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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W07
審判 全部申立て  登録を維持 W07
審判 全部申立て  登録を維持 W07
審判 全部申立て  登録を維持 W07
管理番号 1378060 
異議申立番号 異議2020-900074 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-03-10 
確定日 2021-08-05 
異議申立件数
事件の表示 登録第6206207号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6206207号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6206207号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成31年1月22日に登録出願、第7類「内燃機関用点火装置,ピストン(機械用又は機関用の部品),ピストンリング(機関用のもの及び機械要素),バルブ(機械部品),機械用及び原動機用機械部品としてのポンプ及び圧縮機,エンジンマウント(陸上の乗物用のものを除く。),原動機用ベルト,自在継手(カルダン継手),化学機械用・機関用・ボイラー用気化器,軸受(機械部品),機関用シリンダーヘッド,クランク軸,自動注油軸受,電機ブラシ(機械部品),機械用・原動機用又は機関用連接棒,機関用シールジョイント,カムシャフト,原動機用フィルター,原動機用ラジエーター,発電機」を指定商品として、令和元年11月1日に登録査定、同年12月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件商標に係る登録異議申立ての理由において、引用する登録商標(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)は、以下のとおりであり、現に有効に存続している。
(1)登録第2325689号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:昭和63年10月13日
設定登録日:平成3年7月31日
最新更新登録日:令和3年2月4日
指定商品:第7類「動力機械器具(陸上の乗物用のもの及び「水車・風車」を除く。),陸上の乗物用の動力機械の部品,風水力機械器具,機械要素(陸上の乗物用のものを除く。)」及び第12類「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素」(平成14年1月30日書換登録)
(2)登録第2394875号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:昭和63年10月13日
設定登録日:平成4年3月31日
最新更新登録日:平成24年2月21日
指定商品:第12類「自動車の部品及び附属品」(平成14年2月27日書換登録)

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標と引用商標との対比
本件商標は、黒円枠内に様式化された欧文字「i」及び3本の横線が描かれたもの、より具体的には、内部が黒く塗りつぶされた黒円が黒円枠内上部に描かれ、若干の隙間を介して配されて上部先端が外開きの曲線となり先端が細くなっている2本の縦棒が当該黒円を下から支えるかのように黒円枠内に描かれ、3本の横線が当該2本の縦棒の下部に描かれるものである。
一方、引用商標は、黒円枠内に様式化された欧文字「i」が描かれたもの、より具体的には、内部が黒く塗りつぶされた黒円が黒円枠内上部に描かれ、若干の隙間を介して配されて上部先端が外開きの曲線となり先端が細くなっている2本の縦棒が当該黒円を下から支えるかのように黒円枠内に描かれるものである。
すなわち、本件商標と引用商標は、黒円枠内に様式化された欧文字「i」が描かれたもの、より具体的には、内部が黒く塗りつぶされた黒円が黒円枠内上部に描かれ、若干の隙間を介して配されて上部先端が外開きの曲線となり先端が細くなっている2本の縦棒が当該黒円を下から支えるかのように黒円枠内に描かれる点で共通している。
このことは、J-PlatPatの商標検索において、図形等分類を1つ以上の文字を内包する円又は楕円、かつ、特殊な書体で表現された文字(I、i)、かつ、本件商標の参考情報として付されている類似群コードで検索した結果(甲10)において、上述の共通点が看取できる登録商標は、引用商標のみであることからも裏付けられる。
したがって、本件商標と引用商標は、他の図形商標に見受けられない特徴を共通とするものであり、共通する印象を与える互いに類似する商標である。
イ 指定商品の対比
本件商標の指定商品中の「内燃機関用点火装置,ピストン(機械用又は機関用の部品),ピストンリング(機関用のもの及び機械要素),バルブ(機械部品),機械用及び原動機用機械部品としてのポンプ及び圧縮機,エンジンマウント(陸上の乗物用のものを除く。),原動機用ベルト,自在継手(カルダン継手),化学機械用・機関用・ボイラー用気化器,軸受(機械部品),機関用シリンダーヘッド,クランク軸,自動注油軸受,機械用・原動機用又は機関用連接棒,機関用シールジョイント,カムシャフト,原動機用フィルター,原動機用ラジエーター」は、引用商標の指定商品と類似群が共通し、類似と推定されるものである。
