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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y36
管理番号 1375179 
審判番号 取消2019-300205 
総通号数 259 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-07-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2019-03-12 
確定日 2021-06-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第5008062号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5008062号商標の指定役務中、第36類「資金の貸付け及び手形の割引,割賦購入のあっせん,預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5008062号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成18年5月22日に登録出願され、第36類「資金の貸付け及び手形の割引,割賦購入のあっせん,預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務」を含む第36類、並びに第7類、第11類、第37類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同年12月1日に設定登録され、さらに、同28年6月3日に存続期間の更新登録申請され、同月14日に更新登録されたものであって、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成31年3月27日であり、その請求の登録前3年以内の平成28年3月27日から同31年3月26日までの期間を以下「要証期間」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その第36類の指定役務中、「資金の貸付け及び手形の割引,割賦購入のあっせん,預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務」(以下「請求に係る指定役務」という。)について、継続して3年以上日本国内において、本件商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれによっても使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)本件商標は、以下のとおり、ガス業務用厨房機器にのみ使用されており、「割賦購人のあっせん」(以下、「使用役務」という。)について使用されていない。
(2)乙第1号証において、本件商標は、ガス機器の特長をわかりやすく説明するためのマークとして使用されており、本件商標は、四角で囲まれた図案化された「涼」とその下段に「涼しい厨房」の文言が組み合わせて構成されている。そして、乙第1号証では、本件商標は、各ガス業務用厨房機器の特長を表示するマークとして定義されており、具体的には、本件商標は、「パルスフライヤー(第10頁に1箇所)」「涼厨高効率回転かまど(第10頁に1箇所)」「涼厨(涼しい厨房)コンセプト(第15頁?第16頁に6箇所)」「ガスコンロ(第25頁?第26頁に4箇所)」「ガスレンジ(第50頁?第51頁に3箇所)」「ガス炊飯器(第53頁?第55頁、第57頁?第63頁に19箇所)」「ガススチームコンベクションオーブン(第65頁?第67頁に3箇所)」「ガスオープン(第89頁?第91頁に4箇所)」「ガス製菓製パンオーブン(第93頁に1箇所)」「ガスフライヤー/ガスめん釜/ガススープウォーマー(第99頁、第101頁?第123頁に42箇所)「ガス焼物器(第130頁に1箇所)」「ガスかまど/蒸気かまど/ガスティルティングパン/ガス蒸し器(第135頁、第136頁?第146頁に15箇所)」「ガス食器洗浄機(第148頁?第152頁に7箇所)」「ガス食器消毒保管機(第155頁?第157頁に3箇所)」の特長を示すものとして使用されており、他に本件商標が使用された箇所は存在しない。乙第1号証において、本件商標は、すべて、ガス業務用厨房機器を表示する商標として使用されているものであり、使用役務に使用されているものは一つも存在しない。
被請求人は、本件商標を表示したカタログの裏表紙に「分割払いについては、大阪ガスまたは大阪ガスサービスショップヘお問い合わせください。」との広告文が記載されていると主張しているが、乙第1号証の「ガス業務用厨房機器総合カタログ」の裏表紙には本件商標が表示されておらず、上記広告文は、本件商標と無関係に表示されているのであって、乙第1号証のカタログに接した需要者は、大阪ガス又は大阪ガスサービスショップ等が使用役務を提供していることを認識することはできても、本件商標と使用役務との関連性については全く認識することができない。
そもそも、乙第1号証のカタログ掲載のガス業務用厨房機器を購入するに際して分割払いができるか否かは、本件商標が表示されているか否かと全く無関係であり、需要者が本件商標を使用役務の識別表示と認識することはない。
乙第2号証には、マークの説明(第1頁)と併せて、本件商標は、「ガスコンロ(第5頁?第10頁に4箇所)」「ガス炊飯器(第11頁?第13頁に9箇所)」「ガス焼物器(第20頁に1箇所)」「ガススチームコンベクションオーブン(第21頁に1箇所)」「ガスフライヤー(第22頁に4箇所)」の特長を示すものとして使用されており、他に本件商標が使用された箇所は存在しない。乙第3号証には、本件商標は、「ガスフライヤー(第22頁に2箇所)」の特長を示すものとして使用されており、他に本件商標が使用された箇所は存在しない。以上のことから、乙第2号証及び乙第3号証における本件商標の使用態様も、使用役務についての使用に該当しない。
