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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
審判 全部申立て  登録を維持 W03
管理番号 1376987 
異議申立番号 異議2020-900049 
総通号数 261 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2021-09-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2020-02-21 
確定日 2021-06-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第6204338号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第6204338号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第6204338号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成30年11月22日に登録出願され、第3類「化粧品,シャンプー,洗顔クレンザー,浴用ローション,バスローション(化粧品),ボディーシャンプー,バスソルト,精油,ハンドクリーナー,痩身用化粧品,織物柔軟剤(洗濯用のもの),保湿用ローション(化粧品),保湿用乳液,肌用保湿化粧品,芳香剤,制汗用化粧品,日焼け止め用化粧品,美顔用パック,化粧用の顔用クリーム,つけまつ毛,ペンシル状の化粧品,化粧落とし剤,アイブローペンシル,化粧用タルカムパウダー,リップグロス,口紅,ネイルアート用ステッカー,スキンホワイトニングクリーム,ほお紅及び口紅,アイライナーペンシル,アイシャドー,ネイルエナメル」を指定商品として、令和元年11月22日に登録査定、同年12月6日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議の申立ての理由において引用する商標は、次のとおりであり、いずれも申立人が化粧品(以下「申立人商品」という。)について使用しているとするものである(以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。)。
1 「HUDABEAUTY」の欧文字からなる商標(小文字を含むもの、及びスペースを含むもの、を含む。以下「引用商標1」という。)
2 別掲2のとおりの構成からなる商標(色彩の異なるものを含む。以下「引用商標2」という。)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第19号について
(1)申立人の周知性について
ア 申立人について
申立人は、2012年9月17日にアラブ首長国連邦においてHuda Kattan(フーダカッタン)により設立され、その後、2016年7月4日にイギリス領ケイマン諸島において法人化され「HUDA BEAUTY」のブランド名の下、化粧品類を販売している(甲2)。
申立人の創設者であるHuda Kattanは、ビューティーブログを立ち上げ、簡単な手順で自然の美しさを高める方法を世界中の女性に教える手助けをしている。当該ブログを通じて、現在は100を超える国々の女性に影響を与えている(甲3)。
さらに申立人は、商品のオンライン販売を開始し、現在は、オンライン通販サイトであるAmazonや楽天でも、申立人商品が販売されている(甲4)。
申立人は、自身のブログに加え、数々のソーシャルメディアにおいて情報を発信している。Facebookは、808万人を超えるフォロワーが、twitterでは20万人近いフォロワーが、Pinterestは、4万人を超えるフォロワーがいることに加え、Instagramにおいては2400万人以上のフォロワーを有し、2017年には最も影響力のあるInstagramに選ばれている(甲5)。
また、申立人商品は、アラブ諸国のみならず、日本においてもウェブサイトの記事等において紹介され、販売されている(甲6、甲7)。
イ メディア紹介
Huda Kattanは、アラブ首長国連邦のドバイを拠点とする、ハリウッドの訓練を受けた有名メイクアップアーティストで、「ARAB NEWS」、「The Seattle Times」、「Saudi Gazette」など、複数のメディアや雑誌において紹介されている(甲8)。
ウ 受賞歴
Huda Kattanは、「VOGUE」にて、2019年に大きな影響を与えた女性に選ばれている。また、米国で発行されている雑誌「ALLURE」において、2019年「READER’S CHOICE AWARD」を受賞している。その他、「Indie of the Year」、Forbesにおける「TOP INFLUENCERS」、「2017年に世界で最も影響力のあるアラブ人」に選ばれるなど、数々の賞を受賞している(甲9)。
エ 出願・登録状況
申立人の商標は、35の国及び地域で商標登録され、25か国において出願されている(甲10)。
オ 本件商標の使用状況
本件商標の商標権者は、日本国内において本件商標を使用した化粧品類を販売していない。また、インターネットで(本件商標を)検索すると、複数の化粧品がヒットするが、それらはいずれも申立人商品である。
カ 小括
以上の状況に鑑みると、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、アラブ首長国連邦を始め諸外国において、需要者の間で、申立人の販売する化粧品類を表示するものとして広く認識されていたものである。
(2)本件商標と引用商標が同一であること