また、本件商標の指定商品中「電機ブラシ(機械部品),発電機」と引用商標の指定商品とは、いずれも機械部品であり、機械部品メーカーによっ
て生産され、使用されるものと認められ、生産部門、販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲に共通点が多く、類似する商品といえる。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標は、本件商標登録出願の日前の登録出願に係る他人の引用商標に類似する商標であって、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標の著名性
申立人は、マーレ(MAHLE)グループの中核企業であって、マーレグループは、ドイツに本拠を有する企業グループであり、自動車業界トップクラスの開発パートナー、サプライヤーとして認知され、世界で生産される車両の少なくとも2台に1台は、マーレの製品を搭載している。
マーレグループ全体の年間売上高は約120億ユーロ(約1兆4600億円)、従業員数約77,000人、世界各地に約160か所の生産拠点を展開している(甲11)。
マーレグループは、1968年、イズミ工業株式会社(現社名:マーレエンジンコンポーネンツジャパン株式会社(以下「マーレエンジンコンポーネンツジャパン」という。)との技術提携を手始めに、日本市場に参入し、現在では日本での年間売上高は、約800億円、日本の従業員数約2,200人、日本の生産拠点9か所、日本テクニカルセンター3か所を展開するに至っている(甲12)。
マーレエンジンコンポーネンツジャパンは、大正12年12月に泉自動車製作所として創業し、昭和13年2月に泉自動車工業株式会社が設立され、1968年にマーレグループと技術提携、1988年にイズミ工業株式会社に社名変更し、1998年及び2003年にマーレグループに第三者割当増資を実施し、マーレグループ傘下に入り、2003年に社名をマーレイズミ株式会社に変更し、2005年に社名をマーレエンジンコンポーネンツジャパンに変更して現在に至っている(甲13)。
社名が泉自動車工業株式会社・イズミ工業株式会社であった頃の同社のメインブランドは、IZUMI商標及びアイマーク商標(引用商標)であった。同社は、1980年5月1日に「IZUMI」の文字を円で囲んだ商標(以下、「円IZUMI商標」という。)を「ピストン,シリンダライナー」等について登録出願し、商標法第3条第2項を適用して登録されている(甲5)ことから、「ピストン,シリンダライナー」等について周知著名な商標であることは明らかであり、引用商標も同様の商品につき周知著名な商標であることも明らかである。
イズミ工業株式会社がマーレグループ傘下となった後も、特に自動車業界で高い周知著名性を有するIZUMI商標、アイマーク商標(引用商標)は、申立人の日本を含むアジア向けピストン・シリンダーの包装箱写真(甲14)、申立人のドイツ向けピストン・シリンダーの包装箱写真(甲15)、申立人のIZUMI商標・引用商標が付された製品の写真(甲16)のとおり継続して使用され、日本市場における主要な自動車メーカーを概ね得意先とし(甲17)、日本市場における車両向けピストン、シリンダー等で高いシェアを保ち、日本の商用車メーカー向けのディーゼルピストンにおけるマーレグループのシェアは80%を超え、乗用車メーカーについても(スチールピストンを含む)高いシェアを持っている(甲18)。
以上の事実から、申立人の引用商標は、日本国内において、特に自動車等の車両用ピストン、シリンダー、その他関連部品について周知著名な商標である。
イ 出所誤認混同を生じるおそれ
引用商標は、日本国内において、特に自動車等の車両用のピストン、シリンダー、その他関連部品について周知著名な商標である。
また、本件商標と引用商標は、上記したとおり、類似する商標であって、引用商標は、他に類をみない特徴的なものであるにもかかわらず、本件商標は、当該特徴を共通にするものである。
さらに、本件商標の指定商品は、引用商標が特に周知著名である自動車等の車両用のピストン、シリンダー、その他関連部品と同一、類似又は関連の深い商品である。
以上を総合勘案すれば、本件商標をその指定商品に使用すれば、当該商品が申立人の業務に係る商品と関係があるかの如く、その出所について混同を生じさせるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
申立人(そのグループ企業を含む)の引用商標は、日本国内外において、特に自動車等の車両用のピストン、シリンダー、その他関連部品について周知著名な商標であるところ、本件商標は、引用商標と類似の商標であって、さらに本件商標権者は、申立人の周知著名なIZUMI商標と類似する「CJIZUMI」の文字よりなる商標(以下、「CJIZUMI商標」という。)(甲2)を出願し、中国における申立人所有の登録商標(以下、「申立人中国商標」という。)(甲6?甲9)と酷似する本件商標を出願していることから、本件商標権者は、申立人が有する信用、名声、顧客吸引力等にただ乗りして不正な利益を得る、または、これらをき損させる等により申立人に損害を加える目的、すなわち、不正の目的をもって、本件商標の使用をするものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、特に自動車等の車両用ピストン、シリンダー、その他関連部
