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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服202012161 審決 商標
不服20208621 審決 商標
不服20206681 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W36
管理番号 1375994 
審判番号 不服2020-10920 
総通号数 260 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-06 
確定日 2021-06-23 
事件の表示 商願2019- 15266拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「100年時代の終身保険」の文字を標準文字で表してなり,第36類「個人年金保険の引受け,個人年金保険契約の締結の代理又は媒介,生命保険の引受け,生命保険契約の締結の代理又は媒介,保険の引受け,保険契約の締結の代理又は媒介,保険に関する相談及び助言,保険に関する情報の提供,損害保険の引受け,損害保険契約の締結の代理又は媒介,損害保険に係る損害の査定,保険料率の算出」を指定役務として,平成31年1月23日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『100年時代の終身保険』の文字を標準文字で表してなるところ,構成中の『100年時代』の文字は,『健康寿命が高齢化し,個人が平均的に100歳前後まで生存することが可能になった時代のこと』を意味し,『終身保険』の文字は,『被保険者が死亡するまで保険契約の効力が存続し,死亡した場合に保険金が支払われる生命保険』の意味を有し,さらに,100年時代に備えた各種保険が提供されている実情がうかがえるから,本願商標は,構成全体として『100年時代に備えた終身保険』ほどの意味合いを容易に理解させ,本願商標をその指定役務に使用した場合,本願商標に接する取引者・需要者は,かかる役務が『100年時代に備えた終身保険に係る役務』であることを認識するにとどまるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は,「100年時代の終身保険」の文字を標準文字で表してなるものである。
そして,その構成中の「100年時代」の文字は,「健康寿命の高齢化により,個人が100歳前後まで生存することが可能になった時代」を表す文字として使用されている実情があること,また,「終身保険」の文字は,「被保険者が死亡した時,保険者が一定の金額を保険金受取人に支払う保険」を意味するものであり(広辞苑第七版),さらに,本願の指定役務を提供する業界において,100年時代に備えた様々な種類の保険が,保険会社等各社によって提供されている実情があることは,原審で示した事実に加えて,以下に示す書籍及びインターネット情報からも,裏付けられる。
ア 書籍「100年時代の健康法」(「株式会社サンマーク出版」発行)の7頁には,「100歳まで生きることが珍しくない人生100年時代が現実となった今、『とにかく長生きしたい』と願う人はどれくらいいるだろうか。」の記載があり,8頁には,「ただ長く生きるのではなく、年齢を重ねてからもできるだけ健康に過ごす?そんな『健康余命』を延ばすにはどうすればいいかを探る時代になってきた。/私のライフワークは、まさにそんな人生100年時代を迎える日本人の健康向上である。」の記載があり,第3章,第4章及び第5章の見出し中には,それぞれ「100年時代の健康戦略」の記載がある。
イ 「ニッセイ基礎研究所」のウェブサイトにおいて,「人生100年時代を見据えた保険・金融業界の最新動向」の見出しの下,「『平成』から『令和』の時代へ、日本は新たな未来へ歩み始めた。迎える未来は本格的な高齢化が進む、人生100年時代とも言われる“超高齢未来”である。そうした未来に向けて私たちにもたらされた大きな課題は、“人生100年を如何に安心して最期まで自分らしく生き抜いていけるか”ということだ。(略)すでに行政、大学、企業等、あらゆる機関がこのテーマに取り組んできているところであるが、近年特に精力的な動きを見せているのが『保険・金融業界』ではないだろうか。ここ数年の間に人生100年時代を見据えた新たな商品・サービスを続々と市場に投入してきている。」の記載と共に,保険・金融業界各社の保険等が紹介されている(https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=61554?site=nli)。(令和3年4月8日最終閲覧)
ウ 「日本生命」のウェブサイトにおいて,「Gran Age プロジェクト」の見出しの下,「日本の平均寿命※は年々伸長しており、50年前と比較して10歳以上上昇しています。また、平均寿命を超えて90歳、100歳と長生きされる方も少なくはなく、まさに″人生100年″とも言える長寿社会が到来しています。/そこで、日本生命では/『人生100年時代』を、お一人おひとりが『安心して・自分らしく』より豊かに生きられる″明るい″長寿時代にすることをサポートしたいとの想いで、『Gran Age プロジェクト』を推進しています。当プロジェクトを通じて、『人生100年時代』のベストサポーターになることを目指し、様々な取組を推進しています。具体的には、魅力的な商品・サービスの開発、(略)等を積極的に進めています。」の記載と共に,「具体取組のご紹介」の小見出しの下には,「商品・サービス」のリンク先が設定されている(https://www.nissay.co.jp/kaisha/granage_pj/#anc02)。(令和3年4月8日最終閲覧)
