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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W3032
審判 全部申立て  登録を維持 W3032
審判 全部申立て  登録を維持 W3032
管理番号 1378054 
異議申立番号 異議2021-900082 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2021-03-05 
確定日 2021-09-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第6326851号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6326851号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6326851号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおり「フルーツハーブさんざし」の文字及び「Fruit Herb sanzashi」の文字を二段に書してなり,令和元年11月5日に登録出願,第30類「サンザシを使用した茶,サンザシを使用したハーブティー」及び第32類「サンザシを使用した清涼飲料,サンザシを使用した果実飲料,サンザシを使用した飲料用野菜ジュース,サンザシを使用したシロップ」を指定商品として,同2年11月13日に登録査定,同年12月9日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,その指定商品について商標法第3条第1項第2号,同項第3号又は同項第6号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は,「フルーツ(Fruit)」と「ハーブ(Herb)」と「さんざし(sanzashi)」の語からなるものと理解され,「フルーツ」の文字は「くだもの。果実。」(甲2),「ハーブ」の文字は「薬草・香味料とする草の総称。」(甲3),「さんざし」の文字は「バラ科の落葉低木。中国の原産。庭木として栽培。高さ約1.5メートル。枝には短毛と所々にとげがある。春,ウメに似た五弁白色の花を開き,秋,黄色の果実を結ぶ。果実は薬用。」(甲4)の意味を持つ語である。
また,「Wikipedia」のウェブサイトにおける「サンザシ」のページ(甲5)の「利用」の項において,「熟すると赤くなる果実は生薬になり,山査子(さんざし)とよばれる。果実酒,ドライフルーツなどの用途がある。」,「サンザシや近縁のオオミサンザシ(C.pinnatifida)の干した果実は,生薬名で山査子/山▲子(審決注:「▲」はきへんに査。以下同じ。)(さんざし)といい,健胃,整腸,消化吸収を助ける作用があると考えられている。秋(9-10月ころ)に完熟前の果実を採取して核を取り除き,天日で乾燥して作られる。漢方としては高血圧,健胃効果があるとされ,加味平胃散(かみへいいさん),啓脾湯(けいひとう)などの漢方方剤に使われる。」,「民間では,食べ過ぎでも油ものや肉を消化してくれる薬草として用いられ,健胃,消化,軽い下痢に,山査子1日量5-8グラムを水200-600ccでとろ火で半量に煎じ,1日に食間3回,温かいうちに服用する用法が知られている。二日酔いや食あたりに同様の煎じ汁を飲むのもよいと言われている。」,「近縁種のセイヨウサンザシ(C.oxyacantha)の果実や葉は,ヨーロッパではハーブとして心悸冗進,心筋衰弱などの心臓病に使われる。」の記載がある。
これらの記載から,「さんざし」(の果実)は,ハーブ(薬草(薬効のある植物))として利用されるフルーツ(果実)であることが理解される。 本件商標は,普通名称である「フルーツ(Fruit)」の文字,「ハーブ(Herb)」の文字及び「さんざし(sanzashi)」の文字の羅列にすぎず,これを本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品が「薬効のある果実であるさんざしを使用した商品」であると理解し,当該商品の原材料又は品質を表したものと認識するにとどまり,何人かの業務に係る商品であるかを認識することができないものである。
なお,仮に,本件商標自体としては造語であるとしても,本件指定商品との関係において,それを構成する各語の語義から「薬効のある果実であるさんざしを使用した商品」の意味合いを有する複合語として認識される。
(2)商標法第3条第1項第3号又は同項第6号について
本件商標も,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといえると認定した過去の審決(甲6)及び審査例(甲7)と同様に認定されるべきである。
