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審決分類 |
審判 全部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W42 審判 全部無効 外観類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W42 審判 全部無効 商品と役務の類否 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W42 審判 全部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W42 |
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管理番号 | 1373910 |
審判番号 | 無効2020-890002 |
総通号数 | 258 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2021-06-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2020-01-07 |
確定日 | 2021-04-15 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5770314号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5770314号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5770314号商標(以下「本件商標」という。)は、「BloMaga」の欧文字を横書きしてなり、平成26年10月27日に登録出願された商願2014-90375に係る商標法第10条第1項の規定(分割出願)による商標登録出願として、同27年5月19日に登録出願、別掲1のとおりの役務を指定役務として同月28日に登録査定、同年6月12日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第5617331号商標(以下「引用商標」という。)は、「ブロマガ」の文字を標準文字で表してなり、平成24年9月27日に登録出願、別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として同25年9月20日に設定登録されたものである。 その後、商標権について、登録無効審判が請求(無効2017-890035)されたものの、平成30年4月26日商標登録を維持する旨の審決がされ、同31年4月4日に、それが確定登録されたことにより、該商標権は現に有効に存続しているものである。 第3 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するので、同法第46条第1項第1号により無効にされるべきである。 (1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について ア 商標の類否について 本件商標と引用商標からは同一の称呼「ブロマガ」が生じるものである。 なお、両商標は特定の観念を生じない造語というべきであるから、観念においては対比できないものであり、外観においては、欧文字と片仮名の違いがあるとしても、いずれも普通に用いられる文字で表されているにすぎないものであって、称呼の共通性を凌駕するほどの違いはない。 してみると、本件商標と引用商標とは、類似の商標というべきである。 イ 指定商品・指定役務の類否について 本件商標の指定役務「インターネットウェブサイトを介してのコンピュータプログラムの提供,ウェブサイトを介して行うコンピュータプログラムの提供,ウェブサイト用のコンピュータプログラムの提供,ウェブページのアクセス記録を表示処理するためのコンピュータプログラムの提供,ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,他人のウェブサイトへのリンクのための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」は、いずれも特許庁作成の「類似商品・役務審査基準」に掲載されている第42類「電子計算機用プログラムの提供」の各種態様である。 他方、引用商標の指定商品中の第9類「電子応用機械器具及びその部品」は、引用商標の登録出願時に採用されていた国際分類第8版の「類似商品・役務審査基準」によれば、「電子計算機用プログラム」が包含されているとみて差し支えないものである。 近年、「電子計算機用プログラム」は、記録媒体に記録された電子計算機用プログラムとして店頭にて、あるいはダウンロードにより流通されているのみならず、インターネット等の通信回線を通じサーバー上に保管された電子計算機用プログラムを使用させる役務(電子計算機用プログラムの提供)として提供されている実情がみられ、このような役務を提供する者は総称して「アプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)」と呼ばれ、一般的なものとなっている(甲5)。 上記事実に基づけば、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品中の「電子計算機用プログラム」は、流通におかれるプログラムの状態が、記憶媒体に記録されたものであるとか、利用者の端末に保存が可能であるとか可能でないとかという僅かな違いがあるとしても、役務の提供者と商品の製造・販売者を共通にする。 また、上記役務及び商品の需要者となるのは、共にコンピュータやインターネットの利用者であり需要者を共通にするものであって、さらに役務の提供場所と商品の販売場所、需要者の範囲、並びに役務と商品の用途・内容が共通である場合が多いため、密接な関係がある。 よって、本件商標と引用商標を、それぞれの指定役務及び指定商品に使用したときには、これに接する取引者・需要者が同一の営業主の製造・販売又は提供に係る役務又は商品と誤認・混同されるおそれがあるとみるのが相当である。 