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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y11
管理番号 1376001 
審判番号 取消2020-300374 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-06-03 
確定日 2021-06-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第5041589号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5041589号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5041589商標(以下「本件商標」という。)は、「ビューティライザー」の片仮名及び「Beautylizer」の欧文字を上下2段に横書きしてなり、平成18年6月27日に登録出願、第11類「業務用超音波美顔機械器具(いすを除く。),その他の業務用美顔機械器具,家庭用電気式美顔器,その他の家庭用電気式美顔器」を指定商品として、同19年4月20日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、令和2年6月18日である。
なお、本件審判において、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年6月18日ないし令和2年6月17日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)「肌観察用紫外線機器」について
被請求人は、「肌観察用紫外線機器」は、本件商標の指定商品「その他の業務用美顔機械器具」に該当する旨主張している。しかしながら、被請求人が主張する「肌観察用紫外線機器」は、乙第3号証の第2頁に「この商品は、通常肉眼では見えにくいお肌の状態を確認するための肌観察用紫外線機器(業務用)です。」とあり、肌の状態を測定するための測定機器であって、第9類の「測定機械器具」に該当する商品である。また、「美顔」とは、「(1)美しい顔。(2)顔を美しくすること。」と、「美顔器」とは、「顔の染み、しわ、たるみなどを取り、滑らかで色白な肌にすることを目的に開発された器具。」(甲1)とあり、本件商標の指定商品「業務用美顔機械器具」は、肌の状態を確認するための器具に該当しないことは明らかである。
よって、被請求人が主張する「肌観察用紫外線機器」は、本件商標の指定商品中、第11類「その他の業務用美顔機械器具」に該当するものではなく、その主張は失当である。
(2)要証期間における本件商標の使用について
被請求人は、乙第4号証を提出し、本件審判請求の登録日(令和2年6月18日)以前に、本件商標と社会通念上同一の商標を指定商品中、第11類「その他の業務用美顔機械器具」に使用していたことを主張している。
しかしながら、乙第4号証は、平成19年3月22日に発行されたものであって、要証期間に発行されたものではなく、要証期間における登録商標の使用を証明するものではない。
また、被請求人は、営業活動を行う際にはその都度、チラシのデータを出力し頒布していたと主張しているが、それを証する証拠は提出されていないため、この主張を認めることはできない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)が使用している商品「肌観察用紫外線機器」は、本件商標の指定商品のいずれにも該当せず、さらに、要証期間に上記指定商品について本件商標を使用している事実もない。
よって、本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実はない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
審判請求人は、本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存しない旨主張している。しかしながら、乙第1号証ないし乙第4号証に示すとおり、本件商標は通常使用権者である株式会社フェースビューティがその指定商品中、「その他の業務用美顔機械器具」について継続して使用しているものであるから、本件商標は商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消されるものではない。
2 通常使用権者による使用
本件商標権者である株式会社フェースコスメティックス(審決注:株式会社フェースコスメティックの誤記と認める。)は、化粧品・健康食品の製造及び企画・販売並びに美容器・補正下着の企画・販売を主たる業務とする株式会社であり、株式会社フェースを統括会社とするフェースグループの一員となっている(乙2)。本件商標に関しては、同じくフェースグループの一員であり、所在地及び代表者を同じくする化粧品・健康食品・美容機・補正下着の販売を主たる業務とする株式会社フェースビューティ(以下「フェースビューティ社」という。)に通常使用権(範囲:日本全国、全指定商品)を許諾しており、フェースビューティ社が指定商品に継続して使用している。