すなわち,本件商標を構成する「フルーツ」,「ハーブ」及び「さんざし」の各文字は,すべて,本件指定商品に使用される原材料を表すものであるから,需要者は「『フルーツ』,『ハーブ』及び『さんざし』を原材料とする茶,ハーブティー,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,シロップ」であると理解するにとどまり,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない。
なお,本件商標は,「フルーツハーブさんざし」の片仮名及び平仮名を一連に横書きし,その下に「Fruit Herb sanzashi」の英文字を横書きしたものであるが,片仮名又は平仮名の各語と英文字の各語の対応は明確であり,そのような本件商標の構成を理由として,本件商標が自他商品の識別標識としての機能を果たし得ると認められるものではない。
よって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当するものである。
(3)商標法第3条第1項第2号又は同項第6号について
「フルーツハーブウォーター」(甲8,甲9),「フルーツハーブティー」(甲10,甲11),「フルーツハーブカクテル」(甲12)のように,「フルーツハーブ」の文字と普通名称を結合したものは,一般的に,慣用商標として使用されている。また,インターネットの検索エンジン「Google」で,「フルーツ」,「ハーブ」及び「さんざし」の各語を組み合わせて検索すると,各語が並記された製品が多数販売されている。
「NDC online」のホームページ(甲13)では,さんざし又はさんざし果汁が含まれる飲料として,「フルーツハーブさんざし 1L」,「フルーツハーブさんざし 2L」及び「フルーツハーブさんざし希釈タイプ」が販売されている。株式会社NDCは,本件商標の商標権者ではない。
「いきいき長寿.com」のホームページ(甲14)では,ラベルに「山▲子」と記載されたさんざし飲料((株)NDC社製)が「特選フルーツハーブさんざし」と表示して販売されている。
「楽天市場」における「LIFE Beaute」というショップのウェブサイト(甲15)では,商品「さんざしドリンク」について「フルーツハーブさんざし」と表示して販売されている。当該商品の製造者(株式会社F’sビューティー)は,本件商標の商標権者ではない。また,甲第15号証の6ページの中下段には「フルーツハーブさんざし Q&A」と表示されたリンクも設けられている。さらに,7ページでは「フルーツハーブ」という検索用文字が記載されており,「フルーツ」の文字と「ハーブ」の文字を組み合わせて「フルーツハーブ」と表示されることがあり,「フルーツハーブ」の文字から「薬効のある果実類」をイメージすることができる。
また,「フルーツハーブさんざし」の商品レビュー(甲16,甲17)には2008年10月11日のレビューがあり,「フルーツハーブさんざし」なる商品が,2008年10月11日以前よりそして現在においても販売されていることが示されている。
そして,甲第13号証ないし甲第17号証から,「フルーツハーブさんざし」の文字は,本件商標の登録前より本件商標の商標権者以外の者(同業者,取引者及び需要者)により,さんざしを使用した商品について,当該商品を表示する文字として当該商品に付することが一般的に行われている。
このように,「フルーツハーブさんざし」の文字は,本件指定商品中,「サンザシを使用した清涼飲料,サンザシを使用した果実飲料」について,本件商標の登録出願日の前より,そして現在も使用されているものであって,いわゆる慣用商標若しくは何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標であるから,このような商標に商標権を付与することは,当業者及び市場において,混乱を生じさせることになる。
なお,本件商標は,「フルーツハーブさんざし」の片仮名及び平仮名を一連に横書きし,その下に「Fruit Herb sanzashi」の英文字を横書きしたものであるが,片仮名又は平仮名の各語と英文字の各語の対応は明確であり,そのような本件商標の構成を理由として,本件商標が慣用商標ではないと認められるものではない。
よって,本件商標は,商標法第3条第1項第2号又は同項第6号に該当する。
(4)商標法第3条第1項第6号について
本件商標の指定商品の需要者等は,「フルーツハーブさんざし」の文字について,「フルーツ」の文字は「果実」を想起し,「ハーブ」の文字は「薬草」を想起し,これらの文字を結合した「フルーツハーブ」の文字全体としては「薬効のある果実類」を意味するものと認識する。
そして,本件商標は,その指定商品との関係で,商品の原材料又は品質と理解される「フルーツハーブ」の文字と,商品の具体的な原材料と理解される「さんざし」の文字を単に結合させたものである。なお,甲第13号証ないし甲第17号証において,「フルーツハーブ」の文字と,具体的な果実名である「さんざし」の文字とを結合した文字が用いられていることは,そのような語句が自他商品の識別標識としての機能を有しない根拠となるものであり,そのような文字について独占的使用を許すことは相当でない。
