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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1378053 
異議申立番号 異議2020-900202 
総通号数 262 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-10-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-08-13 
確定日 2021-09-11 
異議申立件数
事件の表示 登録第6254312号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第6254312号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第6254312号商標(以下「本件商標」という。)は,「Kclear」の文字を標準文字で表してなり,平成31年4月10日に登録出願,第3類「化粧品,化粧水,パック用化粧料,スキンローション,化粧用クリーム,スキンホワイトニングクリーム,脱毛クリーム,除毛クリーム,美白クリーム,肌美白用剤,ボディーローション,ボディケア用の美容クリーム,ボディケア用化粧品,ヘアークリーム,ヘアースプレー,ヘアートニック,ヘアートリートメント,ヘアーリンス,育毛効果を有する頭髪用化粧品,育毛効果を有する頭皮用化粧品,育毛料,入浴剤(医療用のものを除く。),バスソルト,バスオイル,香水類」を指定商品として,令和2年4月28日に登録査定,同年5月26日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人が引用する商標
(1)登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用する登録第6104184号商標(以下「引用商標」という。)は,「CLEAR」の文字を標準文字で表してなり,平成27年10月16日に登録出願,第3類「頭髪用化粧品,シャンプー,コンディショナー,ヘアートニック,ヘアローション,髪用トリートメント,ヘアマスク」を指定商品として,同30年12月7日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
(2)申立人が登録異議の申立ての理由において,本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして引用する商標は,以下のとおりである。
ア 「CLEAR」の欧文字を横書きしてなる商標(以下「使用商標1」という。)
イ 別掲1のとおりの構成態様で「CLEAR」の欧文字を表してなる商標(以下「使用商標2」という。)
ウ 別掲2のとおりの構成態様で「CLEAR」の欧文字を表してなる商標(以下「使用商標3」という。)
エ 「クリア」の片仮名を横書きしてなる商標(以下「使用商標4」という。)
以下,アないしエをまとめていうときは「使用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由(要点)
申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第659号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,引用商標と類似する。また,本件商標は,需要者の間に広く認識された引用商標をその構成に含んでいる。
本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品中「頭髪用化粧品,コンディショナー,ヘアートニック,ヘアローション,髪用トリートメント,ヘアマスク」と同一又は類似する。
引用商標は,本件商標の出願日より前に登録出願された商標であることは明らかである。
よって,本件商標は,引用商標との関係において商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
使用商標は,本件商標の出願日以前より,日本及び外国において申立人の商品を表示するものとして,需要者・取引者の間に広く認識されてきた周知著名な商標である。本件商標は,需要者の間で周知著名となっている使用商標と類似である。
また,本件商標の指定商品は,申立人が提供する商品と同一又は類似する商品である。さらに,本件商標の指定商品の需要者・取引者と申立人の業務に係る商品・役務の需要者・取引者は共通している。
したがって,本件商標がその指定商品に使用される場合,申立人の業務に係る商品・役務と混同を生ずるおそれがある。つまり,本件商標をその指定商品に使用することにより,需要者・取引者が申立人の業務に係る商品・役務であると誤認し,出所を混同するおそれがある。また,本件商標を使用した商品の提供が,申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品・役務であると誤認し,出所を混同するおそれがある。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)使用商標の周知著名性について
ア 申立人の主張及び提出した証拠によれば,以下のとおりである。
(ア)申立人は,オランダとイギリスに本拠を有する多国籍企業であり,ヘアケア製品,化粧品,飲食料品,洗剤,トイレタリーなどの商品を製造・販売する企業である(甲3)。
(イ)申立人は,「LUX」,「Axe」,「Dove」等多数のブランドを展開しているところ(甲4),「CLEAR」なるブランドの下,海外においては2005年にシャンプー,コンディショナー等のヘアケア製品,頭皮のケア製品を販売開始したとされるが(甲7),我が国では,同ブランド下,容器の正面に使用商標2又は使用商標3と同一の構成態様で「CLEAR」の文字からなるロゴが付されたシャンプー及びコンディショナー(以下「申立人商品」という。)が2014年4月に発売された(甲5,甲6)。
