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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W22
管理番号 1376058 
審判番号 取消2019-670001 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-01-18 
確定日 2021-04-02 
事件の表示 上記当事者間の国際商標登録第1138671号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1138671号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,2012年10月1日にUnited States of Americaにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,2012年(平成24年)10月4日に国際商標登録出願,平成26年9月5日に登録査定,第7類及び第22類の商品を指定商品として,同27年2月13日に設定登録されたものであるが,その後,2015年(平成27年)1月27日に国際登録簿に記録された基礎出願又は基礎登録の効力の一部終了を原因とする当該商標権の登録の一部抹消があった結果,その指定商品については,第7類「Strapping machines.」及び第22類「Plastic straps for handling loads for securing bundles.」となり,その登録が平成27年3月24日にされているものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成31年1月25日である。
なお,本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは,平成28年1月25日ないし同31年1月24日である(以下「要証期間」という場合がある。)。
第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は,その指定商品中,第22類「Plastic straps for handling loads for securing bundles」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお,請求人は,被請求人提出の審判事件答弁書に対して,何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証(枝番号を含む。以下,枝番号の全てを引用するときは,枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 通常使用権者による使用
(1)被請求人は,東京都中央区に本社を置き,事業内容を「包装用機械・資材の製造及び販売,荷役運搬機器の製造及び販売。農業・食品機器の製造販売。」とする法人である(乙1)。
被請求人は,アメリカ合衆国カリフォルニア州に本社を置く米国法人「STRAPACK,INC.」を子会社とし(乙2,乙3),同社に対し本件商標の使用を許諾している。
この米国法人「STRAPACK,INC.」は,1995年5月よりイリノイ州でPP(ポリプロピレン)バンドの製造を行い,2016年5月よりジョージア州でPET(ポリエチレンテレフタレート)バンドの製造を行っている(乙1)。
(2)乙第4号証は,米国法人「Strapack,Inc.」が,神奈川県横浜市所在のストラパック横浜工場に送った商品の写真である。
この商品の包装の側面と上面には,上記荷送人及び荷受人の表示とともに,本件商標と同一の商標が印刷されたラベルが貼着されており,また,包装の中身は,梱包用のPPバンドであり(乙4の8,9),本件商標の指定商品中「Plastic straps for handling loads for securing bundles」に該当する。
この商品の包装の上面には後述の「CWB」(Courier Way Bill(運送票):以下「CWB」という。:乙5)が貼着されており(乙4の6,7),また,包装の側面には,該商品の型番である「ZB40070-12W72」が表示されている(乙4の8,10)。
(3)乙第5号証は,乙第4号証の商品の包装箱の上面に貼着されていたCWBであり(乙4の6,7),乙第5号証のCWBの「DATE」(日付)欄には「5/23/17」(2017年5月23日)が記載されている。
乙第5号証のCWBの「FROM(SHIPPER)」欄に記載されている荷送人と,「TO(CONSIGNEE)」(送付先)欄に記載されている荷受人の記載は,乙第4号証の商品包装の側面及び上面に貼着されているラベル(乙4の2,4)に印刷されている荷送人及び荷受人「STRAPACK」の次の記載が,「YOKOHAMA FACTORY」及び「PRODUCTION DIVISION」と,表記において若干の相違が見られるものの,住所の記載は同一であり,いずれも共通の荷送人及び荷受人が記載されているものである。