引用商標は、申立人の創設者のファーストネーム「HUDA」と、「美しさ」を意味する「BEAUTY」とを組み合わせた申立人による造語である。また、別掲2のとおり「HUDA」の「A」と「BEAUTY」の「B」を結合させ、一つの文字のようにデザイン化し、「HUDA」を濃いグレーの色彩、「BEAUTY」を薄いグレーの色彩とした態様である。
一方、本件商標も、欧文字の綴りのみならず、文字のデザイン化、色彩の違いまでもが、申立人の商標と完全同一の態様である。
(3)不正の目的について
上述のとおり、引用商標は造語で、構成上も顕著な特徴を有するものであり、一般的に採択されるものではない。また、本件商標の商標権者は、中国法人であって、上記の名前を有するものでもない。
そうすると、本件商標は偶然に採択したものとは言えず、むしろ日本において商標登録されていないことを奇貨として登録出願したものと推認されるものである。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、申立人の商標として広く需要者に知られていることから、不正の目的で登録出願されたものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
2 商標法第4条第1項第7号について
上述のとおり、本件商標は、申立人の商標として広く使用されているものであり、本件商標の商標権者が偶然に採択したとは考えにくいものである。よって、このような著名な商標と何ら関係を有しない者が、これを自己の商標として採択、使用することは、その名称に化体した名声や信用に便乗するものである。
このような商標を登録することは、本件商標の商標権者に独占的使用を認めることとなり、社会公共の利益に反し、社会一般的道徳観念に反するもので、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標といえるものである。
そうすると、本件商標は、登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、「登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないような場合」にあたるものであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
3 商標法第4条第1項第10号について
上述のとおり、引用商標は、本件商標の登録出願日に既に日本又は外国において、需要者の間で広く認識されていたものである。さらに、本件商標と引用商標は、同一商標であり、かつ、指定商品も、申立人商品である化粧品を含むものである。
よって、本件商標は、申立人の業務に係る商品・役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標と同一の商標であって、同一又は類似する商品について使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)申立人は、2012年に、アラブ首長国連邦において、Huda Kattan(フーダカッタン)により設立された後、2016年に、イギリス領ケイマン諸島において法人化された、化粧品類の販売を業とする法人である。
(2)引用商標がメイクアップ用の化粧品に使用され、「Amazon.co.jp」及び「楽天市場」において、当該化粧品が販売されていることはうかがえるものの、これら商品の「Amazon.co.jp」又は「楽天市場」への出品者と申立人との関係は不明であり、その掲載日も明らかでない(甲4の2?甲4の4)。
また、申立人が、日本における申立人商品の販売実績を示す証拠として提出したインヴォイスの写し(甲7)は、引用商標2が明示されているものであって、作成者をアラブ首長国連邦所在の「HUDA BEAUTY LLC」とし、送付先を神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府等所在の個人宛とし、発行日を2019年11月27日、同月28日又は同年12月30日とするものであるところ、当該作成者と、イギリス領ヴァージン諸島所在の申立人との関係が不明であることに加え、これらはいずれも、本件商標の登録査定日(2019年11月22日)以降に発行されたものである。
(3)申立人が、店舗における申立人商品の販売を示す証拠として提出した写真の写しによれば、何らかの店舗の内装又は外観に、引用商標2が付されていることがうかがえる(甲2の1、甲2の4?甲2の7)ものの、その撮影日、撮影場所、撮影者等は一切不明である(なお、「日本未発売コスメ、HUDA Beauty」(甲6の3。2019年9月14日付けブログ)との記載及び上記写真に写り込んでいる文字等から、撮影地は日本国外と推認される。)。
また、引用商標を使用した「Huda Beauty Official Store」と称するオンラインストアにおいて、数点の化粧品が掲載されていることはうかがえる(甲4の1)ものの、これらの商品の掲載日も不明である。
さらに、申立人が、引用商標を付したブログにおいて、情報を発信していること(甲3)、申立人が「Twitter」「Pinterest」等のソーシャルネットワーキングサービス上に開設するアカウントには、相当数のフォロワーがいること(甲5)、設立者であるHuda Kattanに関するインターネットニュース記事等が存在すること(甲8)はうかがえるものの、その詳細な内容は不明であり、かつ、提供している商品も明らかではないから、これらをもって、直ちに引用商標の我が国又は外国での周知・著名性を認めることはできない。
加えて、設立者であるHuda Kattanが、「VOGUE」や「ALLURE」の雑誌等において、様々な賞を受賞していること(甲9)はうかがえるものの、その詳細な内容は不明であり、かつ、それらの受賞歴が取引者、需要者の認識にどの程度の影響を与えているのかも明らかではないから、これらをもって、引用商標の我が国又は外国での知名度の高さを推し量ることはできない。