このように,本件商標の構成中「フルーツハーブさんざし」の文字は,本件指定商品の原材料又は品質を一般的に説明しているにすぎず,本件指定商品の需要者等において,他人の同種商品と識別するための標識であるとは認識し得ないものというべきであるから,本件指定商品に使用されるときには,自他商品の識別機能を有しないものである。
また,過去の審査例(甲20)において, 「フルーツハーブ」の文字は,第30類「菓子及びパン」について,単に商品の原材料,品質を表したものとして登録が認められておらず,そのために「フルーツハーブさんざし」の文字についても,本件指定商品との関係で,商品の原材料を表したものである「さんざし」の文字と,商品の原材料又は品質であると理解されている「フルーツハーブ」の文字を単に結合させたものであるから,自他商品の識別機能を有しないものである。
よって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。

3 当審の判断
(1)「フルーツハーブさんざし」の文字及び「Fruit Herb sanzashi」の文字の使用状況について
ア 申立人提出の本件商標の登録査定前の証拠によれば,以下のとおりである。
(ア)「広辞苑第四版」(株式会社岩波書店)には,「フルーツ」の文字は「くだもの,果実」の,「ハーブ」の文字は「薬草・香味料とする草の総称」の,「さんざし」の文字は「バラ科の落葉低木」の意味をそれぞれ有する語として記載されている(甲2?甲4)。
(イ)フリー百科事典「Wikipedia」の「サンザシ」の項において,「バラ科サンザシ属の落葉低木」の記載がある(甲5)。
(ウ)「Yahoo!JAPAN ショッピング」における「ミントマジック養生庵」のウェブサイトにおいて,「フルーツハーブウォーター:サザン」という商品が販売されている(甲8)。
(エ)「クックパッド」のウェブサイトにおいて,果物とハーブを原材料とする飲料を「フルーツハーブウォーター」と称し,その作り方が,「日東紅茶」のウェブサイト及び「沢屋オンラインショップ」のウェブサイトにおいて,果物を加味してなるハーブティーを「フルーツハーブティー」と称し,その作り方が,また,「エスビー食品株式会社」のウェブサイトにおいて,果物とハーブを原材料とするカクテルを「フルーツハーブカクテル」と称し,その作り方がそれぞれ掲載されている(甲9?甲12)。
(オ)「株式会社NDC」のウェブサイトにおいて,「取り扱い商品」として,「さんざし商品一覧」の見出しの下,「フルーツハーブさんざし」という商品名の「さんざしを原材料として使用した飲料」が掲載されている(甲13)。
(カ)「いきいき長寿.com」のウェブサイトにおいて,「特選フルーツハーブさんざし」という商品名の「さんざしを原材料として使用した飲料」が販売されている(甲14)。
(キ)「楽天市場」における「LIFE Beaute」のウェブサイトにおいて, 「HAWTHORN BERRY 天然サンザシ果実ドリンク」という商品名の「さんざしを原材料として使用した飲料」が販売されている(甲15)。
(ク)「楽天市場」のウェブサイトにおける「Rakutenみんなのレビュー」のページにおいて,「フルーツハーブさんざし4本セット【送料無料】(プチテング)」及び「フルーツハーブさんざしポーションタイプ(30個入り)(プチテング))」という商品について,それぞれ口コミがされており,それらの中で一番古い投稿は2008年10月11日付けのものである(甲16,甲17)。
イ 上記アの事実よりすれば,「果物及びハーブを原材料として用いた飲料」について,「フルーツハーブ」の文字と飲料の一般名称を組み合わせて「フルーツハーブウォーター」,「フルーツハーブティー」,「フルーツハーブカクテル」のように表示すること(甲9?甲12)や,「さんざしを原材料として使用した飲料」の商品名又はその一部として「フルーツハーブさんざし」の文字が使用されることがあるものの,その使用例はわずか4件にすぎず(甲13?甲17),当該文字が「さんざしを原材料として使用した商品」を示す文字として広く知られているとはいい難い。また,「さんざしを原材料として使用した飲料」について,「Fruit Herb sanzashi」の文字の使用は確認できない。
そして,当審において職権をもって調査するも,本件商標の登録査定時に本件指定商品を取り扱う業界において,「フルーツハーブさんざし」及び「Fruit Herb sanzashi」の文字(以下,これらをまとめて「両文字」ということがある。)が「さんざしを原材料として使用した商品」について慣用された商標として,あるいは当該商品の具体的な品質等を表示するものとして一般に使用されている事実は発見できず,さらに,本件商標に接する取引者,需要者が,両文字を商品の品質等を表したものと認識するというべき事情や,両文字が商品の宣伝広告や企業理念・経営方針等を表示する標章として使用されているという事実も見当たらない。
(2)商標法第3条第1項第2号該当性について