なお,乙第5号証のCWBの上段中央付近には運送会社名を表す「OCS」のロゴマークが表記されている。
また,乙第5号証のCWBの最右欄の3段目には「PIECES」(個口数)として「3」が記載されている。
乙第5号証のCWBより,乙第4号証の商品が,2017年5月23日に,米国法人「STRAPACK,INC.」が3個口(3箱)で発送し,運送会社「OCS」によって神奈川県横浜市のストラパック株式会社横浜工場に配送されたもののうちの1箱であることがわかる。
(4)乙第6号証は,乙第4号証の商品の「Packing list」(梱包明細書)である。
乙第6号証のPacking listに記載されている日付は2017年5月23日であり,乙第5号証のCWBと同一の日付が記載されている。
また,乙第6号証のPacking listに記載されている商品の型番「ZB40070-12W72」は,乙第4号証の商品の包装の側面に記載された型番と一致する(乙4の10)。
さらに,乙第6号証のPacking listに記載されている商品「POLYPROPYLENE STRAP」(ポリプロピレンストラップ)は,乙第4号証の商品と一致する(乙4の8,10)。
また,乙第6号証のPacking listに記載されている「Ship via:ocs」(配送手段:OCS)は,配送手段としてOCS社を使用することを記載したものであるところ,この記載は,乙第5号証のCWBに表示されている配送会社のロゴマーク「OCS」とも一致する。
さらに,乙第6号証のPacking listでは,「SHIP TO」として記載されている荷受人の表示が「Strapack Inc」と,本来「Corp」と記載すべきものが「Inc」と誤記されているものの,乙第6号証のPacking listに記載されている荷送人及び荷受人と,乙第4号証の商品の包装の側面及び上面に記載されている荷送人及び荷受人,並びに,乙第5号証のCWBに記載されている荷送人及び荷受人はいずれも一致している。
よって,乙第6号証のPacking listからも,乙第4号証の商品が,2017年5月23日に米国法人「STRAPACK,INC.」が発送し,運送会社「OCS」が,神奈川県横浜市所在のストラパック株式会社横浜工場に配送したものであることを示している。
(5)乙第7号証は,米国法人「STRAPACK,INC.」が,神奈川県横浜市所在の「Strapack Corp Production Division」(ストラパック株式会社製造部)に,1個40米ドルの「Polypropylene Strapping MATERIAL」(ポリプロピレン結束材)を3個,計120米ドルで販売した取引内容に関する2017年5月23日付の「INVOICE」(送り状)である。
乙第7号証のINVOICEに記載されている年月日は,乙第5号証のCWB及び乙第6号証のPacking listと同一の日付である。
また,乙第7号証のINVOICEに記載されている商品の型番「ZB40070-12W72」は,乙第4号証の商品の包装の側面に記載された型番「ZB40070-12W72」と一致するとともに(乙4の10),乙第6号証のPacking listに記載されている型番「ZB40070-12W72」とも一致する。
さらに,乙第7号証のINVOICEに記載されている商品「Polypropylene Strapping MATERIAL」(ポリプロピレン結束材)や,その色である「White」(白色)の記載は,乙第4号証の商品と一致するとともに(乙4の8,9),乙第6号証のPacking listに記載されている「POLYPROPYLENE STRAP」(ポリプロピレンストラップ)とも一致する。
また,乙第7号証のINVOICEに記載されている「via:OCS」は,配送手段としてOCS社を使用することを記載したものであるところ,このことは,乙第5号証のCWBに記載されている運送会社のロゴマーク「OCS」及び乙第6号証のpacking listに記載されている「Ship via:ocs」(配送手段:OCS)の記載とも一致する。
さらに,乙第7号証のINVOICEの左上欄に記載されている荷送人,及び「SHIP TO」(送り先)として記載されている荷受人は,乙第4号証の商品の包装の側面及び上面に貼着されているラベルに記載されている荷送人及び荷受人,乙第5号証のCWBに記載されている荷送人及び荷受人,並びに,乙第6号証のPacking listに記載されている荷送人及び荷受人と表記に若干の相違はあるものの,いずれも一致している。
しかも,乙第7号証のINVOICEに,「PO No.:」(purchase order number:発注番号)として記載されている「RQ8YV63-STRAP」と,乙第6号証のPacking listに「PO No.:」として記載されている「RQ8YV63-STRAP」も一致する。