また、引用商標2が、諸外国で登録又は出願(甲10)されているとしても、諸外国で商標登録された事例が直ちに、我が国又は外国における引用商標の周知・著名性に結びつくものではない。
その他、申立人商品の我が国又は外国における販売高、販売量などの販売実績及び宣伝広告の回数や宣伝広告費の額などの、周知・著名性を数量的に判断し得る客観的かつ具体的な証拠は提出されていない。
(4)以上を踏まえると、申立人提出の証拠によっては、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの」に該当する商標について、商標登録を受けることができないと規定しているところ、上記1のとおり、引用商標は、我が国又は外国の需要者の間に広く知られているものと認めることはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号所定の他の要件を判断するまでもなく、同号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第19号該当性について
商標法第4条第1項第19号は、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であって、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)」と規定されている。
そうすると、引用商標は、上記1のとおり、他人(申立人)の業務に係る役務を表示するものとして我が国又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号を適用するための要件を欠くものといわざるを得ない。
また、申立人が提出した証拠からは、本件商標権者が、本件商標を不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をもって使用をするものと認めるに足りる具体的事実は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号所定の他の要件を判断するまでもなく、同号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
(1)商標法第4条第1項第7号でいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(a)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(b)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(c)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(d)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(e)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきである(知的財産高等裁判所、平成17年(行ケ)第10349号)。
(2)これを本件についてみると、本件商標は、別掲1のとおり、「HUDABEAUTY」の文字をデザイン化し横書きしてなるものであるから、前記(a)に該当しないことは明らかであり、(b)、(c)及び(d)に該当するものとすべき事情も見あたらない。
申立人は、引用商標が周知・著名であることを前提に、「本件商標は、登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、『登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ないような場合』にあたるものであるから、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標である。」旨を主張している。
しかしながら、引用商標は、上記1に記載のとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国又は外国の需要者の間に広く認識されていたものということができず、申立人が提出した全証拠を勘案しても、本件商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものとすべき具体的事情等を見いだすことができない。
その他、本件商標が公序良俗に反するものというべき事情も見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきでものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1
本件商標


別掲2
引用商標2(色彩は原本参照)


異議決定日 2021-03-09 
出願番号 商願2018-144838(T2018-144838) 
審決分類 T 1 651・ 222- Y (W03)
T 1 651・ 25- Y (W03)
T 1 651・ 22- Y (W03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 清川 恵子 
特許庁審判長 佐藤 松江
特許庁審判官 大森 友子
石塚 利恵
登録日 2019-12-06 
登録番号 商標登録第6204338号(T6204338) 
権利者 杭州報佳音電子商務有限公司
商標の称呼 フダビューティ、フーダビューティ、フダ、フーダ 
代理人 特許業務法人栄光特許事務所 

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