(ウ)我が国では,2014年4月の申立人商品の発売当初から2016年にかけて,経済誌,ファッション誌,スポーツ誌等の雑誌の広告(甲8?甲55,甲261?甲290),ウェブサイトにおける記事(甲56?甲140),新聞広告(甲241?甲260)において,女優,プロスポーツ選手等を起用して,宣伝広告が行われ,これらの広告には申立人商品の画像や使用商標2又は使用商標3と同様の構成態様で表された「CLEAR」の文字からなるロゴが掲載されるとともに,テレビコマーシャル(甲658)においても,申立人商品や「CLEAR」の文字からなるロゴの画像が放映され,2014年度上半期の企業別,関東民放5放送局テレビCMオンエアランキングでは,「ユニリーバ・ジャパン」の「クリア」が1位にランキングされた(甲95)。
(エ)2015年に開催された国内各地のお祭りやイベント会場で行われた申立人商品のキャンペーンにおいて,使用商標2又は使用商標3を付した申立人商品のシャンプーやコンディショナーの容器をかたどった看板等が用いられた(甲641?甲646等)。
(オ)申立人商品は,少なくとも2018年4月において,複数のオンラインショッピングサイトに掲載され(甲150?甲171等),また,ドラッグストア,薬局等の販売店の店舗内で商品として展示された(甲659)。
しかしながら,申立人商品の販売実績については,雑誌記事に「発売3カ月の出荷数量は1000万本に達した。」の記載(甲51)があり,また,申立人が提出したユニリーバ・ジャパン作成の「CLEAR ロゴ露出 2014年広告活動」及び「CLEAR ロゴ露出 2015年広告活動」と題する各資料中に「販売本数 500万本(2016年5月時点)」との記載があるものの,これらの数量を裏付ける根拠や,2014年4月以降の我が国における申立人商品の販売事実については何ら記載がない(甲141,甲142)。
その他,申立人商品の我が国での売上高,販売数,市場シェアなど販売実績を示す具体的な証左は見いだせない。
(カ)また,使用商標1及び使用商標4を構成する欧文字「CLEAR」及び片仮名「クリア」は,申立人商品の広告やインターネット記事情報中に商品名を記述的に表すための記載として用いられているものの,「頭髪用化粧品,シャンプー,コンディショナー,ヘアートニック,ヘアローション,髪用トリートメント,ヘアマスク」を含む申立人の業務に係るヘアケア製品,頭皮のケア製品について,これらの文字が具体的な態様で商標として使用されている証拠は見いだせない。
イ 上記アによれば,使用商標2及び使用商標3は,申立人商品に使用する商標であり,当該申立人商品は,我が国においてウェブサイト及び店舗を通じて一定の数量が販売されていることがうかがえる。
また,使用商標2及び使用商標3は,申立人商品の発売当初に行われた雑誌,インターネット,新聞,テレビやキャンペーンにおける宣伝広告において使用された結果,申立人商品を表す商標として一定範囲の需要者,取引者に知られていたことがうかがえる。
しかしながら,平成26年(2014年)4月の発売当初から本件商標の登録査定時である令和2年(2020年)4月までの申立人商品の販売期間は,6年間程度にすぎないものである上,その間の我が国での売上高,販売数,市場シェアなどは明らかでなく,販売実績を示す証左も見いだせないから,使用商標2及び使用商標3は,その周知著名性を客観的に推し量ることができず,需要者,取引者の間で広く認識されているものと認めることはできない。
さらに,使用商標1及び使用商標4は,これらの構成する欧文字「CLEAR」及び片仮名「クリア」が商標として使用されている証拠は見いだせないから,使用によって周知著名性を獲得したものということはできない。
そうすると,使用商標2及び使用商標3を含む使用商標は,いずれも,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者,取引者の間に広く認識されている商標であると認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標
本件商標は,前記1のとおり,「Kclear」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字は,同じ大きさで,間隔なく,横一列にまとまりよく表されており,特定の意味を有する成語として辞書等に採録された語とはいえないことから,一種の造語を表してなるものと認識,看取されるものである。
そして,本件商標は,上記のとおり,まとまりよく表された構成からなるから,特定の文字部分が自他商品の出所識別標識として強い印象を与えるものではなく,また,特定の文字部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じるともいえないから,商標の構成部分の一部を抽出し,その部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは適切ではない。
そうすると,本件商標は,その構成文字全体に相応して「ケイクリア」の称呼が生じ,特定の観念は生じないものである。
イ 引用商標
引用商標は,前記2(1)のとおり,「CLEAR」の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,「澄んだ,透明な,きれいな」の意味を有する英語であり(「コンサイス英和辞典 第13版」株式会社三省堂。以下同じ。),その構成文字に相応して「クリア」の称呼を生じ,「澄んだ,透明な,きれいな」の観念を生じるものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は,それぞれ上記ア及びイの構成からなるところ,外観においては,第1文字の「K」の有無や大文字又は小文字であるという点において構成文字が異なるものであり,両商標は判然と区別できるものである。
また,称呼においては,語頭における「ケイ」の音の有無により明瞭に聴別できるものである。
さらに,観念においては,引用商標から「澄んだ,透明な,きれいな」の観念を生じるのに対し,本件商標は特定の観念を生じないから,両商標は相紛れるおそれはないものである。