本件商標は,上記1のとおり,「フルーツハーブさんざし」の文字及び「Fruit Herb sanzashi」の文字からなるところ,両文字は,上記(1)イのとおり,本件指定商品の分野で「さんざしを原材料として使用した商品」について慣用された商標を表すものとして,広く使用され,知られているとはいい難い。
したがって,本件商標は,その指定商品について慣用されている商標とはいえないから,商標法第3条第1項第2号に該当しない。
(3)商標法第3条第1項第3号該当性について
本件商標は,上記1のとおり,「フルーツハーブさんざし」の文字及び「Fruit Herb sanzashi」の文字からなるところ,両文字は,いずれも同じ書体,同じ大きさで等間隔に表されているものであり,それぞれが外観上まとまりよく一体的に表されたものである。
そして,本件商標の構成中「フルーツ(Fruit)」の文字は「くだもの。果実。」の,「ハーブ(Herb)」の文字は「薬草,香味料とする草の総称」の,「さんざし」の文字は「バラ科の落葉低木」の意味を有する語であり(いずれも「広辞苑第七版」株式会社岩波書店),「sanzashi」の文字は「さんざし」の文字をローマ字表記したものであるとしても,これらを結合した両文字の上記構成においては,これに接する取引者,需要者は,いずれも特定の意味合いを想起させることのない一体不可分の造語として認識し,把握するとみるのが相当である。
さらに,両文字は,上記(1)イのとおり,本件指定商品の分野において,「さんざしを原材料として使用した商品」の具体的な品質等を表示するものとして取引上一般に使用されている事実は発見できず,さらに,本件商標に接する取引者,需要者が,両文字を商品の品質等を表したものと認識するというべき事情も見当たらない。
そうすると,本件商標は,商品の品質等を表示するものということはできず,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(4)商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は,上記1のとおり,「フルーツハーブさんざし」の文字及び「Fruit Herb sanzashi」の文字からなるところ,上記(3)のとおり,商品の品質等を表示したものと認識されることはなく,また,上記(1)イのとおり,本件商標の指定商品について,両文字が商品の宣伝広告や企業理念・経営方針等を表示する標章として使用されているという事実や,本件商標に接する取引者,需要者が両文字を自他商品の識別標識とは認識しないというべき事情も見当たらない。
そうすると,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当であるから,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものとはいえない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第6号に該当しない。
(5)申立人の主張について
申立人は,商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するものとした過去の審判決例(甲6,甲18,甲19)を挙げて,本件商標も同号に該当する旨主張している。
しかしながら,これらの審判決例は,本件商標とは構成文字が異なるものであって,かつ,具体的事案の判断においては,過去の登録例等に拘束されることなく,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と取引の実情に応じて個別的に判断されるべきであるから,これらの事例の存在によって,上記(3)及び(4)の認定判断が左右されるものではない。
したがって,申立人の主張は採用することができない。
(6)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第2号,同項第3号及び同項第6号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。

別掲

別掲(本件商標)



異議決定日 2021-08-31 
出願番号 商願2019-140864(T2019-140864) 
審決分類 T 1 651・ 12- Y (W3032)
T 1 651・ 16- Y (W3032)
T 1 651・ 13- Y (W3032)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉野 晃弘加藤 優紀 
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 鈴木 雅也
須田 亮一
登録日 2020-12-09 
登録番号 商標登録第6326851号(T6326851) 
権利者 株式会社スタイルクリエイト
商標の称呼 フルーツハーブサンザシ、フルーツハーブ 
代理人 特許業務法人あいち国際特許事務所 

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