙第21号証が示すように,商標権者とフリースタイル社との間で,要証期間内に商品1-1,1-2の取引が行われたことは明らかなことである。
6 結論
本件商標は,要証期間内に日本国内において,本件商標と社会通念上同一と認められる商標が,被請求人により使用されているものであるから,その登録を商標法第50条の規定により取り消すべきものではない。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)本件商標権者は,化粧品を製造販売する会社であり,埼玉県知事に提出した「化粧品製造製品販売名届書」に「スノーベリー」の文字を使用した「スノーベリー アクア」等の販売名が記載されている(乙18の1・4・5,職権調査)。
(2)商品写真の包装容器の表面(乙5)には,青色の「SNOWBERRY」の文字とその下部の青色長方形内に大きく黄色の「aqua」の文字(以下「本件使用商標」という。)が表示され,その裏面(乙6)には,「スノーベリー アクア」,「海のミネラルウォーター(化粧品・トリートメントリンス)(以下「使用商品」という。)」容量4L《業務用》,製造発売元の欄に本件商標権者の名称及びその住所が表示されている。
(3)2019年(令和元年)6月28日付けの「カウンセリングサロンてんぐ」のブログ(乙17の1)には,「髪と頭皮と肌に良い海のミネラルウォーター『スノーベリーアクア』」の見出しの下,「良質の海塩からできた,この海のミネラルウォーター化粧水『スノーベリーアクア』を広い用途で低コストで日常的に使える最も良い自然派ローションとして,『理・美容室てんぐ』ではお勧めしています。」「400ml…税込1296 本体価格1200」「4L…税込4914 本体価格4550」の記載とともに,包装容器が掲載された写真には,上記(2)と同じ包装容器に本件使用商標が表示されている。
(4)インターネットアーカイブが保存している2019年(令和元年)9月7日付けの「美容室てんぐショップ」のウェブサイト(乙15)には,おすすめ商品として「スノーベリーアクア 4L」「4914円(本体4550円,税364円)」の記載とともに,包装容器が掲載された写真には,上記(2)と同じ包装容器に青色長方形内に「aqua」の文字が表示され,金額は上記(3)の4Lの金額と一致する。
上記(3)(4)によれば,使用商品は,少なくとも2019年(令和元年)6月28日ないし同年9月7日の間において存在していたものといえる。
(5)本件商標権者とフリースタイル社との取引について
ア 令和元年5月22日付けの「No.100013415」とする納品書(控)には,品名「スノーベリー アクア4000ml」が,単価1600円を4本で6400円,同年7月29日付けの「No.100013466」とする納品書(控)には,品名「スノーベリー アクア4000ml」が,単価1600円を4本で6400円,同年8月27日付けの納品書(控)には,「No.100013503」とする「スノーベリー アクア4000ml」が,単価1600円を4本で6400円の記載があり,それらの品名及び数量は,物品受領書の記載と同一である(乙14,乙14の2)。
そして,本件商標権者の帳簿(乙14の4)には,令和元年5月22日の欄に,品名「スノーベリー アクア4000ml」が数量4個,単価1600円で売上金額「6400円」及び「100013415」,並びに数量2個,売上金額「0円」,同年7月29日の欄に,品名「スノーベリー アクア4000ml」が数量4個,単価1600円で売上金額「6400円」及び「100013466」,並びに数量2個,売上金額「0円」,同年8月27日の欄に,品名「スノーベリー アクア4000ml」が数量4個,単価1600円で売上金額「6400円」及び「100013503」,並びに数量2個,売上金額「0円」の記載があり,上記物品受領書及び納品書(控)の日付け,品名,受領及び納品個数並びに1000で始まる通し番号とは一致する。
イ フリースタイル社との取引に関する本件商標権者の帳簿(乙14の4)には,「2019年12月26日 その他 訂正 6月24日振込分 38210入金」,「同年7月29日 振込 90439入金」,「同年8月23日 振込 32788入金」の記載があるところ,入金金額とフリースタイル社取締役K氏による誓約書(乙21)の振込日と振込額とは一致する。
ウ フリースタイル社取締役K氏による宣誓書(乙21)には,2019年5月22日に「スノーベリー アクア 4000ml」を6個受領し,金額6400円及びその消費税512円をはじめ他の商品代金を含む3万8210円を6月24日に,「スノーベリー アクア 400ml」24個を含む9万439円を7月29日に,「スノーベリー アクア 4000ml」6個,6400円,消費税512円を含む3万2788円を8月23日に本件商標権者にそれぞれ振り込んだ旨記載がある。
上記アないしウよりすれば,本件商標権者は,令和元年5月22日,同年7月29日,同年8月27日,フリースタイル社に対し,使用商品(スノーベリー アクア 4000ml)をそれぞれ,各4個販売するとともに2個を無料で納品したものと推認できる(乙5,乙14,乙14の2)。
2 上記1の認定事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)本件商標と本件使用商標の社会通念上の同一性について
本件商標は,「SNOW BERRY」の欧文字と「スノーベリー」の片仮名を2段に書してなるところ,その構成中の「SNOW」の文字は「雪」の意味を,「BERRY」の文字は「(植物)ベリー」の意味を有する英語であるものの,商標全体として,親しまれた意味合いを想起するものとはいい難く,一種の造語として理解されるものである。
そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して,「スノーベリー」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。