3 乙第3号証
乙第3号証は、肌観察用紫外線機器である「BEAUTYLIZER ビューティライザー」(以下「本件商品」という場合がある。審決注:「BEAUTYLIZER」は「BEAUTYLiZER」の誤記と認める。以下同じ。)の取扱説明書である。この表紙中央に本件商品の写真が掲載されているが、同写真より、本件商品の表面下側に「BEAUTYLIZER」の文字が付されていることが分かる。
本件商品は、通常肉眼では見えにくい肌の状態を確認するための肌観察用紫外線機器であり、本体のパネルグリップを開け、暗幕を広げ、形を整え、暗幕内に顔を入れてもらい、電源を入れ、本体表側のファインダーから肌状態を観察する機器であって、美顔のための機械器具として指定商品中、「その他の業務用美顔機械器具」にあたる。
そして、本件商品の表面下側に付された「BEAUTYLIZER」の文字は本件商標と二段書きの別、大文字・小文字の別及び字体が異なるのみであり、社会通念上同一の商標である。
よって、通常使用権者は、本件商標と社会通念上同一の商標を本件商品に付して使用していることが明らかである。
4 乙第4号証
乙第4号証は、本件商品のチラシである。この表面の上部に「BEAUTYLIZER ビューティライザー」の文字及び下部に本件商品の写真が掲載されている。
このチラシは、通常使用権者であるフェースビューティ社が本件商品の営業活動をする際に用い、営業先に頒布していたものである。よって、通常使用権者は、本件商標と社会通念上同一の商標を商品に関する広告に付して頒布していたことが明らかである。
会社案内(乙2)の9頁の株式会社フェースコスメティックス(審決注:株式会社フェースコスメティックの誤記と認める。)の欄に記載のあるとおり、フェースグループでは、主としてサロン向けに化粧品等を製造販売しているが、本件商品に関しては化粧品の販売を促進するために、業務用としてエステティックサロン向けに販売されているものである。エステティックサロンヘの営業にあたっては、営業担当の従業員が本件商品のチラシを持参の上、個別に訪問して、商品の説明をし、機器の導入を検討してもらうというスタイルをとっていた。
5 まとめ
乙第1号証ないし乙第4号証に照らし判断すれば、本件審判の予告登録日(令和2年6月18日)以前に、本件商標権者のグループ会社である通常使用権者のフェースビューティ社が、本件商標と社会通念上同一の商標を本件商標の指定商品中、「その他の業務用美顔機械器具」に使用していた事実は証明される。

第4 当審における審尋及びそれに対する被請求人の対応
当審において、令和3年1月13日付けで通知した審尋により、被請求人の提出に係る証拠によっては、被請求人が、商標法第50条第2項に規定する本件商標の使用を証明したものと認めることができない旨の見解を示し、被請求人に意見を求めた。
しかしながら、被請求人は、上記審尋に対し、何ら応答をしていない。

第5 当審の判断
1 被請求人の主張及びその提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)フェースグループが作成した「フェースグループ会社案内」(乙2)には、本件商標権者がフェースグループの化粧品製造販売元であることが記載され、また、株式会社フェース及びフェースビューティ社については、その所在地、代表、設立年月、資本金、事業内容等が記載されているが、本件商標権者と上記会社相互の資本提携の状況や議決権の有無等に関する記載、及び当該会社案内の印刷日、発行日の記載は確認できない。
(2)乙第3号証は、フェースビューティ社が発売元である「BEAUTYLiZER(ビューティライザー)」と称する業務用「肌観察用紫外線機器」の取扱説明書(乙3)である。その1葉目には、「BEAUTYLiZER」の文字が下部に表示された略直方体の筐体の画像があり、2葉目に「・・・この商品は、通常肉眼では見えにくいお肌の状態を確認するための肌観察用紫外線機器(業務用)です。お客様にご使用いただき、お肌のお手入れのアドバイスにお役立てください。」の記載の下、「各部の名称」として、「本体」、「ファインダー」、「レンズ」、「電源(POWER)スイッチ」、「暗幕」等の記載とともに、商品の画像があり、4葉目の「色別判断基準表」と題する表の「見え方」の欄に「紫色」、「茶褐色(濃紫)」、「オレンジ色」等の記載、「判断の目安」の欄に「乾燥肌・・・」、「色素沈着・・・」、「皮脂 脂漏部位・・・」等の記載があり、5葉目に「ご使用方法」として、「・・・6.暗幕内にお客様の顔を入れていただきます。・・・7.光が入らない様に暗幕を閉じます。・・・8.お客様にブラックライトを長時間直視しないように声をかけ、一旦目を閉じていただきます。・・・9.電源(POWER)スイッチを『入り(一測)』にします。・・・10.本体表側のファインダーからお客様の肌の状態を観察します。・・・11.お客様に内部のミラーでご自身の顔をご覧いただき、『色別判断基準表』を参考にアドバイスを行います。・・・」の記載があり、8葉目に「仕様」として「品名:ビューティライザー・・・用途:肌観察用紫外線機器(業務用)」等の記載、「販売元」としてフェースビューティ社の名称等の記載があるが、作成日の記載は確認できない。