(3)割賦販売契約書の写しについて
被請求人は、乙第4号証ないし乙第6号証として、乙第1号証ないし乙第3号証のカタログにおける特定の商品についての割賦販売契約書類の写しを提出し、特定商品に関する割賦販売契約の契約日が本件審判請求登録前3年以内であることを主張しているが、上記割賦販売契約が存在するからといって、乙第4号証ないし乙第6号証が使用役務について本件商標が使用されている証拠にはならない。
(4)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標を使用していることを証明していない。また、被請求人は、請求に係る指定役務について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出している。
1 本件商標について、被請求人若しくはこれと同視し得る者により、または通常使用権者により、使用役務について、カタログにおいて広告すると共に、当該カタログ掲載商品の販売に際し実際に使用役務を提供した事実がある。
2 被請求人は、乙第1号証の「ガス業務用厨房機器総合カタログ」(2018年10月発行)において、表紙及び各商品紹介頁に本件商標を表示することで、主として厨房機器について本件商標を使用している。取扱商品には高額なものも多いことから、分割払い、すなわち割賦購入のあっせん(使用役務)も、被請求人の子会社を通じて積極的に行っている。本件商標を表示したカタログの裏表紙には「分割払いについては、大阪ガスまたは大阪ガスサービスショップヘお問い合わせください。」との広告文が記載されている。
同様に、被請求人は、乙第2号証の「商売繁盛」なるカタログ(2018年10月発行)及び乙第3号証の「ガス業務用厨房機器総合カタログ」(2015年10月発行)においても、本件商標を表示して厨房機器を広告すると共に、カタログ裏表紙において「分割払いについては、大阪ガスまたは大阪瓦斯サービスショップヘお問い合わせください」との広告文を掲載している。
3 乙第4号証は、実際に、本件商標を表示したカタログにおける商品であるリンナイ(株)製RCK-S20AS4型ガスコンベクションオーブンについての割賦販売契約書類の写しであり、その契約日は2018年12月14日である。乙第5号証も、本件商標を表示したカタログにおける商品である(株)マルゼン製MRY-C06型ガス茹で麺機についての割賦販売契約書類の写しであり、その契約日は2017年10月31日である。さらに、乙第6号証も、本件商標を表示したカタログにおける商品である(株)マルゼン製MGF-C18J型ガスフライヤーについての割賦販売契約であり、その契約日は2016年6月16日である。
これらは、いずれも、本件審判請求登録前3年以内の契約であり、また、これらの契約書の割賦売主である「大阪ガスファイナンス株式会社」(以下、「OGF社」という。)は、買主が被請求人から商品を購入するに際して、分割払いを希望する場合には、OGF社が買主に変わって商品を購入し、OGF社と買主の間で割賦契約を結ぶことで、実質的に被請求人と買主の間の割賦購入あっせん(使用役務)を行っている。このOGF社は、被請求人の100%子会社であるから、被請求人と実質的に同視し得る者であり、そうでないとしても、本件商標の使用については、被請求人からOGF社に対し、黙示の使用許諾をしているから、OGF社が本件商標のもとで使用役務を行うことは、被請求人又は通常使用権者による使用役務についての本件商標の使用といえる。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る乙各号証及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
(1)本件商標権者は、都市ガス供給、ガス機器販売の事業を行っており、ガス機器販売の事業にあたって、販売されるガス機器についてのカタログを用いた販売を行っている(乙1?乙3)。
(2)ガス機器の割賦販売について
ア 本件商標権者は、商品となるガス機器の販売にあたって、本件商標権者の100パーセント子会社であるOGF社を通じて、ガス機器の割賦販売を行っている(乙4?乙7)。ガス機器の割賦販売にあたっては、OGF社を割賦売主とする、買主との間の割賦販売契約が締結され、割賦売主となるOGF社は、買主の選択に係るガス機器を所定の代金にて買主に売り渡す義務を負い、他方、これを買い受ける買主は、当該ガス機器の売買代金を所定の頭金、割賦金、割賦回数で分割してOGF社に支払う義務を負うことになる(乙4?乙6)。
イ 2018年12月14日に、OGF社は、割賦売主として買主との間で後述する乙1カタログ及び乙2カタログに掲載されたリンナイ(株)製RCK-S20AS4型ガスコンベクションオーブン(以下、「乙4商品」という。)について割賦販売契約を締結した(乙4)。
ウ 2017年10月31日に、OGF社は、割賦売主として買主との間で(株)マルゼン製MRY-C06型ガス茹で麺機について割賦販売契約を締結した(乙5)。
もっとも、この契約は、当該ガス茹で麺機を掲載する後述する乙1カタログの発行前のものであり、この契約の締結にあたっては、買主に対し当該カタログは示されていない。
エ 平成28年6月16日に、OGF社は、割賦売主として買主との間で後述する乙3カタログに掲載されている(株)マルゼン製MGF-C18J型ガスフライヤー(以下、「乙6商品」という。)について割賦販売契約を締結した(乙6)。
(3)ガス機器販売に用いられるカタログ(乙1?乙3)について
ア 「ガス業務用厨房機器総合カタログ」(2018年10月発行版)(乙1。以下、「乙1カタログ」という。)について