品について周知著名な商標である引用商標と類似するばかりか、本件商標は、上記申立人中国商標と酷似するものであり、さらに本件商標権者は、上記円IZUMI商標を含む申立人の周知著名なIZUMI商標と類似するCJIZUMI商標を出願しているものである。
これらのことから、本件商標権者は、申立人が有する信用、名声、顧客吸引力等にただ乗りして不正な利益を得る、又は、これらをき損させる等により申立人に損害を加える目的、すなわち、不正の目的をもって、本件商標を出願したことは明らかである。
このようないわゆる「悪意の出願」に相当するというほかない本件商標の登録出願は、社会的相当性を欠くものであり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば、以下のとおりである。
(ア)申立人は、マーレ(MAHLE)グループの中核企業であって、マーレグループは、ドイツに本拠を有する企業グループである。
(イ)「MAHLE Japan」の公式ホームページにおいて、「マーレは自動車業界トップクラスの開発パートナー、そしてサプライヤーとして世界で活動しています。」、「世界で生産される車両の少なくとも2台に1台は、マーレの製品を搭載しています。」の記載(甲11)、グループ概要(2020年6月1日現在)には、「120億ユーロに及ぶ売上高(日本:800億円)」、「従業員数77,015人(日本:2,200人)」、「世界各地に展開生産拠点約160ケ所(日本:9ケ所)」等の記載(甲12)、主な得意先(2020年1月現在)として、日本の主要な自動車等メーカーの記載(甲17)、事業内容として、「日本の商用車メーカー向けのディーゼルピストンにおけるMAHLEのシェアは80%を超え、乗用車メーカーについても(スチールピストンを含む)高いシェアを持っています。」(甲18)の記載があるが、いずれも本件商標の登録査定後のものであり、かつ、引用商標の表示も見いだせない。
(ウ)申立人は、引用商標が、マーレエンジンコンポーネンツジャパンの旧社名時代のメインブランドであり、現在も継続して使用されている旨主張するとともに、その証拠として、申立人の日本を含むアジア向け及びドイツ向けピストン・シリンダーの包装箱写真(甲14、甲15)及び製品の写真(甲16)を提出しているが、これらには、引用商標が表示されているものの、撮影時期及び使用時期については不明である。また、引用商標の使用数量や使用地域も明らかにされていない。
イ 上記アからすれば、申立人を含むマーレグループは、2020年6月1日現在、世界において120億ユーロの売上高があり、2020年1月現在、主な取引先として、日本の主要な自動車メーカーが存在し、日本の商用車メーカー向けのディーゼルピストンにおけるMAHLEのシェアは80%を超えている旨の記載があるものの、本件商標の登録出願時及び登録査定時のものでない上、その裏付けとなる資料もない。
また、引用商標を使用した製品の売上高、販売実績、広告宣伝の規模等については明らかにされていない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に、引用商標が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、広く認識されていたと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、太い円輪郭内の下方三分の一ほどに当該円輪郭に接する3本の横線を配し、その上に若干の隙間を有し配された上部が外開きで徐々に細くなっていく2本の曲線を当該円輪郭内の中央部分に配し、その上に、若干の隙間を有し、当該外開きの2本の曲線の延長内に納まるように黒円を配してなるものである。
イ 引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、細い円輪郭内のやや左側下から斜めに当該円輪郭内の下方から三分の二ほどまで、上部先端が外開きの曲線となり先端が細くなっている2本の縦棒線を配し、その上に、若干の隙間を有し、当該円輪郭に接する黒円を配してなるものである。
ウ 本件商標と引用商標との比較
本件商標と引用商標とを比較するに、両者は、それぞれ上記ア及びイのとおりの構成からなるところ、本件商標及び引用商標は、円輪郭内の上方に黒円を配している点において共通するとしても、円輪郭の太さ、下方の3本の横線の有無、2本の線の長さ・形状及び黒円の大きさにおいて差異を有するものであるから、視覚的にその印象が相違するものであり、外観上、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
エ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品について
本件商標の指定商品は、前記1のとおりであり、引用商標1の指定商品は、前記2(1)のとおりであり、両商標の指定商品は、同一又は類似の商品であるといい得る。
しかしながら、引用商標2の指定商品は、前記2(2)のとおり、「自動車の部品及び付属品」であり、本件商標の指定商品とは、生産部門、販売部門、用途、需要者の範囲が相違するものであって、類似する商品とはいえない。
オ 小括
以上により、本件商標の指定商品と引用商標1の指定商品が同一又は類似
