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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W25
管理番号 1373926 
審判番号 取消2020-300038 
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2020-01-15 
確定日 2021-04-09 
事件の表示 上記当事者間の登録第5656434号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5656434号商標(以下「本件商標」という。)は、「DOYLE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成25年6月18日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」並びに第20類及び第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同26年3月14日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、令和2年1月30日であり商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成29年(2017年)1月30日ないし令和2年(2020年)1月29日までの期間である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
1 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次の2のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
2 本件商標は、その指定商品中、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
3 請求人は、被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
以下、証拠の表記に当たっては、「乙第○号証」を「乙○」のように省略して記載する。
1 本件商標の使用態様
被請求人は、本件指定商品中の被服について、本件商標を、設定登録日(平成26年3月14日)よりも以前から現在に至るまで、日本国内において継続して使用している。
(1)被請求人について
被請求人は、明治27年(1894年)の創業以来、繊維商品に関する幅広い事業を行っており、アパレル事業において、需要者の様々なライフスタイルや価値観に合わせて、多数の自社ブランドを推し進めている。
(2)使用商品について
被請求人は、平成24年(2012年)より、女性のオフィスカジュアルをコンセプトとし、主に20ないし30代に向けて、「DOYLE」というブランド名のアパレル製品を展開している。具体的には、マタニティ用のジャンパースカートやラップワンピースといった被服の企画、生産、及び販売を行っている。
ア ジャンパースカート
ジャンパースカートの実製品(品番:9434901)は、乙3に示すとおりである。被請求人は、本社から自社工場に対し、ジャンパースカートの縫製や仕上げ、検品の指示を行っている(乙4)。
また、この商品は、例えば、平成30年(2018年)4月4日から令和2年(2020年)1月24日の期間中だけでも、株式会社千趣会との計23回にわたる取引において、1474枚が販売されている(乙5)。
イ ラップワンピース
ラップワンピースの実製品(品番:9434900)は、乙8に示すとおりである。被請求人は、本社から自社工場に対し、ラップワンピースの縫製や仕上げ、検品の指示を行っている(乙9)。
また、この商品は、平成24年(2012年)より販売が開始され、令和元年(2019年)5月14日、及び令和2年(2020年)1月28日において、62枚が販売されている(乙10)。
(3)使用商標について
前記(2)アのジャンパースカートには、乙3で示すとおり、「DOYLE」の白抜き文字のみを表した下げ札及びネームタグが付されている。これらが長年にわたってジャンパースカートに付されてきた事実は、乙4中の縫製指図書において、乙3と同一の態様からなる下げ札及びネームタグが表されていることからも見て取れる。
同様に、前記(2)イのラップワンピースにも、「DOYLE」の文字を表した下げ札及びネームタグが付されている。このことは、乙9中の縫製指図書において、下げ札及びネームタグのデザインに「DOYLE」の文字のみが大きく目立つ態様で表示されていることから裏付けられる。
かかる表示態様により、これらの商品に接する取引者及び需要者は、「DOYLE」というブランド名のアパレル製品であることを理解するものであって、「DOYLE」の文字部分が自他商品識別標識として認識されることは自明である。
2 本件商標の使用時期
前記(2)アのジャンパースカートは、平成30年(2018年)4月4日から令和2年(2020年)1月28日の期間において、継続的に生産及び販売されており(乙5ないし乙7)、前記(2)イのラップワンピースは、少なくとも、令和元年(2019年)5月14日、及び令和2年(2020年)1月28日の時点で生産及び販売されている(乙10)から、いずれの商品の生産及び販売も、要証期間内である。
3 以上より、被請求人が、本件商標と同一又は社会通念上同一である標章を被服に付し譲渡していること、かかる使用行為は、要証期間内において行われていること明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠によれば、次の事実が認められる。
(1)被請求人である本件商標に係る商標権者(以下「商標権者」という。)の名称が記載された、株式会社千趣会(以下「千趣会」という。)を宛先とする、平成30年4月4日ないし令和2年1月24日付け仕入伝票及び納品書(控)には、商品コードを「9434901」とする商品(以下「使用商品」という。)の記載がある(乙5)。
(2)使用商品は、「ジャンパースカート」であり、使用商品のネームタグには「DOYLE」の欧文字をゴシック体で表した商標(以下「使用商標」という。)が付されており、使用商品の下札には使用商標及び「9434901」の記載がある。
そして、「9434901」の記載は、上記(1)の仕入伝票及び納品書(控)に記載された商品コードと同一である(乙3)。
2 前記1において認定した事実によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標について
本件商標は、前記第1のとおり「DOYLE」の欧文字を標準文字で表してなり、使用商標は、前記1(2)のとおり、「DOYLE」の欧文字をゴシック体で表してなるものである。
そうすると、両商標は、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。
(2)使用商品について
使用商品は、前記1(2)のとおり、「ジャンパースカート」であり、本件審判の請求に係る指定商品のうち、「被服」の範ちゅうに含まれる商品である。
そして、前記1(2)のとおり、使用商品のネームタグ及び下札には使用商標が付されていることから、使用商品には、使用商標が付されていたといえる。
(3)使用者及び使用時期について
前記1(1)によれば、商標権者は、平成30年4月4日ないし令和2年1月24日の期間に、千趣会に使用商品を販売(譲渡)したものと推認できる。
そして、上記期間は、要証期間内である。
(4)小括
以上によれば、商標権者は、要証期間内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「ジャンパースカート」に、本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を付したものを譲渡したと認めることができる。
そしてこの行為は、商標法第2条第3項第2号にいう「商品・・・に標章を付したものを譲渡・・・する行為」に該当する。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品に含まれる使用商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲


審理終結日 2020-11-11 
結審通知日 2020-11-17 
審決日 2020-11-30 
出願番号 商願2013-46573(T2013-46573) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (W25)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡辺 悦子椎名 実 
特許庁審判長 木村 一弘
特許庁審判官 黒磯 裕子
中束 としえ
登録日 2014-03-14 
登録番号 商標登録第5656434号(T5656434) 
商標の称呼 ドイル 
代理人 安達 友和 
代理人 稗苗 秀三 

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