エ 「明治安田生命」のウェブサイトにおいて,「人生100年時代に備える医療保障」の見出しの下,「人生100年時代に備える医療保障として/一時金給付型をおすすめします」,「人生100年時代に備え、/一生涯にわたる医療保障が必要です」の記載がある(https://www.meijiyasuda.co.jp/sp/find/ld/emi.html)。(令和3年4月8日最終閲覧)
オ 「三井住友海上プライマリー生命」のウェブサイトにおいて,「100年時代応援つみたて」の見出しの下,「契約締結前交付書面/(契約概要/注意喚起情報)/兼 商品パンフレット」のリンク先が設定されており(https://www.ms-primary.com/products/ohen_tsumitate/),当該リンク先の資料の3頁及び4頁の見開きの上部見出しには,「『人生100年時代』がすぐそこに。/セカンドライフをとりまく環境の変化が予想されています。」の記載がある(https://www.ms-primary.com/products/ohen_tsumitate/catalog/top.html)。(令和3年4月8日最終閲覧)
カ 「第一フロンティア生命」のウェブサイトにおいて,「『人生100年時代の安心と豊かな生活を支える』/商品・サービスの品質向上」の見出しの下,「今後も、『人生100年時代』における資産形成や資産承継を中心としたお客さまの多様なニーズにお応えする商品を機動的に発売し、商品ラインアップの更なる充実を図っています。」,「プレミアカレンシー3の発売(2019年10月)/積立利率変動型個人年金保険(19)(通貨指定型)/従来型の『基本プラン』に加え、人生100年時代の長生きリスクへの備えに対応する『満期重視プラン』が選択可能となった、外貨・円建の個人年金保険の取扱いを開始しました。」の記載がある(https://www.d-frontier-life.co.jp/corporate/sdgs/csr/index.html)。(令和3年4月8日最終閲覧)

そうすると,「100年時代の終身保険」からなる本願商標は,上記実情を踏まえれば,全体として,「100年時代に備えた終身保険」ほどの意味合いを認識させるものであって,これを,その指定役務について使用をしても,これに接する取引者・需要者は,「100年時代に備えた終身保険に係る役務」,すなわち,役務の質を表示したものと理解するにとどまるというべきである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,本願商標は,「100年時代」の前に,「人生」,「建物の耐用年数」等の何らかの語がないことから,「何らかの年月について100年となった時代」であることが把握されるにとどまり,「人生について100年となった時代」であることが直接的に把握されることはない旨主張する。
しかしながら,上記(1)のとおり,「100年時代」の文字の使用の実情や「100年時代」に備えた各種保険が提供されている実情からすれば,「100年時代」の文字は,人生や人間の生命に関連した年数と理解することが自然というべきであって,むしろ,「建物の耐用年数」等,人生や人間の生命以外のものの年数と結び付けて理解することの方が不自然というべきである。
イ 請求人は,過去の商標登録例を挙げ,本願商標も登録すべき旨主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は,当該商標登録出願の査定時又は審決時において,当該商標の構成態様と指定役務の取引の実情等に基づいて,個別具体的に判断されるべきものであるから,請求人の挙げた商標登録例があるからといって,それが本件における判断を直ちに左右するものではない。
ウ したがって,請求人の主張は,いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
審理終結日 2021-02-25 
結審通知日 2021-03-19 
審決日 2021-04-08 
出願番号 商願2019-15266(T2019-15266) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W36)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 滝口 裕子渡邉 潤 
特許庁審判長 岩崎 安子
特許庁審判官 小田 昌子
茂木 祐輔
商標の称呼 ヒャクネンジダイノシューシンホケン、イチゼロゼロネンジダイノシューシンホケン、ヒャクネンジダイノ、イチゼロゼロネンジダイノ、ヒャクネンジダイ、イチゼロゼロネンジダイ 
代理人 吉村 徳人 
代理人 吉村 公一 

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