乙1カタログは、2018年10月当時の本件商標権者の販売対象であったガス機器を掲載したカタログであって、その表紙に、本件商標とほぼ同一の構成態様の標章(以下、「使用標章」という。)が表示されている。
ガス機器の説明の頁においては、乙4商品を含む複数のガス機器について、使用標章が表示されている。
裏表紙には、「分割払いについては、大阪ガスまたは大阪ガスサービスショップ等へお問い合わせ下さい。」という分割払いに係る広告文及び「大阪ガスファイナンスのガス機器リース制度」に係る広告が表示されているものの、本件商標は表示されていない。
イ 「商売繁盛 ガス業務用厨房機器 小型機器SELECTION」(2018年10月発行版)(乙2。以下、「乙2カタログ」という。)について
乙2カタログは、2018年10月当時の本件商標権者の販売対象であったガス機器を掲載したカタログであって、乙1カタログと同様に、その表紙や乙4商品を含む複数のガス機器について、使用標章が表示されている。
また、乙2カタログの裏表紙にも、「分割払いについては、大阪ガスまたは大阪ガスサービスショップ等へお問い合わせ下さい。」という分割払いに係る広告文及び「大阪ガスファイナンスのガス機器リース制度」に係る広告が表示されているものの、本件商標は表示されていない。
ウ 「ガス業務用厨房機器総合カタログ」(2015年10月発行版)(乙3。以下、「乙3カタログ」という。)
乙3カタログは、乙6商品を掲載したカタログであり、当該商品について割賦販売契約(乙6)がなされた平成28年(2016年)6月当時、本件商標権者におけるガス機器の販売に用いられていたものであって、その表紙に使用標章が表示されている。
また、ガス機器の説明の頁において、乙6商品を含む複数のガス機器について、使用標章が表示されている。
乙1カタログ及び乙2カタログと同様、乙3カタログの裏表紙にも、「分割払いについては、大阪ガスまたは大阪ガスサービスショップ等へお問い合わせ下さい。」という分割払いに係る広告文及び「大阪ガスファイナンスのガス機器リース制度」に係る広告が表示されているものの、本件商標は表示されていない。
2 判断
(1)使用標章について
使用標章は、乙1カタログ、乙2カタログ及び乙3カタログに表示された、本件商標とほぼ同一の構成態様からなるものであるから、使用標章は、本件商標と社会通念上同一のものと認められる。
(2)使用者について
本件商標権者は、乙1カタログないし乙3カタログに使用標章を付してガス機器の販売を行っており、上記1(2)のとおり、要証期間内に、これらのカタログに掲載されたガス機器について、本件商標権者の100パーセント子会社であるOGF社を割賦売主として割賦販売を行っているから、要証期間内の割賦販売にあたってこれらのカタログを用いたことが明らかである。
よって、要証期間内に使用標章を使用したのは、本件商標権者と認められる。
(3)使用役務について
ア 「割賦購入あっせん」は、割賦販売法施行規則の一部を改正する省令(平成21年6月26日号外第136号)附則12条による改正後の商標法施行規則別表36類の「信用購入あっせん」に対応する同改正前の「割賦購入あっせん」に対応するものであるところ、1(2)に上記した乙第4号証ないし乙第6号証が示す各契約は、販売者(割賦売主)と買主との間の「割賦販売」(同法第2条第1項、第2章)の事実であって、販売者以外の者と買主との間の「信用購入あつせん」(割賦販売法(昭和36年法律第159号)第2条第3項、第3章)ないし「割賦購入あつせん」(平成20年改正前の同法第2条第3項、第3章)の事実ではない。
よって、乙第4号証ないし乙第6号証から、「割賦購入のあっせん」(使用役務)についての事実を示すものでない。
なお、乙第4号証ないし乙第6号証は、これらが「割賦販売」の事実を示すものであることに照らせば、使用役務以外の請求に係る指定役務についての使用を示すものでないことも明らかである。
イ 上記1(3)に照らせば、使用標章は、本件商標権者が販売するガス機器及びその広告に使用されているといえるものの、カタログの裏表紙に表示された分割払いに係る広告文及び「大阪ガスファイナンスのガス機器リース制度」に係る広告が示す分割払いのサービスやリース等の金融サービスと関連するものとして表示されたものではないから、乙第1号証ないし乙第3号証は、使用標章を使用役務を含む請求に係る指定役務について使用しているとはいえない。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、要証期間内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしていることを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件商標を請求に係る指定役務について使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中の結論掲記の指定役務について、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。

別掲1 本件商標(色彩は原本参照)


審理終結日 2021-04-08 
結審通知日 2021-04-12 
審決日 2021-04-28 
出願番号 商願2006-46485(T2006-46485) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y36)
最終処分 成立  
特許庁審判長 齋藤 貴博
特許庁審判官 岩崎 安子
相崎 裕恒
登録日 2006-12-01 
登録番号 商標登録第5008062号(T5008062) 
商標の称呼 リョー 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 並川 鉄也 
代理人 小谷 昌崇 
代理人 脇坂 祐子 

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