また、上記商品の製造、販売に係る取引書類や上記取扱説明書の頒布の事実を証明する証拠の提出はない。
(3)乙第4号証は、被請求人の主張によれば、「BEAUTYLiZER(ビューティライザー)」の「チラシ」(全2葉)であって、フェースビューティ社が営業先に頒布したものである。その1葉目には、乙第3号証と同様の「肌観察用紫外線機器(業務用)/BEAUTYLiZER/ビューティライザー」等の記載とともに、商品の画像があり、2葉目に「ビューティライザーとは/特殊光線で肌の表面から深部の色素沈着の状態まで明確に映し出します。/今の肌から未来の肌までトラブルを予測するカウンセリング機器です。」などの記載があるが、当該チラシの印刷日や発行日の記載は確認できない。また、本号証(乙4)の頒布の事実を証明する証拠の提出はない。
2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)通常使用権者について
被請求人は、「フェースグループ会社案内」(乙2)により、本件商標権者が、株式会社フェースを統括会社とするフェースグループの一員であって、本件商標に関しては、本件商標権者と同様にフェースグループの一員であるフェースビューティ社に通常使用権を許諾している旨主張する。
しかしながら、「フェースグループ会社案内」(乙2)において、本件商標権者とフェースビューティ社との関係は不明であり、当該会社案内の印刷日、発行日の記載もないため、要証期間に、フェースビューティ社に本件商標に関する通常使用権を許諾していると認めることはできない。
(2)使用商品について
被請求人は、「取扱説明書」(乙3)をもって、当該取扱説明書に掲載された商品が、美顔のための機械器具であって、本件商標の指定商品中、第11類「その他の業務用美顔機械器具」にあたる旨主張する。
しかしながら、「取扱説明書」(乙3)の記載からすれば、取扱説明書に掲載された商品は、肌のトラブルに関するカウンセリングに用いるものであり、肉眼では見えにくい肌の状態を紫外線を用いて確認するための肌観察用の機器というべきであって、「測定機械器具」(第9類)の範ちゅうに属する商品というのが相当であるから、本件商標の指定商品中、第11類「業務用美顔機械器具」の範ちゅうに属する商品であると認めることはできない。また、取扱説明書(乙3)の作成日も明らかではない。
(3)チラシについて
被請求人は、「チラシ」(乙4)により、本件商標の指定商品中、第11類「その他の業務用美顔機械器具」に関する広告に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布した(商標法第2条第3項第8号)旨主張する。
しかしながら、「チラシ」(乙4)に掲載された商品は、上記(2)のとおり、「業務用美顔機械器具」の範ちゅうに属する商品であると認めることはできず、また、当該チラシには印刷日や発行日の記載がなく、頒布の事実を証明する証拠の提出もないのであるから、要証期間にこれが頒布されたものと推認することもできない。
(4)まとめ
上記(1)ないし(3)によれば、乙第1号証ないし乙第4号証によっては、通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品中、「その他の業務用美顔機械器具」について、本件商標を使用していたものと認めることはできない。
その他、被請求人が提出した全証拠によっては、要証期間に、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判の請求に係る指定商品について本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていることを証明し得る事実を見いだせない。
3 総論
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品についての本件商標又は本件商標と社会通念上同一の商標の使用をしていることを証明したものということはできない。
また、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2021-04-22 
結審通知日 2021-04-27 
審決日 2021-05-10 
出願番号 商願2006-59713(T2006-59713) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y11)
最終処分 成立  
特許庁審判長 小松 里美
特許庁審判官 渡邉 あおい
豊田 純一
登録日 2007-04-20 
登録番号 商標登録第5041589号(T5041589) 
商標の称呼 ビューティライザー 
代理人 辻本 希世士 
代理人 神吉 出 

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