なお、本件商標の登録出願時に採用されていた国際分類第10版に係る「類似商品・役務審査基準」、及び引用商標の登録出願時に採用されていた国際分類第8版に係る「類似商品・役務審査基準」には、それぞれ、その備考として、第9類の「電子計算機用プログラム」と第42類の「電子計算機用プログラムの提供」は類似する旨が記載されている。 また、上記と同様の判断がなされた商標登録異議申立事件、商標登録無効審判事件がある(甲6?甲8)。 さらに、請求人が過去に行った、被請求人の所有に係る「ブロマガ」の片仮名と「BloMaga」の欧文字を上下二段に表してなる登録第5621414号商標に対する無効審判事件(無効2014-890017号)についてなされた、平成27年1月6日付審決(甲9)においては同様の判断がなされており、被請求人が提起した、上記無効審判の審決取消請求事件(知的財産高等裁判所平成27年(行ケ)第10096号)の判決(甲10)においては「『電子計算機用プログラムの提供』の範ちゅうに含まれる『・・・コンピュータプログラムの提供』と商品『電子計算機用プログラム』とは、これらに同一又は類似の商標が使用された場合、同一の営業主により提供又は製造・販売されるものと誤認され、その出所について混同するおそれがある、互いに類似のものと判断するのが相当である。」と判断されている。 そうすると、本件において、電子計算機用プログラムの提供に係る本件商標の指定役務が、引用商標の指定商品中の「電子計算機用プログラム」に類似すると解することは、上記の知的財産高等裁判所の判断に沿うものである。 以上より、本件商標の指定役務と引用商標の指定商品中の「電子計算機用プログラム」は類似する。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 第4 被請求人の主張 被請求人は、請求人の主張に対して何ら答弁していない。 第5 当審の判断 1 請求人適格について 請求人が本件審判を請求する利害関係を有することについては、被請求人はこれについて争っておらず、また、当審は請求人が本件審判を請求する利害関係を有するものと認める。 以下、本案に入って審理する。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、「BloMaga」の欧文字を横書きした構成からなるところ、その構成文字に相応して、「ブロマガ」の称呼を生じ、また、該「BloMaga」の欧文字は、特定の意味を有しない一種の造語と認識されるものであるから、特定の観念を生じないものである。 他方、引用商標は、「ブロマガ」の文字からなるものであるから、「ブロマガ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較することができないものの、外観においては、共に普通に用いられた態様で表されたものであるから、外観における相違が両商標の差異を特段印象付けるものではなく、また、「ブロマガ」の称呼を同じくするものである。 したがって、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念を総合して勘案すれば、互いに相紛らわしい類似の商標である。 (2)本件商標の指定役務と引用商標の指定商品との類否について 商品と役務の類否は、それら商品及び役務に同一又は類似の商標が使用された場合、同一の営業主により提供又は製造・販売されるものと誤認されるおそれがある関係にあるか否かにより判断し、その際には、例えば、(a)商品の製造・販売と役務の提供が同一事業者によって行われているのが一般的であるかどうか、(b)商品と役務の用途が一致するかどうか、(c)商品の販売場所と役務の提供場所が一致するかどうか、(d)商品と役務の需要者の範囲が一致するかどうかを総合的に考慮して個別具体的に判断するのが相当である。 ア 本件商標の指定役務「インターネットウェブサイトを介してのコンピュータプログラムの提供,ウェブサイトを介して行うコンピュータプログラムの提供,ウェブサイト用のコンピュータプログラムの提供,ウェブページのアクセス記録を表示処理するためのコンピュータプログラムの提供,ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,他人のウェブサイトへのリンクのための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」(以下「本件指定役務」という。)は、提供に係る各プログラムの用途、内容等において若干相違するとしても、それぞれの内容表示に照らし、いずれも商標法施行規則別表第42類に属する役務として例示された「電子計算機用プログラムの提供」の範ちゅうといえる。 イ 他方、引用商標の指定商品中、第9類「画像処理用コンピュータのプログラム,インターネットを利用してダウンロード可能なコンピュータプログラム,その他のコンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」は「電子計算機用プログラム」の一形態であり、また、「電子応用機械器具及びその部品」には、「電子計算機用プログラム」が含まれることは、引用商標の登録査定時において有効な商標法施行規則別表に、第9類に属する商品中「十五 電子応用機械器具及びその部品」の下位概念として「(五)電子計算機用プログラム」が例示されていることからも明らかである。 ウ そこで、「電子計算機用プログラムの提供」と「電子計算機用プログラム」との関係についてみる。 (ア)本件指定役務の提供と商品「電子計算機用プログラム」の製造・販売に係る事業者について 「電子計算機用プログラム」は、記録媒体に記録された形態やインターネットによりダウンロードする方法により商品として流通しているほか、インターネット等の通信回線を通じてサーバ上に保管された「電子計算機用プログラム」を使用させる役務(電子計算機用プログラムの提供)として提供されていた実情があり(甲5)、かかる役務を提供する者は「アプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)」と呼ばれ、一般的になっていることが認められる。 そして、本件指定役務で提供される内容は、いずれも「電子計算機用プログラム」であるから、商品「電子計算機用プログラム」の製造・販売事業者が、かかる役務の提供を行うことも少なくないものといえる。 (イ)本件指定役務と商品「電子計算機用プログラム」の用途について 本件指定役務と商品「電子計算機用プログラム」の用途は、いずれも、電子計算機用プログラムの提供を受けるか購入することにより、電子計算機用プログラムを使用して、コンピュータ処理をするものであるから、その用途は共通するものといえる。 (ウ)本件指定役務の提供場所と商品「電子計算機用プログラム」の販売場所について 本件指定役務と商品「電子計算機用プログラム」自体の流通とは、上記(ア)のとおり、共にインターネット等の通信回線を通じて行われることもあると解されるから、取引形態を共通にし、本件指定役務の提供と商品「電子計算機用プログラム」の販売は、一般的に同一事業者によって行われることが少なくないことなどからすれば、役務の提供場所と商品の販売場所は共通にする場合が多いといえる。 (エ)本件指定役務と商品「電子計算機用プログラム」の需要者の範囲について 本件指定役務と商品「電子計算機用プログラム」の需要者は、いずれもコンピュータを用いて電子計算機用プログラムを使用する者であるから、需要者の範囲は共通する。 エ そうすると、本件指定役務と商品「電子計算機用プログラム」に、同一又は類似の商標を使用する場合は、同一営業主の製造若しくは販売又は提供に係る役務又は商品と誤認されるおそれがあると認められる関係があるといえる。 したがって、本件指定役務は、引用商標の指定商品中、第9類「画像処理用コンピュータのプログラム,インターネットを利用してダウンロード可能なコンピュータプログラム,その他のコンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記憶させた記録媒体」及び「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「電子計算機用プログラム」(以下、これらをまとめて「引用商品」という場合がある。)と類似する役務であると認められる。 (3)小括 以上のとおり、本件商標は、その商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の引用商標と類似する商標であって、引用商標の指定商品中の引用商品と類似する本件指定役務に使用をするものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 3 むすび 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、その登録は、同項の規定に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき無効にすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 1 本件商標の指定役務 第42類「インターネットウェブサイトを介してのコンピュータプログラムの提供,ウェブサイトを介して行うコンピュータプログラムの提供,ウェブサイト用のコンピュータプログラムの提供,ウェブページのアクセス記録を表示処理するためのコンピュータプログラムの提供,ウェブログの運用管理のための電子計算機用プログラムの提供,他人のウェブサイトへのリンクのための電子計算機用プログラムの提供,オンラインによるブログ作成用コンピュータプログラムの提供,インターネット上の情報を閲覧するためのコンピュータプログラムの提供」 2 引用商標の指定商品及び指定役務 第9類「画像処理用コンピュータのプログラム,インターネットを利用してダウンロード可能なコンピュータプログラム,その他のコンピュータプログラム,コンピュータプログラムを記憶させた記録媒体,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,レコード,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,ダウンロード可能な電子書籍,電子出版物」 第38類「コンピュータを利用したメッセージ及び映像による通信,電気通信(放送を除く。),ウェブログ上の電子掲示板通信及びこれに関する情報の提供,放送,報道をする者に対するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の通信機器の貸与」 第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,図書の貸与,通信ネットワークを利用した電子書籍及び電子定期刊行物の提供,書籍の制作,通信ネットワークで提供される電子書籍及び電子定期刊行物の制作,通信ネットワークを利用した画像・映像の提供及びこれらに関する情報の提供,映画の上映・制作又は配給,通信ネットワークを利用した音・音声・音楽の提供及びこれらに関する情報の提供,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」 第42類「通信ネットワークを利用した気象情報の提供,その他の気象情報の提供,デザインの考案,インターネットを利用したデザインの考案に関する情報の提供,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械器具に関する試験又は研究」 |
審理終結日 | 2020-11-18 |
結審通知日 | 2020-11-24 |
審決日 | 2020-12-08 |
出願番号 | 商願2015-46782(T2015-46782) |
審決分類 |
T
1
11・
263-
Z
(W42)
T 1 11・ 261- Z (W42) T 1 11・ 262- Z (W42) T 1 11・ 265- Z (W42) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 綾 郁奈子 |
特許庁審判長 |
半田 正人 |
特許庁審判官 |
大森 友子 岩崎 安子 |
登録日 | 2015-06-12 |
登録番号 | 商標登録第5770314号(T5770314) |
商標の称呼 | ブロマガ |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 宮川 美津子 |
代理人 | 長岡 征斗 |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 右馬埜 大地 |
代理人 | 波田野 晴朗 |
代理人 | ▲高▼山 大蔵 |