なお,乙第6号証のPacking listには,「Invoice No.:052317/RQ8YV63」の記載がされているのに対し,乙第7号証のINVOICEには,「Invoice No.:052317/RQYV63」と記載されており,乙第6号証のPacking listに記載されている「Invoice No.:」と,乙第7号証のINVOICEに記載されている「Invoice No.:」では,スラッシュ(/)以降の記載において,「RQ」と「YV」の間における数字の「8」の有無において相違する。
しかし,乙第6号証のPacking listの記載より,「Invoice No.:」は,年月日を表す6桁の数字「052317」(2017年5月23日)と,「PO No.」(発注番号)の前半部分の記号「RQ8YV63」をスラッシュ(/)で結合させたものであることは明らかで,乙第7号証のINVOICEに記載されている「Invoice No.:052317/RQYV63」は,本来,「Invoice No.:052317/RQ8YV63」と数字の「8」を伴った記載とすべきであったものを誤記したものであることは合理的に推察可能である。
よって,「PO No.」と併せて読めば,乙第6号証のPacking listに記載されている「Invoice No.:」と,乙第7号証のINVOICEに記載されている「Invoice No.:」も実質的に同一であり,乙第7号証のINVOICEと,乙第6号証のPacking listが,対応関係にある書類であることは明らかである。
乙第7号証のINVOICEより,乙第4号証のポリプロピレンバンドは,米国法人「STRAPACK,INC.」が,神奈川県横浜市所在のストラパック株式会社横浜工場に対し販売したものであることがわかる。
(6)以上で示した乙第1号証ないし乙第5号証により,本件商標の通常使用権者である米国法人「Strapack,Inc.」は,2017年5月23日に本件商標が印刷されたラベルを包装箱に貼着した梱包用のポリプロピレンバンドを神奈川県横浜市所在のストラパック株式会社横浜工場に販売していることがわかる。
ここで,商品の包装に商標(標章)を付したものの譲渡は,商標(標章)の使用に該当する(商標法第2条第3項第2号)。
また,梱包用のポリプロピレンバンドは,本件指定商品「Plastic strapsfor handling loads for securing bundles」に該当する。
さらに,神奈川県横浜市が日本国内であることは明らかである。
よって,本件商標は,通常使用権者によって,本件審判請求の予告登録前3年以内に,日本国内において使用されているから,その商標を取り消すべきものとすることはできない。
2 商標権者による使用
米国法人「STRAPACK,INC.」より乙第4号証の商品を購入した神奈川県横浜市所在の「Strapack Corp」(ストラパック株式会社)は,被請求人の横浜工場である(乙2)。
したがって,本件商標の商標権者である被請求人は,2017年5月23日に,包装箱に本件商標が付された梱包用のポリプロピレンバンドを日本国内に輸入している。
そして,商品の包装に商標(標章)を付したものの輸入は,商標(標章)の使用に該当するとともに(商標法第2条第3項第2号),梱包用のポリプロピレンバンドが本件指定商品「Plastic straps for handling loads for securing bundles」に該当することは既に述べた。
よって,本件商標は商標権者によって本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において使用されているから,その商標登録を取り消すことはできない。
第4 当審の判断
1 事実認定
(1)被請求人提出の乙各号証及び同人の主張によれば,次のとおりである。
ア 本件商標権者(被請求人)は,事業内容を包装用機械・資材の製造及び販売などとする昭和35年(1960年)5月に設立された企業であり,昭和56年(1981年)10月には米国法人STRAPACK,INC.を買収し,子会社とした。当該米国法人STRAPACK,INC.は,平成28年(2016年)5月からPETバンドの製造を開始した(乙1)。
また,本件商標権者は,横浜市神奈川区に横浜工場を有し,本件商標権者の子会社である米国法人STRAPACK,INC.は,住所を米国カリフォルニア州とする(乙2)。
イ 乙第4号証は,被請求人の主張によれば,米国法人STRAPACK,INC.が本件商標権者の横浜工場製造部の担当者宛てに送った商品の写真であり,その商品の包装箱の上部に付された運送表(乙5)には,発送元として米国カリフォルニア州所在のSTRAPACK,INC.,送付先として横浜市神奈川区所在の本件商標権者の横浜工場製造部の担当者の名称及び住所の記載があり,発送日として2017年(平成29年)5月23日の記載がある。
そして,商品の包装箱の上部及び側面には,ややかすれている部分はあるものの本件商標と同形状の図形及び「EcoTech」の文字の表示があり,それとともに,上記運送表に記載された発送元及び送付先と同一の名称及び住所の記載がある(乙4の2?5)。また,商品の包装箱の側面には「ZB40070-12W72」の表示がある(乙4の10)。