してみれば,本件商標と引用商標とは,外観において判然と区別でき,称呼においても明瞭に聴別でき,かつ,観念において相紛れるおそれはないものであるから,商品の出所について誤認混同を生ずるおそれはないというべきであって,本件商標と引用商標は非類似の商標とみるのが相当である。
エ 申立人の主張について
申立人は,本件商標は需要者,取引者の間で広く認識された申立人の引用商標「CLEAR」と「K」の1文字を結合した商標であるとして,本件商標が引用商標と類似する旨を主張する。
しかしながら,引用商標とつづりを同じくする使用商標1ないし使用商標3は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者,取引者の間に広く認識されている商標であるとは認めることはできないから,かかる申立人の主張は採用することができない。
オ 小括
以上より,本件商標は,引用商標と非類似の商標であるから,その指定商品が同一又は類似のものであるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号該当性について
ア 使用商標の周知著名性について
上記(1)のとおり,使用商標2及び使用商標3は申立人商品に使用する商標であり,宣伝広告において使用された結果,申立人商品を表す商標として一定範囲の需要者,取引者に知られているとしても,これらの商標を含む使用商標は,いずれも,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,我が国の需要者,取引者の間に広く認識されている商標であるとは認めることはできない。
イ 本件商標と使用商標との類似性の程度について
本件商標は,上記(2)アのとおり,一体不可分の「Kclear」の文字よりなるものであり,使用商標1ないし使用商標3は,「CLEAR」の文字(使用商標2及び使用商標3は,赤色及び緑色の背景に「C」の文字が「LEAR」の文字に比して大きく表されている。)を表してなるところ,両商標は,「clear」部分のつづりを共通にするとしても,構成態様において明確に相違し,外観において相紛れるおそれはない。また,上記(2)ウと同様の理由により称呼及び観念においても相紛れるおそれはない。
そして,使用商標4は,「クリア」の文字を表してなるところ,これより「クリア」の称呼及び「澄んだ,透明な,きれいな」の観念を生じるものであり,本件商標とは,文字種の相違により外観において相紛れるおそれはない。また,上記(2)ウと同様の理由により称呼及び観念においても相紛れるおそれはない。
したがって,本件商標と使用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点についても,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり,別異の商標であるから,類似性の程度は低いものである。
ウ 使用商標の独創性について
使用商標を構成する「CLEAR」の文字は,「澄んだ,透明な,きれいな」の意味を有する英語を表した成語であり,「クリア」の文字はその片仮名表記にすぎないから,使用商標の独創性は高いものとはいえない。
エ 本件商標の指定商品と申立人の業務に係る商品の関連性,需要者の共通性について
本件商標の指定商品と,使用商標2及び使用商標3が使用される「シャンプー」,「コンディショナー」等のヘアケア製品とは,共にヘアケア用の化粧品や育毛料等を使って頭皮,頭髪を整える商品を含み,商品の生産,販売部門,用途,流通経路を共通にする関連性の程度が高いものである。そして,両商品の需要者は主として一般消費であるから,需要者層は共通するものといえる。
オ 出所の混同のおそれについて
使用商標は,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表すものとして,我が国の需要者,取引者の間に広く認識されていたものと認めることができないものである。
また,使用商標は,上記ウのとおり,独創性が高いものとはいえず,さらに,上記イのとおり,本件商標と使用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点についても,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであり,別異の商標であって,類似性の程度は低いものである。
そうすると,使用商標2及び使用商標3が使用されている商品と本件商標の指定商品とが,その需要者を共通にし,関連性を有するとしても,本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用をした場合,これに接する取引者,需要者が,使用商標を連想,想起し,申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係のある者の業務に係る商品であると誤認し,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず,他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲
別掲1(使用商標2 色彩は異議申立書参照)


別掲2(使用商標3 色彩は異議申立書参照)


異議決定日 2021-04-27 
出願番号 商願2019-50107(T2019-50107) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W03)
T 1 651・ 263- Y (W03)
T 1 651・ 271- Y (W03)
T 1 651・ 262- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 日向野 浩志 
特許庁審判長 平澤 芳行
特許庁審判官 鈴木 雅也
佐藤 松江
登録日 2020-05-26 
登録番号 商標登録第6254312号(T6254312) 
権利者 株式会社Kanael
商標の称呼 ケイクリア 
代理人 達野 大輔 
代理人 中山 真理子 
代理人 竹中 陽輔 

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