他方,本件使用商標は,「SNOWBERRY」の文字とその下部の青色長方形内に大きく「aqua」の文字を表してなるところ,「SNOWBERRY」の文字は,「aqua」の文字と視覚上分離して看取される上に観念的な結びつきはなく,まとまりよく表されていることから,本件使用商標は,「SNOWBERRY」の文字部分のみでもって,看取,把握されるというべきであって,当該文字部分が自他商品の識別標識として機能を果たさないとみるべき事情はない。
そうすると,本件使用商標は,「SNOWBERRY」の文字が自他商品の識別標識としての機能を果たし要部とするものであり,当該文字は,本件商標とその構成中の欧文字部分を共通にするものであるから,「スノーベリー」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。
してみれば,本件使用商標と本件商標とは,称呼を同一にし,かつ,共に造語であるから観念において異なるものではない。
したがって,本件使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。
(2)使用者及び使用商品について
上記1(1)(2)によれば,本件商標権者は,化粧品の製造販売事業を行っている者であり,本件使用商標が付された使用商品の製造発売元の欄に本件商標権者の名称と住所が記載されていることから,使用商品は,本件商標権者の製造に係るものである。そうすると,使用商品に本件使用商標を付したのは本件商標権者と認められる。
したがって,本件使用商標の使用者は,本件商標権者である。
そして,使用商品である「化粧品・トリートメントリンス」は,本件審判の請求に係る指定商品である第3類「化粧品」に含まれるものと認められる。
(3)使用時期について
本件商標権者がフリースタイル社に対して,使用商品(スノーベリー アクア4000ml)をそれぞれ,各4個販売した令和元年5月22日,同年7月29日及び同年8月27日は,いずれも要証期間内である。
(4)小括
以上によれば,本件商標権者は,要証期間内である令和元年5月22日,同年7月29日及び同年8月27日に,使用商品の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を日本国内の取引先に譲渡又は引き渡したものと認められる。
そして,本件商標権者による上記行為は,商標法第2条第3項第2号にいう「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡又は引き渡す行為」に該当する。
3 請求人の主張について
(1)請求人は,乙第14号証,乙第14号証の2及び4,並びに乙第21号証は,記載されている数量と金額は表面上合致しているものの,品名2欄に記載された数量が,全体の数量に反映されていながら金額としては反映されていないなどの点で,これらの書類内容には疑義がある旨主張する。
しかしながら,本件商標権者の帳簿(乙14の4)の品名には,「スノーベリー アクア4000ml」等の商品がすべて2段書きで記載され,上段の品名には単価と売上金額が記載されている一方,下段の品名には,単価が空欄で売上金額が「0」円と記載され,物品受領書と納品書(控)には,「スノーベリー アクア4000ml」等の商品がすべて2段書きで記載されている。また,上段の品名には単価と売上金額が記載(物品受領書はマスキングされている。)されている一方,下段の品名の単価及び金額は空欄である。そして,フリースタイル社の取締役が誓約書に記載した品名の個数は上記帳簿,物品受領書,納品書(控)の品名の上段と下段の合算した個数と認められる。
そうすると,被請求人が主張する,注文された数量に加えて幾つかの商品を無料で納品するフリースタイル社との取引は,一般商取引上,不自然な行為ということはできず,上記帳簿,物品受領書,納品書(控)の下段の品名の数量は,注文数とは別におまけ(サービス)で納品されたものというべきである。
(2)請求人は,本件商標の欧文字部分「SNOWBERRY」(スペースあり)からは,「雪のベリー」程度の観念が生じるのに対し,「SNOWBERRY」(スペースなし)からは,植物の「セッコウボク」の意味が生じるものであり,両者は観念上同一ではない旨主張する。
しかしながら,「SNOWBERRY」の文字は,広く一般に知られている「雪」の意味を有する「SNOW」の文字と,「(植物の)ベリー」の意味を有する「BERRY」の文字を結合したものと容易に認識されるものであり,これに対して請求人が主張する辞書に掲載された「SNOWBERRY」の意味である「(植物の)セッコウボク」は,馴染みがない語といわざるを得ないから,本件商標と本件使用商標のそれぞれの構成中の「SNOWBERRY」の文字は,スペースの有無にかかわらず,造語とみるのが自然であって観念において異なるものではないから,両者は社会通念上同一の商標というべきである。
したがって,かかる請求人の主張はいずれも採用することができない。
4 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標権者が,その請求に係る指定商品「化粧品」について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていたことを証明したというべきである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により取り消すべきではない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲

審理終結日 2021-05-07 
結審通知日 2021-05-14 
審決日 2021-05-25 
出願番号 商願平10-95900 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z03)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 平澤 芳行
岩崎 安子
登録日 1999-09-24 
登録番号 商標登録第4319129号(T4319129) 
商標の称呼 スノーベリー 
代理人 中田 和博 
代理人 山田 泰之 
代理人 中村 理弘 
代理人 青木 博通 
代理人 富所 英子 

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