の商品であるとしても、本件商標の指定商品と引用商標2の指定商品とは類似の商品とはいえない。また、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 引用商標の周知性について
引用商標は、上記(1)のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできないものである。
イ 本件商標と引用商標の類似性の程度について
本件商標と引用商標は、上記(2)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いものというべきである。
ウ 出所の混同のおそれについて
上記ア及びイのとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、需要者の間に広く認識されていると認めることはできないものであり、また、本件商標と引用商標との類似性の程度は低いものである。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者が、引用商標を連想又は想起することはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないとするのが相当である。
その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第19号該当性について
引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国又は外国の需要者の間で、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、広く認識されていたとは認められないものであり、また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、引用商標が需要者の間に広く認識されていたものであることを前提に、本件商標は不正の目的をもって使用するものであるとする申立人の主張は,その前提を欠くものである。
さらに、申立人の提出に係る証拠によれば、本件商標権者による本件商標の使用が引用商標に蓄積された信用、名声、顧客吸引力等にフリーライドし、それらをき損させるものというべき事実は見いだし難いばかりでなく、その他不正の目的をもって剽窃的に本件商標を出願し、登録を受けたと認めるに足りる具体的事実を示す証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
(5)商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、きょう激又は他人に不快な印象を与えるような図形からなるものではない。
また、本件商標は、これをその指定商品に使用することが社会公共の利益や社会の一般的道徳観念に反するものではなく、さらに、その使用が他の法律によって禁止されているもの、外国の権威や尊厳を損なうおそれがあって、国際信義に反するものでもない。
加えて、申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証を総合してみても、本件商標の登録出願の経緯に社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に該当すると認めるに足りる具体的事実も見いだせない。
なお、申立人は、本件商標は、申立人中国商標(甲6?甲9)と酷似するものであり、本件商標権者は、不正の目的をもって、本件商標を出願したものである旨主張しているが、本件商標が、申立人中国商標(甲6?甲9)と酷似するとしても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標権者が引用商標にフリーライドし、不正の利益を得る等、不正の目的をもって本件商標を出願したと直ちに認めることはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(6)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも該当するものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

別掲
別掲1(本件商標)


別掲2(引用商標)



異議決定日 2021-07-29 
出願番号 商願2019-14999(T2019-14999) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W07)
T 1 651・ 22- Y (W07)
T 1 651・ 222- Y (W07)
T 1 651・ 261- Y (W07)
最終処分 維持  
前審関与審査官 谷村 浩幸山川 達央 
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 小田 昌子
茂木 祐輔
登録日 2019-12-13 
登録番号 商標登録第6206207号(T6206207) 
権利者 アザムオートス
代理人 柏 延之 
代理人 高田 泰彦 
代理人 砂山 麗 
代理人 本宮 照久 
代理人 朝倉 悟 
代理人 宮嶋 学 
代理人 中村 行孝 
代理人 矢崎 和彦 

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