さらに,上記包装箱を開封した状態を撮影した写真(乙4の8,9)には,上記包装箱の内容物として,筒状に巻かれた結束バンドが写っている。
ウ 乙第7号証は,米国カリフォルニア州所在のSTRAPACK,INC.が作成した2017年(平成29年)5月23日付けの「INVOICE」(送り状)であり,送り状番号は「052317/RQYV63」,発注番号は「RQ8YV63-STRAP」,届け先は横浜市神奈川区所在のSTRAPACK横浜工場製造部の担当者である。
そして,その内容は「Strapack Polypropylene Strapping Material」(ストラパックポリプロピレン結束材)であって,型番を「ZB40070-12W72」とする「Low Elongation Polypropylene Strapping」(低伸長ポリプロピレンストラッピング)であり,個数は3ロール,単価40米ドル,合計120米ドルとするものである。
エ 乙第6号証は,乙第7号証の「INVOICE」(送り状)の「packing list」(梱包明細書)であり,日付,発注番号,宛先,その内容物の型番及び個数は,当該「INVOICE」(送り状)とほぼ一致する。
(2)上記(1)によれば,次のように認めることができる。
被請求人の子会社(米国法人)である米国カリフォルニア州所在のSTRAPACK,INC.は,型番が「ZB40070-12W72」である「Low Elongation Polypropylene Strapping」(低伸長ポリプロピレンストラッピング)と称する商品(以下「使用商品」という。)を,本件商標と同形状の図形及び「EcoTech」の文字(以下「使用商標」という。)の表示がある包装箱に梱包し,2017年(平成29年)5月23日に横浜市神奈川区所在の被請求人の横浜工場に納品したことが推認される。
2 判断
(1)使用者及び使用時期について
米国法人STRAPACK,INC.は,使用商標が包装箱に付された使用商品を,2017年(平成29年)5月23日に,本件商標権者の横浜工場へ,販売(輸出)したといえるものであって,米国法人STRAPACK,INC.は,本件商標権者の子会社であるから本件商標の通常使用権者と認められる。
また,通常使用権者が,使用商品を販売(輸出)した2017年(平成29年)5月23日は要証期間内である。
(2)使用商標について
使用商標は,本件商標と同形状の図形及び「EcoTech」の文字からなり,本件商標とほぼ同一の構成であるから,使用商標と本件商標とは外観上同一視できるものであって,本件商標と社会通念上同一の商標である。
(3)使用商品について
使用商品は,「Low Elongation Polypropylene Strapping」(低伸長ポリプロピレンストラッピング)であって,「Polypropylene Strapping」とは,プラスチックの一種であるポリプロピレン製の結束ひもを意味するものであるから,本件審判の請求に係る指定商品である第22類「Plastic straps for handling loads for securing bundles」の範ちゅうに属する商品である。
(4)小括
上記(1)ないし(3)によれば,本件商標の通常使用権者は,要証期間内に,その請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品の包装に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付したものを販売(輸出)した(商標法第2条第3項第2号に該当。)と認めることができる。
3 まとめ
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,本件商標の通常使用権者が本件審判の請求に係る指定商品について,本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしたことを証明したといわなければならない。
したがって,本件商標の登録は,本件審判の請求に係る指定商品について,商標法第50条の規定により取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 【別記】

審理終結日 2020-10-27 
結審通知日 2020-10-30 
審決日 2020-11-27 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W22)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 榎本 政実
特許庁審判官 小俣 克巳
小松 里美
登録日 2012-10-04 
商標の称呼 エコテック、エコテク 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 特許業務法人小倉特許事務所 
代理人 石田 昌彦 
代理人 田中 克郎 

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